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三菱 パジェロ ロングボディ エクシード (3.2L クリーンディーゼル)新車試乗記(第615回)

Mitsubishi Pajero Long Body Exceed (3.2L Clean Diesel)

(3.2L 直4ディーゼルターボ・5AT・411万6000円)

ディーゼルなら
ディーゼルらしくていいじゃないか。
パジェロの新型クリーンディーゼルに試乗!

2010年11月27日

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キャラクター&開発コンセプト

従来ディーゼルのNoxを低減し、ポスト新長期規制をクリア


今回試乗したパジェロのクリーンディーゼル車
車両協力:中部三菱自動車販売株式会社

2010年9月2日、4代目パジェロ(2006年10月発売)がマイナーチェンジした。改良の目玉は、2008年10月に追加されていた3.2リッター・直噴コモンレール式ディーゼルエンジン(DI-D)を大幅に改良して、NOx(窒素酸化物)の排出量を低減し、ポスト新長期規制をクリアしたこと。これによってエコカー減税の対象となったほか(自動車重量税と自動車取得税を100%免税)、クリーンディーゼル自動車導入費補助金(上限額20万円 ※2010年度)が受けられるようになった。

ディーゼルエンジン本体の具体的な改良内容は、吸気ポート形状、燃焼室形状、圧縮比の引き下げ(17.0→16.0)、インジェクターなどの一新。PM(粒子状物質)排出量は、すでに従来モデルでポスト新長期規制値(0.005g/km)以下だったが、NOx排出量に関しては今回、排気系のNOxトラップ触媒を改良することでポスト新長期規制値の0.08g/km以下に抑えている。

なお、ポスト新長期規制をクリアするには、新長期規制(平成17年規制)に対して、NOxを40~65%、PM(粒子状物質)を53~64%低減させる必要がある。乗用車の新型車は2009年10月1日から、継続生産車と輸入車には2010年9月1日から適用される。

 

その他、エンジンやトランスミッションの制御最適化、減速エネルギー回生システム(高効率発電制御)の採用などによって、燃費や動力性能も向上。最大出力は170ps(125kW)/3800rpm→190ps(140kW)/3500rpmへ、最大トルクは37.8kgm(370Nm)/2000rpm→45.0kgm(441Nm)/2000rpmへと大幅に向上。10・15モード燃費は従来モデル比で0.6~0.7km/Lアップの10.2~10.6km/Lとなっている。

国内の販売目標台数は4年前のデビュー時(月間700台)に対して4分の1以下の月間150台。生産は従来通り、岐阜県坂祝町のパジェロ製造株式会社が行い、その多くが輸出される。

※過去の新車試乗記 パジェロ関連】
■新車試乗記>三菱 パジェロ スーパーエクシード(2006年12月)
■新車試乗記>三菱 パジェロ(1999年9月)
■新車試乗記>三菱 パジェロ イオ(1998年7月)

 

※過去の新車試乗記 【ディーゼルエンジン関連】
■新車試乗記>メルセデス・ベンツ E 350 ブルーテック(2010年3月)
■新車試乗記>ランチア デルタ 1.6 マルチジェット (2009年4月)
■新車試乗記>日産 エクストレイル 20GT (2008年10月)
■新車試乗記>いすゞ ウィザード タイプ X (1998年6月)
■新車試乗記>モデリスタ グランビア PX02 (1998年4月)
■新車試乗記>トヨタ ランドクルーザー 100 (1998年1月)
■新車試乗記>モデリスタ ランクル ネオクラシック PX10 (1997年11月)
■新車試乗記>トヨタ ハイエースレジアス (1997年6月)
■新車試乗記>日産 ダットサン ダブルキャブ (1997年3月)
■新車試乗記>マツダ ボンゴ フレンディ (1995年9月)

価格帯&グレード展開

ショートとロング、直4ディーゼルと2種類のV6ガソリンを用意


こちらはショートボディ(中間グレードのVR-II)。全長は4385mm(5ドア比で-515mm)、ホイールベースは2545mm(同-235)と一気に短くなる
(photo:三菱自動車)

ボディタイプは従来通り、3ドア(5人乗り)のショートと5ドア(7人乗り)のロングの2種類。エンジンは3種類で、今回試乗した改良型3.2リッター直4ディーゼルターボ(190ps、45.0kgm)、ガソリンの3.8リッターV6(252ps、34.5kgm)と3リッターV6(178ps、26.6kgm)。変速機は2008年の時点で4ATがドロップし、5ATないし5MTとなる。

