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三菱 パジェロ イオ新車試乗記(第32回)

Mitsubishi Pajero Io

1998年07月10日

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キャラクター&開発コンセプト

本格的な性能と手軽さを併せ持つパジェロ一家の次男坊

本格派クロカンモデルの本家パジェロから、軽自動車のパジェロミニまでラインナップするパジェロブランドの、上から2番目に位置するライトクロカンがパジェロイオだ。キャッチフレーズは「スマート・アストリート」。本格なのに、気軽に乗れる、毎日の暮らしにちょうどいいサイズの3ドアモデルということになる。

ミニの発展型である1.1リットルモデルのジュニアと違い、プラットホームからパワートレインまでを新規に設計。エンジンも基本的にはギャランと同じ1.8リットルGDIを搭載するが縦置きに変更され、低回転重視の専用チューンが施される。

新開発のスーパーセレクト4-iと称するフルタイム4WDを搭載し、パジェロ譲りの本格的オフロード性能を持ちながらも小柄なボディにふさわしい軽量化を実現したものだ。

ちなみにヨーロッパ市場でも発売されるイオは、イタリアのピニンファリーナで生産されるという。

価格帯&グレード展開

1.8リットルGDI+4WDのみでプライスタグは159.8、187.3万円

廉価版のZXと充実装備のZRの2グレードのみ。装備の違いはカラードバンパー、プライバシーガラス、電動リモコンドアミラー、前倒れ機構付きリアヘッドレスト、サブトランク、センタードアロック、キーレスエントリー、オーディオ&4スピーカー、アルミホイール。ナビはオプションとなる。安全装備は両グレードともに標準装備で価格差は27.5万円。5ドアモデルは8月に発売予定。

パッケージング&スタイル

パジェロをそのままスケールダウン

パジェロと付くだけに遠目から見てれば元祖パジェロと見間違えてしまうほど実によく似ている。三菱のアイデンティティ(?)のガンダムルックも健在だ。5ナンバーサイズの中にスッキリとまとめながらもパジェロのイメージをここまで色濃く反映できたことは評価できる。特にブリスターフェンダーの処理はなかなかのもので、大きく張り出していないのにも関わらず、微妙なライン構成とツートンカラーで実際の張り出し以上の存在感を与えている。クロカンタイプはモデルサイクルが長いから、斬新なデザインにして飽きがはやいものとするよりも、定着したパジェロルックスをまとった方が無難というのも一理あるが、現実にはユーザーはすでにパジェロそのもののスタイルに飽きているのでは。

街乗りベストサイズ、パーソナルユースのコンパクトオフローダー

イオの外形寸法は全長3675mmがジュニア比+175mm、全幅1680mmが+135mm、全高1700mmが+40mmでジュニアよりもふたまわりも車格を増している。RAV4やエスクードと比べてもかなり背が高い。もちろんキャビンスペースも軽自動車そのままのジュニアとは比較にならない広さとしているが、後席は頭上スペースこそたっぷりあるものの、足元スペースには余裕がない。小さな子供なら問題はないと思うが、大人4人乗車の場合、荷室はミニマムで、やはりパーソナルユースと考えるのが妥当だろう。

よじ登りを強いらされるパジェロと違い、違和感なくすんなりと乗り込め、高いアイポイントと2WD/4WD切り替えレバーを除けばパジェロと感じさせない乗用車的な内装デザインだ。新鮮味を増すために「ブルーメーター」や「シルバーのディンプル素材」が広範囲にわたり採用されている。趣向を凝らした内装は好きだが、シルバーの素材は、ちょっと子供じみた印象もあり、あまり好感は持てなかった。

基本性能&ドライブフィール

少しラフな味付けだが、街乗りなら走り、乗り心地ともに不満はない

1.8リットルエンジンは140PS/6000rpm、18.5PS/3750rpm、ギャランよりもパワーを10PS落とし、低中速でのトルクを厚くしたセッティングとなっている。車重も軽いので、停止状態からの発進加速は機敏で、オフロード車を意識させないもの。ステアリング位置も本家パジェロのような不自然さはなく、誰でも気軽に運転することができるだろう。

1.8リットルエンジンとしては十分納得いく走りで、街中での常用域ではトルク特性がフラットなので扱いやすい。高速巡航での中間加速は少々苦手のようで、まあ平均的なレベルではあるが、高回転域でのパワーにもう少し余裕があれば、と思わせるのも確か。

