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プジョー 207 GT新車試乗記(第459回)

Peugeot 207 GT

(1.6Lターボ・5MT・264万円)

画像大ヒットした206に続く
期待のフレンチコンパクト、
そのターボモデルに試乗!

2007年04月14日

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キャラクター&開発コンセプト

200番台プジョーの7代目

プジョー207(ニーマルナナ)は2006年3月にジュネーブショーでデビュー。欧州では同年4月、日本では07年3月20日(207GT)と5月7日(207、207 シエロ)に発売された。205(1983年)や206(1998年)に続く「200番台」プジョーの7代目だ。

207の特徴は「下一桁が7」世代に共通するクーペ風スタイル、新型シャシー、そしてBMWとの共同開発による新型1.6リッター直4エンジンだ。今回試乗した「207 GT」は、先回レポートしたMINIクーパーSと同じ1.6リッター直噴ターボを搭載する。07年度における日本国内の目標台数は207全体で5200台だ。

価格帯&グレード展開

自然吸気の5ドア、ターボの3ドア

今回日本に導入されたのは以下の3グレード。

207(5ドア) 1.6L直4(120ps、16.3kgm)+4AT 239万円
207 シエロ(5ドア) 264万円 ※レザー仕様:279万円
207 GT(3ドア)★ 1.6L直4ターボ(150ps、24.5kgm)+5MT 264万円

★今回の試乗車

イタリア語で「空」を意味するシエロ(Cielo)は、パノラミックガラスルーフ仕様。207GTも同じくガラス天井となる。なお今秋にも170psバージョンの「207RC」(日本名「207GTi」)が導入されるはずで、207GTは言わば中間グレードだ。

パッケージング&スタイル

全長4メートル超、3ナンバー幅に

画像外寸(206比)は全長4030(+195)×全幅1750(+80)×全高1470mm(+30)。ホイールベースは2540mm(+100)。全長は4メートル超、幅は堂々たる3ナンバーサイズで、今やBセグメントと呼ぶには抵抗がある大きさだが、欧州では見栄えの点でワイドボディが好まれるようだ。新型MINI(R56型)が相変わらず全長3.7メートルの5ナンバー幅であるように、側面衝突云々は二次的な理由と捉えた方がいいだろう。

画像そうは言っても先代206に、307や407といった「7系」プジョーのデザインを取り入れて少し大きくしたようなスタイル自体は、特に大きさを感じさせないもの。使いかけの石鹸のような?滑らかなシルエットは日本にもすんなり馴染みそうだ。

横も縦も広くなった

画像ドライビングポジションは低めでスポーティだが、206に比べて室内高は+50mm、室内幅は+105mm拡大し、206で感じられたヘッドルーム不足や全体の狭さは解消されている。ステアリングはチルトとテレスコが調整可能で、座り心地とホールド性を両立したハーフレザーシートもうまい具合に高さが調整できる。

画像インテリア質感は307レベルまで一気にアップ。目新しい表面処理のソフトパッドを採用するなど、デザインアプローチは独特だ。エアコンは何と左右独立式のオート。オーディオはいつも通り日本製の1DINタイプで、お得意のオーディオ操作用サテライトスイッチは意外なことに見当たらない。ダッシュ中央の情報ディスプレイはセンターコンソール最下段のスイッチで遠隔操作するのだが、これがちょっと難しい。

407やシトロエンC4などでおなじみのパフューム・ディフューザーも標準装備。フランスの香水メーカーが調合した7種類の香り(別売り)のカートリッジを装填し、エアコン送風経路を切り替えると、香りが室内に広がるというもの。

207GTもガラス天井

画像シエロとGTに付くパノラミックサンルーフでは、中から見ると長さ約79cm×幅約77cm(実測)ほどのガラスが天井に広がり、空や高層ビルの夜景が楽しめる。赤外線透過率は14%、紫外線透過率は1%未満で、それでも陽射しが気になるならシェイドを閉めればいい。はめ殺しなのでオープンエアは味わえないが、寒暖が激しく雨の多い日本では満足度の高い装備だろう。

空間はクーペ的だが、安全装備はぬかりない

画像3ドアだが、ドアが非常に長いので、後席への乗り降りは割としやすい。リアシートはプジョーらしくクッションの分厚いもので、座り心地も良好。ただし身長が170cmを越えると、頭が天井にかする。先代の206より余裕はあると思うが、3ドアに関しては4シータークーペと考えた方がいいだろう。最新の欧州車では当然だが、後席には3人分のヘッドレスト、フォースリミッター付きシートベルト、シートベルト警告装置、カーテンエアバッグ等の安全装備が備わる。