4WDシステムはいわゆるパートタイム式だが、センターデフを備えるためフルタイム4WD走行も可能な「スーパーセレクト4WD II」となる。副変速機でハイとローが選べるほか、センターデフのロックも可能だ。

ガソリン車より30万~50万高いが、減税等で差は事質上ない

ディーゼル車の価格は、3.8リッターガソリン車より約30万円、3リッターガソリン車より約50万円ほど高い。ただしエコカー減税によって新車購入時の自動車重量税(年間2万5000円×3年分)と自動車取得税(車両価格の5%)が100%免税されるので、その分だけ考えても実質的な差はかなり縮まり、特に3.8リッターガソリンとの差はほとんどない。さらに購入後の燃料費を含めれば、ディーゼルの方がどんどん安くなる、という計算になる。


【3.0リッターV6ガソリン(178ps・26.6kgm)】
10・15モード燃費:9.0~9.3km/L
JC08モード燃費:8.4~8.7km/L

■VR-I(ショート)       260万4000円(5MT)/275万1000円
■GR(ロング)         289万8000円(5MT)/304万5000円(5AT)
■エクシード(ロング)     361万2000円

【3.8リッターV6ガソリン(252ps ※・34.5kgm )】※ショートは249ps
10・15モード燃費:8.2~8.5km/L
JC08モード燃費:7.7~7.8km/L

■スーパーエクシード(ショート) 399万円
■VR-II (ショート)      354万9000円
■スーパーエクシード(ロング) 447万3000円

 

【3.2リッター直4ディーゼルターボ(190ps・45.0kgm)】
10・15モード燃費:10.2~10.6km/L
JC08モード燃費:10.0~10.4km/L

■GR(ロング)         360万2000円
■VR-II (ショート)      384万3000円
■エクシード(ロング)     411万6000円  ★今回の試乗車
■スーパーエクシード(ロング) 476万7000円

パッケージング&スタイル

外観はマイナーチェンジ前と同じ


マイナーチェンジしても外観の変更はなし、ディーゼルかどうかの識別はリアの「DI-D」バッジが目印となる

デザインはマイナーチェンジ前とほぼ同じで、ボディサイズも全長4900mm×全幅1875mm×全高1870mm、ホイールベース 2780mmと変更なし。ボディは確かに大きいものの、乗ってしまえば割と平気だ。デザインに新味がないという声はあるが、パジェロらしさを守った上で、新しさもほどよく盛り込まれたものだと思う。

インテリア&ラゲッジスペース

マイチェン前と基本的に同じ


マイナーチェンジでは、グローブボックス内にUSB端子を追加したほか、Bluetoothとのリンク機能を強化した

試乗車は中間グレード「エクシード」。最上級の「スーパーエクシード」はレザーシートになるが、こちらはパールスエードという生地のファブリックシートが標準になる(オプションでレザーの選択も可)。内装色は5ドアの場合、ベージュも選べるが(3ドアはブラックのみ)、試乗車はブラックだ。

 

平均燃費は自動的にリセットするA(オート)と手動リセットのM(マニュアル)の2モードで計測できる

オーディオは5ドアの「エクシード」以上のグレードに、ロックフォード社と共同開発したサウンドシステム(860W・11チャンネル・12スピーカー)が標準装備される。ただし7インチワイドディスプレイ付のHDDナビは、「スーパーエクシード」を除いてメーカーオプションになり、その際にも地デジチューナーは販売店オプションとなる。

 

センターコンソール上部の「センターインフォメーションディスプレイ」は、方位、外気温、高度計、気圧計、平均燃費、カレンダーなどを表示する。外気温や平均燃費などは過去4時間にわたる推移がグラフで表示される。

 

5ドアのエクシード以上には、後席にアームレスト&ドリンクホルダーと空調コントロールが備わる

後席の広さは十分で、見晴らしもよく、乗り降りもサイドステップに足を掛ければスムーズに出来る。シート生地のスエードファブリックはレザーシートより体が滑りにくく、特に後席では落ち着いて座れる気がした。なお、サイド&カーテンエアバッグは「スーパーエクシード」以外、8万4000円のオプションとなる。

近距離なら使えるサードシート。収納・展開はやや面倒


サードシート横のクォーターウインドウは懐かしいヒンジ式で、換気用にちょっとだけ開く

普段は床下に収納しておくのが前提のサードシートは補助席レベルで、体育座りに近い姿勢にはなる。走行中につかまるところや体を支える部分もなく、やや心もとない。ただし、背もたれや座面クッションは柔らかく、ストローク感があるため、座り心地は思ったほど悪くない。

 

