新車試乗記 第93回 トヨタ プラッツ Toyota Platz

 

日時: 1999年10月01日

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    キャラクター&開発コンセプト

    ヴィッツのプラットフォームを用いて、3BOXセダンに仕立てたプラッツ。かねてからトヨタが提案している「セダン・イノベーション」をこのクラスでも実現すべく開発された、21世紀をリードする新しいコンパクトセダンだ。消滅したターセル/コルサセダンの実質的な後継車となる。

    セカンドカーとしてだけでなく、ファーストカーとしても使えるフォーマル性を考えたとき、やはり独立したトランクを持つ3BOXセダンが欲しいという声に応え、ヴィッツベースという制約の中で、徹底的にパッケージングを煮詰めている。無理矢理3BOXにした感のあるエクステリアデザイン(豊田自動織機による)はあまり誉められないが、キャビンもトランクも大変広い。

    なお、ファンカーゴやヴィッツがヨーロッパ市場を意識しているのに対し、プラッツはアメリカ市場を意識しており、現地では「エコー」という名前で販売される。2ドアもあるようだ。

    価格帯&グレード展開

    価格帯は106万円~155.9万円、カローラとほぼ同じ価格帯

    エンジンはFFが1.0リッターと1.5リッター、4WDが1.3リッターとなる。全車、エアコンやデュアルエアバッグなど必要最低限のものは標準装備される。グレードはそれぞれに、オーディオさえ付かない廉価版「F」(除く1.0リッター車)と装備充実「X」が用意される。

    「F」には、オーディオや運転席ハイトアジャスターなどをプラス装備した「Lパッケージ」、黒色バンパーや装備をさらに簡略化したビジネスユースの「Eパッケージ」を用意。一方、1.5リッターの「X」には、スポーツサスやアルミホイールなどをプラス装備した走り志向の「Sパッケージ」を用意。

    価格は1リッターが106~121万円、1.3リッター(4WD)が135~154.8万円、1.5リッターが126.8~149.8万円。1リッターの最上級グレード「F・Lパッケージ」は120万円で、ヴィッツ・5ドアの最上級グレードよりも8万ほど安くなっている。また1.5リッターはほぼカローラの1.5リッターモデルとほぼ同価格帯となっている。

    セカンドカーとして使うのなら1.0リッターの「F・Lパッケージ」、ファミリカーとして使うのなら1.5リッターの「X」が適切な選択だろう。ライバルは大幅値引きのカローラセダン?

    ライバルは日産・パルサー、ミツビシ・ミラージュ、ダイハツ・シャレードソシアル、スズキ・カルタスの4ドアセダン。どれも今となっては影の薄い顔ぶれだ。やはり本当のライバルはカローラセダンか? モデル末期ということで大幅値引きもしていることだし。

    パッケージング&スタイル

    ヴィッツ+トランク、高効率パッケージを実現したコンパクトセダン

    ファンカーゴのボディサイズはヴィッツとかなり差別化されていたが、プラッツはほとんど変わっていない。2370mmのホイールベース、1660mmの全幅、1500mmの全高だけでなく、全体のボディラインも共通性が多い。しかし、フロントドア以外は全て別物で、全長は535mmも長くなっいる。その拡大分は大きなトランクを備えることによる、リアオーバーハング部分だ。結果、ターセル/コルサのセダンを115mmノッポにした、ショート&トールの3BOXセダンとなったわけだ。

    デザインは同じラウンドラインコンシャスであるヴィッツより落ち着いた印象だ。どこかプリウスの面影も感じさせる。横幅より縦に長いそのスタイルは、考えてみれば昔の日本車のよう。とはいえ保守的なセダンユーザーがこのスタイルを好むとは思えない。パッケージ優秀、空力特性(Cd値0.29)優秀、加えてヴィッツテイストのデザインといっても、プラッツのデザインは魅力に乏しい。リアオーバーハングが長いからなのか、ホイールハウスとタイヤの隙間が広いからなのか、それともデザインに煮詰め不足なのか…。ちなみに、デザインされた国は、ヴィッツがギリシャだったのに対し、プラッツは三河とのこと。

    後席が若干狭くなった以外はほぼヴィッツと同じインテリア

    2370mmというホイールベースはターセル/コルサのセダンより10mm短い。しかし、有効室内長は95mmもアップしている。室内幅と室内高もそれぞれ10mm、105mmアップと大幅に改善され、ヴィッツと同じように190cmの大人が快適に座れるだけの居住空間を実現している。

    また、トランク容量もターセル/コルサセダンより109lアップの464lを確保。クラストップレベルなのはいうに及ばず、ヘタな上級セダンよりも実用性は高い。シートバックは6:4の分割可倒なので、トランクスルーも可能だ。

    photo_3.jpg

    インパネはヴィッツと共通だ。センターメーターがタコメーター無しのデジタル(下級グレードはアナログ)というのも同じ。シートもヴィッツそのもの。体を優しく包んでくれる。ヴィッツと同じ骨格&異なる意匠を採用していたファンカーゴは座り心地がイマイチだったが、やはりヴィッツとまるっきり同じシートというのは、何度座っても感動(ちょっと大げさか)する。もちろん580mmという着座位置もヴィッツと同じで、視点が高く、乗降性も良い。

