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スバル レガシィ アウトバック 3.6R新車試乗記(第570回)

Subaru Legacy Outback 3.6R

(3.6L 水平対向6気筒・5AT・346万5000円)

新型アウトバックこそ
新型レガシィの真打ちだった!

2009年09月05日

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キャラクター&開発コンセプト

排気量を3.6リッターに拡大。ボディサイズも大型化


ツーリングワゴン、B4、アウトバックの3シリーズで展開する5代目レガシィ
(photo:富士重工業株式会社)

5代目「レガシィ」シリーズが2009年5月20日に登場し、そのうちの一つであるアウトバックも4代目に進化した。アウトバックはレガシィをベースに最低地上高を上げてSUV的なキャラクターを強めたクロスオーバーモデルだが、北米では販売台数がレガシィシリーズの約6割に及ぶという重要なモデルだ(もっとも、北米向けのレガシィはセダンのみで、ワゴンは全てアウトバックとなる)。また日本では水平対向6気筒エンジンやレザー内装等を備えた仕様を主軸に据えるなど、レガシィの上級モデルという側面も持つ。

他の新型レガシィシリーズ同様、アウトバックも2.5リッター水平対向4気筒エンジンと新開発のチェーン式CVT「リニアトロニック」を採用。また水平対向6気筒エンジンは排気量が従来の3リッターから3.6リッターに拡大されている。


■参考(過去の新車試乗記 スバル レガシィ シリーズ)
・スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.5i Sパッケージ (2009年6月)
・スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT (2006年6月)
・スバル アウトバック 3.0R (2003年12月)
・スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT spec.B (2003年6月)
・スバル レガシィ B4 ブリッツェン 6 (2002年10月)
・スバル レガシィ ランカスター 6 (2000年6月)
・スバル レガシィ B4 (1999年4月)
・スバル レガシィ ツーリングワゴン (1998年7月)

価格帯&グレード展開

エンジンは2.5リッター4気筒NAと3.6リッター6気筒NAの2種類

2.5リッター4気筒SOHC+CVT仕様はベースグレードの「2.5i」とそれの装備充実版である「2.5i Lパッケージ」の2グレード。3.6リッター6気筒DOHC+5AT仕様の方は「3.6R」と全車速追従・停止保持機能付の「SIレーダークルーズコントロール」を備えた「3.6R SI-Cruise」の2グレードで、計4グレードとなる。ツーリングワゴンとB4に設定のあるターボエンジンや6MTは用意されない。駆動方式はもちろんAWDのみだ

【2.5i 】 2.5リッター水平対向4気筒(170ps/23.4kgm)・CVT
 10・15モード燃費:14.0km/L
■アウトバック 2.5i       267万7500円
■アウトバック 2.5i L Package  294万円

【3.6R】 3.6リッター水平対向6気筒(260ps/34.2kgm)・5AT
 10・15モード燃費:10.0km/L
■アウトバック 3.6R       346万5000円 ★今週の試乗車 
■アウトバック 3.6R SI-Cruise  370万1250円

パッケージング&スタイル

さらにワイドに、背も高く

アウトバックのボディサイズは全長4775mm×全幅1820mm×全高1605mm。新型レガシィ自体が先代に比べて全長で約10センチ、全幅で5センチ、全高で約6センチ大型化しており、アウトバックではさらにそこから4センチ幅広く、7センチ背が高くなっている。

ワイドボディ化は専用フロントフェンダーと樹脂製リアオーバーフェンダー、および前後バンパーで行っており、フロントグリルもアウトバック専用だ。また専用サスペンションと225/60R17のオールシーズンタイヤによって、最低地上高はツーリングワゴンの50mm増しとなる200mmとされている。

 

スタイリング自体は全体によくまとまっており、その意味で今回のモデルチェンジはアウトバックのため?という気もしないではない。一方で「悪路も走れるレガシィ」という感じは薄まり、すっかり都会的になったというか、泥の似合わない感じも受ける。また少々車種不詳にも見えないではないが、これは新型レガシィのデザインをまだあまり見慣れていないせいか。

