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新車試乗記 第243回 トヨタ ランドクルーザー プラド TZ“G Selection” Toyota Land Cruiser Prado TZ G Selection

 

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日時: 2002年11月09日

 

キャラクター&開発コンセプト

オン/オフ両制覇を目論む、ハイテク化した3代目

2002年10月7日、6年ぶりのフルモデルチェンジで登場した新型ランドクルーザープラドは、前作同様ハイラックスサーフと「フレーム」を共有するミドルクラスSUVで、発表も同日に行われた。サーフよりもオーソドクスなクロスカントリー4WDというキャラクターだが、同時にオンロードでの快適性や高級感も重視している。高度なトラクション・コントロールや電子制御エアサスなど、随所に用いられたハイテクが新型の特徴だ。

メインは圧倒的に海外

生産はトヨタ自動車の田原工場(愛知県田原市)で、目標販売台数は月間2500台。新型プラドの国内受注は、発売から約1ヶ月で目標の2倍以上となる約6000台に達したという。

ちなみに、日野自動車の羽村工場(東京都)で生産されるハイラックスサーフは月間2000台だ。いずれも海外マーケットが主力で、プラドはヨーロッパをメインにオーストラリアや中近東などに月間6000台、ハイラックスサーフ(海外名「4ランナー」)は主に北米に1万1000台が輸出される。また、北米向けのレクサスGX470はエンジンがV8となる以外、事実上プラドの北米仕様といっていいモデルだ。

元は「ナナマル」の派生車種

過酷な自然環境下で最も信頼できる乗り物と言われるのが、トヨタが誇るランドクルーザー・シリーズだ(開発・生産には、アラコが深く関わっているが)。1960年発売の40系(ヨンマル)をはじめ、80年代にその後を継いだ70系、トップモデルとして登場した80系(90年)、その後継の100系(98年)など、各モデルに根強いファンが存在する。

1990年に登場した初代プラドは、もとはと言えば硬派な70系から派生したワゴンモデル。無骨なスタイルに乗用車的なキャラクターが与えられ、ランクルのディフュージョン版として人気を得た。96年に登場した2代目プラド(90系)からハイラックスサーフとシャシーを共有。「打倒パジェロ」を意識したスタイルが物議を醸した。

価格帯&グレード展開

合計12種類の豊富な品揃え。100系要らず? の豪華仕様も

新型プラドは5ドアと3ドアの2本立て。まず5ドアは、V6・3400ガソリン車が3グレード、直4・2700ガソリンが2グレード、3000直噴ディーゼルターボが3グレードの計8モデルで、それぞれ5人乗りと8人乗りが選べる。価格は287~399万円。中でも本革シートや本物のウッドパネルを標準装備する“G Selection”(399万円)は、100系(380~550万円)要らず?の高級感を誇る。

3ドアにも、3種類のエンジンが用意される。V6・3400ガソリンが1グレード、直4・2700ガソリンが1グレード、ディーゼルが2グレードの計4モデルで、価格は277~346万円となる。

ちなみに、同じエンジンラインナップのサーフには2WD仕様があり、価格は232~340万円(全車5ドア)となる。

パッケージング&スタイル

欧州風のスタイリッシュな外観

外観デザインはここ最近のトヨタ車風。プラドと言えば角張ったデザインが特徴だったが、新型はかなり滑らかな印象となった。四駆としてはプレーンなスタイルだが、フェンダーの張り出しも大きく、17インチタイヤと相まって、なかなかスタイリッシュだと思う。反面ワイルド感はややスポイルされている。

幅とホイールベースが大幅アップ

サイズは5ドアで全長4715mm×全幅1875mm×全高1855~1870mm。全幅は先代から一挙に55mmもワイドになり、ホイールベースは115mmも伸びて2790mm。ちなみにサーフは全長がもう少し長く(4770mm)、背がグッと低い(1790mm)。

高級乗用車に引けを取らない内装

内装の質感は文句なしで、特に本革シートや本物のウッドをステアリングなど各所に配した“G Selection”の高級感はレクサス級。実際、北米のレクサスGX470と内装の基本デザインは共通だ。

前席はもちろんだが、2列目の居住性も飛躍的に向上している。室内幅と室内長の拡大(各75mmアップ)といった広さも効いているが、なによりも曲げ剛性で160%アップという高剛性ボディの効果が大きい。フレーム付き四駆にありがちなワナワナした振動がなく、下手なセダンより快適だ。試乗車は天井にTVモニターがオプション装着されており、これなら豪華ミニバン慣れしたユーザーにもうけるだろう。

乗降性にも配慮

SUVと言えば、ミニバンに比べて乗降性の悪さが気になるが、新型プラドの場合は両手がふさがった状態でも高さ360mmのサイドステップを使えば無理なく乗り込むことが出来る。上級グレードには後輪には車高調整可能なエアサスが仕込まれ、乗降時に標準より30mmローダウンできる。

