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VW ポロ 1.4 コンフォートライン新車試乗記(第581回)

Volkswagen Polo 1.4 Comfortline

(1.4リッター直4・7速DCT・203万円)

7速DCTを得た新型ポロは
「小さな高『品質』車」だった!

2009年12月05日

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キャラクター&開発コンセプト

5代目に進化。ゴルフ譲りのデザインと7速DCTを採用

1975年に登場して以来(日本への導入は1984年の2代目ポロクーペから)、34年間に累計1060万台以上を販売してきたVWポロ。その5代目が2009年10月31日に日本で発売された。ゴルフより一回り小さいこのポロが、現在日本国内ではVWのエントリーモデルとなる。

新型ポロの特徴は、現行ゴルフ譲りの外観デザイン、質感の高まったインテリア、ポロ初となった「DSG」こと7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)の採用など。今回導入された1.4リッター自然吸気エンジン車の場合、10・15モード燃費は17.0km/Lとなり、先代(ほぼ同型エンジンの6AT仕様)より約3割も燃費性能を向上させている。

なお新型ポロは2009年11月末に発表された欧州カー・オブ・ザ・イヤー2010を見事受賞。意外にもVWの受賞は1992年の3代目ゴルフ以来とのこと。受注も順調なようで、5月にドイツ本国で発売されてから、この11月までに世界全体で13万台以上、日本では発売1ヶ月で2000台以上の受注があったという。

過去の新車試乗記>フォルクスワーゲン ポロ (2002年7月)

価格帯&グレード展開

ひとまず1.4リッターNA・5ドア(203万円)から


ボディカラーは定番のフラッシュレッドなど計5色。右がシーブルー、奧がリフレックスシルバー
(photo:フォルクスワーゲン グループ ジャパン)

第一弾として日本に導入されたのは、1.4リッター直4・自然吸気エンジン(85ps、13.5kgm)に7速DCTを組み合わせた「1.4 コンフォートライン」(5ドア)。来年以降にはさらに新開発の1.2リッター直4ターボ仕様「1.2 TSI」(UK仕様で105ps、17.8kgm)がおそらく7速DCT仕様で登場してくるはずだ。

■1.4 コンフォートライン   203万円 ★今週の試乗車
 1.4リッター直4(85ps、13.5kgm)・7速DCT・5ドア

パッケージング&スタイル

全長と全幅はフィットとほぼ同じ

ボディサイズ(先代比)は全長3995mm(+80)×全幅1685mm(+20)×全高1475mm(+5)。ホイールベースは2470mm(同)。今や3ナンバー幅でもおかしくないこのクラスの欧州車だが、新型ポロはしっかり全長4メートル、全幅1.7メートルの大枠に収まっている。全長と全幅はホンダ・フィットとほぼ同じで、相変わらず道路も駐車スペースも狭い日本では嬉しいところだ。最小回転半径の4.9メートルはフィットの1.5リッター車と同じで、実際かなり小回りが効く。

ゴルフをスケールダウンしたようなデザイン

スタイリングは現行ゴルフ6(4210mm×1790mm×1485mm)をスケールダウンしたような感じ。デザイン部門トップのワルター・デ・シルヴァは、新型ポロのデザインにあたってVWのDNAである「シンプルさ」を心がけたという。確かに、ゴルフの「無駄」を削ぎ落としたようなデザインだ。

逆に言えばゴルフが持つゆとりや伸びやかさはないわけだが、そのあたりの棲み分け方はゴルフとポロが誕生した1970年代以来の伝統でもある。

インテリア&ラゲッジスペース

先代ゴルフのようなインパネ。広さ「感」は歴代ポロ通り

インパネのデザインと質感はまるで先代ゴルフのよう。ただしメーターや各種情報モニター(マルチファンクションインジケーター)の液晶表示は新型ゴルフと同じ黒バックに白文字となり、とても見やすい。操作そのものに目新しい部分はなく、従来のVW車と同じように扱える。

 

室内の広さは歴代ポロ同様そこそこ。ゴルフのようなゆとりはないが、むしろコンパクトカーらしいクルマとの一体感が得られるし、狭い道でもボディの幅が気になることはない。

 

先代同様、運転席には軽く操作できるラチェットレバー式のシートリフター、ローラーベアリング式の前後スライド、そしてチルト&テレスコ付のステアリングが備わり、思い通りのドライビングポジションが取れる。相変わらずリクライナーはダイアル式でちょっと面倒だが、無段階なので微妙な調整をする場合には都合がいい。

