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新車試乗記 第128回 トヨタ オーパ Toyota Opa

 

日時: 2000年06月23日

 

キャラクター&開発コンセプト

不振のナディアに続く、トヨタが提案する次世代ミディアム車

オーパはトヨタ曰く「“斬新なスタイル”を追求するとともに、“ミニバンのキャビンスペースと多機能性”と“高級サルーン”をクロスオーバーさせ創造した、スタイリッシュ&ルーミーを特徴とする次世代ミディアム車」。すなわち、ミニバンとセダンを融合させた5ナンバーサイズの新ジャンルカーとされる。

そのコンセプトとスタイルから、ナディアの兄弟車か、と思われそうだが、さにあらず。両者の決定的な違いはベース車両にある。ナディアのベースとなったのはイプサムで、開発はトヨタのRV部門である第3開発センターが担当。一方、オーパのベースはビスタで、FF部門である第2開発センターが担当している。つまり同じ次世代乗用車を謳っていても、ミニバン派生型セダンがナディアで、セダン派生ミニバンがオーパという展開なのである。まぁ、いずれにせよ、なんだかよく分からないクルマだが、実際、トヨタ自身もよく分かってないようなフシがある(でも出してしまうのが最近のトヨタのすごいところ)。トヨタの余裕が生み出した提案型の車両といえるだろう。

エンジンは1.8リッターと、2リッターの直噴D-4の2種類。後者にはトヨタ初となるベルト式無段変速機「Super CVT」が組み合わせられる。

価格帯&グレード展開

待望のCVTモデルは8月発売予定。価格帯は1.8リッターが175.0~222.0万円、2リッターが189.0~218.0万円

エンジンラインナップは1.8リッター+4速ATと、2.0リッター+CVTの2種類で、FFの他、前者には4WDを用意する。グレードはそれぞれ、標準仕様の「a」と、上級装備が盛り込まれた「i」の2種類。さらに「a」には市場要求の高い装備を厳選し、パッケージ化した「Lパッケージ」(8.5万円高)を設定。2リッターの「i」には6速ステアシフトマチックをはじめアルミホイールやフォグランプなどのスポーティなアイテムをセットにした「Sパッケージ」(4万円高)も設定される。

余談だがカタログでは「a」が「@」と表記されており、IT時代を意識したユーモア? が感じられるものとなっている。

ターゲットは20代から30代のカップル。価格とパッケージングからして、オーパのライバルとなるのはトヨタ・ナディアと日産・ティーノと考えるのが妥当な線だろう。

オーパとナディアを比べると価格帯もほぼ同じ。しかし、同じ直噴2.0リットルエンジンを搭載。といっても、ナディアのは旧世代のもの。ギアボックスもオーパはCVTだ。値引きを考慮しなければ、オーパのほうが訴求力はある。なお、オーパの月販目標台数は4000台。ナディアは月1000台ほどしか売れていないというのに、強気な姿勢を見せている

パッケージング&スタイル

なんとなく未来的、(セダン+ワゴン+ミニバン)÷3=快適パッケージ

ボディサイズは全長4250mm×全幅1695×全高1525mm。ホイールベースはベースとなったアルデオと同じ2700mm。全長はカローラよりも短く、全高はミニバンボディを持つクルマとしては極めて低く立体駐車場にほぼ100%の確率で入庫可能だ。

ソリッド感の強いシャープなラインで描かれた外観デザインでまず目を引くのがリアピラーの存在だ。太くたくましく、ゴルフⅣとオーバーラップする。縦型のテールランプ(下部が狭い奇抜なデザイン)といい、下端をVグラフィックにしたバックウインドウといい、どこかで見たようなものが寄せ集まったデザインにも思えるが、全体としては確かにオリジナリティがある。好き嫌いは別の問題だが、とにかくオリジナリティにこだわりまくる最近のトヨタの姿勢は評価できるところ。

室内空間はコンパクトな外観からは想像もできないほど広い。この文句も今や当たり前のように使われるようになってきたが、オーパはキャブフォワード&ロングホイール化をさらに推し進めることで、これまでにない画期的な広さを創出している。その一例が、室内長だ。オーパは全長がナディアよりも200mmも短いのにも関わらず、室内長は逆に200mmも長い2025mmを確保。加えて、ヒップポイントを地上から600mmに設定して、乗降性と視界の良さを両立させている。

前席と後席の配色が違う、”ふたり”を引き立てる粋な演出

左右のウォークスルーに、後席のミニバン的なアレンジは、回転対面がないことを除けば、基本的にナディアと同様のものだ。リクライニング、スライドの他、5:5分割の座面部をクルッと180度裏返せば最長1.7mのフラットなラゲッジが作れる。

また、オーパは前席2人の空間を引き立てるために、前席には明るいカラーを、後席には暗いカラーが施されている。後席に快適な空間を与えながらも、前席だけに気を配るのは、何となく矛盾しているように思えるが、2名乗車を想定した場合、ワゴン的な使い方ができるという発想は目新しいものだ。とにかく前後で色が違うシートというのは今までにない試みでおもしろい。セダン、ミニバン、ワゴンとまさに一台3役をこなせるマルチなクルマといえよう。

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インパネは今やトヨタのお家芸「センターメーター」を採用した近未来的なもの。一見、ナディアと通じるものがあるが、全くの別物。ナディアではインジケーター類をステアリングの前方に配置していたが、オーパではセンターメーター内に全て納めている。オーディオ&エアコンの操作系を、さらに上方に移行するなど、使い勝手の向上に励んだようだ。しかし、ストレートに伸びたコラム式のシフトレバーはあまりにも使い勝手が悪い。左90度よりかなり上の位置にDレンジがあり、Dなのか、Rなのかわかりにくい。Dにしたときのレバーがセンターメーターへの視界を妨げないという策だろうが、他のコラムシフト車と位置があまりに違いすぎ使いにくいこと著しい。改善を望む。

