キャラクター&開発コンセプト
新技術を盛り込んだ走りの高級ミニバン
プレサージュは「ミニバン・クルーザー」をコンセプトに、大海を力強く巡航する高級クルーザーをイメージして新たに開発された乗用車型ミニバンであり、ホンダ・オデッセイ、ミツビシ・シャリオグランディスと真っ向から勝負するニッサンの力作だ。
これまでのミニバンは走りの面で弱さが目立っていたが、このプレサージュではミニバンが持つ空間実用性はもとより、高級セダンから乗り換えても十分な満足感が得られる本格的なグランドツーリング性を実現した。
価格帯&グレード展開
3つのパワーユニットと3つのグレード。いずれも買い得感高し
日産のRV車では初となる3.0リットルV6エンジンのVQ30DE型をはじめ、新開発の2.5リットル直4の直噴ディーゼルターボエンジン、ベーシックな2.4リットル直4ガソリンエンジン、3タイプをラインアップする。2.5リットル直4ディーゼルと2.4リットル直4には4WDも設定される。グレードは廉価版のCI、ボリュームゾーンとなるCII、豪華仕様のCIIIだ。いずれも安全装備は充実しており、CIIなら誰もが満足できる快適装備を備えている。価格は189.8万円~308.8万円。
メーカー曰く、同装備、同エンジンとしてライバル車と比べた場合、20万円ほど割安な価格設定とか。
パッケージング&スタイル
8人乗り仕様を設定した快適な室内空間
ライバルよりもひとクラス上の高級ムードを強く打ち出したエクステリアは、ダイナミックで風格のあるフロントマスクやウェッジシェイプの躍動感溢れるサイドビューを特徴とした日産らしいスタイリングだ。スリーサイズはオデッセイとほぼ同じ。ホイールベースは2800mmとオデッセイよりも30mm短いが、実際の広さの目安となる室内長は2890mmとオデッセイの2810mmを大きく凌ぐ。また、プラットホームはルネッサのものを受け継いでいるために、フロントシートからラゲッジスペースまで段差のないフラットフロアと、1200mmを確保した室内高によって十分なウォークスルー性を実現。しかし、このウォークスルーはアームレスト付きシートの場合運転席と助手席の空間が片足ぎりぎりという狭さで、少し困難を強いられる(アームレストは取り外し可)。また、ライバルにはない8人仕様(2+3+3)を設定しているが、3列目シートは「確かに3人は座れるが…」というレベル。逆に言えば2人なら十分ゆったりしている。
品質感は全く問題なし、やや圧迫感を与えるキャビンスペース
内装はドライバーを取り巻くインパネが、高級ムードとスポーティーな雰囲気を演出する。少し金属っぽい作りのダッシュボード加工が目新しく、広範囲にわたる木目調パネルや植毛ピラートリム、ファインビジョンメーター(CⅢに標準装備)など質感の高さは評価できるところ。ボリューム感のあるインパネデザインとやや中央に寄せられたシート配置のために広々感はあまりあるとはいえず、リア用エア吹き出し口がセカンドシート右サイド部に設置されているために圧迫感があるのも不満だった。
またフロアは若干高くなっており、乗用車的な運転感覚というよりもワゴン的。見晴らしはいいので、不満を覚えることはなかった。
ラゲッジルームの使い勝手よりも快適性のシートアレンジ
プレサージュは多彩なシートアレンジもセールスポイントととしている。その中で最も特徴となるのが1列目シートが180度回転する回転対座機構だろう。操作方法は見事に簡単で、シート下部のレバーをひきながら回すだけ(アームレストとドアトリムが干渉するためにアームレストを取り外す必要がある)。これに2列目シートを前方に倒して背面テーブルにすればリビング感覚で使うことができるわけだ。オートキャンプなどでは大活躍しそうな装備であるが、実はほとんど使われない装備でもあり、ルネッサ以降の「何となく夢がある」という人間の心理をついた日産の好戦略だ。
とはいっても2列目シートは着座可能域で300mmものロングスライドを可能とし、20mmごとに16カ所のロック位置を設けてたり、2列目、3列目のフルフラットシートを可能としたり、とにかく多彩で満足ゆくシートアレンジなのは確か。また、もうひとつライバル車と大きく違いをみせるのが、3列目シート格納方法。前方向に可倒するのだが一般的だが、プレサージュではスペースを効率的に稼ぐことのできる左右跳ね上げ式を採用している。
きめ細かい配慮が嬉しい豊富な装備群