乗り心地は悪くない。高速道路の継ぎ目などは拾いがちだが、ピッチングは激しくなく、ショートホイールベースながらかなり快適。騒音は決して静かというわけではなく、4000回転を超えたあたりから耳障りなボリュームとなるが、エンジン回転そのものは低く抑えられているので、全体には静かに感じられた。

乗り心地、騒音面など走りのポテンシャルは高く、ライバル車よりも上をいく仕上がりとなっている。しかしメリハリの効いた軽快感という点ではライバルトヨタRAV4が一歩リード。軽快感が高いから良いというわけではないが、イオはステアリングが軽すぎて、感覚的にシャープな応答性に欠ける。実際にオフロードを走る、走らないということは別として、オフロード性能を兼ね備えているのならもう少し手応えのある操蛇感を与えてもいいのでは。

GDI効果が分かるエコランプを装備、これで低燃費走行も実践できる?

メーター内にはGDIエコランプが設けてあり、低速走行時や減速、穏やかな加速時などGDIのウリである超希薄燃焼モードになるとランプが点灯するというもの。微妙なアクセルワークで点灯、消灯を繰り返し、GDI効果の領域の狭さを改めて実感させられた。エコランプが点灯するのは、3000回転以下、110km/h以下で、空燃比14.7~35あたりまでらしい。

それでもGDI効果を知るには便利なアイテムで、点灯させて走ってやろうという気にさせられる。でもそんなことしてたら交通の流れにのることは困難で、他のクルマに迷惑がかかりそう。燃料がハイオク仕様というのも残念だ。

スーパーセレクト4WD-iとミッション

スーパーセレクト4WD-iはビスカスカップリングを用いたフルタイム4WDシステムで、トランスファーは2H(2WD)、4H(スタンバイ4WD)、4HLc(直結4WDハイ)、4LLc(直結4WDロー)の4ポジション。通常は2WD走行で、必要な時に走りながらでも4WDに切り替えることができる。2WDと直結4WDの切り替えができるという点ではパートタイム4WDという見方もできる。

トランスミッションは4速ATのみしか設定されない。本格オフロードもこなせるクロカンなのに5速MTがないのはなぜ? それ以上に気になったのがミツビシ自慢のスポーツモード付きATではないこと。

ここがイイ

小柄なクロカンタイプというのは、実は街中で最も使いやすいタイプのクルマだ。イオも乗り降りしやすいし、視点が高くて見晴らしも良く、またパワーも手頃で、何より四角いボディは見切りがいい。タウンヴィークルとしては結構理想的なクルマといえる。ライバルと比べてもエスクードよりはカジュアルだし、RAV4よりもブランド力が強い。

ここがダメ

タウンカーとして割り切って売るなら、いっそ2WDを出すくらいの冒険をした方がいいだろう。ライバル2車の中間というスタンスは、ブランド力を持ってしても結構微妙。パジェロ=本格四駆という呪縛から逃れられないのは良く分かるが、もはやほとんど使用されないオフロード性能を誇るより、このカタチのタウンカーと割り切った方がかえって売れるような気がする。またもう少しパワーが欲しいと感じたことも事実。

総合評価

今さらパジェロ? と思ってしまうほど新しさを感じさせない。あと数年早くデビューしていれば評価も変わっているだろうが、今となっては「遅れてきたパジェロ」に見えてしまう人の方が多いのでは。パジェロは数々の栄光に彩られた立派なクルマだが、今や世間はもうそんなことどうでもいいと思っている。エクステリアデザイン、ネーミング共にパジェロから離れて売り出した方が潔いような気がする。まぁ、欧州市場を含めパジェロブランドを強調した方が、結果的に売れるはずというメーカーの戦略も分からないではないが。

少し辛口になってしまったが、ハード的に評価するなら環境に適したサイズ、エンジンを備え、ライバル車やクロカンすべてを含めた中でも非常にバランスに優れたクルマとなっている。それなりに快適、それなりに経済的、少なくともカップルなどのパーソナルカーとして購入するなら、悪くはない。しかし愛が深まるような魅力は備えていない。まぁ愛が深まらなかったとしても、クロカンとしては異例ともいえる豊富なオプション群が揃っているから、ドレスアップで楽しむ道が残されている。それも虚しいか?

公式サイト http://www.mitsubishi-motors.co.jp/io/

 
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