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新車試乗記 第280回 日産 プレサージュ ハイウエイスター G パッケージ Nissan Presage Highway Star G Package

(2.5リッター・2WD・282万円)

日時: 2003年08月09日

 

キャラクター&開発コンセプト

FRのエルグランド、FFのプレサージュ

98年発売の初代プレサージュは対ホンダ・オデッセイの、ルネッサのプラットフォームを使った3列シートのFF大型ミニバン。よってリアドアもスライド式ではなかった。

2003年7月24日に発売された2代目プレサージュは、ティアナに使われる「FF-Lプラットフォーム」を採用。クラスとしては、エルグランドより下、セレナやリバティより上というあたり。主力エンジンはプリメーラやセレナの2.5リッター直列4気筒「QR25DE」の発展版。3.5リッターV6「VQ35DE」搭載モデルもあり、こちらは言わばFF版エルグランド。リアドアはスライド式になった。

「簡単、らくらくシートアレンジ」

特徴の一つは、各種シートアレンジ操作をワンタッチ化したこと。サードシートの床下収納は、巧妙なスプリング仕掛けにより荷室側のリングを引くだけで可能。3列目への乗降り時に2列目背もたれを倒す面倒な操作も、運転席からスイッチ一発(全車標準)。また、2列目キャプテンシートはマツダMPV同様に横スライドでベンチシートに変身する。プレサージュでは3人掛けが可能だ。

サイドブラインドモニター

左ドアミラーに仕込まれた「サイドブラインドモニター」も便利。左前方の死角をカバーするもので、今までなかったのが不思議な装備だ。SUVに多く、ミニバンでは珍しいガラスハッチ式のリアゲートも採用。日常の使い勝手で、この種のクルマの実際のユーザーである女性にアピールする。安全面では3列目までカバーするカーテンエアバッグが日本車初。

2代目で新規まき直し

販売目標は5000台/月。モデル末期の先代は、この1/10に満たない状態だっただけに、新型に対する日産の自信と期待がうかがえる。ライバルはトヨタ・エスティマ、新型デビューが近いホンダ・オデッセイ、三菱・グランディス、そしてマツダ・MPV。生産は日産・九州工場。

価格帯&グレード展開

直4モデルが213万円~、V6が272万円~

主力ユニットは2.5リッター直4(4AT)。グレードは下から、標準の「V」(213万円)。上級の「X」(234万円)、スポーティ仕様の「ハイウェイスター」(237万円)、そして「X」の3.5リッター&CVT搭載版(272万円)。4WDはそれぞれ28万円アップ。キャプテンにもベンチにも出来る2列目シートの採用で、全車8人乗り(2-3-3人)となる。

出来れば「Gパッケージ」(45万円)が欲しい

各種セットオプションがあり、特に、DVDナビ、サイドブラインドモニター&バックビューモニター、電動スライドドア、インテリジェントキーをセットにした「Gパッケージ」(45万円)は予算に余裕があればぜひ選びたいところだ。

パッケージング&スタイル

ティアナのミニバン

全長4870mm×全幅1825mmというサイズはエスティマより少し大きいが、わずかな差だ。大きく違うのは全高(1685mm)で、エスティマより85mmも低い。ホイールベースは2900mmとまったく同じ。

デザイン的にはまさに「ティアナのミニバン」。また、米国で販売されるFF-Lプラットフォームを使ったミニバン「クエスト」に、全体のイメージもパッケージングも近い(クエストはアメリカ向けらしくかなりアグレッシブな外観だが)。

斬新だが、操作性は?

室内デザインの斬新さにかけて、今のところ日産の右に出るメーカーはなく、プレサージュのインテリアもその期待に背かない。見どころは木の幹を切ったようなセンターコンソールに、7インチ液晶モニターや操作スイッチ、シフトレバーを並べた点。使い勝手は慣れれば悪くないかもしれない。が、シフトレバーもスイッチもやや遠いのが気になる。特にオーディオのボリュームコントローラーが遠い。セットオプション(30~45万円)に含まれるステアリングスイッチがあれば解決するが…。

大人6人が寛げる

低い全高ながら床も低いので、室内高もミニバンとしてまずまず。大人8人はちょっと無理があるが、6人(2+2+2)ならゆったり座れる前後長と幅がある。3列目でも天井の低さは感じず、シートの座り心地も良くて意外に寛げる。セカンドシートを横に離しておけば、センターウォークスルーも楽だ。また運転席のスイッチで2列目シートがスライドするため、乗り慣れない人でも乗り降りがしやすい。

横スライド機構でキャプテンシートにもベンチシートにも出来る2列目は、マツダのMPV(99年発売)が採用して好評なもの。4人以下で使うなら、2列目の居心地を考えてもキャプテンシートの方が断然良い。しかしそれでは緊急に8人乗りたいときにはシートが足りない。また、ちょっと5人乗る時に普段は収納されている(ことが多いだろう)3列目を起こすのが面倒…。こういったジレンマを解決するのには、なかなか良い方法だ。販売的にも、仕様が統一されているのは嬉しいはず。

ただしカタログ写真を見て分かるとおり、2列目の3人掛けは「ちょっとそこまで」レベル。中央は子供でも苦しいし、そもそもそんな小さな子供にはチャイルドシートが必要だ。

リモコンウォークインは本当に便利か?

