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ホンダ オデッセイ アブソルート・EX新車試乗記(第718回)

Honda Odyssey Absolute EX

(2.4L 直4・CVT・358万5000円)

デビューから20周年!
国内で105万台を販売した
元祖FFミニバンは、
5代目でついに完成した!

2014年02月15日

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キャラクター&開発コンセプト

5代目はステップワゴンとプラットフォームを共有


新型ホンダ オデッセイ。10月31日に名古屋で開催された新車発表会にて

2013年10月31日に国内で発表、11月1日に発売された新型オデッセイは、1994年にデビューした初代から数えて5代目。ホンダ初のミニバンとなった初代オデッセイは、アコード用のFFプラットフォームを使うことで、低床フロア、広々した室内、優れた操縦性を実現して大ヒット。2003年に発売された3代目以降は全高を低くし、スポーティな走りやスタイリングをより重視する方向と進化していた。

しかし今回の新型は、これまでとは異なる方向にモデルチェンジ。まずプラットフォームを従来のアコード系からステップワゴンベースに変更。低床化をさらに推し進めながら、全高を一気に150mm高くし、ホイールベースを70mm伸ばしてエリシオンと同じ2900mmとした。

また、オデッセイの特徴でもあったリアのヒンジドアは今回から両側スライドドアに変更。また、7人乗り仕様には、背もたれの中折れ機能やオットマンを備えたセカンドシート「プレミアムクレードルシート」が採用されている。

2.4リッター直4+CVTを搭載。アブソルートでは直噴を採用

エンジンは全車2.4リッター直4の自然吸気だが、アブソルートには新開発の直噴エンジンを採用。変速機は今回から全車CVT(無段変速機)になった(先代も標準車はCVTだったが、4WD車やアブソルートは5ATだった)。ハイブリッドモデルは用意されていないが、目下「検討中」とされている。

生産はこれまで通り埼玉製作所(埼玉県狭山市)で、販売目標は先代と同じ月間4000台。発売後約1ヵ月での累計受注台数は、その3倍の1万2000台超とのこと。広告キャッチコピーは「美×力」。

 

初代オデッセイは当初は北米市場を主眼に開発され、ニューヨーク市ではタクシー(イエローキャブ)としても導入された

■過去のニュース【ホンダ オデッセイ関連】
ホンダ、新型オデッセイを発表 (2013年10月)

■過去の新車試乗記【ホンダ オデッセイ関連】
4代目ホンダ オデッセイ アブソルート (2008年11月)
3代目ホンダ オデッセイ アブソルート (2003年12月)
2代目ホンダ オデッセイ (1999年12月)
初代ホンダ オデッセイ (1994年11月)

 

価格帯&グレード展開

価格は249万~。アブソルートは295万円~

これまで通り、標準の「オデッセイ」と、精悍な内外装、高出力エンジン、専用サスペンションを備えた「オデッセイ アブソルート」を用意。エンジンはいずれも自然吸気の2.4リッター直4だが、前者はポート噴射で175ps、後者は直噴で190ps(4WDは185ps)を発揮する。どちらもレギュラーガソリン仕様。変速機は全車CVTだが、後者には7速マニュアルモードとパドルシフトを標準装備する。

駆動方式はFFのほか、オンディマンド式ながら電子制御化して低μ路での発進性能を向上させた改良型リアルタイム4WDを用意。乗車定員は7人乗り(2-2-3)と8人乗り(2-3-3)がある。

売れ筋はアブソルート


標準車の内装色は全車アイボリーになり、木目調パネルを装備。オプションでレザーも選択できる

グレードは「B」「G」「G・EX」「アブソルート」「アブソルート・EX」の5種類。価格は普通のオデッセイが249万円~、アブソルートが295万円~。

また、標準車にシティブレーキアクティブシステム(低速衝突軽減ブレーキ+誤発進抑制機能)、LEDヘッドライト、Honda インターナビ、16インチアルミホイール等を追加した上級グレード「G・EX」は336万円~。アブソルートにHonda インターナビ、電動シート(運転席のみ)、17インチアルミホイール等を標準装備した最上級グレード「アブソルート・EX」が358万5000円~。

