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トヨタ プリウス新車試乗記(第7回)

Toyota Prius

 

1998年01月17日

 
 
 

カーデータ

●カテゴリー:ハイブリッド4ドアセダン
●クラス(排気量):1500ccクラス
●キャラクター:もはや説明するまでもない、世界初のハイブリッド実用車。アメリカトヨタデザインの未来的ルックスとインテリア、そしてモーターとエンジンのハイブリッドシステムなど、どう見ても他社より10年先をいっている、とんでもないクルマ。
●コンセプト:電気自動車の弱点である頻繁な充電の必要性、航続距離の不足を補い、実用車たる能力を確保するため、ハイブリッドを採用。ガソリン消費を減らせば、排気ガスも減るというごく単純なコンセプトの実現が、こんなにも難しいという見本。
●注目度:クルマ好きはそれなりに振り返るが、一般の人はあまり気にとまらないみたいだ。ボディ色によってはほとんど街にとけ込み、気にしないとまるで目立たない。数が増えるにしたがって、トヨタ車らしく地味なスタンスに落ち着くだろう。
●特筆装備:インパネセンターにあるディスプレイの表示。最初にWelcome to PRIUSと出るのが、モバイル商品ぽくていい。エネルギーの流れが図で示されるのもまあ、肯定的にみていいだろう。フロントスクリーン下にあるデジタルスピードメーターは大変見やすくてGOOD。
●燃費:441Km走り、そのうち223Kmが苦手とされる高速道路(車速は平均100Km/h程度)。さらに4名乗車が多かったこともあってか燃費は14.7Km/リットルにとどまる。プレミオD4エンジンでは12.8Km/hを記録したこともあったので、ちょっと残念。市街地走行ばかりの方が燃費は良くなるらしい。
●価格・販売:215万円。21世紀へGO(5)と読む。値引き無しが原則。NAVIをつけると支払い総額は270万円を超える。内容からすれば十分安いし、トヨタも赤字だそうだが、ちょっと買ってみようという気にはとてもなれない価格ではある。期待していた国からの補助金も一部企業だけに支給してチョン。

スタイル

なんてかっこいいんだ、と思う人は5%いるかいないかだろう(もっと少ないかも)。大半はなんかヘンな格好と思うだろう。買う人もカタチよりハイブリッドだからという理由で選ぶはず。しかし、発表10年近くを経てやっと天才タマゴといわれるエスティマ同様、10年後には必ず受け入れられるデザインだ。

パッケージング

着座位置は高いがヘッドクリアランスは十分。視界も当然良好。リアは足元超ゆったりとはいかないものの、十分広く、大人4人で乗っても快適だった。トランクもそう広くはないが、ひとまず不満無い容積を確保。

内装(質感)

左右対称のインパネがなんといっても斬新。かつ使いやすい。ただメッキのスイッチ類はちょっとセンスが…。いわゆる高級感は無いが、コンセプトにふさわしい程度の質感はある。左右フロントシートの間にあるボックスはB5ノートが縦にぴったり入るため、地図やサブノートパソコンなどの収納に便利。でいれば100Vのアウトプットが欲しかった。

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シート・ステアリング・シフト感触

高さをダイヤルで調整できるフロントシートは、ホールドそこそこでいい感じ。ステアリングはトヨタクオリティの樹脂、コラムシフト(スイッチ)はカチッとしたタッチ。ただ、ワイパースイッチを動かすときシフトレバーが時に引っかかる。どうせ機械的なシフトじゃなくてただのスイッチなんだからレバーはやめて、ボタン式にした方が斬新で良かったのでは。

動力性能(加速・高速巡航)

アクセルをちょっと踏み込めばすぐエンジンがかかり、モーターだけで発進する感じは全くない。試しにアクセルをほんのちょっと踏んで、超スローペースでモーターだけで加速してみたら、30Km/hまでエンジンがかからなかった。アクセルを踏み込めばそれなりにエンジンは回転するし、普通のクルマと大差ないフィーリングだ。シフトショックがないため実になめらかな加速。この部分が電気自動車的な感覚といえる。高速巡航は非常に静か。キックダウンがないので、100Km/hからアクセルべた踏みしても急加速は望めない。じりじり車速をあげて150Km/hまで出してみたが、快適クルージングは120Km/hあたり。

