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ホンダ オデッセイ アブソルート新車試乗記(第536回)

Honda Odyssey Absolute

(2.4リッター直4・5AT・FF・289万円)

4代目「超熟」オデッセイは
何を目指して旅をする?

2008年11月28日

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キャラクター&開発コンセプト

メカ的には3代目の熟成進化版

2008年10月17日に発売された新型オデッセイは、初代(1994年)、2代目(1999年)、3代目(2003年)に続く4代目。あくまでファミリーミニバンだった初代と2代目を経て、3代目で大胆な低床・低重心化を行い脱ミニバン化を図ったオデッセイ。今回の4代目は、言うなればその3代目の熟成進化版だ。

基本的なパッケージングやパワートレイン形式は先代を踏襲しつつ、新型では内外装を刷新。VSAと協調制御する電動パワステ「モーションアダプティブEPS」、後退時に真上からの仮想映像をモニターに表示する「マルチビューカメラシステム」といった新装備も採用している。

クルーニー効果と「男ですから」で月間4000台が目標

広告コピーは「いいクルマが好きだ。男ですから」と男性層にアピール。イメージキャラクターにはテレビシリーズ「ER」(1994年~)でスターとなったジョージ・クルーニーを奮発し、クルマよりクルーニーの方を目立たせる、という手法でも話題?となっている。クルーニーはどちらかと言えば女性に人気があるから、それを当て込んでの高度な広告戦略かもしれない。

生産は埼玉製作所(埼玉県狭山市)。目標販売台数は先代より1000台減って月間4000台とされた。ホンダによると発売1ヶ月の受注台数は、先代が約2万5000台だったのに対して、世界同時株安と重なった不運のせいか今回は7500台となっている。今後のコンスタントな売れ行きに期待がかかる。

ホンダ>プレスリリース>新型オデッセイ 受注状況について(2008年11月18日)

ホンダ>プレスリリース>新型オデッセイ 受注状況について(2003年11月25日)

価格帯&グレード展開

259万円からスタート。一番人気はアブソルート(289万円~)

2.4リッター直4+CVT(4WDとアブソルートは5AT)の7人乗りで、4グレード構成。ラインナップは以下の通りだが、初期受注では先代でも人気だったアブソルートが半数を占める。

なお、最上級の「Li」だけ飛び抜けて高価なのは、ハイテク&安全装備を標準装備するため。装備内容はミリ波レーダーの搭載を必要とする車速/車間制御機能(ACC)&車線維持支援システム(LKAS)、追突軽減ブレーキ(CMBS)+E-プリテンショナー、そしてサイド&カーテンエアバッグとなる。

【オデッセイ】 2.4リッター直4(173ps、22.6kgm)
■「M」   259万円(CVT・FF)/284万円(5AT・4WD)
■「L」   291万円(CVT・FF)/314万円(5AT・4WD)
■「Li」   338万円(CVT・FF)/361万円(5AT・4WD)

【オデッセイ アブソルート】 2.4リッター直4(FF:206ps、23.7kgm/4WD:204ps、23.5kgm)
   289万円(5AT・FF)/314万円(5AT・4WD) ★今週の試乗車

パッケージング&スタイル

肉食から草食へ? もしくはFCXクラリティのワゴン版

ボディサイズは全長4800mm×全幅1800mm×全高1545mm。先代より全長が+35mm、全高は確実に立体駐車場に入るよう(デザイン的な兼ね合いもあろう)-10mmとなったが、ほとんど変化はない。ホイールベースは同じ2830mmだ。

見た目は「ブラックパンサー」を標榜した先代が肉食獣なら、新型は草食動物という感じか。ヘッドライトの青味が薄くなって目つきも優しくなり「怖いクルマ」という感じがなくなった。


ホンダ FCX クラリティ
(photo:本田技研工業)

むしろフロントビューやワンモーション風のサイドビューは、水素を食べて電池を生み出すホンダの燃料電池車「FCXクラリティ」にそっくり。日本国内でも11月からリース販売が始まったこの近未来カーのボディサイズは、全長4845mm×全幅1845mm×全高1470mm、ホイールベース2800mmと、オデッセイに近いと言えば近い。当然オデッセイのデザインはこの先進的なイメージを利用する意味合いもある。

抜本的に視界を改善

運転席からの眺めで最も変わったのは、先代で視界の妨げになっていたAピラーをスリム化し、サブAピラーを廃止したことだろう。Aピラーの位置もかなり後退し、おかげで先代にあった「左右の見にくさ」はかなり解消された。ドライビングポジションはホンダらしく低めだが、テレスコピック&チルトステアリングやシートリフターなどで調整の自由度は確保されている。