あくまで初期受注だが、その内訳はアブソルートが87%と圧倒的で、そのうち51%をアブソルート・EXが占める。また、7人乗りは全体の73%を占める。

 

LEDヘッドライト(ロービーム)はアブソルート全車とG・EXに標準装備。

■B(FF/4WD)   249万円(8人乗り)/274万円(8人乗り)
■G(FF/4WD)   269万円(8人乗り)・281万9000円(7人乗り)/294万円(8人乗り)
■G・EX(FF/4WD)  336万円(7人乗り)/350万5000円(8人乗り)

■アブソルート(FF/4WD)    295万円(8人乗り)・315万4000円(7人乗り)/327万5000円(8人乗り)
アブソルート・EX(FF/4WD) 358万5000円(7人乗り)/373万円(8人乗り) ※今回の試乗車

 

パッケージング&スタイル

ついに両側スライドドアを採用


アブソルートには大開口メッキグリル、前後エアロバンパー、ドアロアガーニッシュを採用

新型で目を引くのは、大きなメッキグリルがある押し出し感の強い顔、そして両側スライドドアだろう。従来のヒンジドアは歴代オデッセイの特徴だったが、今やその廃止を惜しむ人はほとんどいないのでは。重量はスライドドアの方が重くなるが、ミニバンとしては進化と言っていいと思う。

「ソリッド ストリームライン(塊感のある流線型)」をテーマにしたスタイリングも、オデッセイらしく流麗にまとまっている。

背は150mmも高くなった


試乗車は18インチホイールを履くアブソルート・EX。タイヤは225/45R18

プラットフォームは現行ステップワゴンがベースだが、燃料タンクは薄型化され、ホンダお得意の「超低床プラットフォーム」をさらに追求。逆に全高は先代より150mm高くなったが、結果として初代(全高1645mm)の高さに戻ったとも言える。

また、ホイールベースも先代から70mm拡大され、新型オデッセイと入れ替わりで販売終了したエリシオンと同じ2900mmになった。今回のオデッセイは、国内ではエリシオンとの統合モデルでもある。

 
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転半径(m)
ホンダ ステップワゴン(2009~) 4690 1695 1815~1830 2855 5.3~5.6
先代(4代目)ホンダ オデッセイ(2008~2013) 4800 1800 1545~1565 2830 5.4
新型ホンダ オデッセイ(2013~) 4830 1800~1820 1685~1715 2900 5.4
トヨタ アルファード/ヴェルファイア(2008~) 4870~4885 1830~1840 1890~1900 2950 5.7~5.9
ホンダ エリシオン プレステージ(2007~2013) 4920 1845 1790~1810 2900 5.7~5.8
 

インテリア&ラゲッジスペース

タッチパネル式ナビを採用。ダッシュ造形はシンプルに


アブソルートの内装は黒木目調パネルをあしらったブラック基調。EXはHonda インターナビを標準装備

インパネデザインはホンダ車では久々にシンプル。工場オプションのインターナビがタッチパネル式になったため(フリックやピンチアウト操作も可能)、ナビ用ディスプレイは手が届きやすいダッシュ前面に配置されている。エアコン操作パネルも流行りのタッチ式になった。操作性はいまいち良くないが、慣れ次第か。

 

先代にも採用されていたオプションの「マルチビューカメラシステム」

歴代オデッセイ同様に、乗り込んでまず思うのはフロントウインドウの傾斜が強く、Aピラーが左右の視界を遮ること。これも慣れである程度カバーできるが、最初は少し戸惑う部分。上級のEXグレードには、日産のアラウンドビューモニターと同様の「マルチビューカメラシステム」をオプション設定。それとセットで、駐車時の運転操作をサポートする「Hondaスマートパーキングアシストシステム」も付いてくる。

 

