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VW ポロ新車試乗記(第230回)

Volkswagen Polo

 

 

2002年07月26日

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キャラクター&開発コンセプト

VWのボトムレンジを長年にわたって担う

初代ゴルフがデビューした翌1975年に、VWのボトムレンジとして誕生したポロ。日本に本格上陸したのは遅ればせながら96年の3代目ポロから。「初代ゴルフ並み」のボディサイズや手頃な価格を武器に大ヒット。フォルクスワーゲン・ジャパンにとってはゴルフ、ゴルフ・ワゴンに並ぶ代表車種となった。

2002年6月14日より日本で発売された4代目ポロは、さらにサイズアップ。初代ゴルフを越えてゴルフ2もしくはゴルフ3に近い大きさとなった。さらに向上したクオリティが示すとおり、上級への移行を果たす。今年度の目標販売台数は、残り半年で1万台と強気だ。

価格帯&グレード展開

主力の4ドア。価格が魅力の2ドア

新型ポロは4ドア(198万円)と2ドア(178万円)の2モデル構成。グレードは1種類だ。全車4AT、右ハンドルとなる。

実際の販売は4ドアがメイン。従来のポロやゴルフに限らず、この種の小型車は圧倒的に4ドア需要が高い。ただしドアの枚数を除けば仕様は基本的に同じ。つまり4ドアを選ぶ場合、ドア1枚につき10万円余分に払う勘定である。高いと思いつつ、多くの人はやはり4ドアを選ぶだろう。逆に言えば2ドアモデルはお買い得。ただし同じ2ドア、同じエンジンのルポが149.9~159.9万円で買えるが。

オプションとして「マルチメディアステーション」(5.8型ワイドモニター付DVDナビ、MDプレイヤー、AM/FM/TVチューナー。23.5万円)と電動ガラスサンルーフ(8万円)が用意される。

日本市場でのライバルは輸入車ではプジョー206、新型ミニ。ちなみに欧州市場では同じく206、オペル・コルサ(ヴィータ)、VW傘下で振興著しいシュコダ・ファビア(ポロがベース)、同じくVW傘下のセアト・イビーザ(同じくポロベース)、地域によってトヨタ・ヤリス(ヴィッツ)といったところか。

パッケージング&スタイル

丸みを増したボディ

新型は全長3890mm×全幅1665mm(2ドアは1655mm)×全高1480mm。ホイールベースは2470mm。旧型比で、140mm長く、55mm高く、ホイールベースは60mm延びた。ゴルフ2&3に比べて全長は約10cm短いが、全高はぐっと高い。

レーザー溶接を多用して33%剛性アップしたというボディパネルは、現行ゴルフ以上に丸みを帯びた。ボンネット左右は緩やかに盛り上がり、中央部も微妙に膨らむ。ドアやテールゲートも、膨らみとクビレが混じった複雑な面構成。丸目4灯はちょっとメルセデスのEクラス風だ。クリアレンズを使ったライト類も相まって、クオリティの高さをひたすら訴えかける。

室内クオリティはトップ独走状態

すっかり「質感フェチ」のフォルクスワーゲンだが、新型ポロも例外ではない。例えば先代ポロを見て、トヨタ・イストやホンダ・フィットが追従したディンプル処理のダッシュボード。新型ポロはそれをあっさり捨てて、ソフトパッドに格上げしてしまった。オモチャっぽさは一切無く、ドイツ車らしい精緻な仕上げで統一される。ナショナルではなくブラウン(シェイバーの話)、といった感じ。

運転席の調節機構も充実している。レバー式の座面高さ調整は、操作のし易さで最も優れたタイプの一つだと思う。前後スライドはローラーベアリング式。滑らかに動き、きめ細かく調節可能。ステアリングはチルト&テレスコピック。ちなみに左ハンドルモデルの名残りか、助手席シートも高さ調節ができる。

試乗するのは暗くなってから

インテリアで特に高級感を感じたのは、夜になってインパネにブルーとレッドの照明が点いた時。先代ポロのマイチェン後と雰囲気はほぼ同じだが、表示が増えて鮮やかさが増した。

室内照明も豪華だ。フロントは残照機能付き、左右バニティミラーも照明付き。後席用はなんとリーディングランプ付き。フロントドアにはカーテシランプ。室内の「光り物」に関しては高級車並みと言っていいだろう。フォルクスワーゲンの営業の皆さん、ぜひ暗くなってから試乗をさせましょう(きっと成約率が上がります)。