内装はツーリングワゴンと基本的に同じ

試乗車はアイボリーのレザーシートと木目調パネル仕様で、スバルのフラッグシップ(海外には大型SUVの「トライベッカ」もあるが)らしい上質感を備えているが、基本的には他のレガシィと同じデザインであり、室内からの眺めも特に変わらない。

全高がツーリングワゴンより70mmも高いので視点もそれなりに高いはずだが、そもそもレガシィシリーズ全体が新型になって高くなったので、眺めの良さは特に意識されなかった。いずれにしろ室内は上にも横にも十分広く、乗降性も悪くない。

 

またパワーモードを3種類から選択できる「SI-DRIVE」も標準装備。先代の3リッター6気筒モデルにも途中から採用されていたので、ここは従来通りとも言える。

なお、試乗車に装着されていたマッキントッシュ サウンドシステムの音はさすがに悪くない。同じくメーカーオプションのプレミアムサウンドシステムより16万円ほど高くはなるが、音にこだわるならそれだけの価値はありそう。

リアシートの造形もツーリングワゴンと同じ

アイボリーの本革シートとウッド調パネルが上級感を高めているリアシート。前席同様、こちらも先代より広く、ツーリングワゴンより乗降性や見晴らしも良くなっている。前回のツーリングワゴン試乗記では「タクシーとして使うにもうってつけ」と書いたが、むしろアウトバックこそがそうかも。降雪時にこんなタクシーで出迎えられたら、なかなか心強く思えそうだ。

荷室の使い勝手もツーリングワゴンと同様

トランクの眺めもツーリングワゴンとまったく同じ。容量は先代比+61リッターの520リッターで、荷室側のレバーを引くだけで後席の背もたれを倒し、簡単に拡大ができる。床下収納の下にテンパースペアタイヤを積む点もまったく同じだ。

 

ただし全体に仕立てのいいアウトバックの場合、上級ワゴンらしい「一工夫」のなさが淋しいところ。電動テールゲートや荷物のズレを防ぐ工夫など、何かプラスαが欲しい。

基本性能&ドライブフィール

3.6リッター化とSIドライブの「 i 」で低回転志向に

アウトバックには2.5リッター4気筒・CVT仕様もあるが、今回試乗したのは3.6リッター6気筒・5ATの「3.6R」。

エンジンは従来の3リッターユニット(EZ30型、250ps/31.0kgm))をベースに排気量をアップしたEZ36型(260ps/34.2kgm)だが、別の言い方をすれば海外で販売しているトライベッカ用エンジンの改良版だ。市販4輪車ではポルシェとスバルだけという、世界でも珍しい水平対向6気筒ユニットであり、スバル切ってのプレミアムエンジンでもあるが、一方で指定燃料はプレミアムからレギュラーへ変更し、経済性にも配慮している。

以前の3リッター時代はウルトラスムーズな回転フィーリングが印象的だった反面、低速トルクの弱さが気になったが、今回の3.6リッターは排気量が一気に20%増となったおかげで線の細さがなくなり、交差点からの立ち上がりでも、もどかしい思いをすることがなくなった。

また例のSIドライブは、エンジンを始動する度に燃費重視の「 i 」モードに戻ってしまうので、そのままだとひたすら低回転をキープして走り、せっせと燃費を稼ぐ。このあたりだけだとパワー感も含めて2.5iとよく似ており、「これなら2.5iでも十分かなあ」とも思ってしまう。

静粛性などの項目では6気筒が有利なはずだが、エコランレベルだと2.5iとの違いはあまり目立たない。静粛性と言えば、アウトバックの場合、オールシーズンタイヤが発するロードノイズがやや目立つ。

6気筒も「 S 」や「S♯」で激変

このあたりでSIドライブのモードを「S」に変更。「ターボと違ってそんなに変わらないだろう」という予想を裏切り、これがなかなか激変してくれる。5ATの変速プログラムが高回転型になるのは当然として、いかにも「燃料噴射、濃くしました!」みたいな感じでトルク感も高回転の伸びもアップ。さらに「S♯」を選ぶとレスポンスも鋭さを増し、「ザーーーン」という水平対向独特のサウンドと共に一瞬で吹け上がる。ポルシェ911ほど低回転からガツンと来る感じはないが、ツボにはまると速い。正直言って、アウトバックとの車両キャラクターや足まわりとは相当にミスマッチ?な速さだ。