小物入れに関してはセンターコンソールの「リフトアップトレー」が便利

リフトアップトレーを格納すれば、ウォークスルーがやりやすくなる

ステアリングスイッチでオーディオ、情報表示、クルーズコントロール等を操作可。アブソルートはパドルシフト付
 

プレミアムクレードルシートを採用。サードシートは3人掛けに


2列目のプレミアムクレードルシート。写真の最後端位置では、左右スライド機能でシートを中央に寄せる必要がある。EXグレードにはロールサンシェイドも装備

インテリアで最大の見どころは、7人乗り仕様のセカンドシート。キャプテンシートタイプの「プレミアムクレードルシート」には、前後740mmロングスライド機能、左右スライド機能、背もたれの中折れ機能(上半分を少し起こすことができる)、そしてオットマンも備えている。ただ、レバーが一つの座席に5つも付いているので、覚えるまではどのレバーがどの操作なのか分かりにくい。

サードシートはオデッセイ伝統の床下収納式、従来モデルは2人掛けだったが、新型では現行ステップワゴン譲りの3人掛けを採用。見た目こそ平板だが、座り心地は中央席も含めて良好。

 

3人掛けになった3列目。3分割でのリクライニングも可能で、座り心地は良好。見晴らしもいい

セカンドシートを左右に離せばセンターウォークスルーが可能。室内高は先代より105mm増えて1325mm(FF)。ちなみに現行ステップワゴンの室内高は1395mm

試乗車は運転席パワーシート装着車。セダン的なドラポジが何となくホンダ車らしい
 

サードシート使用時の荷室。全車スペアレスで、パンク修理キットを搭載する

サードシート格納時。バネが入っているので操作に力やコツは不要

セカンドシートを一番前に寄せた状態。7人乗りのセカンドシートはこれ以上畳めない。8人乗りのベンチシートは背もたれを前に倒せる
 

基本性能&ドライブフィール

アブソルートは直噴エンジンとCVTを新搭載


自然吸気2.4リッター(2356cc)直4は、アブソルートのみ直噴化。レギュラーガソリン仕様ながら、FF仕様で190psを発揮する

試乗したのは、装備満載のアブソルート・EX(車両本体で358万5000円)。エンジンは先代用ユニット(K24A)の発展型となる2.4リッター直4・DOHC i-VTEC(K24W)。普通のオデッセイ用(175ps)は一般的なポート噴射だが、アブソルート用(FF車は190ps)は直噴化されている。

エンジンは直噴、ミッションがCVTということもあってか、高回転まで引っ張った時のザラッとしたノイズは気になるものの、動力性能に不満はない。先代アブソルートはプレミアムガソリン仕様で206psだったが、新型はレギュラーに変更。パワーは下がったが、実際のユーザーにはありがたい部分だろう。

 

CVTは、フィールやノイズ面に限って言えば、先代の5ATとどっちがいいかというと微妙だが、エンジンの中低速トルクが十分にあるため、加速時のスリップ感といったCVT独特のネガは、そんなに気にならない。DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)とCVTの協調制御「G-design Shift」も効いている感じ。ただ、高回転ではやはりパワートレインが少々ノイジー。CVTの7速マニュアルモードも、かえってフリクション感が強まるのが気になった。

スポーティさが優先された足回り


アブソルート・EX(FF車)は225/45R18タイヤ(トーヨ-のトランパス)を標準で履く

舗装のいいワインディングでは、滑らかでしっかりした走りが楽しめる。ミニバンにありがちなロール感はなく、ステアリング操作に対する反応もいい。新開発のザックス製「振動感応型ダンパー」(全車標準)は、振動の幅が小さい時には柔軟に、コーナリング時など大きな入力には高い減衰力を発揮するとのこと。このあたりは当然ながら、現行ミニバンで販売上位を占めるヴェルファイア/アルファード、セレナ、ステップワゴンなどと明確に違う部分。テストコースで煮詰めた感じが伝わってくる。ホンダとしては最も過激にスポーティを追求した3代目アブソルートの走りを意識したようだ。

一方で、アブソルートで評価が厳しくなるのは、専用サスペンションによる乗り心地。都市部の道路や高速道路など、舗装がいいところでは問題ないが、荒れた路面になると上下動が大きくなる。また、路面の荒れたコーナーでは、リアに跳ねるような動きも。実は先代までのオデッセイは前後ダブルウイッシュボーンだったが、新型のサスペションはステップワゴン譲りのフロントがストラット、リアがトーションビームという組み合わせ。しかも車重は前後スライドドアの採用やボディサイズの拡大などによって、上級グレード(電動スライドドアが標準になる)では200kg近く増している。