インパネの豊富な収納ボックスやカード入れ、ラゲッジ床下のサブトランク、物干しに使えるユーティリティフック、買い物フックなど数々のアイテムは、「ないよりもあったほうが」ではなく、「あったほうが断然便利」というものばかり。これは評価していい。
基本性能&ドライブフィール
V6はさすがのパワーだが、低回転域でのトルクはいま一つ
短時間であったが試乗できたのは、セド/グロなどの高級車に搭載されるVQ30DEエンジン搭載車。プレサージュ用にリファインされ220PS/6400rpm、28.5PS/4400rpmを発生し、直接ライバルとなるオデッセイV6よりも20PS、1.5kgm上回る。
トルクのピークをもっと低回転側にシフトし、フル乗車時でももたつきのないトルクを発するセッティングにして欲しいところだが、高回転域までリニアに回るパワーフィールは、ミニバンということを忘れさせてくれる力強さをみせつける。振動の少なさと滑らかな回転フィールもV6エンジンならではの魅力のひとつ。洗練されたシャープな印象とあいまって、上質な軽快感あるドライブが楽しめるだろう。ちなみに100km/h巡航時のエンジン回転数は2200rpm。
高剛性ボディ、徹底した遮音対策に加え、このV6にはアイドリング時や走行状態に応じて減衰力を電子制御する流体封入エンジンマウントが採用される。このため車内のノイズや振動はかなり低減されおり、加速時でも会話が途切れないほど静か。風切り音もさほど気にならなかった。
最新モデルならではの剛性感、アクティブダンパーも選択可能
サスペンションはフロントがストラット、リアがマルチリンクビーム(4WDはマルチリンク)で、安定志向のやや硬めの味付けだ。重心高の高さから来るロール感は大きめだが、足腰はしっかりしており最新モデルならではの剛性感を確保。タイヤのグリップ性能によってどうしてもアンダーステアが強まる傾向はあるが、荷重移動によって限界はつかみやすい。路面のうねりにステアリングが取られがちなのが気になる。
なお、電子制御ダンパーを採用したアクティブダンパーもCIIとCIIIのガソリン車にオプション設定されている。これは車体がロールする場合に減衰力を強めて安定感のある走りを確保するもの。この手のダンパーは結構フワフワした乗り心地になりがちだが、どこまで乗り心地が改善させているか一度試乗してみたい。
注目株の2.5リットル直噴ディーゼルは価格の高さがネック
プレサージュに搭載されるユニットで最も注目したいのが「NEO Di」と命名された新開発の直噴ディールエンジンYD25DDTi(150PS/28.5kgm)。クラストップレベルのパワーを発生し、クリーンな排気と低燃費を実現した優れモノ。新開発のエンジンマウントシステムと相まってディーゼルとは思えない高い静粛性をも手に入れたということだが、2.4リットル直4エンジン(150PS/22.0PS)よりも25万円も高く、ガソリンの安い現状ではあまりお買い得とはいえない。
ここがイイ
さすが最新モデルといえる剛性感のある走りの実力、快適さを重視したシートアレンジは、日産が高級ミニバンと自負するだけのことはあると感じられた。8人乗れること、90度近く開くドア、分厚く乗り心地のいいシート、多彩なユーティリティ、力強い動力性能、全体にいわゆる高級感を高めた作りは、ファミリーには満足度が高いはず。ライバルより明らかに上をいく部分が多い。お買い得。
ここがダメ
スタイルがもう少し若向けだといい。オデッセイあたりは独身男性が買ったりするが、果たしてあそこまでかっこいいイメージが作れるかどうか。オーテックが作ったエアロバージョン「アクシス」でもラルゴハイウエイスターほどのインパクトがない。ファミリーにはうけても、若者にうけないと絶対数は伸びないから、そのあたりがちょっと心配。また人員の快適さを重視したため、フル乗車ではラゲッジルームがやっぱりちょっと狭い。
総合評価
最後発モデルでもあり、先発モデルの不満点をことごとく解消してあり、実に良くできている。30~40代のファミリー層には初めてのミニバンとして、また2台目のミニバンとしてかなり満足して載ることができるだろう。フロント回転シートはミニバンとして一歩前進したもので素晴らしいが、できればセカンドシートは取り外しが可能として欲しかった。十分実用に足る立派なサードシートがあるので、セカンドシートがなければ5人乗りのVIPカーにできるし、モバイルオフィスにするにも便利。サードシートは跳ね上げ式なので、巨大な荷物も楽々載せられる。ぜひ改造のためのベーシックバージョンを発売して欲しい。
公式サイトhttp://www.nissan.co.jp/PRESAGE/