ドライバーが運転席のスイッチ一つでセカンドシート左側を倒せる「リモコンウォークイン」は、この手のクルマに乗り慣れない人のサードシートへの乗り降りをサポートするもの。想定シーンは運転席に父親、助手席に母親、2列目に祖父母、3列目にチャイルドシートのいらない年齢の子供というあたり。乗り慣れない祖父母をまず降ろすのに電動スライドドア(オプション)が便利、さらに子供を降ろすのに外に出た祖父母の手をわずらわせることなく、運転席からリモコンウォークインを操作できるわけで、確かに便利なものだ。子供が自分で動かせばいいのでは、という意見もあると思うが、ドアの開け閉めを含め、運転手がコントロールする方が安心感が高いのはまちがいない。3列目に祖父母が乗る場合はなおさらだろう。

ただ、いったんこうやって2列目を動かしてしまうと、元に戻すのは誰かが手動でやらなければいけない。一人で乗っていて倒したら、ロックが掛かっていないので、加速/ブレーキのたびにシートが前後に動いてしまい大変だった。できれば戻すのも電動化して欲しいところだ。

サードシートワンタッチ床下格納

荷室の使い勝手はよく考えられている。荷室のリングを引くだけで、3列目シートが床下に一発で格納できる「サードシートワンタッチ床下格納」は、間違いなく便利だ。スプリング仕掛けでまず座面が跳ね上がり、その後に背もたれがパタンと前方に倒れる。これはこの手のミニバンでは最も優れているだろう。ただ、これもいずれは電動化して欲しいところだ。

リアゲートには、ミニバンには珍しいガラスハッチ機構が付いた。大型のミニバンはバックで壁ギリギリまでつけることが多いので、開閉にスペースを取らないガラスハッチは便利だろう。

運転席側の電動スライドは見送られた

少し残念だったのは、運転席側のスライドドアが電動化されなかったこと。先週のエスティマ(2003年8月2日の試乗記)の時も触れたように、ドライバーがよく使う右側が電動で開くメリットは大きい。とはいえエスティマでも12万円のオプションであり、それだけの価値があるかどうかは悩むところだが。日産の開発スタッフに聞いたところ、モーター等のスペースを新しく確保する必要があり、右側電動スライドドアの追加は簡単ではないという。

基本性能&ドライブフィール

サイドブラインドモニターは便利!

試乗したのは2.5リッターエンジンを積んだハイウェイスター(2WD)、セットオプション「Gパッケージ」付き(282万円)。

Gパッケージで一番嬉しい装備は、左サイドミラーにカメラを内蔵した「サイドブラインドモニター」だ。カメラが映し出すのは、狭い道で最も心配な左前方の死角。同種のものは、トヨタの現行ハリアーにも設定があるが、いずれにしてもたいへん便利だ。赤外線LED付きで夜間も明るく見える。特にSUV系にはぜひ欲しいもの。無粋なフェンダーミラーを無くすこともできるはずだ(行政指導がなくなれば)。ただ、プレサージュの場合、DVDナビ等とセットになった30~45万円のオプションでしか選べない。

サイドブラインドモニターの効果もあって、狭いところの取り回しは悪くない。前方視界がよくて大柄な感じをあまり受けないので、モニターが無くても困ることはないだろう。最小回転半径は5.7メートルと、小回り性能も悪くない。

ちょっとだけスポーティな味付け

ハイウェイスターは前後左右エアロパーツ、黒基調の内装、そして215/60R17タイヤ&アルミホイールを装備したスポーティ仕様。と言っても、足は固くなく、ローダウンもされない。プレサージュは全車にフロントサスペンションには路面からの微振動を抑制するという「リップルコントロールショックアブソーバー」を採用。そのせいか乗り心地は悪くない。17インチの60タイヤのせいか、エスティマの標準仕様よりは少し固めだ。