 

エアバッグは計6個で、前席にはフォースリミッター付シートベルトテンショナーを装備。「ユーロNCAP」で最高の5つ星を獲得するなど、衝突安全性は(VWゆえ当然ながら)トップクラスとなっている。

キープクラス感のリアシート

ホイールベースはゴルフより105mmm短いポロだが、後席の広さや乗降性は先代ですでに十分な水準に達していた。ゴルフに比べて背もたれのクッションは平板で、センターアームレストや空調吹き出し口も備わらないが、決定的に劣るところはなく、むしろポロの方こそコンパクトカーの本流という気がする。

使い勝手が良くなった荷室


トノカバーを外し、フロアボードを上げた状態

荷室容量は先代より10リッター増の280リッター。荷室内の形状は先代とあんまり変わっていないが、開口部は若干広がったように見える。床面はバンパーレベルまで上げ底になり、その下には薄めの収納スペースが新たに設けられた。容量重視ならフロアボードを外してしまえばいい。

 

60:40の分割可倒式リアシートをダブルフォールディングで畳めば、容量は952リッターとなる。先代モデルはヘッドレストを取り外すのが面倒だったが、新型はヘッドレストが収納式になり、取り外さずに済むようになったのが大きな進化。背もたれを倒すだけのゴルフと違って一手間あるが、より水平に畳むことができる。

 

床下にはスペアタイヤ・・・・・・と思いきや、なんとパンク修理キットを搭載。スペアタイヤも積めそうな搭載スペースだが、そうすると上の床下収納は使えなくなるかも。荷室容量が10リッター増えたのはスペアタイヤレス仕様としたからか。

基本性能&ドライブフィール

予想を上回る力強い走り


ポロ コンフォートラインの1.4リッター自然吸気エンジン
(photo:フォルクスワーゲン グループ ジャパン)

「コンフォートライン」の1.4リッター直4・DOHC(85ps、13.5kgm)は、先代ポロの1.4リッターエンジンの改良版。直噴ではなく一般的なポート噴射だが、インジェクターやECUを変更して馬力は5ps上積みされている。スターターを回してエンジンに火が入った時の「ガシャコン」という(DCTの?)音は独特だが、アイドリング時のエンジン音は非常に静かだ。
車重1080kgに対してわずか85psだが、これが実に力強い。電子制御クラッチによるクリープからの動き出しはごくスムーズで、トルク感もそこからきっちりある。全体にローギアードなため、1速出だしの力強さは上級のターボエンジンに見劣りしない。

さすがにアクセル全開でのダッシュはスペック相応だが、吹け上がり感は軽快なので、そんなに不満は感じない。0-100km/h加速は先代1.4の14.3秒から11.9秒(ドイツ計測値)に向上したというが、確かに先代ポロの1.4にあった非力感(特に初期の4ATは遅かった)は過去のもの。最高速はメーカー発表値で177km/hだ。

坂道発進が上手になった

そんな印象となったのも、全てはこの7速DCTのおかげ。トルクは13.5kgmしかないので、もちろんトルク容量の小さい乾式クラッチタイプだ。その変速制御は素晴らしく、テキパキかつ滑らか。走り出して100メートルも行かないうちに「これはいいクルマだ」と確信できる。

中でもいいのが、DCTの坂道発進が上手になったこと。ゴルフにしろアウディにしろ、従来のDCT車はどうかすると坂道で後ずさりしたが、新型ポロのDCTなら、ほぼ大丈夫。ブレーキを離した後のヒルホルダー状態から、半クラッチを上手に使ってスムーズに発進してくれる。

日常域ですべてが「ちょうどいい」


サスペンションは定番のフロントがマクファーソンストラット、リアがトレーリングアーム
(photo:フォルクスワーゲン グループ ジャパン)

いいクルマだなあ、と思うのは、パワートレインのせいばかりではない。先代と変わらないコンパクトなボディ、いかにも高品質感のあるボディ、パワステの滑らかな手応え、そして硬すぎず柔らかすぎない足まわりなどが、日常域ではすべて「ちょうどいい」ところに落とし込まれているのが大きい。試乗インプレッションにありがちな「ここは、○○だったら」みたいなところが新型ポロには、ほとんどない。

