Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > マツダ プレマシー

マツダ プレマシー新車試乗記(第75回)

Mazda Premacy

 

1999年05月21日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

新発想“7シーターカプセル”は打倒スパシオのマツダ流(ルノー)セニック

マツダが新しく開発したプレマシーは1台で多目的に使えるクルマだ。ファミリアセダンをベースとしたボディで、3列シート・7人乗りが可能な広い室内空間を確保。さらに多彩なシートアレンジで多用途性と使いやすさを追求。そして、セダンに匹敵する優れた操縦安定性を持たせ、運転する楽しさまでを追求したクルマとなっている。

実に欲張りな、理想の小型車を目指しており、マツダは「従来のセダンやRVとは異なり、様々なライフスタイルにマッチする、新発想の乗用車を提案した」と主張する。

長々と述べてしまったが、実際にはファミリアベースの3列シートミニバンというと分かりやすい。このサイズでフル7人乗りを追求したことがユニークだ。トヨタ・スパシオと何が違うかというと、大人7人がきちんと座れるという点(スパシオはセンターシートが子供向け)。サイズは同様でも新しい分、より工夫された室内となっている。

またプレマシーは欧州でも売られ、その欧州仕様は2列目シートが3座独立して脱着できる(実物を見たが、セニックそのものといえる作りだった)。どうやらルノー・メガーヌセニックに衝撃を受けたのは日産(ティーノね)だけではなかったようだ。

マツダはもうじき登場するMPVで、リッターカークラスから3ナンバークラスまでのミニバン(というかマルチパーパスカー)フルラインナップが完成するが、中でも最も売れ筋商品がこのプレマシーということになる。

価格帯&グレード展開

価格帯は168.8万円~212.9万円

主力グレードの7人乗りGパッケージ(2WD)が186.8万円で、4WDになると15.7万円アップとなり、5人乗り仕様となると5.8万円ダウンとなる。

ライバルはスパシオ、プレーリーリバティ、イプサムなど5ナンバーボディの7人乗りミニバンが候補に挙がる。しかし実際はホンダステップワゴンあたりを考えているユーザーにぶつかるのではないか。200万以内で買える7人乗りという分類で。

ライバルとされるスパシオはちょっと小さい、といってリバティはちょっと大きいと、細分化して考えるとプレマシーはライバル不在となる。5人乗りの場合だと、ディンゴやキャパまでがライバルとなるだろう。

パッケージング&スタイル

あったようでなかった1.8リッターエンジン搭載の7人乗り多目的ミニバン

前述したようにボディサイズはファミリアセダンを基準にしている。全長4295mm(4WDは4320mm)×1695mm×全高1570mmだ。ホイールベースはカペラワゴンと同じ2670mm。カローラをベースとした3列シートワゴンのスパシオよりも165mm長く、40mm低い。全高があと20mm低ければ、念願の立体駐車場オールOKだったのだが。

マツダ車のアイデンティティであるブラックアウトされた「ファイブポイントグリル」に例のマークを張り付けた顔つきは、ヒゲのような樹脂プロテクターがアクセントとなっており、なかなか貫禄のあるものだ。後ろにまわると、切り立ったリアエンドデザインもシンプルながら個性的といえるだろう。全体にはケレン味なくまとまっており、ミニバンらしい(ホントはミニバンというより新しい小型乗用車を目指しているのだが)オーソドックスなスタイルで誰からも好感が持たれるだろう。

アルファ164のようなセンターパネル

photo_3.jpg

内装は淡いグレーを基調としたシンプルなものデザインだ。随所にあしらわれたディンプル素材は最近のマツダに多く見られるもの。ハンドルにもこれが使われている。安っぽさをなくすうまい処理だ。革ではないがこだわらなければこれで十分だと思われた。

定規で線を引いたようなほぼ左右対称のオーディオ&空調パネルは、オートエアコンが付いているモデルでは、かつてのアルファ164みたい。同じようなスイッチでかつ単色なので、直感的にボタンが押しづらい。ただ実際にはオートにお任せなので、このデザインでも納得すべきか。廉価モデルはダイヤル式になる。

淡いカラーでシンプルというものは質感を出しにくいものだが、プレマシーは結構上手くいっていて、質感的に不満がない。マツダのインテリアの質は、ずいぶん変わってきていると思った。不満はインダッシュのカーナビ画面位置がやや低くなること。1DINからディスプレイが高めに迫り出すタイプを装着すべきだろう。

またハウスシック症候群でおなじみの有害物質アルデヒド(道路ではトンネル内でよく発生している)を除去するフィルターを新開発して取り付けてある。活性炭と併せて室内の空気は完璧にきれいになるという。このフィルターは特許品になるようで、自動車産業以外(室内エアコンメーカーなど)からの引き合いが凄いらしい。この特許でマツダの業績は一気に好転するか!?

スペースアップシートに、脱着式3列目シート、さてシートバリエーションはいくつ?