走りもミニバンとしてはちょっとスポーティな味付けで、一人で乗っていても退屈しない。やはりタイヤのせいか、荒れた路面でフルパワーをかけるとキックバックらしきものがわずかに出るが、それも味付けの範囲内。ティアナには2.5リッターを含めて全車にVDC(ヴィークルダイナミクスコントロール)やTRC(トラクションコントロール)が設定されるが、なぜかプレサージュに設定されないのは残念至極。

2.5リッターでも十分な加速

エンジンは日産らしくトルキー。回転を上げてパワーを稼ぐタイプではなく、アクセルを踏み込むとすぐにグォーと加速してくれる。試乗車は1720kgだったが、163psでもパワー不足は感じない。加速時のエンジン音はそれなりに大きい。

100km/h巡航は約2200回転ほど。エンジン音は少し気になるが、ロードノイズや風切り音とのバランスも取れていて、巡航時は特に目立たない。ただ、風切り音は速度が高まるにつれて、かなり気になるようになる。低めの重心やワイドトレッドのせいか安定感があり、150㎞/h巡航も楽々。

ここがイイ

サイドブラインドモニターは便利。狭い道のすれ違いでもめいっぱい左に寄れるので、車幅感覚のないドライバーはぜひ装備してもらいたい。

キーボード感覚のDVDナビまわりデザイン。さすが日産。ステアリング前のボックスにカーウィングス対応携帯を入れられることや電源が取れるのもGOOD。ETCも入れられる。

どこに座っても広い室内(ただし6人まで)。天井にある丸いエアコン吹き出し口から、乗員一人一人個別に風を送れ、飛行機の座席のよう。シートアレンジも現行ミニバンで最良の類だ。結果、荷室の使い勝手もクラスベスト。

オデッセイほど走り方向でなく、といってラグジュアリーすぎないシャキッとしたハンドリングと走行安定感は素晴らしい。

ドアグリップのボタンを押すだけで施錠解錠できるインテリジェントキーも便利だ。

ここがダメ

出来ればサイドブラインドモニターだけオプションで選びたいと思うこと。こういった死角を補助するモニターは、今後のミニバンには必需品のはず。

DVDナビまわりはカッコいいが、ボタン類の使い勝手は慣れを要する。慣れればわかりやすいが、さらに煮詰めて欲しいところだ。

両側とも電動スライドにして欲しいし、4気筒の方のエンジン音はもう少し抑えたい。

総合評価

ティアナベースのプレサージュには、ティアナと同じ印象を受けた。つまり、内容の良さが形に表れていないということだ。床が低くて室内高を稼げたため、スライドドアミニバンとしては背を低くできたにもかかわらず、エクステリアデザインはかなり中庸なもの。試乗したハイウェイスターですらが、いわゆるカッコ良さからは遠く感じてしまう。先週の試乗記で「エスティマの販売が好調な要因はカッコ良さにある」としたモーターデイズとしては、プレサージュのおとなしさはちょっと残念なところだ。

しかし、内容的にはエスティマに劣るようなことはない。いや3年新しいだけあって、多くの部分で、ライバル車を凌駕している。エスティマに比べると、リアガラスハッチ、ワンタッチ収納3列目シート、横スライド2列目シート(リモコンウォークイン付)、全開すると10㎝ほど残るだけのスライドドアの窓ガラス、そして乗り降りしやすい低い床。走りも一昔前のスポーティセダン並みだ。

つまり、内容を冷静に分析するとプレサージュの方がライバルより上(価格も安いからコストパフォーマンス面でも)。10年近くエスティマ・エミーナに乗ったモーターデイズから見れば、その機能性においては夢のクルマだ。質実剛健なミニバンが欲しいなら迷わずおすすめしたい。

先週、エスティマはミニバンのハードトップと書いたが、となるとプレサージュはミニバンのセダンか?(まもなく出るオデッセイはミニバンのスポーツカー!?)。かようにミニバンも様々なタイプから選べる時代になってきたわけだが、ミニバン本来の意味からすれば、プレサージュはその王道をいくクルマといえるだろう。

試乗車スペック
日産 プレサージュ ハイウエイスター G パッケージ
(2.5リッター・2WD・282万円)

●形式:UA-TU31●全長4870mm×全幅1825mm×全高1685mm●ホイールベース:2900mm●車重(車検証記載値):1720kg(F:960+R:760)●エンジン型式:QR25DE●2488cc・DOHC・4バルブ・直列4気筒・横置●163ps(120kW)/5200rpm、25.0kgm (245Nm)/3600rpm●使用燃料:レギュラーガソリン●10・15モード燃費:11.0km/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ:215/60R17(TOYO製 TRANPATH J48)●価格:282万円(試乗車:同じ)

公式サイトhttp://www2.nissan.co.jp/PRESAGE/top.html

 
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