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モデリスタ グランビア PX02新車試乗記(第22回)

Modellista Granvia PX02

 

1998年04月30日

 
 
 

カーデータ

●カテゴリー:カスタム高級ミニバン
●クラス(排気量):2982cc
●キャラクター:95年にハイエースの上級車種として登場し、ボディサイズ、内容ともにトヨタの最上級ミニバンとして位置づけられるグランビア。このグランビアをベースに、トヨタのカスタムディビジョンとして97年6月に設立されたモデリスタインターナショナルが、さらに豪華に仕上げたコンプリートカーがPX02だ。
また今回紹介するPX02は97年のグランビアマイナーチェンジ前のQグレード(セカンドシートはキャプテンシート)をベースとしたものである。
●コンセプト:最上級ミニバングランビアを使ってのアメリカンカスタム。スタイルや内装をグレードアップさせるべく、エアロパーツや本革シートなどを奢り、さらに室内空間をより広く快適なものにしようとハイルーフ化までしてしまったというスーパープレステージワゴンだ。トヨタの最高級ミニバンにふさわしい迫力と存在感を醸し出している。
最近ではカスタムカーを望むユーザーが増加する傾向にあり、合法的な改造工房であるモデリスタでは、すでに10車種以上のカスタムカーを製造している。コンプリートカスタムとはいえ、天下のトヨタのお墨付き改造車であり、モデリスタの勢いは今後もさらに拡大していくのは間違いないだろう。
●注目度:全長4715mm、全幅1800mmはノーマルグランビアと変わらないが、155mmもハイルーフ化された全高を持つPX02は、実際のサイズ以上にデカく感じる。ワルっぽさはないものの迫力、存在感ともに申し分ない。これならアストロも道を譲ってくれそう。
●特筆装備:インパネからルーフに至るまであらゆる箇所に奢られた木目パネルに本革シート、後席用テレビ&ビデオ、そして極めつけとなるのがハイルーフ全体に取り付けられたイルミネーション。コッテリと気合いの入った演出は「動く応接間」それとも「動くキャバクラ」? このアメリカン感覚の豪華さを「悪趣味」ととらえる人もいるかも。
足まわりはローダウンサスとビルシュタイン製のショックアブソーバーが装着された。また、ノーマルのグランビア自体が気のきいた装備を満載しており、例えば2列目シート用の収納式フットレスト、伸ばした足をのせることができるオットマン(試乗車はマイナーチェンジ前なので装備されていない)、半ドアでも自動的に閉めてくれるスライドドアイージークローザーなどがある。マイチェン後には両側にスライドドアが採用された車種も追加設定された。
PX02専用装備としてバックカメラやベンツタイプ・ホーンなどが装着される。
●燃費:未公表
●価格・販売:647.5万円。ベース車両の約300万円高、スタークラフトなどアストロコンバージョンモデルの相場価格よりも100万円以上高い。
なお、購入済みのグランビアに好みのパーツだけを装備することも可能となっている。

スタイル

エアロパーツ自体は大人しいデザインであるが、PX02の存在感をここまで際立たせているのは、何といってもハイルーフ化に伴って装着されたエアロルーフパネルだろう。SF映画に登場してもおかしくないほど派手で、アメリカのバンコンバージョン(改造)メーカーであるスタークラフトやレインボースター同様の手法だ。

パッケージング

フロントにエンジンを配置し後輪を駆動するFR方式ながらフラットフロアとしたので、床が高い。またグランビアは商用車として欧州にも輸出されることも前提に開発されただけに、荷室優先で、運転席の居住性が悪くなってしまっている。しかし、全幅は1800mmもあり、確かに倉庫のような巨大な空間が確保されている。

さらにPX02ではハイルーフ化されているので、身長160cmぐらいの人なら頭を少しかがめるだけで立って歩け、ちょっとしたワンルームアパートの部屋のようでもある。前席シートが両側に寄せられているからウォークスルーも楽々、シートアレンジも多彩だ。最大定員7人が乗り込んでも余裕十分の贅沢な空間こそグランビアの魅力だ。

内装(質感)

photo_3.jpgサイドパネルまで徹底的にルーズフィットの革張りで、確かに豪華なのだが、「ねずみ色」の本革シートといい、どことなく商用車の香りがしてしまうのはなぜだろう。本場のアストロコンバージョンモデルの圧倒的ムードには今一歩及んでいないのが、残念。高級ミニバンなのに、エアコンがマニュアルだったのも素っ気ない感じ(試乗車のベース車両が下級グレードだったため)。

シート・ステアリング・シフト感触

ご承知の方もいると思うが、運転席レイアウトはやっぱり最悪だった。シートは両側に追いやられ、足元のトランスミッションの張り出しも大きく、運転席はとても狭い。肘がドアに当たるのも不愉快だ。スポーティさを演出してタイトにしてあるのでなく、一昔前のワンボックスに乗っているといった印象。

また一見ファーストクラスなみのセカンドシート(キャプテンシート)は、さぞ快適だろうと思ったら、これがちょっと見当違い。サポート性が良くない上に滑る本革シートだから、お尻が前にずり落ちてしまう。アメ車の豪華なふかふかソファではなく、日本のミニバンのシートだった。