車重は1580kg(標準仕様)と先代より60~70kgほど重くはなったが、それでも6気筒エンジンと4WDシステムを備えたワゴンとしては軽い方。ワインディングではソフトな足まわりの上でボディを前後左右に揺すりつつ、17インチのヨコハマ・ジオランダーをズリズリ滑らせながら、狙った通りのラインで突き進んでくれる。限界そのものは低いが、振り回す面白さはインプレッサWRXよりこっちかも。このあたりは先代アウトバック譲りでもあるが、プラットフォームが新しくなった新型の方がより余裕がある。

5ATは従来通りだが、高速巡航も低回転で楽々こなす。こうなると試乗車には付いていなかったが、100km/h(実際にはもう少し上)から0km/h(完全停止)まで速度制御してくれる「SI レーダークルーズ」が欲しいところだ。

試乗燃費は7.6~9.3km/L。10・15は10.0km/Lで、レギュラー仕様

今回もいつも通り約200kmを試乗。参考までに試乗燃費は一般道・高速混合区間(約100km)で7.6km/L。「 i 」のまま、無駄なアクセル操作を控えた一般道(約50km)で9.3km/Lだった。

10・15モード燃費は10.0km/Lで(これも「 i 」で計測とのこと)、先代の3.0R(11.0km/L)より1割ダウンしたが、代わりに指定燃料はレギュラーになったので「燃料費」そのものは差し引きゼロか。

ここがイイ

スタイリング、レギュラー仕様、SIクルーズ、マッキントッシュ、高級ワゴンとしての万能性

いわゆる「ハイリフト」されたスタイリングは、レガシィワゴン本来の姿といっていいのでは。なんといってもこの種のクルマでは元祖と言っていい存在であり、新型レガシィシリーズの中では群を抜いてカッコよく見える。

またレギュラーガソリン仕様であることもいい。ハイオクにすれば数値上はもっといい燃費を出せるのかもしれないが、レギュラーにしたことで現実的に経済性は高まっている。

全車速追従機能(と言っても上限は100km/h+αだが)付の「SIクルーズ」の設定。これはぜひ欲しい。G-BOOK アルファに対応したメーカーオプションのナビも、トヨタの優秀なサービスが受けられるという点で喜ばしい。マッキントッシュのオーディオはとても見事な音を出す。それより安いプレミアムサウンドシステムとは格段の差があった。

これだけの快適性と操縦安定性と積載性、そして独自性が300万円台から400万円台で買えること。現行クラウンにはワゴンがないから、旧クラウンアスリートユーザーなどにも、ぜひおすすめ。

ここがダメ

大人しい外観、大人し過ぎる「 i 」モード

エクステリアにはクロスオーバー車定番の樹脂フェンダーカバーが、オプションでもいいのでやはり欲しいと思う。精悍さがグッと増し、ツーリングワゴン系との大きな差別化ができるからだ。同様にルーフレールも欲しいところ。実用にではなく、あくまでスタイリングとしてだが。

「3.6リッター水平対向6気筒DOHC」という胸ときめかせるエンジン形式に反して、実際に乗ってみると今ひとつ期待したほどのパワー感がないこと。絶対的なパワー感はまだしも、「 i 」モードの時は出だしのトルクがもうちょっと欲しくなり、といって「S」モードはちょっとパワーがありすぎ。その中間あたりが常用するにはちょうど気持ちいいと思うのだが……。燃費を考えてだと思うが、「 i 」モードではパワー感がかなり抑えられていることに、ちょっと不満を禁じ得ない。「 i 」と「S」の落差が大きすぎると思う。

SIクルーズが「3.6R」(他のレガシィではターボ車)でしか選べないのは残念。またこのクラスでオートライトがオプション(「3.6R SIクルーズ」には標準装備)なのは、ちょっと腑に落ちない。