フルサイズのスペアタイヤ&アルミホイール

画像全長が4メートルもあるので(VWゴルフ3より大きいのだ)、トランク容量は270Lとまずまず。ダブルフォールディングで後席を畳めば、奥行き130cmまで拡がる。床下には何と17インチのフルサイズスペアタイヤ&アルミホイールが収納されておりビックリ。MINIのクーパーSがスペアレスとしたのと対照的だ。

基本性能&ドライブフィール

クーパーSと同じ直噴ターボ

画像試乗したのは、日本市場で真っ先にデリバリーが始まった「207GT」。先に書いたように、1.6リッター直噴ツインスクロール・ターボエンジンは、MINIクーパーSと基本的には同じもの。スペックは150ps/5800rpm、24.5kgm/1400-3500pmと最大出力は20ps低いが、最大トルクは同じで、より低回転域を重視している。

207GTの最大の武器は、3000回転以下でも加速にメリハリのある柔軟性で、加速感はまさに2.4~2.5リッターくらいのNA(自然吸気)エンジンのようだ。加速時に耳を澄ますと、確かにクーパーSと同じタービンノイズが聞こえるが、それもかすか。過給は1000回転から始まり、1400回転で早くも最大トルクを発揮するらしいが、とにかく低回転でよく粘る。

GTにふさわしい性能

もう一ついいのは、乗り心地とロードホールディングが優秀なこと。サスペンションは前ストラット、後トーションビームとオーソドクスだが、これがプジョーらしく路面をつかんで離さない。タイヤは試乗したクーパーSと同じ205/45R17サイズで、これが若干細かい突き上げの原因になっているが、大げさに言えば荒れた路面の上を「水切り」みたいに飛び越えてゆくクーパーSに比べると、207は路面の凹凸をいなしながら走ってくれる。

ワインディングでも、「ゴーカート」なMINIに対して、207GTはとにかくひたすら滑らかにコーナーをトレースしてゆく。終始軽い電動パワステが気になると言えば気になるが、ほとんど修正舵が当たることも後輪の流れ感もなく、心拍数の上昇なしにハイペースで走り切ってしまう。クーパーSと同じ条件で走ってみたが、ESP(完全にオフには出来ないようだ)は黒子に徹しており、スロットルを急激に絞るような介入はほとんどなかった。

1→2速が離れ気味

画像MINIのゲトラク製6MTに対して、207GTのミッションは307等でおなじみの「BE4型」5MT。節度感は並みで、ストロークは大きめだが、MINIより慣れは必要ない。気になったのは1速と2速のギアリングが離れている点で、両車でオーバーオールギア比(変速比×最終減速比)を比べると以下のようになる。

  1st 2nd 3rd 4th 5th 6th
207GT 13.09 7.07 5.18 3.99 3.26 -
クーパーS 12.06 7.77 5.41 4.15 3.46 2.98

207GTは1速少ないおかげで、各ギアのステップ比が大きめだが、特に1→2速の飛び幅が大きい(逆に、3→4→5はMINIと同等)。おかげで一般道ではどうしてもエンジン回転がドロップしがちで、ピリッとしたところが薄れている。

MINIとは対照的

100km/h巡航は約2800回転。ターボゆえにエンジンノイズは静かだが、それゆえかおそらくタイヤに起因するゴーッというロードノイズと、100km/hを超えたあたりから急に高まる風切り音が相当気になった。直進安定性は良く、あきらかにMINIより快適で、緊張感は少ない。最高速(UK仕様)は211km/h。クーパーSより14km/h遅いのは、主に最大出力の差(-25ps)だろうが、もちろん日本の道路では十分な性能だ。

参考までに、試乗中の燃費(車載燃費計の数値)は約9km/L。クーパーSと同様に走り回ったが、燃費は2割ほど良好で、10・15モード燃費(207:12.6 km/L、クーパーS:14.4 km/L)とは逆の結果になった。エンジン自体の違いのほか、207GTのハイギアードな設定ゆえ、2速、3速で引っ張りにくい(引っ張る前に速度が上がってしまう)のが要因だろう。一般的な走り方なら10km/L台は下らないと思われる。

ここがイイ

画像カッコいいエクステリアデザイン。先代206の時にも書いたが、小型ハッチバックでよくもこれだけカッコよく、個性的なデザインワークができるものだ。インテリアもほどほどに質感が向上し、もう不満は言わせない。衝突安全面でもユーロNCAP乗員保護部門5つ星だし、リアシートまで5つのシートベルト装着警告灯があるのも素晴らしい。このクルマのライフサイクルの間に、日本でも後席シートベルトが着用義務化となるはずだからだ。

ステアリング舵角と速度に連動して点灯するコーナリングランプ。プジョーが「固定式ディレクショナル・ヘッドランプ」と呼ぶそれは、走行速度に応じて舵角が25~50度になると、ヘッドランプ内蔵の補助ランプ(コーナー内側)が点灯。ウインカー点滅時にはもっと早く20度で点灯するという。これがとても気の利いた点灯の仕方ですばらしい。