ハンドリング・フットワーク

トヨタ初の電動パワステはかなり軽い。高速走行やコーナリング中でも変わらず軽く、もうちょっとしっかり感とステアリングインフォメーションがあってもいいのでは。タイヤが省エネタイプでもあり、コーナーはかなりおっかなびっくり。アンダーが出やすく、オーバーに転じやすい。まずはタイヤを替えてみたらいいと思う。ただしサイズが無いのでセレクトはかなり困難を極めそう。

乗り心地

これはいい。快適。ただ低速の凸凹面ではちょっとばたばたした感じもある。

騒音

エンジンが止まれば全くの無音、無振動。エアコンファンが回ってない限り異様に静か。走行中エンジン音の進入も少なく、騒音に関しては文句なし。

安全性

一般的なトヨタ車並。

環境対策

いろいろ、たくさん。

ここがイイ

乗った感じはまったく普通のクルマだから、あまり難しく考えずアイドリングストップ実行カーと思えばいい。とにかく不必要な時にこまめにエンジンをきることをコンピュータにやらせているだけだ。またその意味では機械の塊である「クルマ」から、頭脳を持った「移動用ロボット?」という別の乗り物へ進化する芽生えが感じられる。プリウスには環境対策面ばかりでなく、そういう違う乗り物へのアプローチという側面もあると思う。

ここがダメ

今回の試乗で唯一気になったのは、4名乗車で段差のある登り坂をバックをした時、突然力不足となったこと。さらにアクセルを踏み込むと急にパワーが出て、後ろの壁にぶつかりそうになった。バックはモーター駆動のみなので、何かまだぎくしゃくしてしまう部分があるのかも。不評のブレーキタッチ(ちょっと踏むだけでも、急に強く効いてしまう)は慣れればひとまず使えるものの、改善するにこしたことはない。

総合評価

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プリウスは遊星ギアを使った駆動系のアイデアと電子制御技術の勝利だと思う。基本的にはエンジンで動いているクルマにモーターの力をうまく加えることで省燃費を勝ち取っているわけで、このあたりのエンジンやモーターの制御技術こそがプリウスの真価だと思われる。とにかくこのクルマはすごすぎる。トヨタ一人勝ちへの助走といった感じだ。

お勧め度(バリューフォーマネー)

計算上5年は保つはずのバッテリーだが、誰も5年使ってみたことがないので(あたりまえ!)、そのリスクを考えたり、5年後にはきっともっと改良されたハイブリッドカーがあって、下取り値がつかなくなるといった心配の種もあり、5年で270万円を軽く消費できる覚悟のある人しか買えない。したがって法人がイメージアップのために買うのは大いに結構。一台でも多く売れることで次のクルマへ繋がる。売れなきゃせっかくのクルマも消えてしまうから、お金のある人はどんどん買おう。

DAYS特約ライター試乗コメント

by hisata ['95 ALFA155TS 8V]

もっと妙ちきりんなクルマだと思っていたのに拍子抜けするくらいふつうだった。いわば「モーター付ガソリンエンジン自動車」だ。

リアに貼ってある Hyblid というエンブレムを実感するのは液晶パネルの「エネルギーモニタ」。アクセルオフすると充電したり、コンピュータはひたすらエコランのチャンスを窺っていて、燃費画面にすると「これだけ節約したぞ」と自慢する。いずれプリウスエコラン大会が開かれるかもしれないが、ホントは自動車に乗らないのがいちばんの節約。

お構いなしに青信号でバカンとアクセルオン。実用車としては不満のない加速。ブレーキング時に発電機が制動に顔を出すため、少しぎくしゃくするのが気になったが、ゆったりした室内も含めてコミューターとしては及第点。停車時に空調をオフにすると訪れる静寂に戸惑う。なるほどこれならば渋滞時のアイドリングはなくなるわけだ。

だったらフェラーリのようなスポーツカーをハイブリッドにすれば、深夜早朝の出入りで近所に気を遣わなくても済むはず。スルスルと音もなく大通りまで出てアクセルを踏み込むとブゥワンっと走り出すのだ。そうなると当然、モーターカットスイッチも必要。勝手にエンジンがかかると音でドライバーも驚いてしまう。逆に勝手にエンジンがかかるプリウスはそれだけエンジン音が静かということ。ロードノイズの方が気になるくらいだ。モーターとエンジンの違いを意識させない普通さが偉大な自動車だった。

 

 

 
 
 
 
 

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