サードシートの収納・展開方法はワンタッチとは行かず、4年前に試乗した時のように今回もサードシート本体のタグにあった説明を読みながら行なった。慣れればテキパキ出来そうだが、一昔前の欧州車のようにコツや力が必要な部分もあり、か弱い女性は途中でめげてしまうかも。

 

床下にはサードシートが収まるが、車外に取り外し、床下収納スペースとすることも可能。左側の赤いものは油圧ジャッキ

サードシートを収納し、セカンドシートを前方に畳んで跳ね上げれば、奥行きは1.5メートル程度、荷室高は1.1メートルの空間となる。自転車1台ならそのまま載るほか、身長が170センチ程度なら対角線上に寝て、足を伸ばすことができる。

基本性能&ドライブフィール

アイドリングや低速走行時の「ディーゼルサウンド」は大きめ

試乗したのはロングの中間グレードである「エクシード」(411万6000円)。最近では珍しい金属式のキーをイグニッションに差して回すと、新型クリーンディーゼル「DI-D(ダイレクトインジェクション・ディーゼル)」が、「ガラガラガラ」とディーゼル特有のサウンドでアイドリングを始める。ポスト新長期規制をクリアした他社の最新ディーゼル車よりもエンジン音が大きめなのは、1シリンダーあたりの容積が800ccに及ぶ3.2リッター直4であるせいか。

典型的なディーゼルサウンドは、街中を走る間もはっきり耳に届く。ガソリン車のような静粛性や滑らかさを期待してしまうと、「バスやトラックと同じ音」に面食らうかもしれないが、音自体は特にうるさくはない。

アクセルは足をそっと載せておくだけ

パワーウエイトレシオは約12kg/psと普通のコンパクトカー並みに過ぎず、アクセルを深く踏み込んでも、速いとか、パワフルといった感じはさほど受けない。だが一方で、トルクはわずか2000回転で最大トルクの45.0kgmを発揮するなど超強力。車重1トンあたりの最大トルクは約20kgmになるから、言うなればヴィッツクラスのコンパクトカーに2リッターエンジンを載せたようなもの。しかも最大出力の190psさえ、3500回転で発揮する。通常は1500~2000回転前後でユルユル回すだけで、街中では十分に事足りる。

また5ATはトルコンスリップを積極的に利用する感じで、アクセルを踏み込むと即座にグウォッと回転を持ち上げる。慣れていないと雑なアクセル操作で無駄にエンジンを煽ってしまうが、パジェロの場合はアクセルペダルの上に足をそっと載せておくだけでOKだ。

2WDでも操縦安定性はまずまず。高速道路では一転して静かに

エンジンをユルユル回して走りたくなるクルマなので、ワインディングでも飛ばす気にはならないが、そこをあえてシフトレバーをマニュアルモードにしてプッシュしてみると、タコメーターの針はレッドゾーンが始まる4250回転を軽々と通り越し、4700回転くらいまでシュゥンと一瞬で回ったりして、それなりに活発に走ってくれる。ちなみにマニュアルモードの場合、自動シフトアップはせず、レブリミッターが作動する。

基本的にはパートタイム4WDということで、通常のオンロード走行は2WDモード(FR)で走るのが基本。シャシー性能は最近のクロスオーバーSUVを思うと古典的だが、2WDのままでも不穏な動きはなく、まったく不満なく走る。意図的にオーバースピード気味でコーナーに入った時のみ、立ち上がりでちょっとお釣りを食らうかな、という程度だ。4WDモードでのオンロード走行も可能だが、乾燥路でその必要はなく、むしろ2WDの方がハンドリングは自然だ。

4年前に試乗した3.8リッターV6ガソリン車より安心して飛ばせた気がしたのは、ピークパワー(馬力)の少なさや回転上昇に伴うトルク変動の少なさといった、エンジンキャラクターの違いに起因するものか。また3.8リッターV6より100kgほど重い車重も、ドッシリ感という点ではイイ方に働いているのかもしれない。

 

タイヤはもちろんM+S(オールシーズン)。265/65R17のダンロップ「グランドトレック」

なお、「ASTC」と三菱では呼ばれるスタビリティコントロールは、ディーゼル全車に標準装備。ガソリン車の場合、最上級の「スーパーエクシード」以外ではオプションだから、その点でもディーゼルはお得だ。

100km/h巡航時の回転数は2000回転弱で、130km/h時になると2500回転弱といったところ。不思議なことに、この辺りの速度域ではディーゼルエンジンの音が消えてしまい、ロードノイズは皆無、風切り音も静かで、なかなか静粛性が高い。また乗り心地も乗用車に遜色なく、むしろ目線が高いおかげで、スピード感やストレスも少ないなど、パジェロならではの長所が目立ってくる。高速道路を長時間・長距離走るには、うってつけのクルマだ。

試乗燃費は7.6km/L。燃料費はガソリンより2割~4割安?

