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日産 ノート ライダー HR12DDR新車試乗記(第677回)

Nissan Note Rider HR12DDR

(1.2リッター3気筒SC・CVT・174万0900円)

日産の「第3のエコカー」は
3気筒スーパーチャージャーで
ダウンサイジングに挑む!

2012年11月16日

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キャラクター&開発コンセプト

2代目はティーダ後継でもある


日産 ノート(2代目)
(photo:日産)

2005年に登場した初代ノートは、全長約4メートル、全幅は5ナンバー枠(1.7メートル未満)のボディに、1.5リッター直4エンジンとCVT(無段変速機)を搭載したコンパクトカー。一足早く登場したティーダが上質感を売りとしたのに対し、ノートはキビキビとした走りを特徴としていた。

そして今回、7年ぶりのフルモデルチェンジで2012年8月28日に発表、9月3日に発売された2代目は、ボディからパワートレインまで全てを一新。また、新型ティーダ(2011年に海外でデビュー)が3ナンバーボディの海外専用モデルとなったため、国内ではティーダの後継も担うことになった。

1.2リッター直3スーパーチャージャーで、クラストップの低燃費を実現


新開発の1.2リッター3気筒スーパーチャージャー「HR12DDR」
(photo:日産)

エンジンは全車1.2リッター3気筒を採用。マーチ譲りの自然吸気(HR12DE)もあるが、注目は同エンジンを直噴ミラーサイクル化し、スーパーチャージャーを装着した新開発の「HR12DDR」。こちらのJC08モード燃費は、HR12DE車の22.6km/Lを上回り、軽を除くガソリン車でトップの25.2km/Lを達成している。なお、CVTはマーチに続いてワイドレンジの副変速機付を採用した。

生産は日産自動車九州(福岡県苅田町)。国内の販売目標は月間1万台で、発売後約2週間までの受注は2万1880台と好調。9月と10月の登録車販売ランキングでは3位となっている。ひょっとしてCMキャラクターの二宮君効果?と思いきや、購買層は40代以上が81%、50代以上が61%と高めな様子。

価格帯&グレード展開

スーパーチャージャーは約20万円高

価格は自然吸気のHR12DE車が124万9500円からで、後輪をモーターで駆動する電気4WD仕様「Four」は155万7150円。

スーパーチャージャーのHR12DDR車は、自然吸気より約20万円高い144万9000円から。また、ティーダの後継に相当するモデルとして、スウェード調シート地やコンパクトカー初のアラウンドビューモニターを標準装備した上級グレード「メダリスト」が167万4750円。なお、購入時の取得税と重量税はHR12DE車(FF)が75%減税で、HR12DDR車は免税になる。

パッケージング&スタイル

ノートとティーダの二役を担う


試乗したのはオーテックジャパンが手がけたライダーのHR12DDR仕様(174万0900円)

試乗車はライダーで、ベース車とかなり印象は違うが、とりあえずボディサイズは先代ノート(全長4000mm前後)と先代ティーダ(全長4200-4250mm前後)の中間を行く4100mm(ライダーは4140mm)。ホイールベースは先代ノート/ティーダと同じ。

デザイン的にはノートらしさを受け継ぎつつ、ティーダの伸びやかさや質感も兼ね備えた感じ。ボディサイドのキャラクターラインは「スカッシュライン」と呼ばれるもので、その名の通りスカッシュでスマッシュした時のボールの動きがモチーフとのこと。

 
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm)
ホンダ フィット ハイブリッド 3900 1695 1525 2500
トヨタ アクア 3995 1695 1445 2550
先代 日産 ノート(最終モデル) 4020 1690 1535 2600
日産 ノート 4100 1695 1525 2600
先代 日産 ティーダ(最終モデル) 4250 1695 1535 2600
 

インテリア&ラゲッジスペース

質感も先代ティーダに迫る


「ファインビジョンメーター」はその名の通り視認性良好

質感も先代ノートに比べてずいぶん高くなった。先代ティーダほどではないが、それを望む場合は上級グレードの「メダリスト」がある。なお、試乗したライダーの場合は、上質感よりもスポーティさを追求したもので、シート表皮やドアトリムなどが専用になる。

ホイールベースは従来と同じ2600mmだが、室内空間は先代ティーダ並みを謳う。そのあたりは、ティーダどころか、ティアナ並みに足元が広い後席に座ってみると実感できるところ。ドアがほぼ直角(85度)まで開くところなど、使い勝手にもこだわっている。

 

後席、特にフットルームは驚異的に広い。ドアがほぼ直角(85度)まで開く

運転席シートはリフター付き。ただし座面角度は調整できず、ステアリング調整もチルトのみ
 

荷室容量はCセグに迫る330リッター。床をフラット化できるマルチラゲッジボードはオプション。床下にはテンパースペアを搭載
 

基本性能&ドライブフィール

2気筒ターボと4気筒の中間?