プレマシーには3列シート7人乗り仕様と、その3列シートを外した2列シート5人乗り仕様とがある。どちらもお約束の助手席スペースアップシート(背もたれが前方に倒れ、テーブルになる機構)を採用。また、2列目シートは180mmロングスライドが可能で、こちらもスペースアップシートを採用している。さらに3列目シートは格納のほか、脱着もできてしまう。この無限大ともいえるシートアレンジの多彩さは、さすが最後発モデルといえるもの。27とおりの室内空間を実現したカペラワゴンに対し、果たしてプレマシーはいくつの室内を持つのか? 資料にはなかったのでディーラーマンに聞いて困らせてみよう・・・。

まずフロントシートはさすがにセニックを研究しただけあって、やや肉厚でゆったりしている。背の低い筆者の場合、座面を最大に持ち上げないと最良のポジションが取れなかったが、まず不満はない。シート高は筋肉の動きをモニターして最も負担が少ない数字となった600mm前後(フロント575mm・リア630mm)に設定された。乗り降りがたいへん楽なのはちょっと乗れば実感できる。特にリアシートにお年寄りを乗せる場合は、背の高いミニバンとは違う乗用車感覚なので喜ばれるだろう。

3列にそれぞれ大人が座っても、そう不満はないだろう。とはいえ、夫婦が1列め、セカンドシートに祖父母、サードシートにチャイルドシート二つという空間で長距離ドライブはちょっと辛い。あくまで、近所へ食事に行くための7人乗りだ(それも子供が小さいうちだけ)。ベースはファミリアなんだからこれでも良しとしよう。セカンドは子供用と割り切ったスパシオがコンセプトでは勝ちだが、残念ながら売れてないので、汎用性の高いプレマシーの方が実際にはウケるだろう。

スペースアップシートは特に助手席シートがテーブルになるのがいい。個人的にはノートパソコンをベルクロで固定するという使い方がしてみたい。

また取り外せるサードシートだが、18kgと二人用としては異例に軽い。その分ちょっとチャチな感じだが、一人でも持ち上げられるので、ちょっと気合いを入れれば取り外す気になれるのはいい。

基本性能&ドライブフィール

パワフルではないが、必要にして十分以上

搭載されるエンジンはカペラと同じ1.8リッター直4を、プレマシー専用にチューンしたもの。最高出力135PS/5200rpm、最大トルク16.5kgm/4500rpmを発生する。これに4ATを組み合わせ、FFとフルタイム4WDを用意する。重積載時にブレーキをよく効かせるというEBFD(電子制御制動力配分システム)とABS、ブレーキアシストが全車に標準装備される。

で、走ってみると、感覚的には力がないという感じ。トルク感はやや薄い。しかし、実際には結構速いのだ。つまり、パワフルじゃないけど十分走るというところ。そして高速では150km/h位なら全く問題なく安定して巡航できる(欧州発売するためにはこれくらいの高速性能は要るでしょう)。

ステアリングは少しインフォメーションが不足気味。逆に言えば全く穏やかに走れるということ。乗り心地はマイルド。ゴツゴツ感もなくこれまた穏やかなもの。このクルマでガンガン攻める人もいないと思われるが、ロールセンターはミニバンというより乗用車的に低く、コーナーでも乗用車感覚でいけるので、ワインディングで負い目を感じながら道を譲る必要はないだろう。今回は短時間の試乗ゆえ、多人数乗車を確認していないが、重量とパワーの関係を見ると何とか不満のないレベルだと思われる。室内も静かだった。

ここがイイ

ウォークスルーが意外にしやすいのには驚かされた。というのもシートの隙間はミニマムなのだが、助手席スペースアップシートを倒しておくと、シートバックがじゃまにならず隙間の狭さが気にならないのだ。これは思わぬ副産物だろう。室内高は1245mmあり、これも功を奏している。ただ、日本仕様はMTがないのでウォークスルーにしてあるが、欧州仕様は当然MTなのでウォークスルーという機能はなくなってしまう(別に日本では関係ないけど)。

ここがダメ

マツダ独特のオートマのシフトポジションをそろそろ何とかしてもらいたいと思うのは私だけ? シフトレバーの頭を押してもシフトダウンしないし、どうもよくわからない。ずいぶんマツダ車に乗ったけれどいまだに使い方をマスターし切れていない私が悪いのか?

総合評価

photo_2.jpg

最新のミニバンは最良のミニバンである、とポルシェ911の格言を引用したいところ。スタイルよくて、よく走って、シートや室内アレンジが多彩、そして価格も安い。ミニバンという新しいクルマの分野では、既存のクルマを研究しつくして出てくる新型車が、最良の出来になるのは至極、当然の話。

で、このミニバンの部分を「クルマ」に置き換えていうと、今度はプレマシーのスタンスが見えてくる。つまり、ファミリアの時代は完全に終わったということ。ファミリアベースのプレマシーは、ミニバンというより「新しいクルマ」の理想像になっている。「新発想の乗用車を提案」してきたマツダは以降、この路線で行くはず。どう考えたってファミリア買うより便利で、効率的で、何より買ったとき(買う前でも)に夢があるわけで、クルマというのはだんだんこの手のタイプが当たり前になっていくはず。クルマが未来になっていってるのです。他社のコピーですが(笑)。

 

公式サイトhttp://www.premacy.mazda.co.jp/

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 
 

マツダ 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