最後に恒例の試乗燃費に触れると、いつもの一般道・高速の混じった区間(約90km)では7.6km/L。さらにその後、一般道を無駄な加速を極力控えて走った区間(約30km)が8.6km/L。高速道路での80~120km/h前後で流した区間(約30km)が10.6km/Lだった。

10・15モード燃費は10.2~10.6km/Lで、JC08モード燃費でも10.0~10.4km/L。燃料タンク容量は88リッターと巨大なので、高速道路で淡々と巡航すれば、無給油で700~800kmくらいは走れそうだ。

気になる燃料コストは、我々が試乗した時の軽油価格がリッター105円で、レギュラーガソリンの125円より16%、ハイオクの135円より22%安かった。さらにモード数値を参考にすれば、パジェロのレギュラーガソリン仕様車(3リッターV6)よりも燃費は約1~2割、ハイオク仕様車(3.8リッターV6)より2割ほど良いので、トータルでの燃料コストはレギュラーガソリン車より2~3割安く、ハイオク仕様車より4割くらい安い計算になる。ただし軽油とガソリンとの価格差は、その時の原油相場や課税状況などによって異なるため、これはあくまで目安だ。

ここがイイ

ディーゼルエンジンであること、高速走行時の快適性

変わらぬディーゼルらしさ。ディーゼルらしさをマイナスに捉えず、エンジンの味のひとつとして捉えるようなことをそろそろしてもいいのでは。その意味で伝統的な味がある。

さらに極低回転から力強いディーゼルならではのオフロードでの頼もしさ。そしてこうしたディーゼルの良さをクリーンに味わえること。長く乗り続ければ、燃料代も安いし、エンジンの耐久性もあるだろうし、プラグ交換も不要だし、というわけで、経済的な選択だ。

高速走行での快適性。クロスカントリー4WDなのに、こんなに快適というのは、昔あったこの手のクルマから大きく進化している部分。燃費もそこそこで航続距離も長いから、遠出も楽しそう。

ここがダメ

音振面でもディーゼルらしい

まぎれもなくディーゼル車然としているため、ディーゼルそのものが嫌いな人にとっては受け入れがたいかも。ガソリン車に迫る静粛性を売り物とする乗用車系の最新ディーゼル車とは、その点で明らかに異なる。それから左フロントフェンダー上の補助ミラーは、何とか無くす努力をしてもらいたいもの。

総合評価

20年前のこと

ほんの20分も走れば行けた近所の河川敷を、パートタイム四駆で楽しんだのは、もう20年も前のことになる。世はバブルからバブル崩壊へと向かう頃。ファミリーカーでもあったので、車種はワンボックスの三菱デリカだったが、パジェロやハイラックスの知人とオフロード走行を「タダ」で楽しんだものだ。やがてその河川敷では人身事故が起き、結局閉鎖されてしまったけれど、20年前には名古屋近郊でもそんな場所があった。そしてその頃大人気のオフロード4WD、特にディーゼルのパジェロは、真っ黒な排気ガスを撒き散らしていた。しかも大ブームだったから、それがまたやたらたくさん走っていた。わずか20年前は、今思うと走る場所も走るクルマも相当おおらかな、いやアウトローとも言える時代だった。

まあそんな古きよき時代が続くわけもなく、オフロード走行は自然破壊とされ、ディーゼル車は社会悪にされてしまい、三菱自動車は一時経営が傾き、「4×4マガジン」もデジタル版に移行してしまった。特にディーゼルエンジンは欧州の隆盛をよそに、日本では見事にイメージダウンして絶滅の危機に。そういったネガティブキャンペーンを象徴的に担ったのが、石原東京都知事のビデオ画像であることを覚えている人は多いだろう。自家用ディーゼルに狙いを定めたキャンペーンは見事に実り、ディーゼル冬の時代はいまだ続いている。

昔のままのイメージで

しかし、ここに来てついにクリーンディーゼル車が続々と登場し、往年のファンを喜ばせることになっている。今回ディーゼルパジェロに乗って、何から何まで昔のパジェロのままであることに、なんというか、ちょっと嬉しくなった。あの巨体を大トルクでゆるゆると動かす感覚の気持よさは、まさにディーゼルならでは。音も振動も、昔とは比較にならないほど抑えられているが、それでもディーゼルらしさは残っていて、それこそが「四駆」の味というものだろう。乗用車のディーゼルの場合はガソリン車並みでないと積極的に選びたくならないものだが、オフロード四駆はディーゼルこそが、その振動と音こそが「らしさ」ではないかと思う。初代パジェロは、シート下にダンパーをつけて揺れを吸収させていたくらいすごい振動で、シフトレバーは手が弾かれるほどブルブル震えたものだったが、それこそが男の仕事場として喜ばれていたのだ。

