キャラクター&開発コンセプト
パッソ/ブーンベースの7人乗りミニバン
トヨタの「パッソ セッテ」、ならびにダイハツの「ブーン ルミナス」は、両社が共同で企画し、ダイハツが開発から生産までを行う3列シートのコンパクトミニバン。トヨタにはOEM供給という形になり、新車発表は両社共同で2008年12月25日に行われた。
ベースはダイハツが生産を行うトヨタ・パッソとダイハツ・ブーンだが、トヨタ版の車名(イタリア語の「7(Sette)」が由来)が示す通り、「5人がゆったり、7人がしっかり乗れる」ことを目指したものだ。生産はダイハツの京都工場。販売はセッテがトヨタカローラ店、ルミナスがダイハツ各店で行われる。目標販売台数はそれぞれ3000台と500台だ。今後はアジア地域での販売も予定されている。
なお2009年1月の乗用車販売ランキング(自販連発表)では1位のフィット(8723台)に続き、2位にはパッソ(7228台)が前月の7位から急浮上している・・・・・・が、これはパッソにパッソセッテの台数が合算されたからに過ぎない。
思わぬところで「ブーン」つながり
事実上、車名やバッジ程度しか違いのないセッテとルミナスだが、広告戦略は好対照だ。
セッテの場合、広告コピーは「私たち!輝くための!7シーター。」。7人の20代から30代と思しき女性モデルを前面に打ち出すなど、奥様向けファッション誌のようなノリとなっている。
一方、ルミナスのCM(サファリパーク編)は、田中星児が1976年にカバーした「ビューティフル・サンデー」の替え歌「ビューティフル・サンレツ(3列」」をBGMに使う脱力系。なお「ビューティフル・サンデー」のオリジナルを唄ったのはイギリス人のダニエル・ブーン(Daniel Boone)であり、思わぬところで「ブーン」つながりとなっている。
■トヨタ自動車>プレスリリース>パッソ セッテ、ブーン ルミナスを発売(2008年12月25日) http://www.toyota.co.jp/jp/news/08/Dec/nt08_081.html
価格帯&グレード展開
全車1.5リッター・4ATで、149万円からスタート
メカニズム的には全車1.5リッター直4・4ATに統一。グレードはセッテの場合、計5グレードあり、ベーシックな「X」、装備充実の「G」、スポーティな「S」、さらに「G」と「S」にアルミホイールやオートエアコン等を省いたレスオプション仕様「C パッケージ」がある。
なお「X」を除く全車に、サイド&カーテンシールドエアバッグを含む6エアバッグを標準装備。VSC&TRCを全車にオプション設定するなど、このクラスの国産車としては安全装備に力が入っている。
【パッソ セッテ】
■「X」 149万円(FF) / 165万8000円(4WD)
■「G “C package”」 159万5000円(FF)/176万3000円(4WD)
■「G」 173万5000円(FF)/190万3000円(4WD)★今週の試乗車
■「S C package」 172万5000円(FF)/189万3000円(4WD)
■「S」 186万5000円(FF)/203万3000円(4WD)
なお、ダイハツ版のブーン ルミナスは3グレード構成で、こちらの価格は153万5000円~207万3000円(4WD含む)だ。
パッケージング&スタイル
サイズはシエンタと同等だが、こちらはヒンジドア
ボディサイズは3列シート・7人乗りにして、カローラより200mm以上短い全長4180mm×全幅1695mm×全高1620mm。実はこのボディサイズ、初代ヴィッツベースの7人乗りミニミニバンであるシエンタより少し(80mm)長くて、拳一つ分(50mm)低いだけ。ただしシエンタは両側スライドドア、セッテはヒンジドアとなる。ホイールベースはシエンタより50mm、パッソより何と310mmも長い2750mmだ。
どちらかと言えば、ずんぐりむっくりなシエンタに対して、ボンネットからルーフまで1本の線でつながるワンモーションフォルムは、ポジティブに言えばスポーティだが、ネガティブに言えば平凡。ウィッシュなどに似ていることも一因だろうが、これほどデザインに特徴のないミニバンも珍しい。ライバルであるホンダ・フリードとは好対照だ。
見事に機能的かつ没個性的なインパネ
インパネも見事に機能的ではあるが、見事に没個性的。センターメーター、インパネシフト、割と高い位置に配されたナビモニター、豊富な小物入れ、良好な視界、シートの座り心地など、機能については特に不満なしだが、きわめて印象の薄いデザインとなっている。
なお、トヨタの新型車では珍しく、キーフリーシステム装着車でもエンジンスタートボタンはない。キーシリンダー部のノブをグイッと回すタイプだ。
作りに割り切りのある後席。10万5000円でリアDVDシステムを用意
50:50分割式のセカンドシートも、可もなく不可もなく。どちらかと言えばクッションは平板で薄く、期待を越えるものではない。中央席のヘッドレストは何と「片持ち」式。ヘッドレストを付けたまま左右のシートを別々に動かせるよう、右側の背もたれのみから2本のステーで支えるものだ。これは左ハンドル仕様との部品共用を図ったものだろうが、いかにもとってつけたような作りで、ヘッドレスト下側の生地には国内仕様には不要な穴が空いているなど、コスト優先の割り切りが感じられる。
一方、ベースグレードを除き、助手席のシートバックにはティッシュボックスを入れる専用ポケットが備わる。また、最も安い「X」グレードを除き、カーテンシールドエアバッグが全車標準となるのは良心的だ。
天井にはDVDプレーヤー内蔵の7インチワイドディスプレイをつり下げるリアエンターテイメントシステム(10万5000円のオプション)を全車に装着できる。つい数年前までは一部の高級車にしか用意されなかった装備だ。このDVDプレーヤー、後席からディスクの入れ替えが出来るのがいい。
サードシートはあくまで「+2」
セカンドシートは150mmの前後スライドが可能。これによってサードシートに人が座った場合でも、室内長を「分け合う」ことができる。そうすればサードシートでも足の置き場に困ることはなく、それほど窮屈さはない
しかしこのサードシートの弱点は、座面の高さやクッションの厚みがまったく足りないことだ。写真を見ても分かるように、太ももから膝までまったくホールドされないため、座布団の上に体育座りしたような落ち着かない姿勢を強いられる。結局のところ、サードシートはあくまで「+2(プラスツー)」。奥様7人でのお出かけは、ぜひ近場で済ませたい。
5人乗りワゴン的な荷室
全長の短さを思えば妥当だが、サードシート使用時の荷室容量はほぼ皆無。サードシートを畳んでしまえば、最大奥行き895mmのステーションワゴン的な荷室が広がる。ただしヘッドレストを抜いたり、両側のストラップを引くのが少々面倒。また左右一体型なので、片側だけ倒すという芸当は出来ない。
さらにセカンドシートの背もたれを水平に畳めば、最大奥行きは1810mmになる。ある意味、サードシートの居住性を犠牲にして得たのが、この広大な荷室だ。セカンドシートとサードシートとの間には大きな隙間があり、そのまま寝そべるには適していないが、あくまでステーションワゴンではないから無視できるだろう。
全車スペアタイヤレスだが、オプション装着も可
なお、基本的にはスペアタイヤレスなので、荷室床下にはパンク修理キット、ジャッキ、ちょっとした収納スペースがあるだけ。さらにボディパネルを挟んでその下、リアサスペンション(トーションビーム)からバンパーまでの空間にもほとんど何もない。実はここには海外向けでスペアタイヤが吊されるらしく、国内仕様でもメーカーオプションでスペアタイヤ(2万1000円)を装着することが出来る。