一方、インパネデザインは変わったような、変わってないような。パーツは全面変更され、例えばステアリングやメーターバイザーあたりの意匠は最近のシビックやフィット風になっている。しかし空調吹き出し口やスイッチ等の位置関係は先代とほとんど変わっていない。つまり基本構造や骨格は従来通りであることがうかがえる。

なおアブソルートはご覧のように黒内装&メタル調パネルで、シート形状も多少ホールド性重視。アクセル/ブレーキペダルとフットレストに付くアルミ製プレートもアブソルート専用装備だ。

インターナビに「マルチビューカメラシステム」の装着が可

純正HDDインターナビはナビ操作用のプログレッシブコマンダー込みで33万6000円。TVはワンセグ対応だ。モニターサイズは5年前の先代と同じ8インチのままだが、新型の装着率は初期受注の90%が選択したというほど。その点では先代の比ではないようだ。

 

このインターナビ装着車には、クルマをあたかも真上から見たようなグランドビューをはじめ、フロント、左右サイド、リアの4方向を映し出す「マルチビューカメラシステム」(8万4000円)を追加装着できる。仕組み的には日産の「アラウンドビューモニター」(2007年にエルグランドで初搭載)と同様、4個の超広角CCDカメラで捉えた前後左右の映像をコンピュターで合成するものだ。真上からのグランドビューは、シフトレバーをリバースに入れた時に、リアビューモニターと一緒に表示する。果たして日産との技術パテントの折り合いがどうかは不明だが、ホンダのものは車速やステアリング舵角などと連動し、予測ガイド線を表示する点が新しい。

セカンドシートは2人掛けメインだが、より広く、見晴らしも良く

燃料タンクの薄型化などで実現した低床・低重心設計は先代譲りだが、新型では主にシート下の構造やシート形状を見直し、セカンド/サードシート乗員の足入れ性やひざまわりのスペースを改善したという。

セカンドシートの中央席を畳んで、大型アームレストとする方法は、1クラス下のストリームにならったもの。先代オデッセイよりサードシートからの見晴らしが良くなり、なおかつ5人乗り(2×3)、6人乗り(2×2×2もしくは2×3×1)、7人乗り(2×3×2)というシーティングの両立が可能だ。

ただしこのおかげで、セカンドシート中央席のシートベルトは3点式ではなく2点式のままで、ヘッドレストも最上級グレード(Li)以外では装備されない。つまりあくまで推奨できるのは2×2×2の6人乗りまでであり、おそらく開発側の本音もそこだろう。中央席をいわば捨てて、左右席(の快適性と安全性)を重視するのは世界的な流れでもある。

最大の進化は、3列目の見晴らしにあり

サードシートはセカンドシートを多少前にずらして足もとスペースを確保し、前述の通りその中央席を畳めば(先代ではこれが出来なかった)、前方見晴らしが効く。やはり先代の閉塞感は不評だったようだが、それを思えば、この点が新型オデッセイ最大の改善ポイントかもしれない。特に見晴らしに関しては、1列目から3列目までのシートをV字型に配したことで(1列目乗員を左右に離し、2列目、3列目乗員をそれぞれ25mmずつ中央に寄せる)、前方視界の改善を図っており、これが確かに効いているようだ。

とはいえ、サードシートに座ると、ことアブソルートに関しては内装が殺風景で、やはり孤絶感を感じてしまう。明るいベージュ内装なら印象は違うと思うので、ファミリーユーザーの方は熟慮されたい。

乗り降りの点では、ドア開口部が狭く、もっぱら体の小さな子供用という感じだ。やはりミニバンというより、ステーションワゴンの荷室にサードシートを入れた、という感じがまったく無くなったわけではない。

いっそない方が良かった「フレキシブルラゲッジボード」

先代で一部に設定された電動収納サードシートは廃止されたが、背もたれを倒した後に180度反転させて床下に収納する歴代オデッセイ伝統の仕組みは踏襲されている。簡単操作で、大人なら誰でも出来るはずだ。

 

思わず首をかしげてしまうのが、新しく荷室床下に備わった2分割式の「フレキシブルラゲッジボード」だ。取り外すと、裏にアイロン台のような折り畳み式の足が付いており、さては昔のCR-Vのようにテーブルになるのかと思いきや、それにしては足が短い。実はこれ、荷室拡大時にできる溝を埋める「台」になるのだ。

