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新車試乗記 第332回 トヨタ ポルテ 150r Toyota Porte 150r

(1.5リッター・4AT・157万5000円)

 

日時: 2004年09月04日

 
 

キャラクター&開発コンセプト

助手席ドアをスライド化!

ポルテは助手席側を電動スライドドアとした新コンセプトの2BOXカー。2003年10月の東京モーターショーでコンセプトカー「NLSV(ニュー・ライフ・サポート・ヴィークル)」として登場し、約半年後の2004年7月26日に「ポルテ」として発売された。

特長は助手席ドアをスライド式とした2ドアHB(ハッチバック)である点。ラウムやシエンタ、ホンダ・モビリオなど、リアドアが両側スライドドアの例は今や珍しくないが、このタイプは初めてだ。

そのスライドドアは全車電動でリモコン操作も可能。広い開口部や大きく前後スライドする助手席シートで高い乗降性を確保した。荷物の積み降ろしもここからが便利という「何でもドア」やフラットな床による「ウォークイン・ウォークスルー」がコンセプトの柱だ。

シャシーはヴィッツ系

シャシーはヴィッツ/ファンカーゴ/ラウム系。全長4メートル以下、5ナンバー幅というコンパクトなボディながら、アルファード並みの天井高やセルシオ並みの前後長といった室内の広さを持つ。こうした斬新なパッケージングによって「ユーザーにクルマの新しい様々な使い方を提案する」(プレスリリース)のがトヨタの狙いだ。

想定ユーザーは20代・30代の男女や若いファミリーが中心というが、実際のところはマーケティングではなく提案型のクルマと言えるだろう。販売はトヨタ店およびトヨペット店で、目標台数は月間4000台と意欲的だ。

ポルテ(Porte)とは、フランス語で「扉」「ドア」の意。トム・ジョーンズが謳う「恋はメキメキ(If I Only Knew)」(1994年)とともにポルテが回転するテレビCMでも、この助手席ドアが強調される。

価格帯&グレード展開

1.3リッターで138.6万円~

グレードは3種類。1.3リッターの「130i」(138.6万円)とその装備を充実させた「130i “Cパッケージ”(149万1000円)、そして1.5リッターの「150r」(157万5000円 ※今回の試乗車)。フロア高を出来る限り下げたかったため、トヨタ車としては珍しく4WD車の用意がない。予算があれば「150r」がお買い得と思われるが、「130i “Cパッケージ”」も悪くない選択だ。1.3リッターには発表会でチョイ乗りしただけだが、その限りでは十分よく走ると感じた。

パッケージング&スタイル

難しい素材を破綻なくデザイン

ボディサイズは全長3990mm×全幅1690mm×全高1720mm。長さと幅はマツダ・デミオ程度だが、全高はエスティマに迫るほど高い。国内で行ったという外観デザインは、欧州車風にスタイリッシュで未来的だ。

 

小さなボディでミニバン並みの高さ、助手席スライドドアに左右非対称デザインと、複雑な用件が絡み合うデザインだが、破綻なくまとめ上げた点がすごい。デザインはトヨタ車としてだけでなく、日本車全体、世界全体でも今年のベストの一つだろう。

左右非対称の極致

見所はたくさんあるが、例えば左右非対称のAピラーだ。明らかに三角窓部分もピラー形状もまったく別物。これだけでなくドアの見切り線、リアクオーターウインドウ、一番後ろのDピラーなどすべて非対称。これに前面衝突やオフセット衝突、サイドクラッシュ時の衝撃吸収/乗員保護性能を配慮するわけだから、いくらコンピューター解析があっても大変だ。

 

開発スタッフによれば、特に難しかったのはラウムの時と同じく自然な操縦性の確保だったという。ボディ構造が左右非対称だと、普通ならコーナーリング時のフィーリングが左右で明らかに異なってしまうという。

運転手も助手席から!?

スライドドアは開口幅:1020mm、開口高:1,265mmとハイエースに迫るほど大きく開く。車内の3つのボタン(センターコンソール、スライドドア本体、後席用のBピラー上部)、そしてキーレスと、計4つのボタンで開閉可能。助手席はもちろん、後席への乗り降りも楽で、さらに運転席への乗り降りもけっこう楽だ。

 

2人で乗るなら、クルマに辿り着く前にリモコンでロックを解除し、さらにドアをガコーンとスライド、そのまま運転手も助手席側から乗り込む、という芸当が可能。

天井高はアルファード並み!

