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オペル オメガワゴン新車試乗記(第126回)

Opel Omega Wagon CD

(2.5リッター・4AT・409万円)

2000年06月09日

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キャラクター&開発コンセプト

構成部品の3分の1以上を見直した、オペルのフラッグシップ

1994年から日本へ導入が開始されたオペルのフラッグシップがオメガだ(本国ドイツでのデビューは93年)。トップモデルといっても、メルセデスのSクラスなどとは違い、クラス的にはその下のアッパーミドルに属する。また、高級感や押しの強さも控え目で、むしろ清楚なたたずまいを見せる。

2000年モデルとして登場した今回のオメガは、約8000点の構成部品のうち約3000点、3分の1以上にもわたる大掛かりな改良を実施。一新されたフロントマスクをはじめ、各部のクオリティを大幅にアップし、高級感の向上を図っている。ボディタイプはセダンとワゴンで、駆動方式は縦置きFR。乗車定員は5名となる。

価格帯&グレード展開

399万~464万円と良心的な価格設定

日本仕様はセダンとワゴン、それぞれに2.5リッターV6の「CD」と、3.0リッターV6の「MV6」があり、合計4種類。価格はセダンが399万円と454万円。ワゴンがその10万円高だ。なお、従来あった2.0リッターモデルは本国では2.2リッターに格上げされたが、日本導入は見送られた。

「CD」と「MV6」の装備の差は、キセノンヘッドランプ、ヘッドランプウォッシャー、クルーズコントロール、車高自動調整装置など。デュアル&サイドエアバッグ、ABS、トラクションコントロールといった安全装備については全車標準となる。なお、本革シートと電動サンルーフはオプション。ハンドル位置は右で、「CD」のみ左も選択できる。

ライバルはベンツE240、BMW528、サーブ9-5、ボルボV70などだが、価格的にはオメガが圧倒的に優位な立場にいる。

パッケージング&スタイル

アクが抜けて、さらに平凡さが増した

セダンのボディサイズは全長4900mm×全幅1785mm×全高1450mm、ホイールベース2730mmと、バンパーデザインの変更により全長のみ110mm長くなっている。一方、ワゴンのボディサイズは全長と全幅はセダンと変わらないものの、ルーフレールにより全高が1545mm(+95mm)となる。

スタイリングで最も大きく変わったのが顔つきだ。ボンネットのVラインの強調、グリルとボンネットの一体化、ヘッドライトレンズのクリア化、樹脂類のボディ同色化などで品質感が増した。その反面、従来型のアクの強さが薄まり、平凡なイメージになってしまったのも確か。これも真面目で良心的なオペルの気質だと分かっていても、やはりフラッグシップとしての華やかさが欲しいところだ。

トップクラスの容量を誇るラゲッジ、やや中途半端な快適装備

室内もインパネデザインを中心に手が加えられている。メーターまわりとセンターパネルの一体化、オーディオの2DIN化、ステアリングデザインの変更など、いくぶん前モデルより洗練された。特にこれまで諸悪の根源? であったダイヤル式の空調コントロールがデジタル表示のボタン式となったのがいい。しかし、品質の安っぽさと全体的に地味な印象は払拭されるまでには至っていない。逆に艶消しの木目パネルとは妙にマッチしている。この押さえた高級感の演出は、好感が持てるところ。

シートはファブリック地で、本革はオプション。サイズがたっぷりしており、ホールド感にやや欠けるが、ポジション的には問題なく、座り心地は良い。シート調整は高さが電動。でも、スライドはなぜか手動となる。

車体の中心をプロペラシャフトが貫通するために後席中央の足元こそ狭いが、それを除けば、文句の付けようがない広さだ。今回から新たにむち打ち症を抑止する前席アクティブヘッドレストが装備されたこともニュースのひとつだ。

気になったのは小物入れが少ないこと。カップホルダーはあることはあるのだが、コンソール部に1名分だけ設置されているだけで、それもアームレストを使うと機能を果たさない。また、ナビの取付にも困るところ。メータークラスターに収まっているモニターはナビ用ではなく、単に時刻や燃費を表示するだけのもの。ATポジションインジケーターすらない。