Aピラーが細めで、三角窓があって、ドアミラーがかなりガラスから離れており、しかも窓自体が下方にえぐられた形状だから斜め右の視界が良好。最近はここの死角が大きなクルマが多いが、207はまれに見る視界の良好なコンパクトカーだ。

センターコンソールがプレーンな形状で1DINスペースがきちんと2つあり(デフォルトで上段にオーディオ)、カーナビ取り付けに関しては苦労しなくてよさそうだ。例のサテライトスイッチがないから、交換を含めて作業の自由度が高いのもいい。

ここがダメ

画像高めのギアリングと関係しているが、乗っていてあまりワクワクしないところ。少なくとも同じエンジンのMINIよりワクワク感は少ない。GT(グランドツーリングカー)という名にふさわしい性能があるのは確かだが、このクラスならもう少し「弾けた」走りを期待したくなる。その役目は「207GTi」が担うのかもしれないが。

最近のフランス車に共通の傾向だが、フィーリング面でまだ煮詰めの甘い電動パワステ。ステアリング径も妙に大きめだ。また人によって違和感のあるペダル配置は、右ハンドル化の詰めの甘さだろう。クラッチを踏もうと左足をフットレストから持ち上げるとペダルに引っかかることがあり、右足はヒール&トゥがしづらい。シフトレバーもやはり右ハンドル化によるものだと思うが、きちんと座ったときに左奥の1速がかなり遠い位置になる。左ハンドルなら手前になるから問題ないはずだろうが。

ヘッドライトがディスチャージドではないこと。ひょっとするとディレクショナルヘッドライトとの両立が出来ないからかもしれないが、やっぱりライトが明るいに越したことはない。

いまどき給油口が鍵式なこと。ドアロック連動じゃなくてもいいから、せめてオープナー式にしてもらいたい。

総合評価

プジョーはフランス車の中では最もドイツ車っぽい。それは207にも言えることで、その走りは今回のレポート通り、伝統的なフランス小型車というよりワールドカーとでも言うべき、多くの人に好まれるタイプになっている。エンジンがMINIと共通なのも、独自開発するより、どこかと組んだ方が合理的だからだろう。トヨタと組んで107を作ったくらいで、もはやパワートレインに関しては、極端なことを言えば何だっていい。そういう意味では日本に導入されないディーゼルこそが、プジョー本社が本命とする207用エンジンのはず。左ハンドル、MT、ディーゼルの組み合わせが、最もプレーンな207だろう。

となると、日本ではやはりボディデザインこそ、このクルマの大きな価値だ。幅がワイドになった分、ボディ側面の表情が豊かになり、ワイドトレッドでしっかり踏ん張ったカッコ良さを生み出している。そしてアイデンティティを誇示すべく巨大化したグリルや、大きな顔をして正面に鎮座するライオンマークの偉力は確かにあり、高速道路では簡単に追い越し車線を譲ってもらえた。206のような可愛さは薄れているので女性がどう感じるかは微妙だが、少なくとも世界市場で多くの男性に気に入られるためには、こうしたインパクトは重要。日本でも男性ユーザーの比率が高まりそうだ。

画像昨年(06年)9月から、ディーラーが「ブルーライオン○○」→「プジョー○○」と変わり、ブルーを強調したCIに基づく世界共通のイメージ作りがやっと日本でも始まった。ディーラー網自体は全国でほぼできあがっているから、あとはブランドイメージ作りがうまく進めば、再び輸入車の主流に躍り出るだろう。ここ数年、ディーラーは鮮度を失った206で苦しんできたが、207の登場に合わせてやっと攻勢に出られるはずだ。フランス車の味はなかなか多くの日本人に理解してもらえないが、プジョーのドイツ車っぽさ(というかグローバル車っぽさ)は日本人でも抵抗なく受け入れることができる。さらに207はデザインがいいから、小型車ブームに乗って好調なセールスを記録しそうだ。

試乗車スペック
プジョー 207 GT
(1.6Lターボ・5MT・264万円)

●形式:ABA-A75FX ●全長4030mm×全幅1750mm×全高1470mm ●ホイールベース:2540mm●車重(車検証記載値):1270kg(810+460)●乗車定員:5 名●エンジン型式:5FX ● 1598cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・直噴ターボ・横置 ● 150ps(110kW)/5800rpm、24.5 kg-m (240Nm)/ 1400-3500rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/50 L ●10・15モード燃費:12.6 km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●タイヤ:205/45R17(Pirelli P Zero Nero ) ●試乗車価格:-万円( 含むオプション:- ) ●試乗距離:140km ●試乗日:2007年4月 ●車両協力:プジョー名東

 
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