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新車試乗記 第121回 トヨタ プロナード Toyota Pronard

 

日時: 2000年04月28日

 

キャラクター&開発コンセプト

北米産、トヨタブランドのFF高級サルーン。6人乗り仕様を設定

プロナードは「上質なゆとり」をテーマに開発された、トヨタのFF最高級サルーンだ。ウリはFFレイアウトを最大限に活かしたゆとりのパッケージング。そして前席ベンチシートの6人乗り仕様の設定だ。

生産はアメリカで、日本からの輸出車を載せた船の「帰りの便」に積まれて日本へやってくる(だから国内生産並の価格が可能に)。車名こそ変わったものの、実はアバロンの後継モデルで、本国ではすでにデビュー済み(もちろんアバロンいう名で)。

今回、日本導入の際に車名が変更されたのは、旧アバロンの販売状勢が悪く、イメージが芳しくなかったこと。そして販売チャンネルがトヨペット店からビスタ店に変わったこと。これらを受けてトヨタは心機一転、新ブランドとして投入するに至ったわけだ。フラッグシップのなかった個性的なクルマを扱うとされる「ビスタ」店のトップブランドとして、他との差別化を図ったという側面もある。

パワートレーンは3リッターエンジン+4ATのみ。乗車定員は5名と6名。

価格帯&グレード展開

室内の広さ、充実した装備を考慮すれば割安な価格

グレードは5人乗りの「3.0」(315万円)と、それをベースにより付加価値の高い装備をプラスした「3.0G」(380万円)。そして6人乗りの「3.0L」(345万円)の計3タイプ。

3グレードともサイドエアバッグ、EBD、VSC、DVDナビを標準装備。その他の高級アイテムとしては、本革シートは「3.0G」と「3.0L」に、リアエアコンは「3.0」と「3.0G」に、ディスチャージヘッドライト、サンルーフ、高級オーディオシステム。クルーズコントロールは「3.0G」のみに標準装備される。

このように装備の充実は高級サルーンらしく、おかげでオプションはほとんどない。でもボディカラーが3色(パールホワイト、シルバー、グリーンメタ)と、選択肢が狭いのは、ちょっと寂しいところ。

ライバルは、同じアメリカからの逆輸入車であるホンダ・インスパイア(2.5および3.2リッターで268.0~328.0万円)、アメリカがメインターゲットの日産・セフィーロ(2よよび2.5リッターで207.1~320.0万円)といったFFラージセダン。

パッケージング&スタイル

ボディサイズは旧アバロンとほぼ同じ、でもデザインは大きく変身し、上質感をアピール

FFレイアウトのプラットフォームは基本的に旧アバロンから受け継がれたもの。ボディサイズは全長4895mm×全幅1820mm×全高1460mmと、セルシオ級。この大柄なサイズに対してホイールベースは短く、2720mmとビスタ級だ。よって、オーバーハングの長い古典的なスタイルとなる。

デザインを担当したのはセリカなどを手がけたアメリカのCALTYというトヨタ直系のデザイン会社。もちろん最後はトヨタ自身が手を入れている。サイドウインドウの上端を外へ張り出し、ワイドルーフ化しながらもフロント&リアピラーの底部を前後に広げて、流麗なラインを形成(もちろん室内頭上空間はグッと広がった)。Cd値はクラストップレベルの0.28を確保。ギラギラとした大型グリルを採用したことで、旧アバロンより、グッとアメ車らしくなった。

同クラス車をはるかに凌駕する広大な室内は、まさにアメ車の造り

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FFレイアウトを生かしたゆとりある室内空間はプロナード最大のウリ。旧アバロンでも相当広かったが、プロナードはさらに広く、「国内セダン最大級」「現行セルシオよりも広い」とメーカーが声を大にしてアピールするほど(ただし、次期セルシオよりはやや狭いらしい)。特に後席の圧巻で、前席を最後端にセットしてあっても、足が余裕で組めるほど広い。よく、「大人2名が快適に」という謳い文句を聞くが、プロナードは大人3名をきっちり快適に座らせることができるもの。しかも見た目に反した全高の高さと、お尻が沈むフカフカシートのおかげ(長時間座ると疲れるけど)で、頭上空間も余裕たっぷりだ。トランクもクラウン・ロイヤルの530リッターに対して、562リッターと大容量を誇る。

このゆとりの空間の演出に一役買っているのが、前席3人掛けを可能としたベンチシート+コラムシフトの設定だ。足元は広く、左右ウォークスルーも可能。実は本国仕様の旧アバロンには設定されていたのだが、それを今回から日本へも導入したのは、コラムに慣れたRVユーザーをセダン市場へ呼び戻すのが理由だ…と思う。なお、コラムは売れ行き不振のビスタにも設定されており、そう珍しいわけではない。

