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マツダ プレマシー 23S新車試乗記(第358回)

Mazda Premacy 23S

(2.3リッター・4AT・228万9000円)

2005年03月19日

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キャラクター&開発コンセプト

「6+One」

初代プレマシーはファミリアベースの7人乗り小型ミニバンとして99年に登場。2005年2月に発売された今回の2代目は、アクセラがベースだ。全幅は3ナンバーサイズ(1740mm)となり、初代でヒンジ式だったドアは、両側スライド(両側に電動を用意)に変更。中でもユニークなのは「6+One(シックス・プラス・ワン)」というコンセプトだ。6人乗車(2+2+2)を基本として、2列目中央のスペースをウォークスルー、あるいは収納式のアームレスト&カップホルダー、あるいは収納式の補助席といった「+One」として利用するという、今までになかったアイディアだ。

ミニバンでもZoom-Zoom

アクセラからはプラットフォーム/サスペンション構造だけでなく、マツダらしい切れのある操縦性も受け継ぐ。マツダのブランドメッセージである「Zoom-Zoom」、つまり運転する喜びとかスポーティさといったコンセプトはミニバンでも変わらない。

国内の販売目標は3000台。発売から1ヶ月の受注は6500台と立ち上がりは順調だ。先代と同じように海外(特に欧州)市場も、国内と同程度の台数を見込むが、車名は「Mazda 5」に変更される。

価格帯&グレード展開

主力は180万~200万円台

グレードは4種類。

標準車の「20F」(174万3000円)、主力の「20C」(184万8000円)、ディスチャージド・ヘッドランプやアドバンスト・キーレスエントリー&スタートシステム等を備えたもう一つの主力「20S」(205万8000円)、2.3リッターの「23S」(228万9000円)だ。初期需要では「20S」が最も多いようだ。

オプションの両側電動スライドドアが23Sと20Sで10万5000円、20Cでは13万6500円(アドバンスト・キーレスエントリー&スタートシステムとセット)と低価格で、これは「ぜひお選び下さい」というメーカーからのメッセージだろう。電動スライドドアが当たり前となるのは、時間の問題のように思える。

パッケージング&スタイル

欧州風にショート&ワイド

試乗車「23S」は全長4555mm×全幅1745mm×全高1615mm。大型バンパーのために標準グレードより全長が50mm長い。先代は5ナンバーサイズが売りだったが、新型の全幅は1745mmと一気にワイドになった。

プラットフォームや欧州市場の関係から、3ナンバー幅は必須条件だったろう。5角形グリルを強調していた頃に比べて、淡泊なデザインになった。スライドドアであるのにも関わらず、ルーフを後ろ下がりにしてスポーティに見せている。Cd値は0.30と優秀だ。

開口幅の大きなスライドドア

2列目/3列目への乗降性にこだわり、スライドドアの開口幅は700mmとかなり長い。MPVに比べて、サイドシルやフロアが圧倒的に低いのも特長だ。試乗車の外板色はテーマカラーの「ファントムブルーマイカ」。

全車テレスコ付き

インパネの雰囲気は最近のマツダ車に共通するもの。スイッチ類はシンプルで、操作はしやすい。たとえ4速ATでも、Dモードで使用ギアを表示してくれるのは便利だし、ステアリングが全車チルト&テレスコピック付きなのもいい。

気になったのはセンターコンソールが出っ張っていて、ウォークスルーがしにくいところ。駐車ブレーキがレバー式なのもミニバンらしくない。逆に「こっちの方がいい」という意見もあるだろうが。同じように、シフトレバーのマニュアルモードが引いてアップ、押してダウンなのも意見が分かれる部分だ。メーカーオプションのナビシステムは、トヨタ車のそれとよく似たフロントモニターおよびバック時の予測進路を線で示すバックモニター機能、ボイスコントロール機能を備える。

カラクリシートに感心

必見ポイントは「カラクリシート」だ。2列目をキャプテンシートとして快適性を確保。さらに7人乗りとするため、左席に補助席「カラクリ7thシート」を内蔵し、ついでに右席にはテーブル(ドリンクホルダー&ネット式小物入れ)を内蔵した。操作は子供でもできるくらい簡単だ。

ウォークスルー状態なら3列目へのアクセス性にも優れている。もっと評価できるのは、そうした構造にもかかわらず2列目の座り心地が良いことだ。知らなければ、椅子の下にそんな機能があるとは気付かない。

全長が標準車で4500mm余というクルマゆえ3列目シートに期待はできないが、近場のファミレスや駅までといった使い方なら、大人でも耐えられる。荷室はフル乗車時だとさすがに狭い。分割式の3列目を畳むと自動的に荷室床面がフラットになる。リアゲート外板は樹脂製で軽く、多少の復元力があるようだ。

基本性能&ドライブフィール

何気なくパワフル

試乗車は最上級モデルの23S。アテンザやアクセラと同じMZR系の2260ccエンジン(165ps、21.4kgm)を搭載する。低回転からスムーズに加速するので迫力はないが、プレミアムガソリンを指定するだけにパワフルで、1500kgの車重を感じさせない。1名ないし2名乗車の「空荷」なら2.0リッター(145ps、18.5kgm)でも十分かと思うが、フル乗車時の高速道路で登り勾配といった状況では威力を発揮しそうだ。バランサーを組み込んだおかげか、回した時のノイズや振動も低い。