    後席は、着座位置がヴィッツより10mm低く、頭上高が30mm削られている。ヴィッツとシビアに比較しなければ上出来であり、大人がまともに座れる。

    なお、「X」に標準装備の「オートエアコン」は、吹き出し口を変えるなどのマニュアル操作ができない。

    基本性能&ドライブフィール

    ヴィッツと共通のメカニズム、エンジンは1.0、1.3、1.5の3本立て

    搭載エンジンは、ヴィッツおよびファンカーゴにも搭載される3種類が用意される。1.0リッター直4が最高出力70PS/6000rpm、最大トルク9.7Kgm/4000rpm)。1.3リッター直4が88PS/6000rpm、12.5kgm/4400rpm。1.5リッター直4が110PS/6000rpm、14.6kgm/4200rpm。なお、1.0リッターと1.5リッターはFF用、1.3リッターは4WD用となっている。燃費(10.15モード)はATで、1.0リッターが19.6、1.3リッターが16.6、1.5リッターが17.6。ヴィッツに及ばないものの優れた燃費性能といえる。

    ギアボックスは全車、4ATもしくは5MTの組み合わせ。ファンカーゴのようにシフトステアマチックは用意されていない。

    足回りはヴィッツと共通で、前がストラット式、後ろがトーションビーム式(4WDはトレーリングアーム式)。これに専用チューンが施されるわけだが、スタビライザーなどのスポーティサスを採用した「Sパッケージ」は、発売当初のヴィッツにインターネット専売グレードとして設定されていた「ユーロスポーツエディション」に相当するモデルだ。

    トルクたっぷりの1.5lエンジンは文句なしにイイ

    試乗したのは1.5lモデル。1リッターを積むヴィッツのパワーウエイトレシオが11.8kg/PSに対し、プラッツは8.5kg/PSだから、その差は歴然。全域トルクに溢れた加速で、クラスを考えれば過剰といってもいいほど。市街地での扱いやすさという点ではヴィッツと大差ないが、勾配の続く上り坂や中速域からの追い抜きでも、プラッツはグイグイと加速する。トルクの出方は全体的にフラット。タコメーターがないので回転数が分からないが、とにかくずっとトルク感が持続する。

    乗り心地やハンドリングは特筆すべき部分は見いだせなかったが、誰でも扱いやすいということだけは確かであり、むしろ車格を考えれば上等な仕上がり。タイヤはプア、ハンドリングの追従性はけして優れていないもののフニャフニャしてはいないし、このクラスを購入するユーザーのことを考えれば、現状のままでいいと思う。

    高速の安定性も上出来だ。今や軽自動車でも安定しているとはいえ、100km/hあたりからの再加速や、低回転に抑えられるエンジン回転など、ヴィッツでは期待できない余裕がある。最高速は160km/h程度だと思うが、そこまでの走りの余力というか、トルクの太さが1lエンジンとは比較にならない。エンジンフードに遮音材が非装着の割にはエンジン音は静かに抑えられており、たとえ高回転まで回しても耳障りではない。直進性、空力の良さから来る安定感などリッターカークラスとは思えない走りだ。法が許せば130km/h以上のスピードでの長時間の高速クルージングも悠々快適だろう。

    ここがイイ

    虚像式センターメーターはいい。ファンカーゴのようなセンタメーターのアナログ式はかなり興ざめで、未来的インパネにはやっぱりデジタルでしょう。また奥まった部分に見えるため、目の焦点もあわせやすい。そしてヴィッツ譲りのシートも絶妙。パワーもあってハードウェアとしてはいうことありません。

    ここがダメ

    例えあってもたいして利用価値はないが、それでもやっぱりタコメーターが欲しい。バーグラフ式でいいからセンターメーター内にぜひ。またトランクスルー式のリアシートバックあたりからゴトゴト音が出ていた。おそらく個体差だが、他に不満がない室内だけにちょっと気になってしまった。

    総合評価

    photo_2.jpg

    ヴィッツはリッターカーとして完璧に近いが、それはリッターカーと納得しているから。乗ってみると走りは必要十分程度。もっと走ったら更にイイとは誰でも思うことだろう。その点プラッツは、走りの面で随分余裕があり、クルマとしての資質は明らかにヴィッツより上。ただ、今一つスタイルが気に入らないし、本来のリッターカーとしての存在を否定していることにもなり、そのあたりが評価しづらいところ(ヴィッツの1.5l版がクルマとしては理想だが、それこそまた、排気量の大きいクルマの方がいい、という今までの道をたどることになってしまう)。

    それとこれは仕方ないことだが、日本でこのクルマにフル乗車していると、どこかビンボ臭く見えてしまう。ヴィッツやプリウスだとそんなことはないのだが。コロナ・カリーナあたりから乗り換えてもほとんど快適さは変わらないはずだが、乗り換えるための「いいわけ」がしにくいのだ。ステイタス感というものとはちょっと違うが、小さいクルマこそクラスに関係ない存在意義が欲しい。それがないといくらいいクルマでも買いたいというところまではいかないのだ。プラッツにはそれは、ない。ほっておいても数は出るクルマではあるが、ターセルやカローラの代替えというのではちょっともったいない感じだ。

     

    公式サイトhttp://toyota.jp/

     
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