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アウディ Q5 2.0 TFSI クワトロ新車試乗記(第565回)

Audi Q5 2.0 TFSI quattro

(2.0リッター直4ターボ・7速DCT・569万円)

2リッター直噴ターボ、
7速Sトロニック、クワトロ。
三種の神器を備えたSUVは
“完璧なクルマ”だった!

2009年07月17日

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キャラクター&開発コンセプト

新型A4ベースのミドルサイズSUV

アウディ「Q5(キューファイブ)」は新型A4の新世代プラットフォームをベースにしたミドルサイズの新型SUVだ。2008年4月に北京モーターショーで発表された後、日本では2009年5月21日に発表、6月2日から発売された。「Q」を冠するモデルとしては、「Q7」に続く第2弾となる。

日本仕様のエンジンは2リッター直4直噴ターボと3.2リッターV6の2種類。変速機にはいずれも最新型の縦置7速DCT「7速Sトロニック」を採用。駆動方式はもちろん全車ギア式センターデフのクワトロだ。

価格帯&グレード展開

2リッターターボが569万円、3.2リッターV6が660万円

今回導入されたのは「2.0 TFSI クワトロ」(569万円)と「3.2 FSI クワトロ」(660万円)の2グレード。いずれもトランスミッションは7速Sトロニックで、右ハンドルとなる。

■Q5 2.0 TFSI クワトロ (7速S-tronic)  569万円 ★今週の試乗車
2リッター直4 直噴ターボ(211ps、35.7kgm)

■Q5 3.2 FSI クワトロ (7速S-tronic)  660万円
3.2リッターV6(270ps、33.7kgm)

「アウディ ドライブ セレクト」はオプション


こちらはオールロード クワトロ風の樹脂製オーバーフェンダー等を備えた「オフロード パッケージ」仕様(販売店オプション)

レザー内装やウッドパネルは前者がオプション、後者が標準装備。タイヤサイズは前者が235/60R18、後者が235/55R19となる(どちらもオプションで255/45R20も選択可)。オプションは他に、「S-line」パッケージ(2.0 TFSI用:48万円、3.2 FSI用:42万円)、パワステのアシスト制御やダンパー減衰力などが好みで選べる「アウディ ドライブ セレクト」(44万円)、電動パノラマサンルーフ(24万円)、オートマチックテールゲート(9万円)などだ。

さらに販売店オプションとして樹脂製フェンダーアーチプロテクション、前後パンパープロテクション、ランニングボードなど、オフロードイメージを高める外装パーツも今秋に用意される予定。

パッケージング&スタイル

A4譲りのプラットフォーム。大きさを感じさせないデザイン

試乗車(2.0 TFSI クワトロ)のボディサイズは全長4635mm×全幅1900mm×全高1660mm。ホイールベースは現行A4と同じ2810mmだ。A4より短い全長や端正なデザインのせいか、実車はけっこうコンパクトに見える。また実際に運転した印象もそうで、全幅が1900mmもあるようには思えない。これは最小回転半径が5.4メートルと意外に小さいこととも無関係ではないだろう。

リアゲートからはみ出さないリアコンビランプ

スタイリングはアウディらしく端正で、上品にまとまっている。SUVの場合、Cd値(空気抵抗係数)は公表すらされないのが普通だが、Q5は0.33とこのジャンルでは優秀な数値となっている。

 

リアに回れば、リアコンビランプを全てリアゲート上に設けて、左右リアフェンダー回りをすっきりさせたデザイン処理が新しい。もちろんこれにはリアゲート開口部を広くする狙いもある。そのため、停止中にリアゲートを開けた時には、バンパー部に設けた「もう一つの」リアランプユニットが点灯して、後方のクルマに注意を促す。

A4シリーズに似たインパネまわり。相変わらず装備は充実

試乗車はオプションのレザーパッケージ(35万円)装着車。インパネまわりはデザインの点でも、質感の点でも、一部を除いてA4によく似ている。着座位置もそれほど高くなく、割と自然に乗り降りできるし、見晴らしも良い。

A4以上のアウディ同様、電動パーキングブレーキやアドバンストキーシステム(タッチセンサー式でリアドアも対応)を完備。ナビゲーションシステムはMMIでストレスなく操作できる。バックモニターに加えて、左側を映し出すサイドモニターも装備し、停止すればDレンジのままでも映像が映る12セグ対応デジタルTVもいつも通りだ。こういった使い勝手のいい装備も、アウディの大きなセールスポイントの一つだろう。