シートベルト内蔵で折り畳むとテーブルにもなる助手席は、750mmも前後スライドする。一番前にして後席座面をチップアップすると、床でトランプが出来そうな広大なフロアが出現。発表会ではここに自転車を入れていたが、大型冷蔵庫でも立てたまま入りそうだ。

 

さらにトヨタ車でお約束の4WD設定を捨ててまでこだわった低いフロア(地上高300mm)と全高1720mmで、アルファード並みの室内高:1390mmを確保。小学校低学年なら楽々立てる高さで、小柄な大人でも少し屈むだけで室内を移動できるから、すごく楽だ。このあたりは簡易モックアップを使ってテストを繰り返したという苦労の結果だろう。

開口部は狭いが、深さのある荷室

全長4メートルのクルマにしては荷室もかなり大きい。開発スタッフに「開口部が狭いのは剛性確保ですか?」と尋ねると、「というよりはデザインのためです。結果的に剛性も上がりますが」とのこと。これはホンダ・エリシオン発表時の開発スタッフの答えとまったく同じで、少し驚いた。ついでに特徴的なライトのデザイン、それに沿ったゲート開口部は「プジョー(206)ですね」と種明かしも。

基本性能&ドライブフィール

乗り心地は少し固め

試乗したのは「150r」。わざと助手席から乗り込むのは新鮮だが、アクセルを踏み込んだ感じはいつものトヨタ製1.5リッター「1NZ-FE」(109ps、14.4kgm)だ。街乗りで常用する低中回転なら十分静かでパワーがあり、例によって滑らかに変速する4ATと相まって、1120kgのボディを過不足なく加速させる。

乗り心地はヴィッツ系の基準からすると少し固め。重心が高い分、ロールを抑える必要があるからだろう。低速ならピッチングも少ないので、滑らかな路面での乗り心地は悪くないが、荒れたところでは凹凸が伝わってくる。後席シートのクッションがものすごくソフトなのは、これを遮断するためだろう。

ハンドリングは意外にいい

シエンタはボディ剛性で苦しいところを柔らかいサスペンションで逃げたところがあったが(まあ、街乗りメインだから)、ポルテはこれだけ開口部だらけなのにしっかりしており、荒れた路面でもガタツキやひ弱さはほとんど感じない。

ハンドリングも予想以上に良かった。少し重めの油圧パワステもあって、まるでヴィッツのようにコーナーをグイグイ攻めることが出来る。175/70R14という大径かつ細身で分厚いタイヤの特性も良い方に働いているはずだ。背の高さ、重いスライドドア、ヴィッツ/ファンカーゴ/ラウム系シャシーがベースといった点を考えれば、これだけ走れば十分と思えてくる。

高速走行は苦手

高速走行は力不足感があり、最高速的には150km/hオーバーが精一杯と言う感じ。風切り音をはじめ、エンジン音、ロードノイズなど様々な騒音が加わって、高速長時間走行を苦痛にする。足回りの堅さによるヒョコヒョコした上下動もかなり気になった。もちろん、法定速度程度なら何ら不満ない走りをするのだが、長距離ドライブにはあまり向かないタイプのクルマだ。

ここがイイ

スライドドア入ってすぐ右にある傘立て。これはいい。これだけ雨がよく降る国で、どうして傘の処理方法が考えられなかったのだろう。オートバックス等に行ってもあまりいいものがないし。ビショビショの傘をさっと置ける場所があるのは、ありがたいことこの上ない。スライドドア側だけでなくぜひ運転席側にも欲しい(つまりはすべてのクルマに欲しい)。

この傘立てが有効なのは、室内から傘を差し出して外へ出られるという素晴らしいパッケージングゆえ。室内高1390mmは圧倒的で、小柄な人なら首を傾げて立って歩け、ワンルーム感覚で室内が使える。運転席+後部2席+テーブルをこのサイズで使いこなせて、全く無駄がない。

グリルレス風の個性的なフロントビュー、全長の短さと高さのバランスがとれ、破綻していないサイドビュー、無難なリアビューと、見事なまとまりを見せた素晴らしいエクステリアデザイン。やや素材はチープだが、インテリアデザインも個性的で素晴らしい。