今回の試乗車はベーシックな3.0で、木目を全面にあしらったセンターコンソールが採用される。助手席側までつながるメーターナセルにDVDナビ(標準装備! )をセンターに埋め込んだインパネと、淡いベージュの室内カラー(ステアリングも淡いベージュ)が、より広さを強調。メーターはトヨタお得意のオプティトロンで、基盤が白色という新作だ。この造形、先代のプレリュードによく似た未来的なもので、やはりアメリカ人好みの感じ。

リアシート前のコンソールボックスにはAC100Vの家電用コンセントを標準装備。レジャーというより、ノートパソコンや電気シェーバーなど、ビジネスユースで重宝するだろう。

基本性能&ドライブフィール

パワートレーンは旧アバロンの進化型

搭載されるエンジンは旧アバロンの3.0リッターV6ユニットを、パワーの向上、燃費性能の向上、排ガスのクリーン化など、ウインダム用と同様にBEAMS化したものだ。最高出力は215PS/5800rpm、最大トルクは30.5kgm/4400rpmを発生。J-LEV(移行期低排出ガスレベル車)を達成しており、10・15モード燃費は10.2km/lとカタログにはクラストップレベルと記載される。が、ほぼ同じスペックを発生するクラウンの直6・3リッターD-4(11.4km/l)には歯が立たない。組み合わせられるギアボックスは4速ATだ。

足回りは、基本的に旧アバロンからの流用で、前がストラット、後ろがデュアルリンクストラットを採用する。もちろん、新型なりのチューニングは施されている。「3.0G」にはスカイフックTEMSを採用。路面からの突き上げを電子制御で抑えて、常にフラットで柔らかな乗り心地を確保する、トヨタ自慢のハイテク技術だ。

大味な走りはまさにアメリカンラグジュアリー

最近のアメ車はかなり硬め志向に見直されてきているが、プロナードは、いかにも昔ながらのアメ車という感じだ。パワステは今時珍しいほどにムチャクチャ軽く、指先でつまんで回せるほど。ペダルも「グニョー」としており、かなり奥まで踏むことを強いられる。その大雑把な味付けは、一世代前のクラウン以上? 「こりゃアメ車だ」と思わず口に出てしまった。

それでも、乗り心地のほうはけしてフワフワしておらず、意外やしっかりしている。足回りは柔らかすぎず、ロールも想像するよりは抑えられているのだ。コーナリングのしっかり感もアメ車ではない。結構なペースで飛ばせる実力を持っている。また、1540kgという相対的に軽い車重は、加速に好影響を与えているのも忘れてはならないところで、豊かなトルクと相まって、あらゆる領域から即、加速体制に移れる。高速ではメーターを振り切るのもあっけない。静かで、快適で、かなり速い走りといえる。

しかし、高級サルーンと謳うには、ちょっと走りの質感が物足りないのも確か。強固なボディに守られた安心感というか、ホンモノの高級感というか、そういういかにも高級車らしいという印象がないのだ。所詮アメリカでは大衆車、という感じがしてしまう(事実、本国仕様のカムリがベース)。このあたりはさすがにクラウンやセド/グロの方が上だ。

ここがイイ

FFレイアウトをいかしたバカ広い室内。特に後席はRVから乗り換えても文句ないだろう。質実剛健というか、ほどほどの高級感、静かな室内、十分な走り、巨大なトランクと、セダンとしての出来は大変いい。

ここがダメ

細かく見ていくと、結構、造りが雑。プラスチック類にわずかなバリがあったり、合わせ目に隙間があったり、シートの縫製が均一でなく、今にもほころびそうであったり(そこまでひどくはないが)。白っぽい内装もどことなくチープ。この大雑把な感じがアメ車らしい演出か? アバロンもそうだったが、日本の工場出身車とはかなり仕上がりが違うと思う。

総合評価

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バタ臭いスタイル(お世辞にもかっこいいとはいえない=日本人の感性ではないデザイン)に、ベンチシート+コラムシフトの採用。まさに古き良きアメ車。いや、これも一種のネオ・クラシックといったところか。アメリカの普通のセダンという点では、少なくともリンカーンLSよりはアメ車していると感じられた。

アメリカ国内で売られるアバロンとほぼ同じということで(装備は当然プロナードが充実)、トヨタの安心感を持ったアメリカのごく普通のセダンが欲しいという人には売れるだろう(そんな人いるのか?)。

旅先の米国圏でトヨタ車に乗って、日本のトヨタ車とはかなり印象が違うと感じた人は多いはず。あの感じが日本国内でもチョットだけ感じられる貴重なクルマだ。

旗艦プロナードの投入でビスタ店の扱い車種ラインナップはほぼ完成したが、それは以下の通り。

セダン系=プロナード アリスト クレスタ ビスタ アルデオ WiLL Vi 
スポーツ=MR-S
RV=レジアス イプサム ファンカーゴ プラド ハリアー

こうして並べてみると、ビスタ店て確かにへんなクルマばかり売ってますね。

 

公式サイトhttp://toyota.jp/

 
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