新車試乗記 第 562回 トヨタ プリウス G “ツーリング セレクション" Toyota Prius G “Touring Selection

(1.8リッター直4+モーター・270万円)

パワーとサイズをアップ!
燃費性能もアップ!
「3.0」にバージョンアップした
新型プリウスに試乗!

日時: 2009年06月26日

     
     
     

    キャラクター&開発コンセプト

    すべての点で先代を上回る3代目

    1997年に初代、2003年に2代目が登場し、この2009年5月18日に3代目となったプリウス。過去12年間に世界40ヶ国以上で累計125万台(2009年3月末時点)を販売したハイブリッド車のベストセラーだ。

    基本的には先代のコンセプトを受け継ぐ3代目だが、ハイブリッドシステム「THS II」は全体の90%以上が刷新され、ハイ・ローの2段ギアを持つリダクション機構付に進化。排気量は従来の1.5リッターから1.8リッターとなり、またボディサイズも拡大しながら、10・15モード燃費は先代の35.5km/Lを上回る38.0km/Lとなっている。

    1ヶ月で18万台を受注

    国内販売は初代はトヨタ店のみ、2代目はトヨタ店とトヨペット店のみだったが、新型はトヨタ店、トヨペット店、トヨタカローラ店、ネッツ店と、要するにトヨタ全チャンネルになった。

    生産はトヨタ自動車の堤工場(愛知県豊田市)とトヨタ車体(株)の富士松工場(愛知県刈谷市)。いわゆるブリッジ生産(並産)となる。

    販売目標は先代後期型で掲げられた月間3500台の約3倍にあたる月間1万台。しかし既報の通り、発売後1ヶ月までの受注はその18倍の約18万台に達したという。まさに「プリウス一人勝ち」と言いたくなる状況だ。

    また海外では従来の倍となる80以上の国・地域で順次発売する予定。ちなみに初代の累計販売台数は12万台、2代目(2005年末から中国でも生産)は現時点で110万台を越えており、こうなると3代目は優に300万台を越えそうだ。

    先代プリウスも併売。レクサスにも新型ハイブリッドを投入

    なお先代プリウスは主にビジネスユースを想定して装備を簡略化した「プリウスEX」となり、トヨタ店とトヨペット店のみで販売が継続される。価格はホンダ・インサイトと同じ189万円で、こちらは月間2000台が目標だ。

    一方、レクサス店にはこの7月から新型レクサスHS250hが投入される。新型プリウスのレクサス版とも言えるモデルだが、こちらは4ドアセダンで、エンジンは2.4リッター直4となる。こちらは約400万円弱との噂だ。

    ■参考
    トヨタ自動車>プレスリリース>3代目プリウス発売(2009年5月18日)
    トヨタ自動車>プレスリリース>2代目プリウスを新グレード「EX」として発売(2009年5月18日)
    トヨタ自動車>プレスリリース>3代目プリウス受注状況について(2009年6月19日)

    ■参考(過去の新車試乗記 トヨタ プリウス)
    ・トヨタ プリウス G (2005年12月) ※2代目後期型
    ・トヨタ プリウス G ツーリング セレクション (2003年10月) ※2代目
    ・トヨタ プリウス (2000年7月) ※初代後期型
    ・トヨタ プリウス (1998年1月) ※初代

    価格帯&グレード展開

    205万円から、レザー仕様の327万円まで

    基本的にはベースグレードの「L」、主力の「S」、装備やオプション設定がそろった「G」の3グレード体制だが、「S」と「G」には215/45R17タイヤ、専用チューンドサスペンション、LEDヘッドライト等を装備した“ツーリングセレクション”、「G」にはレザー内装を追加した“ツーリングセレクション・レザーパッケージ”があり、実質6グレードとなる。

    やはりインサイト(189万円~)への対抗もあってか、スタート価格は先代より20万円ほど安いが、主力・上級グレードの価格帯は先代と大差なし。クルマのポテンシャルは大幅に上がっているので実質値下げではある。

    ■L                  205万円
    ■S                   220万円
    ■S “ツーリングセレクション”     245万円
    ■G                   245万円
    ■G “ツーリングセレクション”     270万円 ★今週の試乗車
    ■G “ツーリングセレクション・レザーパッケージ”   327万円

    オプション関係はHDDナビが30万8700円(最上級は標準装備、ベースグレードには設定なし)、レーダークルーズ&プリクラッシュセーフティが14万7000円(Gのみ)。オーディオやアルミホイールは(EXを除いて)全車標準となる。


    新型プリウスのウェルキャブ仕様 (フレンドマチック取付用専用車“タイプIV”)
    (Photo:トヨタ自動車)

    なお、ウェルキャブ車の一つであるフレンドマチック取付車には、車いすをルーフに自動収納できるトヨタ初の「ウェルキャリー」が用意されている。ルーフボックスの形状がプリウスと相似形になっているのが面白い。

    パッケージング&スタイル

    すべては空力とパッケージングのため

    ボディサイズ(先代比)は全長4460mm(+15)×全幅1745mm(+20)×全高1490mm(同)。ホイールベースは2700mm(同)。数字だけ見るとそれほどサイズアップしたようには見えないが、実際にはかなりボリューム感が増している。ブーメラン型のヘッドライト、複雑な凹凸面のサイドパネル、大径タイヤ、後ろ上がりのウエストラインなどの相乗効果だろうか。先代に比べて「かわいらしさ」は後退したように見えるが、すべては空力や室内空間のためだ。

