キャラクター&開発コンセプト
ビスタベースのポストセダン
オーパは次世代乗用車として'00年5月に登場。玄人筋から高い評価を受けたビスタ&ビスタ・アルデオがベースだ。トヨタ・デザインが一気にバリエーションを増やし始めた頃を象徴する一台。2列シートながらミニバン風の空間を持つ「ステーションワゴン以上、ミニバン未満」。異なるジャンルの良いトコ取りをした「クロスオーバー」車である。トヨタ初のCVT搭載車ということでも話題となった。
今年6月10日に受けたマイチェンで、インテリアの一部を変更、装備を充実させた上で価格を引き下げた。エンジンは従来通りと2リッター直噴D-4と1.8リッターの2種類。前者がCVTとセットになるのは変わらない。
販売目標台数はデビュー当初の4,000台からマイチェン後は少し控えめに2,500台/月。しかしここ半年ほど実売は1,000台前後/月に落ちていた。マイチェンで一気に2.5倍の数字まで戻す目論見だが、果たして。
価格帯&グレード展開
価格の下がった1.8リッター車がお勧め
価格は1.8リッターが159.8~202万円。2.0リッターが209~220.5万円。1.8リッターのみ22万円アップで4WDとなる。従来に比べボトムエンドが15~20万円ほど安くなるなど、1.8リッター車が「お値打ち」になったのがポイント。実質的に一部グレードを除いて、2~6%の引き下げになるとのこと。
販売主力はやはり価格の安い1.8リッター。価格やパッケージングから見るとライバルは意外にも? ホンダ・シビック(5ドア・1.5~1.7リッター。134.8~182.2万円)が近い。あるいは、幅・高さとも一回り大きい日産ティーノ(153~179.9万円。現在は1.8リッターのみ)。モデル末期だが1760mmの3ナンバー幅を生かした室内幅が特徴だ。デビュー当初からオーパのライバル車とされたが、元気のない頃の日産車として、結局パッとしないままなのはご承知のとおり。
新しいオーパのお勧めは「1.8@」の“Lパッケージ”(169.8万円~)。2.0リッターD-4エンジン+CVT車も惹かれるが、リアディスクブレーキ以外、装備的に選ぶところもなく値段も高め。予算に余裕があって「CVTが好き」とはっきり思える人向けだろう。トヨタとしては、「CVT車も一応あります」というのがマイチェン後のスタンスのようだ。
パッケージング&スタイル
デビュー時はユニークだったデザインも、2年で街に溶け込んだ?
全長4250mm×全幅1695×全高1525mm、WB2700mmは変わらない。コンパクトな全長、5ナンバー枠の全幅、セダンとミニバンの中間を行く全高、長いホイールベース。ある意味、最も使いやすいサイズ。
デザインは2年経ってもユニーク。2分割のAピラー、末広がりの極太リアピラー。逆に下すぼまりのテールランプ。奇抜といえば奇抜。でも時間が経っても新鮮さを失なわないディテールはスゴイ。ただしデビュー時から言えたことだが、ボディサイズが当たり前のため、クルマ全体にインパクトがないのが惜しい。逆に言えばそれをカバーするための特異なディテールかもしれない。実際、街中では結構見かけるのだが、一見しただけではあまり目立たないスタイルなのだ。よく見るとすごいデザインだが、普通に見る限りどうということもなく見えるわけで、アルデオのパイクカーというスタンスだが、WiLLシリーズほどの特異さはない。
ちなみに今回のマイチェンで変わったのはグリルやライト(ポジションランプのデュアル化など)ごくわずか。従来モデルのオーナーじゃないと判別は困難だろう。
セダン要らずの理想的パッケージング