ルーツ式スーパーチャージャーとミラーサイクルを採用したHR12DDR。圧縮比は12.0で、ノッキングを防ぐため、冷却性に優れたナトリウム封入排気バルブを使う

試乗車はライダーのHR12DDR仕様。スーパーチャージャーによって流行りのダウンサイジング(排気量縮小による燃費向上)を実現したもので、狙い通り、1.2リッターの3気筒にも関わらず、最高出力は98ps/5600rpm、最大トルクは14.5kgm/4400rpmと1.5リッター車並みになっている。ちなみに自然吸気(HR12DE)の方は、79ps/6000rpm、10.8kgm/4400rpmに留まる。

エンジン始動ボタンを押すと聞こえてくるのは、4気筒よりも少しザラっとしたエンジン音。とはいえ、他社の1リッター3気筒エンジンと比べれば、ほとんど振動やノイズは気にならないレベル(VW up!は未試乗だが)。振動抑制が上手な最近の軽自動車用エンジンより排気量が大きい分、ツブツブ感は大きめだが、音質は丸い。もちろん、停車すればアイドリングストップ機能が働き、静寂が訪れる。始動は素早く、スターターノイズもそんなにうるさくない。

 

新型ノートは車体細部の見直しで、先代に比べて約70kg軽量化。このクラスで70kgは大きい

走ればすぐに3気筒+過給器ならではのトルクの太さが実感できる。感覚的には4気筒エンジンと、フィアット 500 ツインエアの875cc 直2ターボを足して2で割ったような感じ。4気筒ほどスムーズではなく、ツインエアほど鼓動感もないが、低回転域のトルク感は過給器付ならではと言えるレベル。

ここまではノーマルモードでの話だが、仮にエコモードでもアクセルを踏み込めば同じような力感で走ってくれる。実はこのスーパーチャージャー、負荷が少ない領域では電動クラッチで作動を停止するのがミソ。特にエコモードの場合は、アクセルペダルを深く踏み込んだ時だけスーパーチャージャーを作動させる「踏力段差付アクセルペダル」になっている。

一方、スポーツモードを選択すると、エンジン回転が跳ね上がり、スポーティな変速制御をしてくれるが、その分ノイジーにもなる。これは試乗車に装着されていた純正オプションのフジツボ製マフラーのせいもありそうだが、そんなわけであまり積極的に回す気にはなれなかった。

操縦安定性に不満はないが、VDCはオプション扱い

先代では走りの良さをアピールしたノートだけに(広告コピーは「低燃費系で、ビュンビュン系」だった)、新型の走りも悪くない。試乗車のタイヤは主力グレードの185/70R14よりスポーティな185/65R15(ブリヂストンのB250)だったが、タイヤ性能に頼る感じはなく、しっかり走ってくれる。とはいえ最終的には弱アンダーステアや弱オーバーステアが出たりもして、あれっと思って確認してみたら、VDCはオプションだった。軽自動車でも類似のデバイスを標準装備しつつある昨今、どう考えたものかと思うが、とりあえずシャシー性能は一定のレベルに達している。

ただしVDCの副次的機能であるヒルホルダーがないため、坂道でアイドリングストップすると発進時に一瞬後ろに下がってしまうのは残念なところ。かなり緩い傾斜でも、一瞬だが落ちてしまう。それを補うべく、副変速機付CVTのクラッチを利用した「車両後退抑制機能」が新採用されているらしいが、ほとんど恩恵を感じなかった。ただし急勾配ではアイドリングストップ自体が作動しないようになっている。

 

高速巡航は問題なし。副変速機付(つまり2段変速付)CVTのおかげで、100km/h巡航時のエンジン回転数は約2000回転と低め。下り坂で負荷が少なければ、もう少し回転数は下がりそうだった。トルクがあるので、追越加速も1.5リッター並みに力強く、160km/hまでならすぐに到達しそう。風切り音も低く、静粛性も問題ないと思った。Cd値(空気抵抗係数)は0.29-0.30とのこと。