3列目シートは飾り? 簡単に脱着可能

一方、3列目は床に座布団を敷いた程度の高さしかなく、子供も含めて短時間の使用にも適さない。要するに「3列目がある」こと自体に意味があるということだ。いちおう乗車定員は8名となる。

3列目は普段、折り畳んで両サイドに跳ね上げておくか、いっそ取り外すことになるだろう(折り畳んで簡単に取り外せる)。でないと荷室に物がまったく入らない。

基本性能&ドライブフィール

落ち着いた走り

試乗したのは5ドアの最高級グレード、TZ“G Selection”(399万円)。V型6気筒3.4リッターガソリンを搭載するモデルで、試乗車(459.2万円)にはDVDナビや後席用DVDプレーヤーなどのオプションが付いていた。

クロカン系四駆は大体そうだが、新型プラドも大きさの割に取り回しはラク。基本的に先代と同じ3.4リッターV6(5VZ-FE)は、やはり先代同様185ps/4800rpm、30.0kgm/3600rpmを発生、2010kgの軽くないボディを、ドュルルルルル……とV6らしい音を響かせながら、きっちり加速させる。日産のVQ35DEのようなここ一発の爆発的ダッシュは効かないが、普通に走る分には十分。割と回して走るタイプだ。ちなみにこのエンジン、使用燃料はレギュラーで、実質的な燃費は5.0km/L前後だったが(10・15モードは8.1km/L)、海外僻地に対応したタンク容量は87リッター! と巨大。足(航続距離)は長そうだ。

高級セダン並みの静かさ

エンジン音自体は回すと高まるが、そう耳障りではない。風切り音(Cd値は0.38)やロードノイズがたいへん小さいこともあって、総じて静粛性は高い。「ミディアムハイクラスのセダン並みの静粛性を確保」というトヨタの主張は、だからまったく大げさではない。目線の高さ、パワー感、快適性、音の感じと、最近試乗した新型レンジローバーを何となく思い出した。ただしこの印象はV6ガソリン車のもの。短時間ながら試乗した2.7直4ガソリン(3RZ-FE)や、3.0直4直噴ディーゼル(1KD-FTV)の方は振動やノイズがそれなりに感じられた。

ということで、V6の方の市街地走行は快適そのもの。もちろん車高の高さからくる見晴らしの良さが、より「楽な運転」をフォローしてくれる。

TEMSをはじめ、電子制御デバイス総出演

フロントにダブルウィッシュボーン、リヤにリジッドの足まわりは先代と同じ。トヨタ自慢のTEMSは「コンフォート」から「スポーツ」まで、ダイヤルでダンパーの減衰力調整が可能。「コンフォート」ではロール/ピッチが大きく、船に乗ったような感じ。「スポーツ」だとソリッドになり、ワインディングもそこそこ走れる。が、いずれにしても飛ばしたいと思うほどではない。「スポーツ」モードでオールラウンドに走れるが、交通の流れに乗って走るだけなら、結局のところ中間に落ち着くだろう。タイヤは先代より1インチアップの17インチ。VSCやEBD付きABSなど電子制御デバイスがいざという時に備える。特にVSCはそうとう早く効くため(オフスイッチなし)、楽しいワインディング走行には不向きだ。2トン近いこのクルマでそれをやるおバカはいないとは思うが。

新開発「アクティブTRC」で下りも昇りも安心

発表当日、短時間だが新型プラドを本格オフロードコースでも乗る機会が持てた。ランクルの名前を掲げる以上、オフロード性能は世界トップでなくてはいけない。

最も印象に残ったのは、新開発の「アクティブTRC(トラクション・コントロール)」。4輪をそれぞれ別個にブレーキ制御してLSDと同じ効果を発揮するシステムは珍しくないが、プラドは「DAC(ダウンヒル・アシスト・コントロール)」機能を追加して急斜面の下り時に車速を約5km/hに制御、誰でも安全に絶壁斜面が下れる。もちろん、これはランドローバーのHDC(ヒル・ディセント・コントロール)と似た機能のものだが、プラドではさらに急斜面の登坂時発進の際のずり落ちを防ぐ機能も付けて先手を打っている。

クロカン四駆に重要なアプローチ/ディパーチャーアングルはそれぞれ33度/28度(5ドア)を確保。ちなみに新型レンジはそれぞれ35度/29度だ。センターデフに「トルセン」LSDを採用するのもレンジと同じで、通常は前後40:60のトルク配分し、条件に応じて比率を自動的に変化させる。雪道などの低μ路はもちろん、舗装路での走行安定性にもメリットがある。

走破性はランクル100も怖くない!?