7速トップには早くも約60km/hで入り、100km/h巡航は約2250回転でこなす。直進安定性、乗り心地、静粛性などなど、普通に走る限りは何の文句もなく、まさに小さなプレミアムカーだ。思わず、クラスもボディタイプもまったく違うが、先週乗ったマークXと比べてしまいたくなる。

ワインディングでの走りでゴルフと差

ワインディングではATシフトレバーを「D」から「S」にするだけで、けっこうスポーティに走れる。またパドルシフトはないが、シーケンシャル式のMTモードはあり、DCTによるシフトアップ(MTモードでも自動シフトアップする)、シフトダウンの素速さは言うまでもない。プラットフォームは基本的にキャリーオーバーと思われるが、トレッドは40mm拡大され、タイヤも先代1.4リッターの185/60R14から185/60R15と外径がそのまま1インチ大きくなっている。8割くらいのペースで走る限りは、何の不満もない。

ただ、さらにペースを上げたマニアックな領域だと、電動油圧式パワステの手応えが車速が上がっても軽いままなのが気になってくる。ステアリングのレシオもかなりスローだ。乗り心地のいいサスペンションもこうなるとロールが大きく、その後の収まりもよくない。結果としてアンダーステアが強く、ステアリングを切ったままクルマが曲がってくれるのを待つスタイルとなる。ここが、その気になればタックインも使えるゴルフと一番差を感じる部分だ。

試乗燃費は11.5~18.0km/L

試乗燃費は一般道から高速までかなり元気に走った区間(約90km)で11.5km/L。さらに無駄な加減速を控えて一般道を走った区間(約30km)が16km/L。さらに高速道路を法定速度で流した区間(約30km)では、何と10・15モード燃費の17km/Lを越える18.0km/Lで楽々走ってしまった。プレミアム仕様なのがちょっと残念だが、そのトルクフルな走りを思えば十分に納得できるのでは。

ここがイイ

乗れば誰でも分かる

小さいのに何でこんなにいいの、と思わせること。黙って乗れば誰でも分かる。坂道をずり下がらなくなった7速DSGがお利口で燃費もいいし、ガソリン自動車としては大傑作の部類だろう。本国にはディーゼルもあるはずだから、それも乗ってみたいもの。こと欧州車は、デビュー当初だと問題ありのモデルが多いけど、ポロはいきなりいい。となると、これから欧州車の常としてどんどん良くなっていくはずだから、いったいどうなるか、末恐ろしいクルマだ。

ここがダメ

「質実剛健」では訴求できないこと

日本市場では少々理解されにくいクルマであること。本質は質実剛健の極みとも言えるクルマなのだけど、日本ではたぶんオシャレな女性向けとして売ることになるだろう。またゴルフのようなスポーティな走りを好む人だと、限界域のハンドリングには満足できないと思う。「いいクルマだけど売れない」という、いつものパターンになるとしたら惜しい。

総合評価

比較にならない


初代VWゴルフ(1974年)
(photo:フォルクスワーゲン グループ ジャパン)

全長3725mm×全幅1610mm×全高1410mmが、記憶に残るあの素晴らしかった初代ゴルフのサイズ。それよりもポロは一回り大きいわけで、つまりクルマってのは、まあこのくらいで十分と思う次第。狭いながらも4人乗れるし、何より毎日乗るにはこのくらいのサイズがいい。日本では特にそうだ。いわゆる5ナンバー幅で、日本車だとヴィッツとかフィットとかの大きさだから、ポロはまずそのあたりをしっかりアピールして売らないと。

 

初代VWポロ(1975年)。初代ゴルフより一回り小さく、主力エンジンの排気量も小さい
(photo:フォルクスワーゲン グループ ジャパン)

内装のクラスレスな質感はホントに素晴らしい。これは最新フォルクスワーゲン車のよいところだ。というか、何でこんなに高い質感をこのクラスで達成しちゃうのか「?」がつく。たぶんそれはヒエラルキーというか、クラス感といったものをVWブランド内で作らなくてもいいからだろう。トヨタなどと比べればフォルクスワーゲンの車種はすごく少ないから、質感やサイズで妙なヒエラルキーを作らなくてもいいわけだ。さらにセアトとかシュコダといったブランドが傘下にあるのも幸いだろう。このところしばらく、現行ヴィッツに乗っていたのだけれど、ちょっと比較にならないと思った。