試乗燃費は11.2~21.0km/L。

今回は約180kmを試乗。参考までに試乗燃費は、いつものように一般道、高速道路、ワインディング等を走った区間(約90km)が11.2km/L。空いた一般道をエコモードで無駄な加速を控えて走った区間(約30km)が21.0km/Lだった。感覚的にはアクアやフィット ハイブリッドといったハイブリッド車、それにデミオ 13-スカイアクティブ、フィアット 500 ツインエア、最近の軽自動車といった「第3のエコカー」と実用燃費は大差ない印象を受けたが、低回転がトルクフルな分、新型ノートはより自然にエコドライブできる感じがした。

なお、試乗したHR12DDR車のJC08モード燃費は、24.0~25.2km/L。タンク容量は41リッターで、指定燃料はもちろんレギュラーになる。

ここがイイ

スーパーチャージャーを使った独自のダウンサイジング

過給器によるダウンサイジングでは完全に出遅れている日本車にあって、3気筒スーパーチャージャーという独自技術を投入したこと。気の抜けたような走りのクルマが多い国産コンパクトカーにあって、トルク感のあるノートの走りは、際立ってはいないものの、新鮮さはある。

ここがダメ

VDCのオプション設定

VDCがオプションであること(しかも上級グレードのみに設定)。確かに操縦性自体は、VDC無しでも問題ないレベルだが、そのせいもあってアイドリングストップ時の坂道発進では、どうしても一瞬後退してしまう。そもそも2012年10月以降に発売された新型車は(軽自動車は2014年以降)、横滑り防止装置(一般名称はESC)が義務化されたが、新型ノートの発売はその直前だったため免れた模様。確かに価格はその分、安いはずだが。

総合評価

ワケを知ればすごいのが

RJCのイヤーカーはノートだった。RJCの輸入車イヤーカーはVWのup!だから、今や世は3気筒バンザイというところ。プジョーの新型208にも1.2リッター3気筒が用意されるし(5MTだが)。スバルなどはその昔、軽の660cc 4気筒エンジン(+トルク不足を補うスーパーチャージャー)を売りにしていた時代があったが、まったく時代は変わったものだ。軽自動車で証明されているように、3気筒にすればコストは安く、トルクもあって、燃費がいい。いよいよダウンサイジングへと世は進み、ハイブリッドのみならず、ますます燃費第一という時代になったわけだ。

ノートに乗ってみると、確かに4気筒である必然性はないと思う。不快な振動やノイズはもはやなく、知らずに乗れば、トルク感的にも1.5リッター4気筒という印象で、スーパーチャージャーを意識することもないだろう。逆に1.2リッターの3気筒だったと知れば、たいしたものだと思い直すことになる。このあたりが微妙なところで、ワケを知ればすごいのだが、昔のクルマと何が違うの、と思うほど普通に感じられるのは、いいのか悪いのか。まあこのパワーユニットで「普通」を実現しているのはすごいところだが、大人しくエコモードで走らないと好燃費が出ないところは他の「第3のエコカー」と大きく違わない。

生活の道具としては確かにいい

インテリアの質感も試乗したグレードであれば、確かに悪くない。が、一般的にはどうでもいいのかもしれないが、助手席エアバッグの蓋がダッシュパネルにくっきりと見えるあたりはやや興ざめする。先代ノートはもちろんきれいに隠れていた。また、シートに座って気になるのは、シートリフターを上げると座面が徐々に前に出ていくこと。脚が短いゆえシートを上げたいのに、膝裏の座面が長くなり、足がペダルから遠ざかってゆく感覚。小柄な人が乗ることが多いクルマだと思うので、ここは残念だ。

室内のパッケージングは素晴らしいし、小回りが効くこと、サイズ感など、使い勝手はそうとうにいいと思う。リアドアも90度近く開くし、助手席前の上段グローブボックスにはティッシュボックスも入る。インナードアハンドルは大きくて使いやすい。生活の道具としては確かにとてもいいクルマだ。ただ、マルチラゲッジボードが2万6300円ものオプションなのはいただけない。こういう基本的な装備がオプションというのはどうかと思う。VDCもそうで、ついていて当たり前のものがオプションというのは、ちょっと残念なところだ。