その走破性はまさに「フールプルーフ」。エキスパートしかクリア出来なかった難コースを、新型プラドは乗用車のABS作動時のような音と感触を残しながら、いとも簡単に走破する。同乗したインストラクターに言わせれば、走破性は「ランクル100に匹敵するかも」とのこと。

とはいえ、インストラクターが事前に試走済みの、こうした管理されたコースだからこそ、それなりに性能を発揮させることができるが、普通はこのスタイリッシュで高価な新型プラドで、このような場所に足を踏み入れることはまずないだろう。スポーツカー同様に、クロカン四駆もポテンシャルをフルに発揮させるのがたいへん難しい乗り物だ。

下手なセダン以上の快適高速巡航性能

四駆の安定感を保ったまま、2トンの鉄塊は150km/hを越えるスピードで軽快に巡航する。高速コーナーでも絶対的に安定しており、前述のように静粛性も高い。100km/h巡航は4速トップで約2200rpmと相当低い。今回は600㎞以上走ったが、高速巡航中でもベース音がくっきり聞こえる6連奏CDオーディオに身を任せ、全く疲れ知らずのクルージングが楽しめた。追い越し時などに瞬間燃費の数字を見ると、ちょっと心臓に悪いが。

ここがイイ

内装クオリティ、快適性、走破性、脱着式サードシート

いつもながらトヨタクォリティの内装は、他の追随を許さない。木目パネルも本木だ。好みの問題は別として、もはやクロカン四駆を感じさせないこの高級感なら、40代、50代のターゲットユーザーに歓迎されるはず。ナビの位置も自然で見やすい。ライバルはレンジローバーのような特殊な造形(確かクルーザーのキャビンを模してあった)をぶつける以外、ちょっと勝ち目はないかも。

もう10年も前になるが、クロカン四駆が流行った頃は悪名高きディーゼルが主流で、お世辞にも高速巡航は快適とはいえなかった。乗り心地も硬く、それがワイルドと喜んではいたものの、今思えば実にプリミティブな乗り物だった。それが新型プラドでは、オンで快適、高速でも快適、オフロードでは超高性能とすべてが大きく進化している。電子デバイスは、古くからの四駆マニアには受け入れがたいかもしれないが、21世紀のオフロード四駆のあるべき姿になったと思う。

サードシートが取り外せるのは良い。3列目はほとんどの人に必要ないが、付いていると売却時の残価に有利という装備だからだ。

ここがダメ

なんて言うんでしたっけ、運転席の反対側ボンネットに出ている補助ミラー。行政指導の賜物だったと思うが、かっこわるいし現実にはよく見えない。あれはカメラに置き換えた方がいいのでは。トヨタお得意のブラインドコーナーカメラの別バージョンでも取り付ければ、あんな無粋なものはいらないと思うが。

燃費がもう少し伸びるとうれしい。レギュラーだし、高速で7km/Lくらいならまったく不満がないのだが(うちの走り方が悪いという意見も多々あり)。

総合評価

道無き道をテクニックなしで走りきり、静粛な高速巡航(それもハイスピード)をこなし、乗り心地がよく、トヨタ車としてはブランド力も高い。トータルで見ると、100点のクルマといってもいいだろう。21世紀のスーパーカーであり、この手のクルマは災害時の緊急脱出カーでもある。ただし、100点をとる優等生が必ずしもおもしろいヤツじゃないように、「これはおもしろい、欲しい」という気持ちになったかというと、意外やそういう気持ちにならなかったのも事実。

圧倒的な四駆性能は所有したとしてもまず宝の持ち腐れになるし、第一こんな高級車をオフロードに持ち込む勇気はない。高速巡航も確かにいいが、この価格なら残念ながらもっといいクルマがある。つまり、オンからオフまで夢のような性能を持つマルチパーパスカーでありながら、その性能を生かすべきフィールドや生活が、こと国内には存在していないのだ。いや、日本国内でも、降雪地帯や未開の地(あるのか?)に住んでいる人にとっては、欲しいクルマなのかもしれない。しかし、都会に住む人にとっては、まさに不要な高性能車で、持つとすればそれは、都市に住んでも野生を忘れないというライフスタイルを演出するブランド品ということになる。

その性能を生かすべき場所がないまま売られているという点では、スーパースポーツと同様。クルマは性能ではなくイメージを買う商品という意見に反対はしないが、LLポジションに一度もギアを入れられることなく一生を終えるオフロード四駆も多いという現状は、スーパースポーツより悲しいかもしれない。

トヨタ ランドクルーザー プラド 5ドア
(V6 3400 ガソリン TZ“G Selection”)

●形式:TA-VZJ121W●全長4,715mm×全幅1,875mm×全高1,855mm●ホイールベース:2,790mm●車重:2010kg(F:1070+R:940)●エンジン:3378cc・DOHC・縦置き●駆動方式:フルタイム4WD●185ps/4800rpm、30.0kgm/3600rpm●10・15モード燃費:8.1km/L●タイヤ:265/65R17(BS DUELER H/T)●価格:399万円(試乗車:459.2万円 ※オプション:サイド&カーテンエアバッグ 8万円。DVDナビ&オーディオ 31万2000円。リアDVDシステム 21万円)

公式サイトhttp://toyota.jp/landcruiserprado/index.html

 
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