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VW ポロ新車試乗記(第133回)

Volkswagen Polo

 

 

2000年07月29日

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キャラクター&開発コンセプト

6年目を迎えて進化した欧州の定番コンパクトカー

ご承知のようにポロはフォルクスワーゲンのボトムレンジに位置するクルマだった。だったというのは、現在は3リッターカーであるルポが登場しているから。これによってポロはコンパクトカーには違いないが、少しアッパークラスのモデルというスタンスになってしまった。よって今回のビッグマイナーチェンジでは、高級感と質感に関して大きく向上が図られている。内外装とも「今までとは別のクルマ」とも言うべき大きな変化をみせているのだ。

ボディバリエーションは今までどおりの2ドアと4ドアのハッチバックだが、今回大きなキャンバス製開口部を持つ「オープンエア」が追加された。かつて日本車にも存在したキャンバストップだが、見られなくなって久しい。オープンカー並みの開放感は独自のもの。オープン好きな人には朗報だろう。

エンジンは3ドア・5MTのGTIに125psの可変バルブ1.6リッターDOHC、そのほかは1.4リッターDOHCの75馬力燃費はGTIの方が良くて10・15モード15km/リッター、1.4は12.8km/リッターだが、1.4の実燃費は8.1km/リッターだった。

価格帯&グレード展開

割安感こそないが、比較的手頃に買える価格が魅力

グレードは2ドア、4ドア、オープンエア(4ドア)、GTI(4ドア)の4つで、全車右ハンドル。GTIだけが5MTで他は4ATとなる。価格は順に175万円、195万円、205万円、220万円となり、CDオートチェンジャーが5万円のオプション設定されている。ポロの場合トランクルーム内に専用のCDチェンジャースペースがあるのが特徴。これをつけて標準的なモデルの4ドアが200万円ちょうどだ。多くの人が買う気になれば買える価格だろう。

グレードによる装備の違いはGTI以外ほとんどなく、そのGTIは革巻きのステアリングやシフトレバー、ディスチャージヘッド、BBSホイールやスポイラー類が追加される。またオープンエアにはアルミホイールが標準となっている。

標準装備ではサイドエアバッグ、ABS、リモコンロック、トランク内12Vソケット、MDデッキというあたりが目を引くところ。カップホルダーもひとつだけダッシュボードについた。このように一通り何でもついているようだが、唯一、欧州車の流儀を残しているのがリアウインドウのレギュレータハンドル。どうしてここだけいつまでたっても手動なのか。理由はもちろんあるのだろうけれど、もはやあまり意味のない理由になっているのでは。

ISOFIX規格のチャイルドシート固定機構も標準だが、じっくり見ると意外に単純な仕掛けだった。決められた位置(リアシート奥)に細いパイプ状のステーが溶接され、そこへ樹脂の挿入ガイドがつけられているというもの。この程度のものなら国産車ももっと多くの車種が装備すべきだろう。

パッケージング&スタイル

全部品の60%の改良が実施された2000年モデル

旧型との違いは一見したところではわかりにくいが、ボディに一体化したかのごときバンパー類、クリアレンズですっきりしたヘッドライトまわり、など広報資料にあるとおり確かに精悍でシャープで洗練されたデザインとなった。ゴルフやボーラもそうだが、全体を滑らかでかつ硬質な印象にまとめるのが最近のVWの傾向。そのトレンドでポロもリファインされたと言うことだ。ボディ剛性が上がって、パネルの隙間がゴルフ同様に狭まっているのも自慢だ。

最もわかりやすい外観はリアのナンバーがハッチからバンパーへ移動したこと。これでゴルフみたいなリアビューとなった。サイドのモールやドアハンドルもボディ同色化されている。全体としては確かに旧来からのポロだが、ワンランク車格が上がったかに見えるうまい仕立てだ。ベーシックカーから脱皮したスタンスとなったことを、外観が見事に表している。

 

インパネは一新。ゴルフ同様のシボの強いインパネ素材は、例のごとく黒一色。メーターバイザが独立しており、その下には六角ビスで固定されたシルバーのリングが特徴的な3連メーター。左からタコ、時計、スピードで、こちらも例によって夜間は深いブルーに照明される。ステアリングは握り部分が細身(かなり細くやや違和感あり)の3スポークでスポーティになった。全体に高級感は出たが、かなり古典的なレイアウトだ。

ダッシュセンター上部に2DINのスペースがあり、カーナビも装着しやすそう。だだし、エアコンのつまみは下方、シフトの前に移動し、ちょっと使いにくい位置となった。そのシフトレバーまわりはゴルフ同様のメッキタイプ。これはあまり趣味がいいとは思えないが、当然、高級感は先代よりある。またカップホルダーの右横はカード入れになっているが、ここもカップホルダーにしても良かったのでは。ハザードスイッチがダッシュ最上部についたのは結構な話だ。