動力性能(加速・高速巡航)

試乗車は3.0リットルディーゼルターボ(130PS/29.6kgm)搭載車。エンジンはノーマルだが足まわりはビルシュタイン製のショックアブソーバーを装備。

フルスロットルにしなくても低速からのビッグトルクで加速は鋭い。モデリスタだけにエンジンもチューニング済み? と思ったくらいだ。加速だけに絞って言うなら、この2トン以上もある車重を忘れさせてしまうほどで立派。ターボ特有の癖は若干感じられるが、唐突でなく扱いやすい。さすがに走りを楽しみたいという気持ちにはなれないが、パワー的には大人数を載せても心配ないだろう。

ただ車重が2トン以上もあるためにブレーキの利きの甘さが目立つ。時速150km/hぐらいまでなら直進安定性も優れ、楽勝なのだが、このブレーキの甘さでは走らせるのが怖くなってしまう。

ハンドリング・フットワーク

ホイールベースの長さもあってハンドリングの反応はワンテンポ遅れ気味で、さすがに大味。一般にグランビアはロールが大きいと言われているようだが、このPX02に限ってはロールは小さく、しっかり踏ん張りがきいている。ハイルーフになっているのにも関わらず重心の高さをあまり気にしないで走れる。それでも、乗用車気分でついつい調子に乗ってしまうと曲がりきれず事故りそうだ。市街地で扱うにはパワステのセッティングが少々重い気もした。

乗り心地

タイヤが60扁平となることもあって路面からのゴツゴツとした振動がやや気になる。足まわりは柔らかいが、ゆらゆらと安っぽい印象は全くない。しかし、トヨタの最高級ミニバンとして位置づけられるだけに、もう少し乗り心地に高級な印象があってもいいのではと思える。

騒音

アイドリング時はディーゼル特有のカタカタ音はするものの、走行中の静粛性は優れる。ロードノイズやこもり音はモノボックスの構造上、大きくなってしまうが、快適性を損なうレベルではない。もちろん運転席よりリアシートの方がグッと静か。

安全性

97年のマイチェン後は衝突安全ボディGOAをはじめ、ワンボックスタイプ初の車両安定制御システムVSC&TRC、挟み込み防止機構付きパワーウインドウなど贅沢な装備が追加設定されている。今回の試乗車はマイチェン前のクルマなので、これらは装備されていない。

環境対策

特に強調されず。

ここがイイ

やはりモデリスタならではの完成度の高い、高品質のカスタム化だろう。ハイルーフとなって居住空間が広くなったのはもちろん、見た目も迫力がアップして、街のカスタムワゴンとは一線を画しているあたりが、このクルマを乗って優越感に浸れるところ。運転席ポジションは悪いが、着座位置はどのミニバンにも負けないくらいの高さだから(これが欠点にもなりえるのだが)、走行中も殿様気分に浸れるし、広い室内は接待の場として、また自分の休息空間として十分喜ばれるはずだ。

ここがダメ

やはり運転席レイアウトの悪さ。これでは1640mmの室内幅がもったいない。着座位置は、ここまで高いとドライビングフィールが不自然になってしまい、乗用車からすぐ乗り換えられるミニバンとは言い難い。全高が2120mmもあり、立体駐車場は無理。それでもホテルの地下駐車場などにはかろうじて入るが、ちょっと心臓に悪い。都心部ではまず路上駐車を覚悟したほうがいいだろう。そしてロングホイールベースと4WDのため最小回転半径は6.3m(2WDは5.5mと結構いい)と、やはり取り回しは大変だ。道幅の狭い日本のアウトドアでも苦労しそう。

総合評価

photo_2.jpgトヨタの最高級ミニバン、そしてモデリスタならではの豪華な演出が施されたPX02だけに第一印象では「凄い」と感心させられるものの、ずっと乗っていると今一つ盛り上がりに欠ける。そんな印象はコンセプトが典型的なアメリカンカスタムを踏襲しているわりに、全体的な質感が日本車っぽいこと(質感が悪いというのでなく、日本車的なムードということ。作り自体は当然アメ車の方が雑な感じ)から来るのだろう。トヨタ車ならではの出来の良さ、安心感はあるものの、それがかえってニセモノっぽく感じさせてしまうのだ。またこういうクルマはバカバカしいほどの豪華さが信条。天井のイルミネーションがその象徴だが、これも無理してる感じがしてしまう。という意味ではハイルーフを活かして、もっと日本的なセンスを追求してみても良かったのでは。日本的といっても障子に畳というのではなく、無印良品的な心地いい空間が作れたら、と思う。ただ、PX02はモデリスタとしては初期の作品。そしてこういったモデルを作り、世に出しているという事実を素直に支持したい。

お勧め度(バリューフォーマネー)

法人でショーファードリブン(運転手付き)カーとして使うのがベストだろう。悪ガキっぽいエアロフォルムではないから、仕事中でも違和感なく乗れるはず。運転していてもあまり楽しくないからオーナーカーとして購入するのはあまりお勧めできない。せっかくの豪華な室内も、運転中は全く味わえないのだから。ただ、我が家で肩身の狭い思いをしているお父さんが、休日の自分の憩いの場として買うのは悪くない。

 

 

 
 
 
 
 

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