スポーティというよりスポーツ

エンジンより印象的なのがシャシーだ。サスペンション構造は前:ストラット、後:マルチリンク、パワステはフィーリングにこだわって電動油圧ポンプ式、というようなことは知らなくても、操縦性の印象はまんまアクセラ。特にこの23S、しかもオプションの17インチ仕様のハンドリングは、ミニバン随一と言っていいくらいシャープだ。単にクイックだったりゲインが高いのではなく、ステアリングを切った時の感触がスムーズで気持ちいい。スポーティというよりスポーツと言うレベルだ。後ろに重い電動両側スライドドアがあるとは思えない。

その分、ミニバンらしい穏やかな乗り心地はスポイルされていて、同乗者なら荒れた路面の突き上げが気になるかもしれない。ドライバー自身はまったく気にならないレベルだし、ボディやサスペンション性能に余裕があるから安心感は高い。

ここがイイ

ミニバンがこんなにスポーティーでいいのか、という疑問はさておき、運転自体はたいへん心地よいものだ。グリップの限界までちゃんと楽しめ、それを過ぎても穏やかという、見事にZoom-Zoomしてる走りだ。足の固さも不快というほどでなく、許容範囲。

からくりシートは良いアイデア。まだこんな手があったのか、と驚かせる仕組みだ。他メーカーもアイディアとしては持っていたかもしれないが、収納時のクッション性を損なわないなどデメリットのない形で実現した点がいい。日本では相変わらずベンチシート指向が根強いが、キャプテンシートもこういう形でもっと評価されていい。

一番高くて見やすい位置にあるカーナビは、音声操作も可能なタイプ。ハードディスク内蔵のオーディオ、完全にカード型のインテリジェントキーなど、ハイテクはかなり優秀。電動スライドドアのガラスがほぼ全開するのもうれしいところ。

ここがダメ

ダイナミックで個性的なものが多い最近のマツダデザインだが、今回のプレマシーのスタイリングはあっさりし過ぎた感がある。内容の良さをユーザーにしっかり告知しないと、よくあるミニバンの一つとして埋没してしまいそう。

今回の試乗車に限っては、トルクもあって4ATであることのデメリットはあまり感じなかったが、4速はさすがに古い。ギアが4つではシーケンシャルモードもほとんど意味がないし、さらにレバーを押してシフトダウンという操作はBMWとマツダなど少数派で、このあたりもどうかと思う。良い悪いの問題でなく、統一した方が問題がないと思う(あるいはドライバーの選択式にするか)。いずれにしても5AT(もちろん6ATでも)を積めば、燃費も動力性能も楽に高いレベルが狙えたはず。シャシーもエンジンもトップレベルのマツダ。残る課題はATのアップデートのみだ。

ミニバンゆえ、やはりパーキングブレーキは足踏み式にしてもらいたい。欧州ではMT車があるはずなので、その関係からコンベンショナルなフロア式になったと思うが、ミニバンのスタンダードはもはや足踏み式だと思う。

フロントビューカメラは障害物や車間を確認するのには悪くないが、せっかくノーズにカメラがあるならトヨタで言うところのブラインドコーナーカメラとしても使える工夫が欲しいところ。また気になったのは駆動系とおぼしきうなり音。個体差なのだろうか。もう少し静かだといいのだが。

総合評価

走りは大変素晴らしい。2.3リッターの試乗車はパワーも十分で、さすが最近のマツダ車と感服。ライバルのストリーム・アブソルート、アイシス・プラタナあたりもそうとうスポーティだが、マツダの場合は会社全体で走りの良さをブランド戦略の要とするだけに、メッセージがより強く伝わってくる。実際、RX-8、ロードスターから今回のプレマシーまで、素性の良さや開発側の志みたいなものが一貫して感じられる。絶対性能ではなく、走らせた時の気持ちよさを大切にする気風がマツダにはある、そう信じさせるものがある。

一番多いはずの4人以下での乗車時の快適性、安全性を考慮すると、からくりシートはベストな装備だと思う。日本では2列目を3人掛け仕様にするのが喜ばれるが、実際にはフル乗車する機会は多くない。3列目も十分実用に耐えるのだから、2+2+2の6人乗りなら「人馬一体」的走りでもしっかり体を支えてくれるはず。

プレマシーのフルチェンジだし、コンセプトも先代を引き継ぐものゆえ、マツダ的にはごく自然な新登場になるのだろうが、ラフェスタ、アイシス、ウィッシュ、ストリームとライバルは多く、そこへ参入する以上はもう少し強力なアピールポイントが欲しかった。スポーティな走り、からくりシートといった特徴は走ってわかる、使ってわかる良い点だが、いかにその良さをユーザーに告知できるか、が課題となりそうだ。

試乗車スペック
マツダ プレマシー 23S
(2.3リッター・4AT・228万9000円)

●形式:DBA-CR3W●全長4555mm×全幅1745mm×全高1615mm●ホイールベース:2750mm●車重(車検証記載値):1500kg (F:-+R:-)●乗車定員:7名●エンジン型式:L3-VE●2260cc・DOHC直列4気筒・横置●165ps(121kW)/6500rpm、21.4kgm (210Nm)/4000rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L●10・15モード燃費:11.2km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:205/50R17(DUNLOP SP SPORT 2050 ※オプション装備)●価格:228万9000円(試乗車:275万1000円 ※オプション:46万2000円  <内訳:電動両側スライドドア、AM/FMラジオ/CDキット+6スピーカー+ミュージックHDD、ボイスコントロールDVDナビ+バックモニター+フロントモニター、205/50R17タイヤ+アルミホイール>)●試乗距離:約180km ●車両協力:東海マツダ販売株式会社

公式サイトhttp://www.premacy.mazda.co.jp/

 
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