シートはサラっとした素材で、ドアの内張なども同様。ハイト調整もでき、座り心地は過不足なし。しかし欧州車の常で、背もたれの角度調整はダイヤル式。これも今となっては便利とはいえないと思うのだが。リアシートは広いとはいえない。最近の小型車と比べると明らかに狭い感じがする。パーソナルユースからフル乗車状態まで、すべてを小型車で済ませるためのパッケージングでないのは、やはり古さを感じさせるところだ。ただこのクラスの欧州車は最近どれもそう広くない。206、クリオ、プント、ヴィータなど確かにそう。ヴィッツは妙に広いのだが、欧州車の方がパーソナルな方法に向かっているのだろうか。

基本性能&ドライブフィール

ドイツ車とは思えない乗り心地。MTが欲しくなるエンジン特性

試乗したのは4ドア。75ps/5000rpm、12.8kgm/3800rpmの新世代オールアルミエンジンが載ることになったポロだが、そのエンジンフィールには特にコメントなし。フツーに噴き上がるフツーのエンジンという感じだ。パワー感は1.4リットルとしてはやや不足気味に感じられる。特に上りのきつい坂などではモアパワーが欲しくなるほど。トルクは比較的フラットでいいのだが、問題はシフトダウンが頻繁なこと。ちょっとアクセルを踏むとすかさずシフトダウンしてくれるため、どうも落ち着かない。高回転を好むシフトスケジュールといってもよく、街中では4速をカットという古典的欧州車走りの方が落ち着く。こうなると俄然MTが欲しくなるところだ。初期型のゴルフIVや206もそうだったが、やっぱりこのクラスの欧州車はなぜかATがいまいちに思えてしまう。

乗り心地はVWという先入観を持って乗ると、柔らかいのに驚かされる。フロントストラット、リアトーションビームの足まわりは、フロントアッパーマウント、リアラバーマウントを共に大容量化しており、これが功を奏してか、街中での乗り心地はゆったりと悪くない。反面、ハンドリングにキビキビ感は少なく、ベビーギャング的な楽しさはない(GTIはおそらく違うと思うが)。また路面の荒れに対してはかなりドタバタした印象もあった。

高速走行ではもちろん法定速度なら何ら不満が出ないし、騒音も静かな方だが、速度を上げても、直進性や静粛性などにそう際だった優位性が出てくるわけではない。正直、アウトバーンを疾走するイメージはこのクルマにはない。ただブレーキは全グレードで4輪ディスクとなっている。

ここがイイ

先代ポロはいかにもベーシックカーという感じで、どことなく安っぽさすらあったが、今回は全体にワンランク上のクルマになった印象がある。最近のフォルクスワーゲンの品質向上はめざましい。日本における輸入車販売台数のトップを走るのも分かるところ。買うなら先代より今回の方がいいのは明らか。というか、欧州車らしい、モデル末期の完成型がここに登場という感じだ。先代よりはすべてにおいて商品力が増している。オープンエア(キャンバストップ)も他の車種には無いもので、アドバンテージになるだろう。

ここがダメ

品質も上がって、乗り心地も良くなって、スマートになってというのは悪くないが、ドイツ車臭がどんどん薄まっているのはいかがなものか。良くも悪くもあのドイツ車の味がVWブランドをVWたらしめていたというのは、オジさんの戯言か? ガシッとした剛性感はあるが、それに見合ったビシッとした足でないのも、古くからのドイツ車好きにはつらい。だから数が売れるのだというのは確かだが。細かいところではパワーウインドウスイッチの位置が、もうすこし前寄りにあると使いやすいと思った。

総合評価

コンパクトカー全盛の昨今、その老舗とも言うべきポロのビッグマイナーチェンジには大いに期待したいところだったが、乗ってみると、いいクルマだとは思うものの、強く惹かれるものがなかった。小さいくせにドアはガシッと閉まるし、スタイリングも先代より今っぽくていい感じだ。内装にいたっては先代は古くさかったなぁと(古き良きともいえるが)はっきりいいきれる出来の良さになった。と、全体的には不満がないのだが、もう一つ欲しいなと思えるだけの何かがないのだ。

やはり、ベースが6年も前のクルマだけに、その部分が大きいといえそうだ。ポロはこの6年の間に続々と生まれたコンパクトカーに比べると、ずいぶん古典的なクルマに見える。パッケージングは当たり前だし、一新されたインパネも特に斬新ではない。同社のルポのあの先鋭さと比べれば、もう少しやってもよかったと思う。

またどうしてもヴィッツと比較してしまうことには問題があるかもしれないが、両車を並べてみると、この数年のコンパクトカーの大きな動きが見えてくる。実用性を、対環境性を考えればこれからのモータリゼーションの中心となるコンパクトカーは、もっともっと変わっていっていい。高級車にしかないような快適装備、通信をメインとしたハイテク装備は日常的に使われるコンパクトカーにこそ、安く搭載されるべきだ。そうした新しいコンパクトカーへの可能性はポロにはない。とはいえ、古典的なコンパクトカーとしてはモデル末期の完成型ゆえ、ここ数年乗ってもクルマとしての不満は出ないとは思う。品質やディーラー体制を考えると、フォルクスワーゲン車はやはり輸入車の長であることは間違いない。

 

 

 
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