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トヨタ プリウス新車試乗記(第130回)

Toyota Prius

 

2000年07月07日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

世界初の量販ハイブリッドカーが経験する世界初のマイナーチェンジ

'97年末、世界初の量販ハイブリッドカーとして誕生し、自動車史に名を残す名車となったプリウス。最大のセールスポイントは低燃費・低公害だが、高効率パッケージなど、次代の実用セダンに必要な要素を多く盛り込んているのも特徴のひとつ。月販1000台以上と安定した人気を得ており、ハイブリッドをユーザーに認識させた功績は大きい。

デビュー2年半にして初となるマイナーチェンジの主眼は、燃費性能や動力性能を向上させるとともに、室内の使い勝手を向上させることにある。

価格帯&グレード展開

若干の価格アップだが、内容を考えればコストパフォーマンスは向上

グレードはこれまで「標準仕様」と、それにナビを標準化させた「ナビパッケージ」だったが、今回から「S」と「G」に変更され、同時にナビはどちらもオプション化。

「S」は従来の標準仕様にあたるモデルで、価格は3万円アップの218.0万円。「G」はSの装備に加えてクルーズコントロール、インダッシュ式CDチェンジャー、本革巻きステアリング&シフトノブなどが追加装備され、価格は228.0万円となる。DVDに進化したナビのオプション価格は13万円。従来のナビパッケージがCDで12万円高だから、十分納得できる価格設定といえよう。

なお、デビュー当初、未整備だった購入優遇処置も、ここ2年の間でだいぶ確立されてきており、まず、自動車取得税の減税が約4万円。また、条件を満たすと電気自動車等普及事業による補助金も受けることもできる。これが最高25万円。この他、対象者は限られるが法人登録の場合、法人税の税額控除が約15万円受けられる。

パッケージング&スタイル

前後バンパーをフルカラー化したことで、また一歩、未来カーに近づいた

外観上、最も大きく変わったのが、黒いバンパープロテクターが廃止されたことだ。同時にバンパーサイズの大型化により、全長は35mm延長されている。従来型の方がバンパーを擦ったときには経済的であり、見た目も引き締まった印象があったのだが、とりあえず、変わったことははっきりと分かるし、未来っぽくはなっている。

また、フロント&テールランプ、アルミホイールにかぶせるハーフキャップのデザイン変更、ポジクローム調のドアベルトモールを追加するなど、細かい所でも手が加えられている。プリウスの価格は同クラスのガソリン車と、純粋に比較すると、どうしても割高な印象は否めなかっただけに、これを少しでも解消するために高級感の演出に力点が置かれたようだ。

この他、オプションでリアスポイラーが新設定されている。らしからぬアイテムだが、これはCd値を低減して高速巡航時の燃費を向上させる効果のある、いわゆる燃費向上グッズだ。

安全面ではオフセット前面衝突を60km/hから64km/hへ、フルラップ前面&側面衝突を50km/hから55km/h対応に引き上げことで、GOAボディは新GOAボディに進化している。

バッテリーの小型化で、後席とトランクの使い勝手が格段に向上

photo_3.jpg未来的なイメージのインパネも、さりげなく変更されている。まず、ダークグレーの木目調スイッチベース、クローム調のエアコンレジスターノブを新たに採用することで高級感を向上。装備面ではエネルギーの流れや燃費情況を映し出すセンターモニターが、タッチパネル式のエレクトロマルチビジョンに進化しており、オプションのナビもDVDに変更されている。燃費にもつながるクルーズコントロールも「G」に標準装備されている。

駆動用バッテリーの40%小型化により、トランク容量が拡大されただけでなく、リアシートを6:4分割可倒式とすることで、トランクスルーが可能となっている。トランクの使い勝手はユーザーからの不満の声が少なくなかっただけに、これは朗報だ。

リアシート背もたれの角度も改善されており、センターアームレストの追加とあいまって、かなり自然なポジションが得られるようになっている。このように駆動用バッテリーの小型化は、パッケージングに様々な好影響を及ぼしている。

最近、様々な個性的モデルが登場したが、プリウスのヘンテコリンなデザインはそれらに埋没するどころか、月日が経つにつれて、ますます新鮮味を増している。セダンとしての空間設計も一級品。ハイブリッドを開発した人も秀才だが、この頃は、デザイナーも秀才なのでは、思えるようになってきた。

基本性能&ドライブフィール

パワーだけでなく、エコ性能も一段向上

加速性能、燃費をともに改善させるため、THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)には全面的にメスが入った。

これまで高速でのパワー不足が指摘されてのに加えて、今年からスピードレンジの高い北米市場へ輸出が開始されるため、まず、大幅な出力アップが図られている。

1.5リッターエンジンは各部のフリクションの低減などで、58ps/10.4kgmから72ps/11.7kgmに向上。電気モーターはコイル巻き方の見直しなどで、22ps/31.1kgmから24.2ps/35.7kgmに向上している。