巡航時の静粛性については、少なくとも1列目では不満がなかった。高速道路では乗り心地もいいので、快適に巡航できる。回転計が液晶バーグラフ表示なので、正確な数字は分からなかったが、100km/h巡航時のエンジン回転数は1700~1800回転くらい。それゆえ長距離ドライブでは、オプションのACC(EXグレードのみ注文可能)が欲しいところ。

試乗燃費は8.5~11.5km/L。JC08モード燃費(アブソルート・FF・7人乗り)は13.6km/L


指定燃料は全車レギュラー。燃料タンク容量はFFが55リッター、4WDが50リッター

今回はトータルで約200kmを試乗。試乗燃費(車載燃費計)は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)で8.5km/L。また、一般道で大人しく走った区間(30km×2回)が11.2km/L、11.5km/Lだった。今回は気温が0度C前後と低く、アイドリングストップ機能はおそらくエンジン水温やヒーター優先のためだろう、作動しないことが多かった。ちなみに先代オデッセイに5年前に試乗した時の試乗燃費は8.1~8.9km/L。

JC08モード燃費は、アブソルートのFF車で13.6~14.0km/L。先代アブソルート(FF)は11.0km/Lだったので、車重が200kgも増えたのに、モード燃費は2割以上向上。しかも指定燃料はプレミアムからレギュラーに変更されている。

 

ここがイイ

超底床フロアによる大空間、乗降性の良さ、積載性の高さ。走り重視の独自性。燃費性能。シンプルなインパネデザイン

全長4.8メートル、全幅1.8メートル、室内高1325mmなどによる大空間を、贅沢に使った7人乗り仕様のパッケージング。プレミアムクレードルシートによって、並みのリムジンを上回るリアシート空間が300万円台で手に入るのは魅力的。また、サードシートの座り心地もまずまずだから、少なくとも6人が快適に過ごせて、センターウォークスルーで自由に前後を行き来できる。

後席ステップの地上高が約300mmと圧倒的に低く、乗降性も抜群にいい。足腰の弱った高齢者には喜ばれると思う。また、サードシートは従来通り床下収納で、室内高が高くなった上、低床のため荷室開口部の地上高も低いから、積載性もぐんと高まった。自転車なども積みやすくなったと思う。

販売主力のアブソルートは、ミニバンとしては異端というか、ニッチ向けの仕様だが、今や王道としてのミニバンは、ヴェルファイア/アルファード、ヴォクシー/ノア、セレナ、ステップワゴンなどで足りているわけで、対抗すべくオデッセイ自体はそれらとは違うクルマに仕上げられている。その独自性はホンダらしいもの。

現時点では直噴化以外、これといって特徴のないアブソルート用のエンジンだが(おそらくターボ化を見据えての直噴だと思う)、パワーは十分にあるし、車重が上級グレードで200kgも増えたのに燃費も悪くなっていない。併せて、レギュラー仕様とされたことも嬉しい部分。

タッチパネルを多用したインパネと、そのシンプルなデザイン。これまでのホンダ車の志向とは異なり、すっきりした運転席周りは好感が持てる。

ここがダメ

アブソルートの乗り心地。車両感覚のつかみにくさ。ハイビームがハロゲンになること

ミニバンの一般的な尺度で言えば、アブソルートの乗り心地はもう少し何とかしたかったところ。少なくとも試乗した18インチタイヤを履くアブソルート・EXの場合、高速道路や、よく整備された平滑な路面ならいいが、舗装の悪いところでは2列目以降から不満が出ると思う。

あと、乗っていると慣れてしまうが、左Aピラーによる死角や、長めのボンネット、1.8メートルの全幅などによる車両感覚のつかみにくさは気になるところ。最小回転半径は5.4メートルと小さく、小回りは効くが、狭い道では少し緊張感を覚える。このあたりは初代オデッセイから続く伝統とも言えるが。