そんな昔のままのイメージを残しながら、今回のディーゼルパジェロは黒煙を吐かない。燃費も昔よりいい。実際、燃料費で考えれば、ガソリン車に換算してこの巨体がリッター10km相当で走るのだから、まったく文句はないだろう。昔から「四駆はスポーツカーとは違いオンオフどんな場所でも走れるという意味で、これぞ現代のスーパーカーだ」と書いてきたが、その考えは今も変わらない。久々に高いアイポイントで高速を走ったら、高速走行の楽なこと楽なこと。クルマ自体の高速巡航性能も高いが、こうした別の恩恵もある。それでいてオフロードコースに持ち込めば、驚異の走りを楽しめるはず(今回はオフロード試乗はしていないが)。パジェロを買うならディーゼルが一番。ディーゼルこそパジェロの王道。インテリアの雰囲気など、ベースがやや安っぽいところを無理やり木目パネルとかで高級風にしてあるところなど、これまた20年前のまま。逆に言えば、昔のままのクルマが今買えるというのは、かなり貴重。ならばカラーリングも横に太めの色帯が入ったツートーンのを選びたい。このカラーリングもエクシードというグレード名も、まさに昔のままだ。

人は世につれ、世はクルマにつれというが(いわない?)、20年前のパジェロの盛り上がりはなんだったのだろう。オフロード四駆が乗用車的な性能を獲得したこと、バブルで大きく豪華なイメージのクルマが人気となったこと、走れる場所があったこと、もちろんみんながクルマに興味があって、他人のクルマが羨ましかったこと、それからやはりディーゼルで燃料代が安かったということも大きかった。

燃料代も昔と同じになった

今回、クリーンなディーゼルパジェロが登場して、燃料代は昔と同じになった。性能は昔に比べて、より乗用車的で、より良くなったし、大きなクルマが欲しいというニーズは、まだ一部には残っている。新車でオフロードを走る人はあまりいないとは思うが、それでも例えば名古屋近郊であれば、さなげアドベンチャーフィールドのようなレンタルコースもあるから、走る場所はある。こうなるとあとは人心、人々の興味だが、これが一番難しい。「昔の名前で出ています」という看板に新しい客は付きにくい。といって看板を下げたら誰も来なくなってしまう。名案は浮かばないというのが残念ながら今回の結論だろうか。

とはいえ、このクルマはこれが好きな人のためのクルマであることは間違いなく、買えばこいつを長く乗り続けることになるのだろう。そういう人は、逆にあまり数が出てもらいたくないと思っているはず。希少なクルマを愛でたい、それがマニア心というもの。ディーゼルなら維持費が安い分、長く愛せる。つまりディーゼルパジェロの場合は「少し愛して、長く愛して」という看板かな。

試乗車スペック
三菱 パジェロ ロングボディ エクシード (3.2L クリーンディーゼル)
(3.2L 直4ディーゼルターボ・5AT・411万6000円)

●初年度登録:2010年9月●形式:LDA-V98W ●全長4900mm×全幅1875mm×全高1870mm ●ホイールベース:2780mm ●最小回転半径:5.7m ●車重(車検証記載値):2260kg( 1150+1110 ) ●乗車定員:7名

●エンジン型式:4M41 ● 3200cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・コモンレール式直噴ディーゼルターボ(インタークーラー付)・縦置 ●ボア×ストローク:98.5×105.0mm ●圧縮比:16.0 ● 190ps(140kW)/3500rpm、45.0kgm (441Nm)/2000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:軽油/88L ●10・15モード燃費:10.6km/L ●JC08モード燃費:10.4km/L

●駆動方式:パートタイム4WD(スーパーセレクト4WD II) ●サスペンション形式:前 ダブルウィッシュボーン(+コイル)/後 マルチリンク式ダブルウィッシュボーン(+コイル) ●タイヤ:265/65R17( Dunlop GrandTrek AT20 M+S )●試乗車価格:424万7250円( 含むオプション:7インチワイドディスプレイHDDナビゲーションシステム+リアビューカメラ 13万1250円 )●試乗距離:200km ●試乗日:2010年11月 ●車両協力:中部三菱自動車販売株式会社

 
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