ここがダメ

ここまでやったなら運転席側もスライドにして欲しかった。トヨタによれば電動では開閉に時間がかかるため運転席にサッと乗りこめないがゆえ、とのことだが、手動にすれば開閉スピードの問題はクリアできるはず。実はそこまで斬新にすると販売的に「?」がつくというのが本音ではないだろうか。

ただ、確かに手動でもこの大きなドアを動かすのは辛いだろう。7月にフランス本国で発表されたプジョー1007が両面スライドドアをすでに打ち出しているが、こちらのスライドドアはもう少し小さめのようだ。それなら左右違うサイズにするという手もあるにはあるが、さらに手の込んだ作業と販売的な冒険もあるため見送られたのだろう。

リアシートの柔らかさは、固いサスを隠すためなのかもしれないが、ちょっと腰が落ち着かない。まさに100km圏内カーという感じだ。また、直射日光が差し込むとほとんど見えなくなってしまう、昼間のセンターメーターの視認性も気になった。そしてもう一つ、大変感度のいいスマートロックがついていたのだが、エンジン始動時にはキーが必要になる。キー無し始動をぜひ可能にしてもらいたい。

総合評価

居住空間の効率性に優れたミニバンこそ、日常的に使うクルマの理想、と考えてきた。ウォークスルーができれば、車内はパーソナルルームとなり、仕事から遊びまでいろんなことができる。そんなことからデイズでは4年ほど前、モバイルステップワゴンというカスタムカーを作って売り出したこともある。サブバッテリーを載せて家庭用100V電源を供給し、テーブルやカーテン、ヒーター等を設置して、室内ユーティリティーを向上させたクルマだ。

しかしこのクルマを一人で使っていると、無用な空間を背負って走る感覚がかなりあり、最近はヴィッツで動き回ることが多くなっている。ステップワゴンも5ナンバー車であり、けして大きなクルマではないが、なんか無駄っぽいのだ。そういう点でポルテは、まさにステップワゴンとヴィッツの中間であり、使いやすいサイズと理想的なユーティリティ空間を持っている。特に助手席をチップアップにせず背面テーブルにしたことで、ドライバー一人で乗っていても利用価値が高いものになった。パソコンとかを置いて作業がしやすいのだ(そのために台があるといいが)。

助手席シートをいっぱい前に出せば、リアシート前の空間でいろいろ遊びができる。エレキギターの練習なんかはここがもってこい。またリアシート&助手席のシートバックを倒したロングラゲージモードにすると、長さが2.4mほどあるから、ここに適当な板を渡してベッドにすれば車中泊も可能だ。一人ならここに住めそうなほど。

ポルテのウェルキャブにはサイドアクセス車専用の車椅子仕様があるが、これは車椅子に乗ったまま電動で助手席へ入れる日本初の仕掛け。シートベルトをすればそのまま走ってよし。車椅子のまま乗り込めるのは、今後の高齢化社会では重要な要件。大型スライドドアと低床設計はこうした用途でも使いやすい。ポルテは女性と子供のクルマと言う印象が強いが、工夫次第で広い世代で使いこなせる道具だ。

10・15モード:16㎞/hの燃費はステップワゴンより圧倒的に経済的で地球に優しいし、税抜き150万円ほど(1.5r)の価格もリーズナブル。サブバッテリーやヒーターなど50万円分架装しても200万円。もし今モバイルカーを作るなら、ベースはポルテ以外に考えられない。ヴィッツの使いやすさと、ステップワゴンの広さの融合。ミニ・ミニバンの理想だ。これぞ、マルチパーパスカーの決定版といえる。

試乗車スペック
トヨタ ポルテ 150r
(1.5リッター・4AT・157万5000円)

●形式:CBA-NNP11-AGSGK●全長3990mm×全幅1690mm×全高1720mm●ホイールベース:2600mm●車重(車検証記載値):1120kg(F:700+R:420)●乗車定員:5名●エンジン型式:1NZ-FE●1496cc・DOHC・4バルブ・直列4気筒・横置●109ps(80kW)/6000rpm、14.4kgm (141Nm)/4200rpm●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/45L●10・15モード燃費:16.0km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:175/70R14(TOYO J36)●価格:157万5000円(試乗車:198万1350円 ※オプション:G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション&オーディオ 31万1850円、アルミホイール 5万2500円、ディスチャージヘッドランプ 4万2000円)●試乗距離:約250km

公式サイトhttp://www.toyota.co.jp/Showroom/All_toyota_lineup/porte/index.html

 
 
 
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