キャラクター&開発コンセプト
2列シートの「v」+3列シートの「+」=「α」
2011年5月13日に発売された「プリウスα (アルファ)」は、2列シート・5人乗りおよび3列シート・7人乗りの新型ハイブリッド車。すでに1月の米国デトロイトショーでは、2列シートの「プリウス v (ヴイ)」がデビューしており、続く3月のジュネーブショーでは3列シートの「プリウス+(プラス)」が発表されていた。今回発売された「プリウスα」は、それら「v」と「+」を合わせた形の国内向けモデルだ。なお、当初は4月下旬に発売される予定だったが、実際には今回の震災の影響で5月にずれ込む形となった。
パワートレインは現行の3代目プリウスとほぼ共通だが、ボディサイズは一回り大きく、内外装デザインも異なる。また3列シート車では、トヨタの量産ハイブリッド車では初となるリチウムイオン電池(※1)を車体中央に搭載するなど、多くの部分が専用設計となっている。
(※1:トヨタ車では、プリウス プラグインハイブリッド(現時点では特定利用者向けのリースに限定)ですでに採用。国内向け量産ハイブリッド車では日産フーガハイブリッドに次いで2番目)
日本、北米、欧州でも発売
生産拠点はプリウスを生産しているトヨタ自動車の堤工場(愛知県豊田市)。販売チャンネルもプリウス同様、トヨタ全店となる(トヨタ店、トヨペット店、トヨタカローラ店、ネッツ店)。
販売目標は月間3000台だが、当面は震災の影響や受注の集中によって納期はかなり遅れる見込み。発売後一ヶ月の受注は目標の17倍以上となる約5万2000台で、仮に生産が倍増しても年内納車は難しい状況だ。ちなみにプリウスの月間目標は1万台だったが、初期1ヶ月の受注はその18倍の18万台で、震災前までは月間2万台以上のペースで供給されていた。
なお北米では2011年夏後半に5人乗りのプリウスvが、欧州では2012年中頃に7人乗りのプリウス+が発売される予定。
■過去の参考記事
・モーターデイズ>新車ニュース>トヨタ、新型プリウスαを発売 (2011年5月13日)
・モーターデイズ>新車試乗記>トヨタ プリウス G “ツーリング セレクション" (2009年6月)
■外部リンク
・トヨタ>プレスリース>プリウスα 受注状況について (2011年6月14日)
・トヨタ>プレスリース>トヨタ、新型「プリウス α」を発表(2011年5月13日)
・トヨタ>プレスリース>ジュネーブモーターショーに「Prius +」を出展(2011年3月1日)
・トヨタ>プレスリース>北米国際自動車ショーに「Prius v」を出展(2011年1月11日)
価格帯&グレード展開
5人乗りが235万円~、7人乗りが300万~330万5000円
2列シート車は235万~300万円の5グレード。最も安い「S “Lセレクション”」はスチールホイール(16インチ)が標準になり、運転席のリフターが省かれる。
3列シート車は、「G」(300万円)と「G “ツーリングセレクション・スカイライトパッケージ”」(330万5000円)の2グレード。最上級グレードの後者では、樹脂製のパノラマルーフが標準になるが、これは他の主力グレードでも10万5000円で装着できる。
ウィッシュのような3列シート車が主役に思えるプリウスαだが、価格的には2列シート車が選びやすく、実際の初期受注でも2列シート車は全体の約7割を占めている。ちなみにプリウスは205万~327万円(レザーシート仕様を除けば270万円まで)、6月16日に発売されたホンダ フィットシャトルのハイブリッド車は181万~233万円だ。
【5人乗り】
■S “L セレクション” 235万円
■S 250万円
■S “ツーリングセレクション” 280万円
■G 280万円
■G “ツーリングセレクション” 300万円
【7人乗り】
■G 300万円
■G “ツーリングセレクション・スカイライトパッケージ” 330万5000円 ※今回の試乗車
パッケージング&スタイル
デザインはプリウス風、サイズはウィッシュと同等
ボディサイズは全長4615mm×全幅1775mm×全高1575mm(樹脂パノラマルーフ装着車は1600mm)。数字的にも、見た目的にも、現行プリウスより一回り以上大きい。パッケージング的には寸法や3列シート車もあるという点で、トヨタのウィッシュが近い存在だ。
それでも、プリウスの派生モデルに見えるのは、いかにも空力が良さそうなデザイン処理のせいだろう。丸く尖ったノーズ、ブーメラン型のヘッドライト、トライアングルシルエット(真横から見ると富士山型)、エッジの立ったリアバンパーコーナーなどがそうで、これらがαをプリウスファミリーの一員に見せている。ボディパネルの表面を素手で触ってみると空力に対するこだわりが実感できるので、お試しいただきたい。
| 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) | ホイールベース(mm) | 最小回転半径(m) | |
| ■ホンダ フィットシャトル ハイブリッド | 4410 | 1695 | 1540 | 2500 | 5.1 |
| ■トヨタ 3代目プリウス | 4460 | 1745 | 1490~1505 | 2700 | 5.2~5.5 |
| ■トヨタ SAI | 4605~4615 | 1770 | 1495 | 2700 | 5.2~5.6 |
| ■トヨタ 2代目WISH | 4590 | 1695~1745 | 1590~1600 | 2750 | 5.2~5.4 |
| ■トヨタ プリウス α | 4615 | 1775 | 1575~1600 | 2780 | 5.5~5.8 |
| ■トヨタ 2代目エスティマハイブリッド | 4800 | 1820 | 1760 | 2950 | 5.7 |