使いやすいエアコン。増えた小物入れ

風量だけをマニュアル調整する「セミオートエアコン」の使い勝手も良い。人によってはフルオートより良いと感じるだろう。スイッチ位置も全体に高めになっている。気になったのは空調の内気循環&ACの切り替えスイッチ。ライトがオレンジかレッドに切り替わるだけなので、夜間はともかく昼間はオンかオフか判別が難しい。

小物入れも増えた。特にダッシュボード下部の棚(フィットとほぼ同じ)は便利だ。ダッシュボード内蔵のドリンクホルダーはちょっと面白い仕掛け。びっくり箱のようにホルダーが飛び出す。グラブボックスやボンネットなど、ダンパーだらけの新型ポロ。しかしここだけはダンパーが入っておらず動きが極端に安っぽい。まあ、仕掛けが面白いので許そう。

広くなった室内。後席座り心地は好みが分かれる

先代ゴルフと比べても室内空間は互角。後席ドアの足元開口部も遜色ない(先代ポロはここが狭かった)。荷室は広くなったが、それでもまだポロの方が一回り小さい。が、自転車や家具といった大物を積む時を除いて困ることはないはずだ。

ただしゴルフ同様、後席をダブルファンクションで折り畳むのはかなり面倒くさく、日本製小型ミニバンの使い勝手の良さと比べると古くさく思える。そして後席は「正しい座り方」を要求する椅子のような形状でソファ的な座り方を受け付けないのは、特に日本人では好みが分かれるところだろう。

基本性能&ドライブフィール

端的に言って遅い。しかし慣れる

試乗車はすでに街で見かける4ドア(198万円)。夏の日差しを跳ね返す白(キャンディ・ホワイト)のボディカラーが目にまぶしい。メーカーオプションの「VWマルチメディアステーション(アイシン製。23.5万円)が付き、車両価格は計221.5万円だ。

メルセデス・ベンツもかくやというくらい、ズッシリと重く立派なキーを差し込みスタート。1.4リッターエンジンは先代ポロやルポと基本的に同じ。アイドリングは、ひょっとするとSOHCの2バルブに「先祖帰り」したゴルフより静かかもしれない。ATセレクターの操作感は素晴らしく滑らか(トヨタ車に匹敵?)。メッキパーツが他車同様、高級感を演出している。

新型ポロの最大の欠点、それはあらゆる速度域でダッシュが効かないことだ。一言で言って遅い。エンジンは75ps/5000rpm、12.8kgm/3800rpmだが、引っ張るボディは1160kgと先代ゴルフ3のGLi(1170kg)並みの重さ。パワー・ウエイト・レシオは15.5kg/psとかなり厳しい。数字だけ見れば、軽自動車並みだ。追い打ちを掛けるのが燃費重視の電子制御スロットルとオートマチックで、とにかくドライバーの先を急ぐ気持ちなど素知らぬ振りしてキックダウンを拒み、マイペースを守る。「のれんに腕押し」状態だ。

優れた静粛性、高速安定性、乗り心地

しかしそれで凄く困るか、というとそうでもない。交通の流れに乗るには十分な性能であり、回してもうるさくないせいもあって慌ただしくないとは言える。最初は「ひょっとすると150km/hくらいで頭打ちか」と思った最高速も、メーター読み170km/hオーバーまで伸びるのを確認した(1名乗車)。ただしスピード域を問わず加速はたいへん緩慢。意外に最高速が伸びるのは、おそらく空力が優れているせいだろう。

静粛性や安心感も高レベル。160km/h巡航でも緊張感がとても少なく、心拍数がほとんど上がらない。これだけ非力なのに高速走行が得意なクルマも珍しい。旧型で申し訳ないが、個人的に所有するゴルフ3('96年式)と比べると、静粛性や安心感は、圧倒的にポロの方が優れている。いくらモデルが古いとは言え、格下? のポロにここまで負けてしまうなんて。100km/h巡航は4速トップで2800rpmだ。

ちなみにポロはセレクターでギアを固定した場合、自動シフトアップは行われない。リミッターの作動方法は少し変わっており、まず5,500rpmまで吹け上がった後、いったん加速を緩やかに。そのあとレッド5.800rpmまでじわじわと上昇させた後、完全に加速を止める。その時も通常のリミッターのようにガクッとスピードが落ちないのは、電子制御スロットルの開度を絞って対処しているからだろう。

まさに驚くほど効くブレーキ

ポロに乗って驚くのはブレーキがよく効くことだ。ABSはもちろん、EBD(電子制御ブレーキ圧配分システム)&ブレーキアシストが付くこのブレーキ、ちょっと強めに(素速く)踏み込むと急激に制動力が立ち上がる。高速道路を走行中、いつもの調子でブレーキを踏むと、シートベルトが肩に食い込むくらいだ。もちろん、踏み方を加減するのにはすぐに慣れる。「ABSなんか効かせたことがない」というような女性でも、タイヤやブレーキの能力をいざという時に最大限使い切ることができるデバイスといえる。

