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トヨタ プリウス G新車試乗記(第394回)

Toyota Prius G

(1.5リッター+モーター・262万5000円)


  
    

2005年12月03日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

満を持してマイナーチェンジ

1997年の初代に続いて、2003年9月に2代目となったプリウス。優れた性能と先進性を備えたハイブリッド車として、世界中で評価されているのはご存知の通り。今回試乗したのは2005年11月のマイナーチェンジで登場した後期型。内装の質感や装備、操縦性、乗り心地、遮音性など、前期モデルで不評だった部分を改良したものだ。

すでに累計42万台

販売目標は当初の月間3000台から3500台に上方修正。1997年以来、プリウスの累計販売台数は42万8600台(2005年10月末時点)。初代が6年間で12万台なのに対して、2代目は2年間で30万台というハイペースだ。年内には、中国の第一汽車集団公司との合弁工場(長春市)で生産が始まる。

■参考(過去の新車試乗記 トヨタ プリウス)
・トヨタ プリウス (1998年1月) ※初代
・トヨタ プリウス (2000年7月) ※初代後期型
・トヨタ プリウス G ツーリング セレクション (2003年10月) ※2代目

価格帯&グレード展開

総額300万円+α

「S」(226万8000円~)と「G」(262万5000円~)の2グレード構成で、スポーティな“ツーリングセレクション”を設定する点は従来と同じ。DVDからHDDに格上げされたナビゲーションシステムはオプションだが、ベーシックなSグレードでも選択可能になった。新しく加わった革シート仕様は、HDDナビ標準装備で325万5000円。おおむね総額300万円強のクルマと考えていいだろう。

パッケージング&スタイル

エクステリアの変更はわずか

ボディサイズは従来と変わらず全長4445mm×全幅1725mm×全高1490mm。外装部分の変更はわずかで、バンパーを含む外板に変更はない。フロントフェンダーに追加された「HYBRID」エンブレム、ボディ同色からメッキ処理になったグリルが識別点だ。Cd値:0.26の空力ボディはシンプルだが、どことなく動物的な愛嬌もある。このあたりも人気の秘密だろう。

質感、風合いの改良は著しい

インパネの一部とドア内張りを、彫りの深いシボ入りソフトパッドタイプに変更。従来は紫っぽい金属調だった部分で、小傷や汚れがつきやすいと不評だった。シート表皮は「S」では従来と同じスエード調ファブリックだが、上級の「G」はもっと高級感のあるアルカンターラ(スエード調の特殊な不織布)になった。他に、シートの座り心地やメーター視認性など、細かく改良が施されたようだ。オプションのG-BOOKはG-BOOK ALPHAに、ナビはDVDからHDD(ハードディスクドライブ)に進化している。

スタートボタンを押すと「READY」の表示とともに「ピー」と電子音が鳴る。出来れば、パソコンやレクサスのように起動音が選べると楽しい。電子制御式シフトレバーなども慣れが必要だが、そこがプリウスらしさでもある。これだけ普通と違う操作を強いるクルマは、往年のシトロエン以来かもしれない。

静粛性や乗り心地も改良

都市部ではタクシーとしても使われるプリウス。ホイールベースが2700mmもあるので、前後長は余裕がある。天井は低く、着座位置も低いが、クッション材を工夫して乗り心地に配慮。静粛性や乗り心地も改良されたようだ。

ワゴン風にも使える

トランク容量は460リッターと中型セダン並み。天地は低いが、大きな開口部を生かせばスポーツワゴン的にも使える。後席の背もたれをパタンと倒せば、ホイールを外した自転車も余裕で積める。

使わないトノカバーが床下に収納できるなど気配りは細かく、作りも丁寧だ。 床下にはメインバッテリーとスペアタイヤが収まる。

基本性能&ドライブフィール

見事なまでの完成度

2代目プリウスに試乗するのは、2年前(スポーツサス仕様の「ツーリングセレクション」)に続いて2回目。今回の試乗車はノーマルサスペンションとマイルドな15インチタイヤの仕様なので、厳密に「マイチェン前」「マイチェン後」の比較にならないことを、まずはお断りしておく。