室内は文句なしに広い。足元はスッキリしているし、傾斜したフロントガラスもはるか前方にあって、広々感を強く感じる。特に後席は足元、ヘッドルームとも「セルシオなんかもう要らない!」と言いたくなる圧倒的余裕。ミニバンのように地面から高い位置に座る違和感もなく、乗降性も抜群。使いやすいボディサイズも含めて、乗用車としておそらく最も理想的なパッケージングのクルマの一つだろう。
シートアレンジは従来通り。後席の6:4分割座面を180度裏返し、バックレストを倒せばフラットな荷室(奥行き1,700mm)の出来上がり。ヘッドレストを外すのと前席をスライド位置によっては前に出す必要があるのがやや面倒。しかしそうやって出来上がるフラットな荷室は全長4,250mmのクルマとは思えない広さだ(奥行き1700mm)。小柄な男性なら足を伸ばして寝ることが出来る! 見た目もすっきり。
宗旨替えしたインテリア。コラムシフトは相変わらず不自然
今回、インテリアが少々変わった。一番の変化はダッシュ上面の形状。ドアと同じ布張りのインパネ部が新鮮。また、従来モデルで特徴だった、前席に明るいカラー、後席ブラックアウトという変わった室内カラーリングは、今回普通のものに。以前のデザインは確かに意欲的だったが、「2名乗車時を重視した」と言うコンセプトが分かりにくかったのも事実。平凡さと引き換えに、難解さを解消した。
センターメーターは今回、横幅と文字の大きさを拡大し、オプティトロンをやめ普通のデジタル表示へ。しかし表示がやや煩雑で、バーグラフ状のタコメーター共々、瞬間的な読みとり性にはやや難あり。タコメーターを廃止できればすっきりしたと思うが、車格を考えると? 残さざるをえなかったか。
過去の試乗記('00年6月23日)でも指摘したシフトレバーの使い勝手が修正されていないのは少し残念。かなり高い位置にDがあり、普通のコラムシフトに比べて各モード位置が少しづつ上にずれている感じはこのクルマも同様。メーター視認性のため仕方がなかったのだろうが、やはり違和感があるのは事実だ。
また、ダッシュ上面のデザイン変更に伴い、運転席前の小物入れが廃止された。これも過去の試乗記で安全性に?を付けたが、やっぱり問題ありと判断されたか?
基本性能&ドライブフィール
デザイン負けする無個性な走り。ソツのなさはトヨタのセダン譲り
搭載するエンジンは従来通り2種。2.0リッター直噴D-4(1AZ-FSE。152PS/6000rpm、20.4kgm/4000rpm)と1.8リッター(1ZZ-FE。132PS/6000rpm、17.3kgm/4200rpm(4WDは125PS、16.4kgm)。
試乗車は販売主力の1.8リッター(1.8@“Lパッケージ”。169.8万円)。オプションは、6.5インチDVDナビ(22.6万円)とHIDヘッドランプ(4.5万円)、15インチアルミ(7.2万円)。計204.1万円。色はジェイド(翡翠)グリーンマイカメタリック。緑がかったグレーという、説明に困るビミョーな色である。
走り始めの感触はトヨタ車共通の滑るような滑らかさ。これには毎回感心してしまう。シフトショックも当然ないに等しいから、確かにCVTである必要はないだろう。スピードが上がると、他のトヨタ車セダン同様、可も不可もない走り。パワーも1.8リッターとして平均的。静粛性も特に優れてはいないが、文句をつけるほどでもない(前モデルより静かになっているのは確かだ)。乗り心地も同様。剛性向上のための補強材を何ヶ所か入れて、従来モデルより快適性アップ(特に後席)を図ったという。確かにボディのガッシリ感は感じられるようになった。
つまり、最新の1.8~2.0リッターコンパクトセダン並み。実際、ワインディングと言わず、ちょっとした曲がりでのフットワークはセダン並みに軽快。その気になればかなりのペースで走れる。そもそも今年デビューしたプレミオ/アリオンと、コンポーネンツの面でオーパは共通部分が多い。確かに、運転した感じは似ているようだ。