あと、ロービームはLEDなので明るくていいが、それに対してハロゲンのハイビームは相対的に暗く感じられるし、色調も黄色っぽく見えてしまう。どうせならハイビームもLEDにして欲しかった。

上級グレードには、低速突軽減ブレーキ「シティブレーキアクティブシステム」を含む「あんしんパッケージ」が装備されるが、より高い速度域まで対応するミリ波レーダー方式の衝突軽減ブレーキ(CMBS)やACC(アダプティブクルーズコントロール)は、オプションになる(セットで7万3500円)。今後、このあたりの先進安全装備は急速に進化・普及すると思われるので、できれば標準装備にして値段を下げるという方向だと良かったと思う。

総合評価

背景には車種の統廃合

今度のオデッセイは5代目だ。ということで、奇数回のフルモデルチェンジで大きく変わるホンダ車、という原則を見事に踏襲した。ちょっと振り返ってみると、初代オデッセイはアコードをベースとした底床・ヒンジドアの6/7人乗りという当時としては画期的なコンセプトのミニバンだった。ホンダらしく走りにこだわり、当時としてはミニバンらしからぬ走りがひとつの売りで、大ヒットした。

2代目はヒット作の継承ということで、マイチェンとも見えそうなキープコンセプト。続く3代目は奇数回ということで、コンセプトを活かしながらも走りをより重視し、ミニバンというよりステーションワゴン(なにせ立体駐車場に入るのだから)とも言うべき斬新な乗り物となった。そして4代目は再びそのキープコンセプトだが、3代目ほど尖ったモデルではなく、そのマイルドさは今ひとつ多くの人にはウケなかったようだ。

 

ということで5代目は大胆に変えてきた。オデッセイとして走りは譲れないが、ユーティリティや車格はより向上させようというわけだ。その背景には、車種の統廃合がある。最上級ミニバンとなるエリシオンが廃止され、オデッセイがホンダの国内向け最上級ミニバンに位置づけられた。こうなるとオデッセイ一車種だけでヴェルファイア/アルファード、そしてさらにはエスティマをもライバルとしなくてはならない。日産のエルグランドや、価格的には輸入車のミニバンもライバルになる。高級感や広さ、ブランドで勝負し、むろん走りでも勝とうというのが、新型オデッセイの狙いだ。しかも価格的な優位性も保つ必要があり、昨今、多大なコストをかけるわけにもいかない。そこで初代がアコードをベースに作られたように、ステップワゴンをベースにすることで、相当なコスト削減を果たしている。こういう事情で足回りなどは先代よりぐっとシンプルかつ低コストになった。

ということで、背は高く、一方で底床は徹底され、広い室内空間と低重心を確保。室内空間はまさにミニバンと言うべき広大なものになった。そして走りの方も、まあふつうに飛ばす分には不満など出ないレベルがキープされている。3代目から4代目に引き継がれたプログレッシブコマンダーを中心とした斬新なインパネはなくなり、ごくシンプルなインパネと操作系(タッチパネル類は新しい)になり、これなら誰もが違和感なく買えるという、ある意味保守的なものとなった。そして、2列目のプレミアムクレードルシートなど誰もが喜ぶ装備も得て、ライバルに対抗する。実際、このシートは大柄な人向けと思えるヴェルファイアのものより、よく体に馴染んだ。ヴェルファイアのオッサンぽさが嫌な人には、ついに選択肢ができたと喜ばれるだろう。

パッケージングと走りのベストミックス

いわゆるワンボックス時代から、かれこれ20年以上は「ミニバン」のある暮らしをしてきたが、やはりこんな便利なものはない、と思う。同じ全長と全幅のクルマなら、天地も広いミニバンこそ多人数・多荷物を運べる理想的な乗り物だ、と今でも思う。クルマは広いに越したことはない。ただ、それゆえ出てくるネガにどう対応するか。中でも燃費、操安というあたりは大きな課題だが、それらを解決しようとするのがこれまでミニバンが辿ってきた進化と言ってもいいだろう。燃費に関しては今のところハイブリッド車が解決に当たり、操安に関しては早くからオデッセイが取り組んできた。ただ、そのオデッセイもスポーティな走りと十二分な広さを両立させることが無理だったのは事実。それをとうとう実現したのが今回の新型と言えるのではないか。