もうひとつ目新しい装備といえば、運転席側のインパネ上に設置されたフタ付きトレイだろう(世界初? )。車検証入れがその目的のようだが、変なモノを入れられた場合、衝突の際の安全性に問題はないのか、興味をそそられる装備である。

基本性能&ドライブフィール

遂にベールを脱いだトヨタ初のCVT。でも8月まではおあずけ

搭載されるエンジンは2種類。まず、新型RAV4で一足先にデビューした新開発のガソリン直噴ユニット、1AZ-FSE(2リッター直4)は、最高出力、最大トルクはRAV4を上回る152PS/6000rpm、20.4kgm/4000rpmを発生。もう一つの1.8リッター直4は、136PS/6000rpm、16.4kgm/4200rpm(4WDは125PS、16.4kgm)を発生する。

最大の注目点は2リッターユニットに組み合わせられる、トヨタ初となるスーパーCVT(自社製)だ。基本構造は日産のハイパーCVTと同じで、金属ベルト+プーリーにとトルクコンバーターを組み合わせたもの。また変速レンジを2.396~0.428とトルコンATよりもワイドに設定し、最終ギア比を5.182と低く設定する考えも、従来のCVTと同じだ。

コラムシフトの先端スイッチでスポーツモードが選択できるほか、「i-Sパッケージ」には、前進6速レンジのシフトチェンジが可能なシフトマチックが奢られる。

気になる10・15モード燃費は17.8km/lと、同じ直噴(型式は3S-FSE)となるナディアの14.2km/lを大きく凌ぎ、明らかに世代の違いを感じさせてくれる。しかし、トヨタの説明によれば、仮にトルコン4ATを搭載したとしても燃費の差はほとんどないらしい。それだけトヨタのATは優秀ということのようだ。CVTがよそに有ってうちに無いのがイヤ、ということで作ってしまった? らしい。

1.8の乗り味はほぼビスタ。ミニバンの感覚ではないが、取り立てて楽しいものでもない

試乗したのは1.8リッター、FFの「Lパッケージ」。スピードの出方、ステアリングの操舵感など、全体の味付けとしては基本的にマイルド。ホイールベースが長いこともあり、乗り心地も落ち着いており、段差を乗り越えたときの突き上げに悩まされることはない。メーカーの説明によると、オーパはアルデオと共用するプラットフォームをさらに補強し剛性を上げた、とのこと。しかし、実際に運転している限りでは、何となくフニャフニャした感じを受けるのも確か。際だって速くもなければ、遅くもなく、一般的な使い方をしていればフツーのセダン同様の走りをしてくれるとはいえ、もう少ししっかり感や走りを実感できるような手応えが欲しいところだ。

気になったのは静粛性と車両の取り回しだ。まず、静粛性に関していえば、21世紀に向けてトヨタが放つ新作のわりには、少々うるさい(ビスタもそう感じた)。3000回転ぐらいまでの常用域では、さほど気にならないものの、追い抜きなどでの再加速をすると、そうとう騒がしくなる。これでパワーがモリモリあれば我慢もできるが、ヌルーっと加速するので不満が残る。

そして取り回し。案の定、太いDピラーによる後方死角は決して小さくはない。前方も同じで、インパネの奥行きが広すぎて見切りが悪いので手探り状態になる。一応、三角窓になっているものの、2本のピラーが右斜め前の視界をかなり遮る感じ。特に雨の日は水滴が付いて見にくかった。

ここがイイ

コンセプトカーそのもののスタイルが示すとおり、実験車に近い強烈な個性を持っていること。嫌われることを恐れず、個性的な商品にしてしまう最近のトヨタの姿勢には鬼気迫るものがある。

しかしよく見ればこのクルマ、乗用車の理想に近い高効率なパッケージングといい、程々の走りや好燃費、そして全体に漂う未来感など、これからのクルマのあり方に対してたいへん意欲的な提案がなされていることは評価できるところ。広さや使い勝手などでは、いわゆるセダンなど足元にも及ばないわけで、手塚治虫などが想像していた未来カーに近いものだと思う。鉄腕アトムにはこんなクルマがでていたように思うのだが、気のせい?

虚像式センターメーターがずいぶん見やすくなったのは○。

ここがダメ

重複するが、コラムシフトポジションはとにかくわかりにくい。普通のコラムシフト車のRの位置あたりがDなので、バックしようと後ろを向いてレバーを操作したら前に動きだし、危うくぶつけるところだった。慣れの問題かもしれないが、最後まで違和感があった。いっそボタン式にでもしてしまえば、と思う。

総合評価

新しい提案があるもの、人が驚くもの(オーパは驚きという意味)を作ってしまうトヨタ。最近のトヨタ車はパイクカー連発で、それだけトヨタに余裕がある、あるいは逆に将来への危機感が強いことの現れだろう。「クルマが未来になっていく」というコピーはまさにその通り。他社との格差はますます広がっている。

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しかし翻って、クルマに対する保守層にとっては全くわからないクルマの代表がこのオーパだろう。「クルマはクラウンしか乗らない」という人とか、逆に「クルマとはかくあるべきという信念を持つエンスーな人々」とかには、オーパは許せないクルマだと思う。しかし、賛否両論、議論沸騰というクルマがでてくるのは悪いことではない。トヨタとしては4000台も売れなくても、こういうクルマを好んで買ってくれる人が1000人もいればそれはそれで成功だと思っているだろう。その1000人の多くは、トヨタ車以外からの乗り換えのはずだから。

 

公式サイトhttp://toyota.jp/

 
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