総じて「普通」というのがオーパの走りの印象。デザインがユニークなだけに、個性の薄い走りはやや物足りないが、その分気楽に安心して乗れる。良い意味で、家庭料理の味と雰囲気といったところ。カップルのためのデートカーという当初の若者向けコンセプトが薄れ、ファミリーカー的になってきたのは否めない。
高速走行も過不足なく。CVTは魅力だが、総合的には1.8で十分か
高速道路での走りもほぼ同じ。1,210kgを132psで引っ張ってるので余裕はあまりないが、速いペースを長時間キープしても疲労は少なかった。100km/h巡航は約2,500rpm。高速時の静粛性と燃費を考えると、もう少しトップのギア比が高くてもいいかもしれない。
その燃費であるが、今回の試乗では高速道路500kmを含む650km/hを走行。あくまでも参考だが約12km/Lを記録(2名乗車)。混んではいたが、追い越し車線を多用したハイペース走行である。
ちなみに試乗車の10・15モードは16.0km/Lとかなり優秀。D-4のCVT車は2.0リッターとは言え、10・15モードが14.8km/L(従来の16.0~17.8km/Lからドライバビリティ重視のセッティングのためダウンした)と数字上はそれほど優位にない。
デビュー当時、トヨタ初のCVTを搭載しながら「でも4ATでも燃費はほとんど変わらないんですよ」とトヨタは公に言っていたが、このオーパの1.8リッターモデルはトヨタ流「実を取った」クルマという感じだ。ただし、高速巡航や燃費運転に努めた場合については、回転数を可能な限り低く抑えるCVTとD-4の組み合わせが、燃費・静粛性の両面で有利かもしれない。
ここがイイ
セルシオ並の広さを誇るスライド機能付きリアシートの居住性は、発売2年を経てもこのクラス最高といえるレベル。旧型のようにわざわざ前後でシート色が変えてないので、これで誰もが違和感なく乗りこめる。少し高めで前がよく見えるし、アームレストもあり、特等席だ。
インパネ上部に張られた布はなかなかユニーク。センターメーターゆえ、ドアと同じ布が運転席前まで張られ、他に類を見ないデザインのインパネができあがっている。ホンダのアヴァンシアも布張りだが、インパネ下部だけだ。このインパネデザインはかなり未来的。評価したいところだ。
ここがダメ
特に気になったのはコラムシフトのポジション位置くらいで、総じて不満がないクルマだ。
総合評価
ミニバンに負けない広さを誇る新しい乗り物というコンセプトは全く古びていない。タワーパーキングに入る全高の乗用車としては、最高のパッケージングであり、斬新なエクステリアも古さを感じさせない(それゆえほとんど変更されていない)。これって、かなり凄いことなのでは。新鮮さが持続し、少数とはいえ6年くらい売れ続けるとしたら、ビジネスとして採算も取れそう。であれば、今後もユニークな商品が開発できるだろう。その意味でも細く長く売れ続けてほしいクルマだ。
とはいえ、今回は600km以上の長距離試乗だったが、まったく不満がなかった反面、まったく面白みもなかった。機械に対する絶対的な信頼度は高く、トラブルなど何も考えなくてもいいわけで、乗っていてとにかく気分が楽だが、自分で買う気にはどうにもなれなかった。これだけスペシャリティ感のあるクルマなので、どこかにグッとくるところがあれば、と思うのだが、実用車として評価するにとどまってしまうのは残念。
メイン車種は4ATと1.8リットルエンジンの組み合わせとなるが、燃費もよく、低公害仕様。もうこれで十分とトヨタは考えているはず。トヨタのCVT搭載車はオーパのあとにプレミオ(アリオン)が出ただけ(エスティマハイブリッドを除くと)。そしてオーパでも主流から外れてしまったわけで、トヨタ製CVTの運命はいよいよ風前の灯火だ。
公式サイトhttp://toyota.jp