今回は4日間にわたり、高速から一般道まで1000km弱をじっくり試乗。2年振りのプリウスだが、完成度は期待以上に高かった。ボディ剛性が高められ、サスペンションチューニングも「最適化」されたというが、確かに乗り心地にもネガらしいネガがない。電動パワステ、電子制御ブレーキなどの電気仕掛けもまったく自然になり、モーターによる電気的・未来的加速が堪能できる。

エコランさせるクルマ

エンジンが温まれば、停止中はほぼエンジン停止。ちょっとした渋滞ならすべてモーターの駆動力だけで済んでしまう。アクセルを踏み込んでエンジンが掛かった時は、ブォーンと20世紀の音が聞こえてくるが、おかげで出来る限りモーターだけで走ろうと自然にエコランさせるところが、プリウスの人徳ならぬ「車徳」だ。

一方、ワインディングでは別の意味でエコランになる。徹底的に安定したままオン・ザ・レールで曲がってゆく「ツーリングセレクション」と違って、ノーマル車の身のこなしに鋭さはない。わざと姿勢を崩せば警告ランプとブザーでS-VSCの作動が分かるが、一般的な運転では、まずそこまで達しない。山道でも飛ばすより、いかに燃費を落とさず走るかに集中した方が楽しい。

名古屋・東京間を高速で往復

今回、以前からやってみたかったことを実行に及んだ。つまり思いのままにアクセルを踏んでハイペースで高速走行し、一般的にはプリウスに不利な状況での燃費を確認すること。このため起伏やカーブの多い中央道の名古屋・東京間を往復し、途中若干の寄り道をしながら900㎞ほど走った結果、燃費は平均で15㎞/Lを記録した。最初の給油は509kmで36リッターのガソリンを消費、14.1km/L。2回目は396kmで23.8リッターを消費して16.6km/L。この結果はエコラン無視の「最悪の数値」、最低保証と考えてもらった方がいいと思う。おとなしくエコランをすれば20㎞だって可能だとは思うが、まったくエコを意識せずに中央道を走った結果がこれなら不満はない。

カーブの多い中央道でも高速コーナーでの安定感は高く、むろん相当な速度域での直進性にも何ら不満はない。追い越し加速、ブレーキングでストレスがたまることもない。リッターカークラスにはプリウス並の燃費を誇る車種もあるが、動力性能では及ばないはずだ。また快適性に関しても何ら不満がない。特に静粛性が高くなったようで、高速域では風切り音こそやや高まるが、その他の騒音は気にならない。かつて同じコースを初期プリウス(前期型)で走ったこともあったが、亀マークで出力ダウンの憂き目に何度か見舞われた。さすがに今回はそんなことはなく、一気に350㎞走っても、ほとんど不満や疲労らしきものを感じなかった。

走っている最中は当初、搭載されていたJBLのオーディオの音に聞き惚れていたが、途中で飽きて、いつものようにTVの音声に切り替えた。新しいトヨタ純正HDDナビはアンテナの感度がすこぶるいい。画面は見られないが、音声に関してはローカル局の電波をしっかり捕らえ、トンネルの中でもない限り電波をロストすることなく、ずっと楽しめる。アフターパーツのナビだと、付属アンテナ程度ではここまでの感度はないことが多い。この感度のよさは感動ものだ。純正ナビをつける価値は十分あると思う。お昼のワイドショーを聞きながら高速道路を走るのは気楽で、時間の経過を忘れます。

ここがイイ

乗り心地がよくなった。シートもさらによくなった(レザーシートも用意された)。内装の質感も上がった。というわけで、2年を経てさすがに完成度の高さは素晴らしい。インテリジェントパーキングアシストも少し使いやすくなった。ということで、プリウスにあらためてカー・オブ・ザ・イヤーをあげたい。300万円前後の国産・輸入車の中では、ベストチョイス、ベストバリューカーだ。

ここがダメ

通信のための携帯電話接続はブルートゥースのみに対応。2年前にはまだ期待もあったが、2年たっても対応電話が数少ないため、たいへん困った。ライン接続も用意して欲しいところ。100V(AC電源)のコンセントもオプションで1万2600円なのだから、これは標準装備が望ましい。HDDナビ車には、それに連動するETCも標準装備すべき。2年前に書いたとおり、さらにハイテクを追加装備できることを願う(クラウンに用意された時計型インテリジェントキーや助手席で別画面が見られるディスプレイなどは、まずプリウスから装備すべきだろう)。また、前期型プリウスにもHDDナビが装着できるようにするなど、後付装着の自由度が欲しい。