 

唯一気になるのは、右ハンドル車の場合、センターコンソールが張り出して、フットレストがずいぶん中央側にオフセットしていること。フロアが高くなった分、A4ほどではないが、やはり気になると言えば気になる部分だ。

前後スライド、リクライニング、3分割可倒式のリアシート

リアシートはA4シリーズと異なり、SUVらしい高い着座位置や高い天井高、そして前後スライドやリクライニング調整、3分割可倒式の折り畳みといったシートアレンジを備えたものだ。姿勢はややアップライトで、もう少しゆったり座りたい気もするし、前後スライドも不要といえば不要だが、万能性という点ではA4アバントよりもQ5だろう。サイドウインドウは全開でも若干(5~10センチほど)残るが、まずまず下まで降りてくれる。

言うことなしのトランク

5人乗車時の荷室容量は540リッターと大型セダン並み。リアコンビランプを全部バックドアに設置したことで、開口部は広くなったし、空間形状はほとんど真四角だし、フロアは低いし、カーペットはきっちり張られているし、電動リアゲート(9万円)もオプションで選べるし・・・・・・と、もう言うことなし。トランクスルーも左、中央、右とそれぞれ自在に行える。リアシートの背もたれを前に倒せば、容量は最大1560リッターにも達する。

 

床下にはテンパースペアも搭載できる空間に、全車標準となる180W・10スピーカーシステム用のサブウーファーと収納スペースを配置。この標準オーディオでも音は十分にいいが、オプションでさらにバング&オルフセンの505W・14スピーカーシステム(15万円)も装着できる。その下にはバッテリーおよびジャッキ等の車載工具が収まる。

基本性能&ドライブフィール

V6をトルクで上回る改良型2リッターターボ

3.2リッターV6(270ps、 33.7kgm)の「3.2 FSI クワトロ」もあるが、今回試乗したのは「2.0 TFSI クワトロ」。その2リッター直4・直噴ターボエンジンは、VWアウディ車で広く使われているユニットの改良型で、先代(5代目)ゴルフGTIや現行(2代目)アウディTT等では200ps、28.5kgmだったところを、Q5では211ps、そしてトルクでは大幅アップの35.7kgmを発揮する。しかも1500~4200回転という幅広い回転域において、3.2 FSI クワトロを越える最大トルクを発揮する。

実際、その強力なトルクやレスポンスの良さは印象的で、アクセルを一踏みしただけで「これはスゴイ」と思わず声が出るほど。排気量にモノを言わせた力強さではなく、あくまでTTのような俊敏な速さだ。車重は1870kgと決して軽くないが、そんなにあるとは思えない。本国仕様は最高速222km/h、0-100km/h加速:7.2秒だという。

縦置7速DCT。非の打ち所がないパワートレイン


(photo:アウディ ジャパン)

そうした印象の良さには、もちろん最新の縦置7速DCTの出来も関係している。アクセルを丁寧に踏んで走れば、1500回転前後の低回転を維持して燃費を稼ぐ。このあたりは他のDCT車と同じだが、SUVでこれをやれるところにQ5のすごさがある。ちなみに6速に入るのはちょうど60km/h、7速に入るのは70km/h。100km/h巡航は約2100回転くらいでこなす。エンジンも含めて、パワートレインに関しては非の打ちどころがない。


足まわりにはA4同様、アルミ合金製パーツがふんだんに用いられる

アイポイントが高く、重心もそれなりに高いことを除けば、操縦安定性や乗り心地にSUVっぽさはない。ボディの剛性感も高く、ユサユサした動きは当然ながら皆無だ。足まわりは硬めで、同乗者のことを考えるともう少し柔らかくてもいいのでは?と思わないでもないが、パワーユニットのスポーティな性格を考えれば、これくらいが妥当だろう。もちろんオプションの「アウディ ドライブ セレクト」(電子制御ダンパー、エンジン特性、変速プログラム、ステアリングギア比/アシスト量を好みによって可変)を装備すれば、このあたりのジレンマを解消できるはずだ。

ワインディングからオフロードまで


最低地上高は200mm。登坂能力は31度を確保
(photo:アウディ ジャパン)