総合評価

ポルシェのフラットシックスとは似て非なるもの

レガシィの試乗記、それも6気筒ともなると、いつも同じことを書いてしまいたくなる。何しろ4輪車では世界でスバルとポルシェだけが作っている水平対向6気筒であり、しかも今回は最近のポルシェと同じ排気量の3.6リッターになったのだから、ついつい比較したくなってしまうわけだ。

しかし同じ排気量とはいえ、性格は全く違うクルマに搭載されているわけで、その比較は実際のところ意味がなかった。レガシイのフラットシックスは、スポーティと言うより低回転での使いやすさや燃費、レギュラーガソリン仕様にこだわったもののようで、静かでスムーズではあるが特に感動することはない。エンジンレスポンス云々より、水平対向ならではの低重心やシンメトリック構造にこそ意義があるわけだ。ということで、エンジンに関してはまず過剰な期待は持たない方がいい。

SUVではなく、「ハイリフトワゴン」がいい

それよりアウトバックのスタイリングには、ちょっと大きくなりすぎてしまったという声の多い新型レガシィの印象を好転させる可能性があることを、意義深く思う。アウトバックにはそのキャラクターにほどよくマッチしたサイズ感があり、SUVのような図体のでかさを感じさせず、SUVよりは低床の荷室を持つなど、本当に実用として使えるワゴンとしてまさに道具感覚に満ちている。北米ではセダンとこのアウトバックしか売らない、というのも納得できるところ。

レガシィの前身であるレオーネに、ハイリフトされた4WD仕様が設定されたとき、その存在感あるスタイルにその当時、惚れ惚れとしたもの。走破性云々はともかく、車高を上げてワイルドに見せたクルマに、古今東西、人は共通して格好良さを感じるもののようで、昨今のクロスポロやらクロスゴルフやらでも、やはりカッコよく見えてしまう。そうした昔ながらのハイリフト車は日本車ではこのアウトバックが唯一のもの。ツーリングワゴンの試乗記でも書いたとおり、新型レガシィはワゴンとしては文句ないクルマなワケで、アウトバックはそれの、よりカッコいいバージョンと考えれば間違いはない。

好調のアウディはA4アバントやA6アバントをベースに最低地上高を上げた「オールロード」シリーズではなく、シティ派SUVのQ5に力を入れており、ともすればもうこの手のクルマはSUVでいいのかも、となるところだが、変わらずハイリフトしたワゴンを出し続けているスバルを強く支持したい。「SUVは嫌いだがハイリフト車は好き」という人は、特にステーションワゴン好きにはまだまだ多いはず。スバルにはエンジン形式同様、世界的に貴重な「ハイリフトワゴン」を今後も守り続けて欲しいものだ。また新型レガシィのこのボディサイズも、アウトバックこそが真の主流モデルだとすれば皆納得できるのでは。これくらいのサイズが「走りより道具」としてのアウトバックには相応しい。

試乗車スペック
スバル レガシィ アウトバック 3.6R
(3.6L 水平対向6気筒・5AT・346万5000円)

●初年度登録:2009年5月●形式:DBA-BRF ●全長4775mm×全幅1820mm×全高1605mm ●ホイールベース:2745mm ●最小回転半径:5.5m ●車重(車検証記載値):1600kg( 940+660 )●乗車定員:5名●エンジン型式:EZ36 ● 3629cc・水平対向6気筒・DOHC・4バルブ・縦置 ●ボア×ストローク:92.0×91.0mm ●圧縮比:10.5 ● 260ps(191kW)/ 6000rpm、34.2kgm (335Nm)/ 4400rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/65L ●10・15モード燃費:10.0km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:フルタイム電子制御式4WD(VTD-AWD) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 ダブルウィッシュボーン ●タイヤ:225/60R17( Yokohama Geolandar G95 M+S ) ●試乗車価格:421万4700円( 含むオプション:本革シート&シートヒーター、クリアビューパック<オートライト、オートワイパー等>、濃色ガラス、オールウエザーパック<フロントワイパーデアイサー、リアフォグ等>、マッキントッシュサウンドシステム&HDDナビ、フロアカーペット、ドアバイザー、スプラッシュボード等 )●試乗距離:200km ●試乗日:2009年8月 ●車両協力:名古屋スバル自動車株式会社

 
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