しかも、システム全体の減量によって車両重量は20kgの減量に成功。また、モーターのみでの走行範囲をこれまでの45km/hから65km/hに引き上げている。一応、10・15モード燃費は29.0km/lLと、1.0km/L分の向上に止まっているが、モーターの特性が低回転型、かつワイドレンジ化されているので、実用燃費はそれ以上の向上幅が期待できる。また、排ガスについては「平成12年基準排出ガス75%低減レベル(超-低排出ガス)」を達成している。

その他、電動パワステ、ブレーキなど、これまで指摘されていた点を徹底した見直しが図られている。

デビュー当初のプリウスは、技術の凄さには感心させられたものの、フツーのクルマと比較してしまうと、少なからず違和感もあった(そこがハイブリッドだなぁー、と感じられた部分でもあるが)。

同乗者だけでなく歩行者も違和感を抱く無音の発進加速は別として、高速での伸びは悪く、コーナリングもフニャフニャ。特にペダルを踏み始めた時点で、いきなり効く感じのあったブレーキは誰もが指摘していた点だ。

今回、それらの問題点はおおむね改善されており、ほとんど不快感なく走らせることができる。発進加速に関しては、正直それほど、スペック通りの向上を実感できなかったが、中間加速の伸びは明らかに良くなっている。またバッテリーの性能向上もあって、エンジンストップの領域幅が広がり、電気モーターだけで走れるケースも増えた。もちろん、それに伴って静粛性も高まっている。

特に走行性能の進化ぶりが著しかったのが、ブレーキのフィーリングだ。従来感じていた「カックン」は薄れ、完全とはいかないが、許せるレベルになっている。また、多少重みも加わっているので、きめ細かいブレーキ操作もできる。回生、油圧の併用でフツーのクルマと比べれば、ブレーキの踏み心地には多少違いはあるもの、問題視するレベルではない、制動力のほうは定かではないが、ごく自然にペダルが踏めるようになったことだけは確かだ。ただ、回生ブレーキ特有のエンブレ的な効き方は、今でも違和感がある。

曖昧だったパワステも、基本的には軽い味付けではあるものの、反力が増しており、十分にフツーのレベルになっている。

全体としては、スムーズになって剛性感が増したという印象であり、およそ2年半ぶりの改良とは思えない進化ぶりを果たしている。それまでが未熟だったといえばそれまでだが、フルモデルチェンジに匹敵する進化ぶりだ。

ここがイイ

まず走りが全くフツーになった。加速ももたつかないし、高速巡航は150km/hでも大丈夫。亀マークはもう出ない。ワインディングでも普通のセダン並とはまだ言えないものの、踏ん張り感は飛躍的に増しており、フツーのペースであれば「おっとっと」とならずにコーナーをクリアできる。気持ち悪かったパワステの感触もフツーになったし、静粛性も増している。前述のようにリアシートのくつろぎ感も増したし、燃費は良くなっているし(実測はできなかったが、いろんなメディアで16~17km/Lは走るとされている。20~30%は実際に良くなっているようだ)とにかくスゴ~く良くなった。

ここがダメ

バンパーは黒い方がいい。ちょっとぬめっとした感じはやや違和感がある。ホイールデザインも先代よりましだがやっぱりちょっとヘン。もう少しなんとかならないものか。

インパネではMDオーディオ回りがちょっとゴチャついたのが残念。タッチパネル式のDVDナビもディスプレイが小さくて奥まっているので、操作感がイマイチ。リモコン式の方がいい。ドアのメッキモールもこのクルマのコンセプトにあっていない。メッキで豪華感を出すというのは20世紀の発想でしょう。

総合評価

photo_2.jpgプリウスはある意味、ユーザーを巻き込んだ実験車であるが、その分、トヨタは赤字覚悟の価格でユーザーに提供した。その結果、トヨタは金には替えられない貴重なデータを手に入れることができたわけだ。それが今回のマイチェンに表れている。日産もホンダもハイブリッドを出すには出したが現状の売り方をしていたんじゃ、このような進化ぶりはまず期待できない。

とにかくプリウスは、もはやハイブリッドを意識しないですむハイブリッドカーになった。当たり前のハイブリッドカー、当たり前の未来カー。走りは普通、使い勝手はいい、そしてあまり高くもない。そして今や誰も振り向かない。普通のおじさんが乗り、やがて普通の若者が中古車として買う未来カー。モーターのコイルを巻き直してパワーアップを図ったというあたりに、近未来のモータリゼーション(まさにモーター)の姿もすでに見えている。プリウスミニバン、プリウスワゴン、プリウススポーツ、プリウスライトトラックなどの早期発売を望みたい。

 

公式サイトhttp://toyota.jp/

 
 
 
 
 

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