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アウディ Q7 4.2 FSI クワトロ新車試乗記(第455回)

Audi Q7 4.2 FSI quattro

(4.2L・6AT・4WD・945万円)

トゥアレグでもなければ、
カイエンでもない。
SUVの「アウディ・クワトロ」に試乗!

2007年03月17日

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キャラクター&開発コンセプト

アウディ初の本格大型SUV

欧州では2006年3月からデリバリーが始まり、日本では同10月に発売されたQ7は、アウディ初の大型SUV。プラットフォームはフォルクスワーゲン・トゥアレグ、およびポルシェ・カイエン(いずれも2003年に日本発売)と共有するが、内外装デザインやメカニズムの多くはQ7専用となる。

価格帯&グレード展開

日本仕様はV8ガソリンの945万円

本国では3.0リッターV6 TDI(233ps、51.0kg-m)や6リッターV12 TDI(500ps、102.0kg-m)といったディーゼル車が主力だが、日本仕様は4.2リッター直噴V8(350ps、44.9kg-m)の「4.2 FSIクワトロ」(945万円)のみ。右ハンドル、6AT、2×3×2の7人乗りとなる。オプションには、2×2×2の6人乗り(11万円)、アダプティブ・エアサスペンション(40万円)、2インチアップの20インチホイール(27万円)、パノラマサンルーフ(30万円)等がある。

なお、下にQ7、トゥアレグ、カイエンを、装備の有無を無視して価格順(2007年3月現在)に並べてみた。内容的には、この中で唯一7人乗れるQ7、コストパフォーマンスのトゥアレグ、高性能のカイエンという感じだ。

■トゥアレグ V6 Stolz 3.2L・V6(241ps) 533万円
■カイエン(標準車) 3.6L・V6(290ps) 692万円
■トゥアレグ V8 Stolz 4.2L・V8(310ps) 733万円
■カイエンS 4.8L・V8(385ps)    927万円
■Q7 4.2 FSIクワトロ 4.2L・V8(350ps) 945万円
■トゥアレグ W12 Exclusive 6L・W12(450ps) 1090万円
■カイエンターボ 4.8L・V8ツインターボ(500ps) 1398万円

パッケージング&スタイル

全長5m超、全幅はほぼ2m

ステーションワゴン風のスタイリッシュさが先に立つQ7だが、実際には全長5086mm×全幅1983mm×全高1737mmと、堂々たるフルサイズSUVだ。全長はカイエンS(4810mm)やトゥアレグ(4770mm)より30cmほど長い。レンジローバー(2.5トン前後)より軽いとは言え、車重は試乗車で2370kgもある。

エアサスなら最低地上高は135~240mm

ステーションワゴン風に見えたのはデザインのほか、エアサスペンションの「オートマティック」モード時の車高が割と低めなせいだ。非エアサス仕様の最低地上高は205mmだが、エアサス車の「オートマティック」状態(停止中)は180mm(右下写真)。「リフト」状態が240mmだ(右上写真)。「ダイナミック」モードでの高速走行時は135mmまで下がるという。

インパネはA6風

インパネの意匠やMMI(マルチ・メディア・インターフェイス)は、A6とよく似ている。エンジンスタートボタン(シフトレバー左)やパーキングブレーキ(左足で掛けて、右手で解除)の位置が分かりにくいが、慣れれば特に問題ない。MMIを使って車高調整が可能だ。

死角を映す専用モニターを装備

見晴らしの良い運転席に座ってしまえば、大きさをほとんど感じない。資料で確認するまで「全幅1.9メートルくらいかな」なんて思っていたくらいだ。死角を補うモニター類も国産車並みに充実している。室内ミラーの手前左に天井から下がっているのは、車両左前の死角を映す液晶モニター。画面が小さくてちょっと見にくいが、これによって例のフェンダーミラーの装着を免れている。トヨタ車のようなバックガイド付きリアモニターも装備。

4人プラス「1+2」

セカンドシートは左右2人掛けが基本。左右別々に前後スライドするなど、リムジン風の作りだ。中央席にはヘッドレストや3点式シートベルトが備わるが、クッションは短く、足もとにはセンタートンネルが陣取るなど、中央席はあくまで「プラス1」。オプションの6人乗りでは、ここが高さ調節可能なアームレストとなる。

サードシートはトゥアレグやカイエンに無い特典だが、乗降性が靴を脱いでセカンドシートを乗り越えないといけないレベルで、この点で「プラス2」の域を出ない。座ってしまえば割と快適なのだが・・・。欧州車らしく、ここにも一応3点式シートベルトが備わる。

抜群の積載能力+電動リアゲート

5名乗車時のトランク容量は775Lと実に巨大だ。セカンドとサードを倒せば最大2035Lになる。エアサス装着車は、荷室右の「ローディングモード」ボタンを押すと、重い荷物を積みやすいように「プシュ~」という音を立ててリアの車高が下がる。リアゲートは、カイエンやトゥアレグの場合、閉める時に位置が高すぎて手が届きにくかったが、Q7では電動開閉式で、スイッチの位置も低めなので小柄な人でも割と大丈夫だ。