     

    例えばCd値は0.25と世界トップクラス。ちなみにホンダの初代インサイト(2ドアクーペの方)や新型メルセデス・ベンツ・Eクラスも同じ0.25で並ぶ。さらに先代プリウスが0.26、シビックハイブリッドが0.27、2代目(現行)インサイトが0.28だ。Cd値は風洞施設によって誤差があるようで、またあくまで前面投影面積に掛ける係数に過ぎないが、空力に不利な4ドアハッチバックボディでこの数値はすごい。ルーフの断面形状は先代プリウス以上にセンター部分が凹んでおり、ドラッグを抑制。ほかにもドアパネル凹面にグリップ式ドアハンドルを埋め込むなど、細部まで「ここまでやるか」というほどの凝り方だ。

     

    デザイン一新。ブリッジ型センターコンソールを採用

    オーリス/ブレイドのようなブリッジ形状のセンターコンソールが目を引くインテリア。センターメーターは先代と変わらないが、インパネの形状はガラリと変更された。内装に関しても全体にボリューム感が増し、先代のような簡素な雰囲気は無くなっている。

     

    ブルーのカーボン調素材があしらわれた電子制御式シフトレバーは、基本的には先代と同じタイプ。操作後は常に左上に戻るもので、右横がN、右上がR(リバース)、右下がD、真下がB(エンジンブレーキ重視)だ。パーキングは右上のボタンとなる。

    先代ユーザーなら大丈夫だが、初めてプリウスに乗る人にとってはここが最初にとまどう部分。特にパーキングボタンは小型になって目立たなくなり、誰もが最初は探してしまうはず。一方、パーキング「ブレーキ」の方は相変わらず足踏み式であり、ここだけが古くさく見える。

    大幅に多機能化したセンターメーター

    センターメーターは大幅に多機能化しており、見たい表示画面はステアリングスイッチで呼び出すことになる。

    画面の種類は、歴代プリウスでおなじみの「エネルギーモニター」(写真)、アクセルの踏み方に応じてバーグラフが動くことでエコ運転を促す「ハイブリッドシステムインジケーター」、トリップメーターに連動して区間燃費を棒グラフで表示する「燃費履歴」、時間単位での燃費を棒グラフで表示する「1分間・5分間燃費」などだ。

     

    ステアリングスイッチには感圧式スイッチが仕込まれており、少し押すとどのスイッチに指が触れているかをセンターメーター内に表示する「タッチトレーサーディスプレイ」機能が付いている。これらの工夫によって、先代だと最大16個もあったステアリングスイッチが一気にシンプルになった。

    ルーフラインを変えてヘッドルームを拡大

    全高やホイールベースが先代と同じでも、広くなった印象を受けるリアシート。これは先代では前席乗員の真上に頂点があったルーフラインをアーチ状に変更し、頂点を後方に移動させたから。これによりヘッドルームの余裕が確実に増した。また足もとの広さも、前席バックレストの薄型化などによって若干増えているようだ。

    シート形状はやや平板だが、座面長は十分にあり、座り心地は悪くない。また乗降時に頭がルーフに当たらないのはホンダの現行インサイトより優れる部分だ。

     

    唯一気になるのは、そんな新型プリウスでも身長170センチを越えたあたりからルーフに頭がつかえてしまうこと。室内が広々しているので圧迫感はないが、リクライニング角度は固定だし、そもそもルースな姿勢だと収まりが悪いので、大柄な男性の4人乗車はつらいかも。まあ、しかし絶対室内寸法とCd値0.25、そしてプリウスらしいデザインを両立するとなると、これが最適解か。

    ソーラーパネルで駐車中も換気


    (photo:トヨタ自動車)

    試乗車には無かったが、新しい装備で面白いのがソーラーパネルで発電して室内換気を行う「ソーラーベンチレーションシステム」だ。これはその昔、マツダが1990年代にセンティア等で採用したもので、最近ではアウディのA8にも設定されているが、トヨタでは意外にも初採用。いずれも炎天下の駐車中に室内の換気を行ない、温度上昇を抑えるというものだ。

    プリウスの場合、換気システムをオンにした状態で日射量などの条件が揃えば、自動的にシステムが稼働する。目安としては、外気温30度Cで室内温度80度Cの場合、室内温度を20度Cほど下げられるという。換気には通常の空調ブロアを使用し、もちろん外気導入となる。

    さらに電動エアコンを車外からスマートキーで動かし、もう15度Cほど室温を下げられる「リモートエアコンシステム」(世界初)も備わる。作動時間は3分間だ。この2つにより、室温を最大35度C程度下げられるという。

    トランク増量。パンク修理キットも選択可能に

    ぱっと見た目は先代と似たようなトランク形状だが、荷室容量はトノカバー無しの状態で約30リッター増の446リッター。9.5インチのゴルフバッグが先代の2個から3個積めるようになったという。

     

    荷室高が限られるので自転車のようなモノは積みにくいが、フロアボードを外せばもう少し高さを稼ぐことができる。床面がほぼフラットになるなど、拡張性もまずまずだ。使わないトノカバーを床下に収納できる工夫も継承されている。

     

    床下の樹脂トレーを外した先には、応急スペアタイヤと工具が収まる(オプションでパンク修理キットへの変更も可能)。奧に見えるのは従来より小型化されたハイブリッドシステム用ニッケル水素電池だ。通常の鉛バッテリーは、荷室右側の下に収まる。

       
       
       
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