ところがこれの使用方法が実に難しい。まずはボードを2つに分割するのが、これが説明図を見ても分かりにくく、コツも力も要する。取材・撮影という目的がなかったら、おそらく途中で挫折していたと思われるほど。まあ、このまま放っておいても別に支障のないものではあるが。

開発した人には申し訳ないが、結論としてはマークXジオの「デュアルトノボード」(サードシート部分を覆い隠す)脱着作業と並んで、個人的には二度とやりたくない作業。似たようなコンセプトのクルマで、同じような轍を踏んでしまっているのは単なる偶然か。

基本性能&ドライブフィール

スペックやパワー感は先代の延長線上

エンジンは形式名から排気量、ボア・ストまで先代と同一ながら、事実上の全面変更という2.4リッター直4・DOHCの「K24A」型。通常モデル(173ps/6000rpm、22.6kgm/4300rpm)に対して、アブソルート用は使用燃料をハイオクとして圧縮比を11.0にアップ。さらに吸排気系を多少イジッて、33psと1.1kgm増(先代アブソルートに対しては6ps増)の206ps/7000rpm、23.7kgm/4300rpmを発揮する。

車重は先代とほぼ同じで(むしろ同装備で比較すれば10~20kg軽量になったらしい)、アブソルート(FF)のカタログ値は1630kg、試乗車の車検証記載値で1640kgだ。パワーウエイトレシオはいずれも約8kg/psなので、加速感とかパワー感とかは先代と大差ない、と言ってもいいだろう。

新型ではDBW(ドライブバイワイヤー=電子制御スロットル)を採用しているが、発進時にアクセルをちょっと踏むだけで「ドン」と過敏に反応するところはホンダの伝統とも言うべきか。アクセルを踏み抜けばさすがにホンダらしく速いが、基本的にはピークパワーやサウンド云々を語るユニットではなく(少なくともホンダエンジンとしては)、低中速や燃費を重視した実用エンジンと言うべきだろう。

変速機は先代通り、通常モデルはCVT(もちろんトルコン付)、試乗したアブソルートは5ATとなる。この5ATはCVTかと思うほど変速が滑らかだが、これはすでに先代でもそうだった。

究極の磨きがかかったサスペンション

オデッセイ・アブソルートで光るのはむしろエンジンではなく足まわりだ。そんな傾向は先代アブソルートにもあったが、そのチューニングに磨きが掛かったのは間違いない。ただの磨きではなく、バフ掛けレベルだ。

先代の215/55R17から一回り太くされた225/45R18タイヤ、そして専用スプリング&ダンパーという足まわりだが、低速でもほとんどゴツゴツ感はなく、むしろ小刻みな凹凸をいなす微少なストローク感が気持ちいい。高速道路では凹凸や段差に合わせて、まさに「路面に吸い付く」ように足がしなやかに伸び縮みする。柔らかめのスプリングにオーリンズやビルシュタインで街乗りベストのセッティングをした感じと言えば大げさか。玄人好みであるのと同時に、おそらくクルマに興味のない人が乗っても体感できると思う。

電パワは新開発の「モーションアダプティブEPS」

先代では操舵感にこだわって油圧式とされたパワーステアリングだが、もともと電動パワステの採用には積極的だったホンダゆえ、今回の4代目からはついに電動式へ変更。「油圧にしては軽いな」という以外、その操舵感に電動っぽさはないが、満を侍したのはそのためだけではなく、全車でVSA(いわゆるESP)と協調制御して挙動安定方向にアシストを調整する「モーションアダプティブEPS」となっているのがポイントだ。

これはトヨタでいうところの「S-VSC」のようなもので、その介入もS-VSC同様に微妙であり、あからさまに体感はできないが、某社の開発スタッフは以前「ステアリング制御は(操縦安定性確保に)ものすごく効く」と言っていたから、やはり通常領域からいざという時まで、効く時は効くのだろう。

ステーションワゴンレベルの高速快適性。試乗燃費は8km/L台

100km/h巡航は、5速トップでちょうど2000回転。パワーは十分なので、交通の流れに乗る分にはキックダウンやシフトダウンは不要だ。またマニュアルモード(Sモード)のほか、アブソルートではパドル操作でのマニュアルシフトができる。

速度計の上限域でも走行安定性はまったく不安はない。静粛性についても、多少の風切り音やロードノイズは入ってくるが、音・振で不利なステーションワゴン、もとい「ミニバン」タイプのボディとしては、最上の部類だろう。そもそも、そういった速度域で楽々巡航できるという事実に圧倒される。この点でライバル車を挙げるとするなら普通のミニバンではなく、スバルのレガシィ・ツーリングワゴンかエクシーガあたりだろう。