基本性能&ドライブフィール

新開発の直噴「FSI」V8を搭載

Q7のエンジンは、A8がすでに従来のV8・5バルブユニットに代えて06年8月から積む、新開発のV8直噴ユニット(350ps、44.9kg-m)。ブイハチ的なドロドロ感の少ない、シューンとスポーティに回るエンジンだ。特に吸気音が意図的とも思えるほど高まる3000回転台のパワーが気持ちいい。そこから上はレブリミットまでスムーズに吹け上がり、2.4トン弱の車重を忘れさせる。その他、静粛性、乗り心地など快適性の部分でも文句はない。よほど狭い路地に入り込まない限り、ボディサイズも気にならないほどだ。

エアサスの車高調整機能は「コンフォート」「オート」「ダイナミック」などを試してみたが、基本的には「ダイナミック」でも十分にコンフォート。と言うか、「ダイナミック」でもそうスポーティではなく、なら「オート」のままでいいか、という感じだ。

トルセン式の4WD。曲げる「ESP」

いつものワインディングも走ってみたが、山道ではさすがにブレーキが厳しい。試乗車のタイヤは275/45R20サイズのグッドイヤーF1で、サーキットみたいな場所でタイヤ温度を上げるとまた全然違うのかもしれないが、荒れた路面や白線の上では、割と早めにABSが作動する。そういったわけで無理は効かないが、クルマを前進させるトラクションの方は良好だ。

面白いのはESPの効き方で、ブレーキを残しつつステアリングを切って行くと、失速するほどスロットルを絞らない代わりに、ブレーキ制御か何かで、ノーズをグイッと引き戻すようにステアリングを効かせる。それが最新世代のESPや、新採用のRSP(ロール・スタビリティ・プログラム)ならではの制御かどうかは不明だが・・・。「ダイナミック」モードでも足はかなり柔らかく、カイエンほどスポーティに走れるわけではない。どちらかと言えばトゥアレグに近いような気もするが、エンジンもサスペンション形式もタイヤも違うので、ここではなんとも言えない。Q7の標準であるコイル仕様は試してみたいところだ。

「道なき道」というよりは「未舗装路」

オフロードを試す機会はなかったが、Q7のフルタイム4WDシステム「クワトロ」について簡単に触れておく。ご存知の通り「クワトロ」と言っても方式は様々だが、Q7の「クワトロ」は、トゥアレグの「4XMOTION」(フォー・エックス・モーション)やカイエンの「PTM」(ポルシェ・トラクション・マネージメント)のような電子制御式センターデフではなく、アウディが得意とするトルセン式センターデフによるものだ。前40:後60と後輪寄りの「非対称/ダイナミックトルク配分」は、高性能モデルであるRS4(同じく4.2L・V8 FSI・420ps)と同じ最新バージョン。駆動力配分の自由度(トゥアレグやカイエンは0:100~100:0まで電子制御で可変する)は少ないが、オンロード4WDのクワトロでずっとやってきたアウディにしてみれば「うちがやる以上、トルセンじゃなきゃ意味が無い」くらいの気持ちなのかもしれない。

よってトゥアレグとカイエンが悪路用のローレンジモードや電子制御デフロックで「道なき道」の走破性を誇るのに対し、Q7は舗装路からいわゆるグラベル(ジャリ道)と言われるような林道や雪道、ちょっとした悪路などの「未舗装路」が想定内のようだ。水深500mm以上の渡河性能や走破アングル各種を謳うトゥアレグやカイエンに対して、Q7のカタログが一切そうした話に触れていないのが象徴的だ。

ここがイイ

堂々たるスタイル(グリルの大きさは1メートル四方もある)とサイズ(全長はハマーH2より85㎜短いだけで、幅はH3と同じ)は、欧州製SUVの中では王者的貫禄。インテリアもアウディらしい高品質感があり、プレミアムSUVではメルセデスやBMWをしのいで頂点に立ったと言ってもいいだろう。価格も価格だからそう売れないはずだが、それゆえの希少性がオーナーの満足感を高めるはずだ。

ナビディスプレイとは別に、サイドビューカメラ用に小さなモニターを用意し、それをルームミラーの上部に置くという発想は素晴らしい。死角をきちんとカバーしているだけでなく、左側いっぱいに寄せるときのガイドとして役に立つ。またナビディスプレイをダッシュパネルに組み込み、メーターの一部として見ることができる点も、最近の日本車ではなくなりつつあるもので、評価したい。

ここがダメ

これといって不満がないが、あえて言えばあまりに洗練されていて、手ごたえがないことか。グリルはさすがにアクが強いが、他はあっけないほど普通で、クルマ好きが「萌える」部分は少ない。エンジンがV12ディーゼルあたりだと、かなりマニアックに思うところが出てくるはずだが。