フォルクスワーゲンと言えば安定感のある走りをイメージするが、走りの面で向上著しい国産スモールカーと比べると、新型ポロが圧倒的に優れているわけではない。気になったのはコーナリングやレーンチェンジでESP(エレクトロニック・スタビリゼーション・プログラム。VDC、VSCなどと同じ)がわりと簡単に介入すること。ESP作動時はインジケーターが点灯する。タイヤは大人しい性格のミシュラン「エナジーXSE」(185/60R14)だった。

10・15モードは先代12.8km/Lから13.4km/Lに向上

燃費は高速道路150kmと比較的空いた幹線道路を含む約230kmで計測(1名乗車。エンジン停止は1回のみ)。参考ながら結果は11.3km/Lだった。高速区間は少々ハイペースで、もっとおとなしく走れば10・15モード燃費の13.4km/Lは達成できたと思う。フォルクスワーゲンに限らず、ヨーロッパ車の高速燃費は国産車より優れることが多いが、逆に街中で10km/Lクリアは難しいかもしれない。燃料は先代のレギュラーからハイオク指定に戻ってしまった。

ここがイイ

内外装の高い質感はだれでも一瞬にしてわかるはず。インパネのブルーの照明(夜間限定)はいいムード。カーナビがダッシュセンター高めに用意され、見やすい。輸入車もいよいよここが定位置になった。リアシートにはアームレストがついたし、リアのウインドウも電動だ。輸入車だからと言って我慢することは一つもない。

静粛性と乗り心地は国産車を含めたこのクラスとしては平均値のちょっと上という感じ。特にエンジン音が小さいため、高速ではロードノイズと風切り音がかえって気になるほど。かつての硬めの乗り心地を期待すると裏切られるが、街中ではこのくらいがいい。

ここがダメ

やっぱり遅い。実用的なトルク感がなく、走りたい人にはかなり辛いだろう。いずれ出るであろうGT系を待とう。

ワインディングで楽しくはないハンドリングも走りたい人には辛いだろう。これもいずれ出るであろうGT系を待とう。

後席シートの、背筋を伸ばした座り方の強要に関しては、文化の違いとあきらめるしかない。運転席の座り方はやっとかなりシャキッとしてきた日本人だが、リアシートではシートベルトすらしない現状で、この様な姿勢コンシャスなシートが支持されるとはちょっと思えない。

総合評価

プレミアムとは何だろう。上質感? ブランド力? いや、同クラスの中では明らかにちょっと上、ということこそがプレミアムの意味ではないだろうか。プレミアムコンパクトを標榜するポロにとっては、それを証明することこそが最重要課題。それはフォルクスワーゲンの生きる道でもあるのだ。

先代デビュー当時は同クラスのコンパクトカーとそう大差なかったが、ゴルフの上質化に伴って大がかりなマイナーチェンジを受け、プレミアム加減を増していった。一方で、ベースがいかんせん古く、厚化粧な感は否めなかったのだが、いよいよ今回のフルチェンジにより、すべてにおいてフォルクスワーゲン道を行くプレミアムコンパクトができあがったわけだ。

その上質感は、特に内装に顕著だ。上級車と比較してもほとんど遜色ないその質感は、トヨタ車にも匹敵するクラスを超えたもの。鉄板むき出しのルポは別として、VWラインナップの内装は同等の上質感で統一されている。逆にいえば、どのクルマも同じように感じてしまうのだが、通常は一台だけ買うわけで、この上質感は確かにうれしいところだ。

乗り心地も固すぎず、室内は静かで、上質な走りの雰囲気をうまく演出している。先代では気になった60km/hあたりで繰り返されたシフトチェンジのギクシャク感も解消され(その結果キックダウンしないのだが)、遅いかわりにセコセコした雰囲気はなくなっている。コーナリングも安定志向。大人のコンパクトカー=プレミアムコンパクトを実現したといっていいだろう。

したがって、日本においては奥さんの足として、またファミリーコンパクトカーとして、年間2万台は確かに固いと思われる。大きくなりすぎたゴルフに踏み切れない人は多いが、ポロなら納得できるだろう。とはいえ願わくば旦那がEクラス、奥さんがポロという買い方はやめて欲しい。これはどう考えてもちょと恥ずかしいと思うのだ。でも実際には郊外の高級住宅街なんかで増えそうだな、このパターン。

●車両協力:フォルクスワーゲン本山・小牧

公式サイトhttp://www.vwj.co.jp/index2.html

 
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