ワインディングでの走りも申し分ない。路面は今回ずっとドライだったが、エンジン縦置系のクワトロらしい盤石の安定感とバランスの良さが実感できる。おおげさに言えば、SUVの形をしたスポーツカー的。そのあたりの徹底ぶりを象徴するのが、ルーフレールにセンサーを組み込み、ルーフバー装着時にはESPの制御モードを変更するという機能だ。制御を最適化することで、より高いハンドリング性能を確保できたという。

さらには、ESPにオフロード走行用モードやラフロード自動検出機能を備えるなど、悪路対策もばっちり。資料には最大深度500mmの渡河性能もうたわれている。とにかく考えうることは全部やった、という感じだ。

試乗燃費は7.1~9.0km/L

今回は約160kmほどを試乗。いつものコース(約90km区間)では7.1km/L、一般道で無駄な加速を控えた走りでは9.0km/Lとなった。ちなみに10・15モード燃費は10.6km/L(3.2の方は9.1km/L)だ。車重1.9トン弱の純ガソリン車で、これだけよく走るクルマとしては、良好な数値だと思う。ターボ車の場合、パワーの誘惑に負けてついアクセルを踏み込んでしまいがちだが、Q5はそうしなくてもグイグイ力強く走ってくれるので、割とエコランはしやすかった。なお、指定燃料はもちろんハイオクだが、タンク容量は75リッターと大きく、航続距離は長そうだ。

ここがイイ

とにかくよく出来ている


(photo:アウディ ジャパン)

他のクルマが辛くなりそうなほど、よく出来ていること。ルーフバー感知機能までつけてSUVとは思えないハンドリングを確保しながら、アウディらしい上質なインテリア、高い静粛性、デジタルオーディオ対応の使い勝手のいい装備類など、まず不満のない作りとなっている。短い全長、低めの車高といったサイズも日本で十分使いやすいものだ。

2.0 TFSI クワトロは、3.2 FSIクワトロより安くて燃費もよく、装備面でも見劣りしない。ダウンサイジング時代に相応しいモデル展開にも好感が持てる。

ここがダメ

ドライバー足もとの張り出し

右ハンドル車だと、左足がかなり右側にオフセットしてしまうこと。A4よりはマシだが、どうしても慣れないという人はいるだろう。このA4系プラットフォームで唯一残念な部分だ。レーダークルーズやプリクラッシュなど安全系のハイテクがあまり用意されていないのもちょっと残念。

嫌みのないスタイリングだが、デザインにはもうちょっとだけ強い個性が欲しいところ。グリルは確かにアウディなのだが、そこを隠してしまうと、どこのクルマか分からない。

SUVに興味がない人に、このクルマの良さは分かってもらえないこと。乗れば分かってもらえると思うのだが……。

総合評価

唯一の敵はハイブリッド

こういうSUVに乗ると、いつものSUV=スーパーカー論をまたまた述べたくなってしまう。スポーツカー並のオンロード性能、スポーツカーには無理なオフロード性能、セダンの居住性とワゴンの積載性、視点の高さから来る快適性とSUV独自のプレミアム感など、これこそクルマの理想型、マルチな性能の「スーパー」な「カー」だ。特にQ5の場合は、ボディサイズもまずまずコンパクトだから、日常性までも追加されて、もはや無敵の存在。今、どんなクルマがいい?と聞かれたら、迷わずお勧めしたい。

迷わず? いや、昨今はハイブリッド車という厄介な存在があるから、なかなか迷わずとはいかない。Q5の燃費もそれなりに気を使って走れば、この手のクルマとしては悪くないレベルだが、いつものように元気に走ると7km/L程度。動力性能やクワトロによる走りを思えば特に悪いとはいえないのだが、価格的にはライバルのレクサスRX450hが10km/L前後を下らない(10・15モード燃費は18.8km/Lだ)という事実は無視できない。チョイ乗りしたQ5のV6モデルなど、ゆったり感はさすがに2.0 TFSIよりタップリあって、RXにも負けないと思ったが、燃費ははるかに負けそうだ。聞けばRXの場合、現在ガソリン車はほとんど売れておらず、大半がハイブリッド車だという。