総合評価

試乗後、カタログのサイズを見て驚いた。確かに大きなクルマだとは思ったが、ここまで大きかったとは。街乗りはもちろん、狭い路地にも入ってみたし、すれ違いがギリギリの道路も走った。しかし、ほとんどサイズが気にならなかったのは、やはり高くて広い視界や、サイドやリアのモニターカメラの恩恵だろう。最小回転半径は6メートルくらいあると思うが(カタログ記載なし)、そう小回りがきかないという印象もなかった。スーパーの狭い駐車場や立体駐車場などでは確かに辛いところもあるが、取り回しの良さは絶対的なサイズではなく、視界が重要だと再認識。このサイズのセダンやスポーツカーでは、こうはいくまい。

日本ではフロントフェンダーに装着する必要が生じるミラーを回避するため、後付けされたと思われるサイドカメラだが、それゆえに独立した小型モニターをルームミラー上に持ったことは、結果としてとても良い効果をもたらしたと思う。さらに、このサイズともなればフロントノーズにもカメラが欲しいが、それ用にはルームミラーの左右あたりに専用のモニターをつけるといいだろう。各種モニターをルームミラー回りに付けるというのは、今後検討していい方法だと思う。あるいは、左右Aピラーにディスプレイを埋め込むのもいいかもしれない。ただ、Q7の場合、ドライバーによってはもうちょっとモニターの角度を変えたいと思っても固定式なのが残念。また時速30㎞ほどで画面が自動的に消されるが、これも調整できるとありがたい。

インパネ内の最上部にあるナビディスプレイは素晴らしいが、アウディ独自のカーナビ操作(MMI)はやはり相当な慣れを必要とする。直感的というより論理的だ。直感的操作はタッチパネルがベストだが、ディスプレイをインパネに置いてはそれは無理というもの。あくまで運転操作の一環として、ナビなどのIT系装備をブラインドタッチで動かすというアウディの思想と、手で触れる位置にディスプレイを置いて、多少見ながらでも簡単に操作しようという日本のナビの思想とは相容れない。

つまりここでも、人が意識的に(操作の学習も含めて)機械を操ることで良い結果を出そうとするドイツの考え方と、機械にゆだねて誰もが楽に、良い結果を出せるようにしようという日本の考え方の差が顕著に表れている。今後の高齢化社会では、おそらく日本的な考えの方が多くの人を幸せにすると思うが、クルマ好きとしては面倒な操作を「こだわり」として目指すのも悪くない。クルマに趣味性があるとすれば、今後はそのあたりが分かれ目となるはずだから。

そうは言っても、ナビの地図ビジュアルの貧弱さは何とかならないものか。道路を細い線で描くのは大昔のカーナビのようだ。テレビが停車時にサイドブレーキなしで映るのは良いが、先週試乗したデリカ同様、走行を始めてもナビに自動で切り替わらない。受信感度はいいだけにもったいない。

ナビ系の話が長くなってしまったが、その走りにもかなり特徴があったことを書いて締めたい。4WDによる絶対的なスタビリティは雨の試乗でも絶大な安心感をもたらしたが、路面に張り付くような特徴的なコーナリング感覚は、いわゆるファントゥドライブとは異なるものだ。むろん重心の高い2トン以上のクルマで快適性とスポーティー感を両立させることには、かなりの無理があるだろう。そんな走りは求めないものの、どこまで追い込んでいってもクルマが無理なく曲がっていってくれる感覚、いわゆる乗せられている感覚はこのクルマではかなり強めに感じられた。350psのパワー、車重、重心、乗り心地、乗車人数などを考慮した結果だとは思うが、先ほどのドイツ的な考えから行くと、ここはもうちょっと自然なスポーティー感が出るとよかったのでは、と思う。走るSUVが欲しいなら「カイエン」を、オフロードを行くならトゥアレグを買えということか。Q7はあくまでオンロード「乗用」SUVのフラッグシップと位置付けられる。その意味でグループ内での住み分けは完璧のようだ。

試乗車スペック
アウディ Q7 4.2 FSI クワトロ
(4.2L・6AT・4WD・945万円)

●形式:ABA-4LBARA ※アダプティブエアサスペンション装着車 ●全長5086mm×全幅1983mm×全高1737mm ●ホイールベース:3002mm●車重(車検証記載値):2370kg(1240+1130)●乗車定員:7 名●エンジン型式:BAR ● 4163cc・V型8気筒・DOHC・4バルブ・縦置 ● 350ps(257kW)/6800rpm、44.9kg-m (440Nm)/ 3500rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/100 L ●10・15モード燃費:- km/L ●駆動方式:フルタイム4WD ●タイヤ:275/45R20(Good Year F1)●試乗車価格:1012万円( 含むオプション:アダプティブエアサスペンション 40万円、9J×20インチ・5ツインスポークデザイン アルミホイール 27万円 ) ●試乗距離:約200km ●試乗日:2007年3月 ●車両協力:アウディ名古屋中央

 
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アウディ 名古屋中央

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