走りもまたヴィッツとは比較にならない。足のしっとり感といったら、ほんの1kmも走れば誰にでも実感できるはず。このあたりも完全にクラスレスだ。DSGは通常のDモードでは低回転でどんどんシフトアップして燃費を稼いでくれるし(でも非力感はない)、Sモードに入れれば高回転までうまく引っ張って、走りの不満をちゃんと解消してくれる。ワインディングでもSモードは下手なマニュアルシフトよりお利口。このクルマもやっぱり最近のトレンドである二つの走行モード(二つの走りの性格)を持っているわけだ。CVTで一つの効率的な回転域を一生懸命キープしようとするヴィッツのかったるさと、その回転域を超えたときのやかましさや違和感はポロには無縁。それでいて昔からのガソリン車の良さを残しつつ燃費がいいのだから、文句はない。

 

(photo:フォルクスワーゲン グループ ジャパン)

スタイルもまったく地味なんだけど、ゴルフのようなどこか日本車的なダサさがなくて、こっちの方がシンプルでいいと思う。あの超カッコいいシロッコに似ているのは、ゴルフよりポロの方だ。ゴルフは伝統のCピラーを太くするという命題に気を取られて全体のバランスを崩したのでは、と思う。

また今回の試乗車にナビはなかったけど、最新PNDをダッシュの上にのっければそれがベストという昨今の風潮には、この方がマッチしている。純正オーディオもこのクラスとしては十分に音がよく、外部入力端子もセンターコンソールにあるからデジタルオーディオも大丈夫。出来れば革巻きステアリングが欲しいけれど(アクセサリーにも見あたらない)、安いこの仕様のままで購入OKだ。

モーターデイズの2009年イヤーカー

というわけで、クルマ好きなら誰が乗っても「素晴らしい」と言うはずなのが新型ポロ。ただし「乗れば」であり、そこが問題だ。エコカー購入補助金の対象車だけど、減税条件はクリアしてないし、昨今は輸入車には向かい風だし、何よりこのクラスを買いたい人は、たぶん安い国産車で十分と思っている。国産同クラス車より80万ほど高いポロを買う気にさせるには、何はともあれ試乗させないといけない。どうにかしてディーラー店頭へ来させなければいけない。いや、もはや店頭で待っているのではなく、出前試乗たいなベタな販促をしないと。せっかくのいいクルマなのだから・・・・・・。また先代ポロも先々代ポロも、これまではどうも印象が薄く、ここで再び注目を集めるには、いっそ名前を変えてしまえばよかったとも思う。フォルクスワーゲンからまったく新しいコンパクトカー「××」登場!とすれば、小型車ブームの今ならインパクトは大きかっただろう。

欧州ではイヤーカーをiQと争ったようだ。斬新な小さなクルマを日本が作り、超オーソドックスな小さなクルマをドイツが作る。両車共に甲乙つけがたいが、残念ながらどちらも日本ではあまり売れそうにない。むしろ高価で大きなハイブリッド車を買うより、iQやポロを買った方が地球にも財布にも優しいような気がするのだが。国が変わるとイヤーカーを争うこの二台が、日本ではどうにもパッとしないのは残念至極。ということで、モーターデイズの2009年イヤーカーは今回のポロにしようと思う。ポロに乗るまでは何にしようか困っていたのだが(今さらプリウスでもないし)、よかったポロが年内に乗れて。皆さん、今年のモーターデイズ・カー・オブ・ザ・イヤーはフォルクスワーゲン・ポロです。

試乗車スペック
フォルクスワーゲン ポロ 1.4 コンフォートライン
(1.4リッター直4・7速DCT・203万円)

●初年度登録:2009年10月●形式:ABA-6RCGG ●全長3995mm×全幅1685mm×全高1475mm ●ホイールベース:2470mm ●最小回転半径:4.9m ●車重(車検証記載値):1080kg( -+- ) ●乗車定員:5名 ●エンジン型式:CGG ● 1389cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:76.5×75.6mm ●圧縮比:10.5 ●85ps(63kW)/5000rpm、13.5kgm (132Nm)/3800rpm ●カム駆動:- ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/45L ●10・15モード燃費:17.0km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 トレーリングアーム ●タイヤ:185/60R15( Continental ContiPremiumContact 2 ) ●試乗車価格:-円( 含むオプション:- -円 )●試乗距離:約200km ●試乗日:2009年12月 ●車両協力:フォルクスワーゲン本山・小牧

 
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