今回はトータルで約190kmほど試乗。参考までに試乗燃費はいつもの一般道・高速の混じった区間(約90km)で8.1km/L。高速での移動がさらに多かった190kmトータル(撮影時の移動を除く)では8.4km/Lとなった。

なおアブソルート(FF)の10・15モード燃費は11.4km/L。JC08モード燃費は11.0km/L。ただしアブソルートの指定燃料は前述の通りハイオクだ。

ここがイイ

足まわり、視界など

開発コンセプトである「感性クオリティ」を想起させる足まわりのチューニング。過剰すぎないパワー感と相まって、今更ながらミニバンの類とはとても思えない素晴らしい走りが楽しめる。

Aピラーがすごく細くなって、リアルな視界が一気に広がった。また「マルチビューカメラシステム」でバーチャルな視界も広がった。「よく見える」のは素晴らしいこと。

低いところに伸び伸びと広がった、オデッセイ独特のセカンドシート空間。ミニバンでもセダンでもなく、新手のハードトップ風リムジンといった感じ。

デザイン的には一番後方のサイドウインドウ後端を跳ね上げたこと。マークXジオではやらなかった(できなかった)デザイン処理を成し遂げて、ずいぶん個性的になった。

ここがダメ

フレキシブルじゃないボード

言うまでもなく、荷室床下の「フレキシブルラゲッジボード」。不要なら外してしまうか、そのまま放っておけばいい、という判断で(あるいは判断をユーザーに委ねて)採用したのだろうが、もっと単純な機能で良かったと思う。また先代にあったサードシートの電動格納機能も無くなってしまった。先代で装着率が低かったことが直接の理由だろうが、いよいよサードシートを使うことが少ないクルマになったということか。

一部のホンダ車に乗る度に思う、アクセル踏みはじめの過敏な反応。そうしたホンダばかりに乗っているとこれが普通と思えてしまうが、一般他車からすればイレギュラーなセッティングと思う。どうも意図的にこうしてあるようだが、本当にいいと思ってやっているのかどうか真意を問いたいところ。

ダメというほどでもないが、HDDインターナビのプログレッシブコマンダーはタッチパネルより少々慣れが必要であり、また大きな日本語表示がされた周辺スイッチの家電的安っぽさも気になるところ。TVがフルセグではなく、ワンセグというのもどうなのだろう。地図は道路こそ最新のようだが(インターナビで更新もできる)、拡大すると見える詳細施設情報はかなり古い。ネットで詳細な地図を見ることに慣れた昨今、これはちょっと気になる。

売りであるグランドビュー(真上から見た画面)は、チラ見をするには確かに便利だが、これだけを頼りに車庫入れをすると事故が起きそうだ。車庫入れこそ、人間が五感と全身を働かせてクルマを動かす作業としては最後の砦かも。ここをクルマ任せにできるほどの装置とはまだ言えないし、見えない部分が確認できるという、あくまでフォロー的な装置であることをドライバーに向けて強調すべきだろう。

総合評価

乗用車ライクなミニバンから流行の乗り物へ


ホンダ・初代オデッセイ(1994年)
(photo:本田技研工業)

私事で恐縮だが、初代オデッセイが出た当時はミニバンが必要な家族構成だった。ホンダから借りた試乗車に、祖父母や子供を乗せてドライブに出かけたら、皆にとても喜ばれたもの。その頃はワンボックスタイプのミニバンがまだまだ主流だったから、多人数が乗れるのに乗用車ライクな乗り味でもあることに感心した。

2代目に試乗したときにはその走りに驚かされた。広くてゆったり、のんびり走るのがミニバンの生き方ではと思ったものの、一家に一台の場合、走りも楽しめるという事実はお父さん達に相当に訴求したようで、2代目も爆発的に売れた。これでオデッセイは走り屋お父さんのミニバン、男のミニバンというイメージで定着していったわけだ。ただしミニバンなのにこんなに走っていいのか、とその頃すでに思ったことも事実だ。

3代目に至っては走りばかりに話題が集中し、ファミリーな雰囲気は消えて、ミニバンこそ若者のクルマという世相にもフィットして人気を獲得した。怖い顔がちょっぴりヤンキーぽい雰囲気で、地方在住の若者にとってはステイタス車的な地位を獲得したともいえる。つまりオデッセイは3代目ですでにミニバンという立ち位置ではなく「流行の乗り物」になっていた。

