キャラクター&開発コンセプト
「女性スタッフ」による「女性目線でのクルマ造り」
2010年2月15日に発売された2代目トヨタ・パッソならびにダイハツ・ブーンは、初代同様トヨタが商品企画を行い、ダイハツが開発と生産を行う兄弟車。「トヨタ最小、プチトヨタ」の名フレーズで初代パッソがデビューしたのは2004年6月だから、約6年ぶりのフルモデルチェンジとなる。
新型の特徴は、特にトヨタ・パッソで行われた「女性スタッフ」による「女性目線でのクルマ造り」。内外装のカラーや意匠には、社内女性スタッフの意見が強く反映されているようだ。
また発売と同時に、「女子力」アップのためのウェブサイト「パッソ ハナ女子大学」(略してハナ女)をインターネット上で開校し、女子のためのクルマであることを強力にアピール。チーフエンジニアは男性だが、いわばトヨタ女子社員によるクルマ、と言ってもいいかもしれない。
全車、念願のCVT化。全体の9割がパッソ
ハードウエアの目玉は、全車4ATだった初代に対して、新型では全車CVT(無段変速機)としたこと。エンジンは1リッター直3「1KR-FE」を改良型とし、1.3リッター直4はiQの追加グレードから国内向けに採用された新世代の「1NR-FE」に換装した。これらによって10・15モード燃費は、1リッターが22.5km/L、1.3リッターが21.0km/Lと、クラストップクラスに向上。結果、2WDは全てエコカー減税の対象になり、自動車取得税と自動車重量税が1リッターでは75%、1.3リッターでは50%減税される。
生産は全てダイハツ本社の池田工場(大阪府池田市)。販売はパッソがトヨタカローラ店、ブーンがダイハツ全店となる。目標販売台数はパッソが月間6500台、ブーンが月間800台。つまり全体の9割がトヨタブランドだ。
■参考リンク
・過去の新車試乗記>トヨタ パッソ X (2004年7月)
価格帯&グレード展開
価格はジャスト100万円から
価格はパッソがジャスト100万円~147万円。ブーンが110万円~143万5000円。売れ筋は1リッターだが、トヨタとしては1リッターと1.3リッターの両方に設定した上級仕様「+Hana」(118万5000円~147万円)の売れ行きが、気になるところだろう。
■トヨタ パッソ
【1.0リッター直3(69ps・9.4kgm)】
・1.0X 2WD:100万円~120万円/4WD:125万8000円~136万8000円
・1.0+Hana 2WD:118万5000円~129万5000円/4WD:146万3000円 ★今回の試乗車
【1.3リッター直4(95ps・12.3kgm)】
・1.3G 2WD:132万5000円
・1.3+Hana 2WD:147万円
■ダイハツ ブーン
【1.0リッター直3(69ps・9.4kgm)】
・CL 2WD:110万円/4WD:128万5000円
・CL“Limited” 2WD:125万円/4WD:143万5000円
【1.3リッター直4(95ps・12.3kgm)】
・CX 2WD:138万円
パッケージング&スタイル
「イカツかわいい」から“普通にかわいい”へ
試乗した「+Hana」のボディサイズは、全長3650mm(通常モデルは3640mm)×全幅1665mm×全高1535mm、ホイールベース:2440mm。全長こそ少しだけ(50mmくらい)伸びたが他は変わらず、要するに基本的なパッケージングやプラットフォームは前作を踏襲していることがうかがえる。
とはいえ、見た目の印象はかなり異なり、新型は全体に角が丸くなり、フェミニンになった印象。思い起こせば先代のデザインテーマは「イカツかわいい」だったが、女性からすると「イカツさは要らん」だったのかも。ただその結果として、新型の見た目は軽自動車にありがちな、ちょっと平凡なものになってしまった。
ボディカラーも女子ならではの新機軸
とはいえ、試乗した「+Hana」には、専用フロントバンパーに加えて、シャンパン塗装のアウタードアハンドル、ドアミラー、アルミホイール(1リッター車はオプション)を装着するなど、女子ならではのアクセント入り。またボディカラーには、3つの専用色を含む計11色を用意。黒、白、シルバーといったモノトーン色が多いトヨタ車に風穴をあけるべく、ウグイスメタリック、キナコメタリック、シンジュパールマイカ、スミレメタリックオパール等々の中間色を採用している。なおカラー名称はほぼ全て和名となっているが、このあたりの工夫はスバルR2(そろそろ販売終了する・・・・・・)が先駆だったと思う。
インテリア&ラゲッジスペース
軽では普通でも、トヨタ車では画期的
見どころはむしろ内装か。「+Hana」の内装色はティラミスを思わせる、オフホワイトとチョコのコンビ。シート地にはざっくりとしたジャカード織の生地を採用する。ただ、あくまでダイハツ、スズキ、ホンダ、スバルといったあたりの軽自動車を見てきた業界男子目線で言うと、そう目新しさはない印象。しかしトヨタ広報の女性スタッフによれば、「軽自動車にはかわいい内装のクルマがたくさんあるのに、(自社製品には)今まであまりなかったので・・・・・・」とのことで、トヨタ車としては実に画期的なこと、と言うべきかもしれない。
なお、こうした仕様をカタログモデルに設定する裏には、先代パッソにあった「プチトマコレクション」やヴィッツの「シャンブル ア パリ コレクション」といった、社内の女性チームが仕立てた特別仕様車が伏線にある。いわゆる「デコクレ」プロジェクトだ。
しかし再び男子目線に戻って言うと、若干気になるところもないではない。特に樹脂類の質感は高くなく、できればフランス車のように(最近では日産も巧いが)、デザイン(造形)、色づかい、アイディアなどでもう少し工夫が欲しかったところ。
またドアインナー樹脂カバーには、木目のように見える縦方向のシボ(模様)が付いているが、これが何となく雨染みが垂れたように見えてしまう・・・・・・と思うのも、こちらがオジサンゆえか。ジェンダーおよびジェネレーションの間に横たわる深い断絶を感じさせるパッソである。
居住性は問題ないが、安全装備は従来通り
後席のクッションは一見平板だが、実際には厚みがあり、肌触りのいい例のシート地のおかげもあって、座り心地は良好。一方、相変わらず中央席にはヘッドレストがなく、シートベルトが2点式となるのは、イイ悪いは別にして、古くささを感じてしまう。
また、試乗した広報車には装着されていたが、サイドおよびカーテンシールドエアバッグは全グレードでオプション(5万5650円)。これだけなら珍しくない話だが、実は以前トヨタは国内向けの新型車から順次サイドおよびカーテンシールドエアバッグを全車標準化すると発表しており、これはその方針から外れるもの。このクラスへの6エアバッグ標準化の是非は分かれるところだが、この件は新聞でも取り上げられたので一応触れておく。
引き続きロングクッションモードを採用
先代に引き続き、後席の座面クッションが足もとにスライドダウンする「ロングクッションモード」を採用。フラットなスペースが出来るほか、荷物が足もとに落ちないというのが売りの機能だ。ただ知らないと、まさか座面がこんな風になるとは思わないので、使いこなせていない全国のパッソユーザーはけっこういるはず?だ。
荷室は開口部などの形状を除けば、先代とほぼ同じような感じ。ロングクッションモードで背もたれを倒すと、ほぼフラットな床面になる。 床下にはテンパー式のスペアタイヤを搭載する。