試乗時には、いつものワインディングには雪が残っており、思う存分走るわけにはいかなかったが、それでもこんなに大きな室内空間を持つミニバンなら、これくらい走ればもう十分でしょう、という感覚にはなった。ミニバンでもスポーツカー並み、はまあ理想だが、ミニバン黎明期(20年くらい前)にこのクルマがあったら、まさにスポーツカー並みに走るミニバンだと思ったかもしれない。サンデードライバー的には新型オデッセイのこの性能で、もはや十二分なのでは。本文にあるように、2列目以降の乗り心地という肝心な部分と走りの両立が高いレベルで出来たとはちょっと言いづらいところだが、乗り心地を最も重視するのであれば、このクルマを選ぶ必要はない。ミニバンらしいパッケージングとオデッセイらしい走りのベストミックスが今回のオデッセイだと思う。

また、日常的に使うミニバンとして、いいなあと思ったことを列挙してみよう。まず、センタコンソールのリフトアップトレー。ここにはスマホが置け、その前にあるUSB端子で充電ができる。初めてスマホ置き場を持ったクルマではないか。これは可動式なので、引っ込めれば運転席から後席へウォークスルーがしやすい。室内確認用の広角ミラーが引き継がれているのも評価できるし、それが眼鏡ボックスと一緒になってるのもいい。ここにはサングラスを使わない人でも老眼鏡が置いておけるw。マルチビューカメラも、こういうクルマの場合、やはりあれば便利だ。ただ、カメラ画像に気を取られる可能性がないとも言えないのが難しいところだが。そしてプログレッシブコマンダーが消えた代わりに、スマホライクな操作ができるようになった純正ナビ。タッチパネルは嫌いだと言い続けてきたが、もはやこちらがデフォルトになりつつあるのを受け入れるしかないだろう。もうひとつ、燃費は重量増加から考えると悪くなるはずだが、これを少なくとも先代並みにキープし、ガソリンのレギュラー化で実質的に維持費を下げたのは素晴らしいと思う。

 

先代はステーションワゴン的だったが、今回は明らかに「ミニバン」を目指した。ということで、目下売れているのはアブソルートのようだが、標準モデルの方が快適で豊かな生活の道具となる「高級ミニバン」としてはチョウドイイのかもしれない。巨大でメッキギラギラのグリルにするのが国産ミニバンの主流であり、アブソルートもその路線だが、ノーマルモデルではおしとやかなグリルが好ましく映る。おそらく乗り心地もアブソルートよりいいだろう。となるとプレミアムクレードルシートを搭載したG・EX(336万円・エコカー減税100%対象)を所有した上で、やがて出るS660をもう1台買うというのが、理想のホンダライフかも。そういえばホンダ ビートが登場する直前(1990年頃)にはエスティマとビートが理想のカーライフと思っていたもの。クルマは進化したが、人は進化してないかw

 

試乗車スペック
ホンダ オデッセイ アブソルート・EX (7人乗り)
(2.4L 直4・CVT・FF・358万5000円)

●初年度登録:2013年10月●形式:DBA-RC1 ●全長4830mm×全幅1820mm×全高1685mm ●ホイールベース:2900mm ●最小回転半径:5.4m ●車重(車検証記載値):1830kg(1000+830) ●乗車定員:7名

●エンジン型式:K24W ●排気量・エンジン種類:2356cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:87.0×99.1mm ●圧縮比:11.1 ●最高出力:140kW(190ps)/6400rpm ●最大トルク:237Nm (24.2kgm)/4000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/55L ●JC08モード燃費:13.6km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイルスプリング/後 車軸式+コイルスプリング ●タイヤ:225/45R18(Toyo Tranpath R30)

●試乗車価格(概算):-円 (含むオプション:マルチビューカメラシステム+Honda スマートパーキング アシストシステム 7万3500円、特別塗装色 4万2000円、リアエンターテイメントシステム -円) ●ボディカラー:ホワイトオーキッドパール ●試乗距離:約200km

●試乗日:2014年2月 ●車両協力:ホンダカーズ東海

 
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