元々作りたかったものを実現させた

今回の4代目はその流れをさらに推し進めたものと言えるだろう。流行の乗り物から多人数が乗れる未来型の乗用車となり、もはやミニバンという古くさいものではなくなった。スタイリングも、まさに未来のクルマっぽい。同時にステーションワゴンの復活?とも見うけられる。乗用車ライクで、人も荷物もたくさん載るとなれば、それはステーションワゴンのこと。合理的なこのタイプのクルマは国産車では今やすっかり死滅寸前にあるが、実はオデッセイが密かに復活させたと言ってもいいのではないか。新型のサードシートに座ってみると、昔のステーションワゴンのサードシートのような感覚が確かにある。先代は「ミニバンが進化したもの」という感覚があったが、5年を経て登場した今回のモデルは、先代同様のコンセプトであるにもかかわらず、初めから「ミニバンではないもの」と感じるのだ。


ホンダ・アコードエアロデッキ(1985年)
(photo:本田技研工業)

実はホンダはこの手のクルマを昔から得意としてきた。アコードエアロデッキ、またかつてモーターデイズでイヤーカーだとまで言ったものの、まったく売れずに消えていったアヴァンシアなど。つまりはステーションワゴンのようで、そうでもなく、というクルマをホンダはちょくちょく出してきた。今回はオデッセイという名ではあるが、またそんなクルマを作ったように思えてならない。ミニバン開拓者であったホンダがすでにミニバンに興味をなくしたというより、元々作りたかったものを実現させただけ、ということなのでないか。これこそが乗用車の理想型、未来の乗用車の姿だと主張しているわけだ。コンセプト的にはマークXジオあたりも近いのだが。

マーケティングだけでクルマを作らない


ホンダ・アヴァンシア(1999年)
(photo:本田技研工業)

無用に幅広くなく、それでいて姿勢が低くてかっこよく、よく走って、たくさん乗れて、ハイテク満載で、全体に未来っぽい。ファミリーにはもっと広くて楽しいミニバン(ステップワゴンとか)があるし、でかくて広い豪華ミニバンだってあることを思うと、このクルマはミニバンではなくパーソナルカーだ。「3列シートのパーソナルカー」。それゆえ、ものすごく売れにくいクルマになってしまった。セダン、スポーツカー、ミニバンなどといった既存のジャンルに入らないクルマを、なかなか消費者は買おうとしない。それはこれまでの経験上ホンダ自身も分かっているので、イメージ的に売ろうとカッコいいCMを作ったのだろう。

ただ現実的には、CMのように生活感を感じさせないかっこいい人が乗るならスポーツカーの方がいいし、パーソナルカーとしてならもっと小さいクルマの方が今っぽい。かなり良好とはいえ、燃費だって絶対的にいいわけではない。先代までの勢いで当面は売れるが、販売が先細りになりそうな予感はやはりある。しかしやがて燃料電池車の時代になれば、この手のクルマが主力車種となるはずで、そのための礎として出しておこうというホンダの志は評価したいところだ。エアロデッキもアヴァンシアも、そしてこのオデッセイも、ロボットからジェット機までを作るホンダらしい先進性にあふれている。まあ、イイものというのは残念ながらなかなか世の中に理解されにくいもの。マーケティングだけでクルマを作らないホンダらしさが出た作品だと思う。

試乗車スペック
ホンダ オデッセイ アブソルート
(2.4リッター直4・5AT・FF・289万円)

●初年度登録:2008年10月●形式:DBA-RB3 ●全長4800mm×全幅1800mm×全高1545mm ●ホイールベース:2830mm ●最小回転半径:5.4m ●車重(車検証記載値):1640kg( 950+690 ) ●乗車定員:7名●エンジン型式:K24A ● 2354cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:87.0×99.0mm ●圧縮比:11.0 ● 206ps(151kW)/ 7000rpm、23.7kgm (232Nm)/ 4300rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L ●10・15モード燃費:11.4km/L ●JC08モード燃費:11.0km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 ダブルウィッシュボーン/後 ダブルウィッシュボーン ●タイヤ:225/45R18( Bridgestone Turanza ER370 )●試乗車価格:331万円( 含むオプション:Honda HDDインターナビシステム+プログレッシブコマンダー+6スピーカー+ETC 33万6000円、マルチビューカメラシステム 8万4000円)●試乗距離:約190km ●試乗日:2008年11月 ●車両協力:株式会社ホンダカーズ東海

 
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