感心させられるのが、クラストップを謳う広大なラゲッジだ。ワゴンの容量は通常で540リッター。6:4分割可倒式の後席を畳めば(ヘッドレストは格納式となっているのでを取り外す必要はない)、最大1800リッターを確保する。これは先頃、新型となったばかりのボルボV70を150リッター以上も上回る広さ。さらに前方フラット可倒式の助手席を活用すれば、約2900mmのロングサイズの荷物も収納可能だ。広さだけでなく使い勝手もいい。特にフロアに埋め込まれているレールは、重い荷物を出し入れするときに便利な装備であり、フロアの痛みも防いでくれる。日本車は荷物を載せないことが前提のワゴンが多いため、いつになってもこれが装備されない。

基本性能&ドライブフィール

2つのエコテックV6を搭載

エンジンはECOTEC(エコテック)と呼ばれる、高効率、小型軽量、低公害を同時に追求したV6ユニット。2.5リッターと3.0リッターとがあり、組み合わせられるギアボックスは、走行状況に合わせて3つのモード(エコノミー/スポーツ/スノー)が選択できる4速ATを採用する。最高出力/最大トルクは2.5リッターが170ps/23.1kgm、3.0 リッターが211ps/27.5kgm。今回、これらエンジンに関しては基本的には従来型からの変更はなく、ブレーキ、サスペンションなどの足回りを中心に改良が施されている。

穏やかな加速、マイルドな乗り心地

試乗したのは2.5のワゴン。パンチこそないものの、低速域でのトルクが充実しているから、加速に不満はない。1720kgという重い車重を考えれば上々だ。アクセルを奥まで踏んでもラフにパワーが出るのではなく、あくまで穏やかでフラットな加速を見せる点も、アッパーミドルクラスに相応しい。

他のドイツ車勢とは一線を画すのが、乗り心地だ。ドイツ車というと硬めというのが通説だが、オメガはいたってマイルド。それはハンドリングにも反映されており、ステアリングは軽く、車両は穏やに反応する。どちらといえば日本車的。コーナーではタイヤの鳴きも早めで、ロールも大きめ。挙動の乱れをいち早く察知できることを考えれば、FRというクルマの性格上、むしろの正しいセッティングといっていいだろう。全体のバランスがいいので、自然体で運転することができる。不快な突き上げもなく、静粛性も問題ない。それでいて高速の安定性も優れているのだから文句はないだろう。

ドイツ車らしさや、スポーティーな走りを望む人にとっては何の面白味もないように思われても仕方ないところだが、違和感がないゆえに、より万人に好まれることも確か。剛性感がやや欠ける(一応、ボディ剛性は高められているらしい)ことを除けば、スムーズな走り自体は同クラスのメルセデスやBMWに対してとくに劣るわけでもない。

最小回転半径は、同じFRを採用するベンツE240ワゴンと比べれば0.1mほど負けるが、それでも5.3mと見た目に反した小回り性能をみせる(ちなみにボルボV70はFFのため5.6~6.1m)。10・15モード燃費は、ベンツE240とボルボV70・2.4Tが 9.2km/Lなのに対して、オメガの2.5リッターモデルは9.9km/Lと圧勝。

ここがイイ

居住性の広さ。特にラゲッジ容量。
良心的な価格設定。

ここがダメ

同クラスの輸入車と比べてもかくべつ劣るわけでもないのに、日本ではそれが認知されていない。それは真面目で正直すぎるがゆえ。やはりフラッグシップとしての華は必要だと思う。

総合評価

知っての通り、オペルはドイツにあるメーカーでありながら、アメリカ(GM)に支配されているメーカーだ。それゆえに内外装のデザイン、品質、そして走り、全てにわたって、ドイツ車というより、どこか無国籍なイメージに仕上がっている。誰にでも受け入れられる要素を持つのだが、逆にそれが没個性となり、何の特徴もない平凡なイメージのクルマになっている。走りも同様で、速いとか、ハンドリングがいいとか、乗り心地がいいとか、そういうものが特にあるわけでもない。かといって大きな欠点も見あたらない。

マイナーチェンジによって、唯一の個性ともいえた独自のグリルまわりの造形が消え、ますます特徴がなくなった。とはいえ良心的な価格と優れたパッケージング、これがオメガの最大の美点ではある。これ見よがしの見栄をはらずに、サラリと輸入車に乗りたい人にとっては最適なクルマだ。まあ、そういう人が多いとは思えないので、それなりに数が少ないゆえの希少価値もある。アンチベンツ、アンチBMW派の選択肢だ。

公式サイト http://www.opel.co.jp/models/omega/index.html

 
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