インテリア&ラゲッジスペース
雰囲気はプリウスっぽいが、実際には別物
ステアリングやセンターメーターのあたりはプリウスっぽいが、インパネ全体はまったくの別物。ダッシュパネルにメタル風のファブリックを張ったり、温度・風量・吹出モードの切替を一括操作できる「ワンダイヤルエアコンディショナーコントロール」をトヨタ車で初採用するなど、α独自の工夫が見られる。
またインパネシフトやパーキングボタンなどの操作系は現行プリウスよりも使いやすく、メーターの文字も若干煩雑ながら見やすくなっている。デザイン的に攻めたものを、使い勝手優先で少し戻した、というところか。
1列目のヒップポイントがプリウスより約30mm高いため、乗車感覚や見晴らしはウィッシュが近そうだが、デザインは当然ながらプリウスαの方が未来的。質感的にはプリウスよりもαの方が価格相応にちょっと上級に見える。ドリンクホルダーのメッキリングなど細かい部分が妙に効いている。
7人乗りは前席アームレスト部にリチウムイオン電池を搭載
大型アームレストに駆動用バッテリーが入っているのは3列シート車の方。手法としては現行エスティマハイブリッドと同じだが、プリウスαの3列シート車に搭載されるバッテリーが高性能のリチウムイオンになる。上のフタを開けても、収納スペースはほとんどないが、エスティマハイブリッドほどジャマな感じはない。
なお5人乗り仕様では、ニッケル水素電池が普通のプリウスのように荷室床下に搭載されるため、アームレストは大型の収納ボックスに変身。トレイも大型になり、小物やカバンなどが置ける。
【2列目】 プリウスより断然広い。前後スライドも可
2列目は、プリウスよりも断然広々。ホイールベースがプリウスより80mm増えたことで、7人乗りの1-2列目タンデムディスタンス(前後席間の距離)は、プリウス比で35mm増加。ヒップポイントも80mm上昇し、ヘッドルームも45mm増している。
2列目は左右別々に前後スライドさせることも可能で、一番後ろに寄せれば、ちょっとしたリムジン風。タクシーやハイヤーにはうってつけだ。
ポリカーボネイト製ルーフを初採用
頭上を見上げれば、プリウスαの目玉装備である樹脂パノラマルーフ(スカイライト)を通して空が広がる。これはいわゆるポリカーボネイト製で、量産車で最初に採用したのは今の2代目スマートだったと思うが(ベバスト社製)、こちらは三菱エンジニアリングプラスチックスが素材を開発し、豊田自動織機が開発・生産したもの。トヨタ車では初採用だ。
ポリカーボネイトはヘルメットのシールドや防弾シールド、一部のスポーツサングラス等でおなじみの頑丈な素材で、ガラスに比べて軽量なことがメリット。プリウスαの場合、ガラスより約40%(実質約-17kg)軽量に出来たという。実際、カタログ値でも装着車は10kgしか重くならない。弱点はコストのほか、傷が付やすいことや白濁などの劣化だが、傷に関してはハードコート処理で対応し、劣化に関してもほぼ問題ないレベルだという。
ポリカーボネイト製パネルは一枚ものだが、車内側にはルーフパネルが中央を横切っており、開口部は二つに分割される。これは北米の側面衝突基準に対応するためのようだ。
断熱性能がガラスより高いのも長所の一つだが、電動ロールシェイド(100%遮光)も備えており、前席天井のスイッチで前後同時に開閉できる。ただし一つのロールで巻き上げるため、前だけ、後ろだけの開閉は出来ない。また駐車時の室温上昇を防ぐため、ドアロック連動でシェイドを自動的に閉じることもできる。
外部リンク
■三菱エンジニアリングプラスチックスHP>ニュース>プリウスα樹脂パノラマルーフに採用(2011年5月)
■豊田自動織機HP>ニュース>世界最大の樹脂パノラマルーフを開発(2011年5月)
【3列目】 実用的だが、リアウインドウが間近に迫る
3列目はヒップポイントが2列目より45mm高く、居住性はまずまず。太もものサポートは期待できないが、メーカー資料にあるように「サードシートでも170cmの人まで着座可能」だ。2列目シートの前後スライド位置が真ん中あたりならフットルームは十分だし、圧迫感も少ない。短距離なら十分耐えられる。
一つ気になったのは、ヘッドレストの後ろにリアウインドウが迫ること。これは、そもそも寸法に余裕がないことに加えて、リアウインドウの傾斜が強いからだが、被追突時のことを考えると若干の不安がある(プリウスαに限ったことではないが)。北米市場に5人乗りだけ投入される理由はこのあたりかも。
なおエアバッグは計6個(1列目フロント×2、1列目サイド×2、1-3列目カーテンシールド×2)を標準装備。3点式シートベルトは全席に装備される。
荷室容量は200~1035リッター(3列シート車)
トランク容量は3列目シート使用時が200リッターで、3列目を畳んだ時が505リッター。一方、2列シート車では535リッターになる。この場合、どちらも荷室奥行きはカタログ値で約995mm、最大幅は約1580mmとなり、9.5インチのゴルフバッグを4セットまで積めるとのこと。
さらに、2列目の背もたれを40:60分割で前に倒せば、3列シート車では1035リッター、2列シート車では1070リッターに容量を拡大できる。この時の荷室奥行きは約1.9メートルだ。ただこの時の荷室フロアは、全体に少し後ろ下がりになる。
パンク修理キットを搭載することで、スペアタイヤは省略。その代わりに荷室床下には、容量60リッター、深さ345mmの樹脂製ボックスが入っている(5人乗り仕様には奧にもう一つ容量15リッターの小型ボックスもあり)。かなり巨大なので、いろいろな使い方ができそうだ。
大型ボックスの奧にはパンク修理キットが入っているが、オプションで応急用スペアタイヤに変えることも可能(1万0500円)。この場合、樹脂製ボックスは大型から小型(15リッター)に変更される。