こちらも2年前にも指摘したとおりだが、インテリジェントパーキングアシスト使用時にコーナーセンサーか、コーナーカメラが欲しい。今回も画面を見ていてフロント角をぶつけそうになった。ステアリングに大量にある操作スイッチ類も、一つ一つがもう少し大きい方が使いやすいし、コンソールの交通情報ボタンなどはもう少し分かりやすい方がいい。こうした操作系はもう一度大幅に見直す必要があると思う。

総合評価

1万980円 vs. 9500円

デイズのある名古屋市千種区から東京都内まで移動すると、ジョルダンの乗り換え案内によれば新幹線を使って所要時間総計で2時間40分かかる。事務所から地下鉄の駅まで歩いたり切符を買ったりすると、あと20分ほどはかかりそうだ。つまり約3時間。料金は1万980円だ。クルマの場合事務所前からスタートしても東名高速で約350㎞だから、90㎞/h平均で約4時間。渋滞さえなければの話だが、許せる時間差だろう。これで高速料金はETC割引を使うと約6700円。プリウスなら今回の燃費でもガソリン代がリッター120円として約2800円。合計で9500円となり、なんと約1500円も安い。往復だと3000円も違うから都内の高い駐車場へ入れても大丈夫。素晴らしい経済性だ。リッター20㎞走れば、片道さらに700円安くなる。燃費がいいということはエコなのだが、エコノミーの面から見てもプリウスは素晴らしい。

ハイブリッドセダンが欲しい

久々にプリウスに乗って、使える走り、素晴らしい経済性を再認識すると、むくむくと欲しくなってくる。しかし「買うぞ」というハードルを越えられない理由は、スタイルの魅力がイマイチなのもあるが、なにより今やあまりに普通のクルマであることだ。試乗車の価格はHDDナビ込みで約305万円とけして安くはない。だが、そこかしこに、とにかくいっぱい走っている。プリウスはそうしてハイブリッドを一般に普及させる役目を担っているのだが、では買うとなると何か更なるプレミアム感が欲しい。

また、一応ハイブリッド車としてかなり独自のカタチをしているから、逆にごく普通のセダンであるシビックハイブリッドに気が向く人も多いだろう。そう、つまりトヨタの現行ハイブリッド車には、ごく普通のセダンがないのだ。ハッチバック、SUV、ミニバンはあるのに。

と考えると、来年登場するハイブリッドセダン「レクサスハイブリッド」シリーズに注目せざるを得ない。プレミアムな、セダンのかたちのハイブリッド車。レクサスなら価格の問題でプリウスには搭載できなかった、様々なハイテク装備も搭載可能だろうし。モーターショーに登場した次期LSやGSあたりも悪くないが、手頃なサイズでスポーティーなセダン、ISハイブリッドこそ、モーターデイズが求めるクルマなのかもしれない。

試乗車スペック
トヨタ プリウス G
(1.5リッター+モーター・262万5000円)

●形式:ZA-NHW20-AHEGB●全長4445mm×全幅1725mm×全高1490mm●ホイールベース:2700mm●車重(車検証記載値):1290kg(F:770+R:520)●エンジン型式:1NZ-FXE●1496cc・DOHC・4バルブ・直列4気筒・横置●77ps(57kW)/5000rpm、11.7kgm (115Nm)/4200rpm●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/45L●モーター:68ps(50kW)/1200~1540rpm、40.8kgm(400Nm)/0~1200rpm●バッテリー:ニッケル水素電池●10・15モード燃費:33.0km/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ:185/65R15(GOOD YEAR CT3)●価格:305万1300円(含むオプション:サイド&カーテンエアバッグ 6万3000円、HDDナビゲーションシステム&JBLプレミアムサウンドシステム<インダッシュ6連奏CD・DVDチェンジャー、MDプレーヤー、G-BOOK ALPHA対応> 36万3300円)●試乗距離:960km ●試乗日:2005年11月

公式サイトhttp://toyota.jp/prius/index.html

 
 
 
 
 

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