エコを何よりも優先するなら

そのように今の世の中はちょっと、燃費ヒステリーともいえる状態にあるようだ。ガソリン価格は確かに最近少し上がり気味ではあるが、ここ30年ほどの長期スパンで見れば、ガソリンは物価の変動に比べて安定した価格を保っている商品の一つではないか。ちょっと前に「このまま行けばリッター200円越えか」などと言われた時期もあったが、結局それはなく、いつの時代も平均すればだいたいリッター130円前後といったところ。クルマの燃費は昔よりかなり良くなっているから、実質的には昨今ガソリン価格はそう高くなったとは言えないと思う。むろん今後のことは分からないのだが、ここ30年はそんな感じだから、しばらくは続くのではないか。

現在の燃費ヒステリーの最大の要因は、もちろんエコ問題なのだが、誤解を恐れず言えば、エコエコ言うならクルマの性能を云々すること自体ナンセンス、だ。クルマが無くてはならない生活の人は多いから、クルマを無くせ、クルマに乗るな、という議論にはならないが、その中でエコを何よりも優先するなら、クルマは性能や居住性を我慢して最大にエコなものを作るべきだと思う。「快適じゃないけど、あんまり走らないけど、燃費は比較にならないくらい素晴らしいガソリン車」を作るのはそんなに難しくないはず。日本国民は皆、エコのためにそういうクルマで我慢すべきだろう。

しかし現実には、軽までが高級感をうたう日本で、そんなクルマが売れるわけはなく、作れるわけもない。結局、「快適だけど、ちょっとだけエコも」というあたりがコモンセンスだとすれば、エコのためだけにクルマを乗り替える、くらいの昨今の勢いはやはり異常と言えるだろう。アウディ ジャパンによれば、Q5の2.0 TFSIはBMWのX3 2.5iより1.4km/L燃費が良く、CO2排出量はマイナス13.1%、3.2 FSIの方もX3 3.0iより0.7km/L燃費が良く、CO2排出量はマイナス7.6%だという。こうしたメーカーの努力を知っていれば十分で、ハイブリッドでなければクルマにあらず、といった一億玉砕的な発想はやめたい。Q5に試乗してイイと思った人でも、ついついハイブリッドの方に気が向いてしまうのは理解できるが、それは単に流行りものにひかれているだけ、と言っておきたい。まあこのクラスを買うユーザーは、あまり燃費に執着することはないとは思うが。

アウディ ジャパンの強気が分かる


新型Q5とアウディ ジャパンのドミニク・ベッシュ社長

輸入車が今年に入って平均で3割近く販売台数を落としている中、アウディは1割弱のダウンで済んでおり、必然的に輸入車市場でシェアを伸ばしている。年初での声明ではバブル期の1990年に達成した年間1万6691台の販売越えを今年は目指すと言い、2015年までに販売台数を08年比で20%増加させ、プレミアム輸入車市場では4台に1台がアウディという状態まで持っていくつもりという。

確かにQ5 2.0 TFSIを見ても、運転席左足もとがやや狭いということ以外、欠点らしいものが見あたらないほど素晴らしく良くできたクルマであり、ゆえにアウディ ジャパンのこの強気の姿勢も分かるというもの。唯一残念なのはQ5の登場によってA4 オールロードクワトロが日本では販売されないこと。この性能がSUVではなく、ワゴンボディで欲しいというユーザーはけして少なくないと思う。ぜひ日本にも導入して欲しいものだ。

試乗車スペック
アウディ Q5 2.0 TFSI クワトロ
(2.0リッター直4ターボ・7速DCT・569万円)

●初年度登録:2009年5月 ●形式:ABA-8RCDNF ●全長4635mm×全幅1900mm×全高1660mm ●ホイールベース:2810mm ●最小回転半径:5.4m ●車重(車検証記載値):1870kg( 1010+860 )●乗車定員:5名●エンジン型式:CDN ● 1984cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・直噴ターボ・横置 ●ボア×ストローク:82.5×92.8mm ●圧縮比:9.8 ● 211ps(155kW)/ 4300-6000rpm、35.7kgm (350Nm)/ 1500-4200rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/75L ●10・15モード燃費:10.6km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:フルタイム4WD ●サスペンション形式:前 5リンク/後 トラペゾイダル ●タイヤ:235/60R18 ( Good Year Excellence ) ●試乗車価格:613万円( 含むオプション:レザーパッケージ 35万円、オートマチック テールゲート 9万円 ) ●試乗距離:約160km ●試乗日:2009年6月 ●車両協力:アウディ名古屋中央 TEL:052-241-2808

 
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