スマホやパソコンのように

また、輸入車を含めた同クラス車の走りを思うと、ダウンサイジングにおける三種の神器(小排気量・過給器・DCT)が揃って欲しいとも思えてしまう。このクルマにDCTがついたら、走りはもう一段向上するのではないか。CVT一辺倒で来てしまった日本車の場合、もはやDCTを国内で安価に調達するのは難しいと思うが、もしDCTとVDC、さらに衝突安全装置まで標準になれば、まさに押しも押されぬイヤーカーとなっただろう。現在でも好調に売れているのだが(2012年10月の国内登録車販売ランキングは、アクア、プリウスに次いで3位)、そこまでやれば、アクア打倒だって夢じゃない。日産九州工場の嬉しい悲鳴を日本中に轟かせてもらいたいものだ。

そう、ノートは九州で作られる。その工場でメディアプレゼンがあったようなので、その資料から少しつまんでみると、部品の40~45%が海外(主にアジアだろう)から入り、九州であればアジアに近い分、運送費が安くてコストダウンできるのだという。そして九州地場と輸入で、部品の85%をまかなうそうだ。ということで、九州でならクルマの国内生産を守る事が可能だという。なるほど、確かに大きなドアハンドルは海外生産のラティオと同じものだった(ノートはメッキしてあるが)。昨今スマホやパソコンのように、クルマもいよいよアジア製が増えてきた。そしていずれクルマも、かつてのような過剰なまでの高品質感はなくなり、時流に乗った商品を短期間使う(スマホやパソコン同様に)ということになるのだろう。

クレスタからの代替え

そういえば、ご近所が20年近く乗られたと思しきクレスタ・スーパールーセントを代替えされた。その代替え車は、なんとアクア。クレスタからアクア。機会があれば、きっかけや感想を聞いてみたいが、ご近所はお年も召されたから、ダウンサイジングをしたくなったのだとは思う。乗るのは買い物に出かける時くらいだから、小さいクルマでいいということだと思うが、そんなに距離を乗らないなら、アクアじゃなくて、もうちょっと安くて室内の広い普通のコンパクトカーという手もあったと思う。もちろん乗っていたのがクレスタじゃなくてローレルだったら、メダリストつながりでノートにしたはずだが。

 

というわけで、身近にダウンサイザーを見ると、今後はさらにそういう流れが加速するだろうと思わざるを得ない。ノートならクレスタよりも完全に広いし、気筒数は半分になるが、普通に乗る分にはたぶん不満はないだろう。そして燃費。これはクレスタより驚くほど良いはず。これらによって、ご近所の方は20年のクルマの進化を実感されるはずだ。

かつての純日本製である高級車クレスタの質感はないし(好みは別として)、九州で作られている高品質の日本製品ではあるが、かつてのような過剰なまでの品質を誇るものではない。日本の様々な製品の多くがたぶん今後そうなっていくのだろうと思うと、なんだか象徴的なクルマに思える。売れている事実が、これでいいのだということを示しているのだし。

 

試乗車スペック
日産 ノート ライダー HR12DDR
(1.2リッター3気筒SC・CVT・174万0900円)

●初年度登録:2012年9月●形式:DBA-E12 ●全長4140mm×全幅1695mm×全高1525mm ●ホイールベース:2600mm ●最小回転半径:5.2m ●車重(車検証記載値):1110kg(700+410) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:HR12DDR ●排気量・エンジン種類:1198cc・直列3気筒DOHC・4バルブ・スーパーチャージャー・横置 ●ボア×ストローク:78.0×83.6mm ●圧縮比:12.0 ●最高出力:72kW(98ps)/5600rpm ●最大トルク:142Nm (14.5kgm)/4400rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/41L ●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:24.0~25.2km/L(ベース車)

●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソン・ストラット+コイル/後 トーションビーム+コイル ●タイヤ:185/65R15(Bridgestone B250) ●試乗車価格(概算):-円  ※オプション:ライダー専用 ルーフスポイラー 5万7750円、フジツボ製スポーツマフラー 5万7750円 ●ボディカラー:ブリリアントホワイトパール ●試乗距離:約180km ●試乗日:2012年11月 ●車両協力:日産プリンス名古屋販売株式会社

 
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