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スバル R1 R新車試乗記(第354回)

Subaru R1 R

(0.66リッター・CVT・126万円)

2005年02月19日

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キャラクター&開発コンセプト

2+2の4人乗り

2004年12月24日に発表、翌年1月4日に発売されたスバルR1は、約1年前に出たR1の3ドアクーペと言えるクルマ。後席を補助と割り切った2+2(ツー・プラス・ツー)とし、エッグシェイプのボディとスペシャリティ感を追求。基本設計はR2譲りだが、全長は 110mm、ホイールベースは165mm短縮。ボディ外板も全て専用設計だ。

35年振りのテントウ虫


スバル 360 (photo:富士重工業)

広告キャッチフレーズはスペシャリティ感を込めた「Super (Small) Car」。同時にイメージに昆虫のテントウムシを使い、名車「スバル360」(1958~70年)を知る熟年層にもアピールする。販売目標台数は月間800台。台数はともかく、従来の軽自動車のイメージを変えようとするこのモデルに市場がどう反応するかが注目だ。

価格帯&グレード展開

2WDで126万円

基本的にはDOHC・NAエンジンを搭載する「R」のワングレードのみ。2WDのほかに、スバルらしく四輪駆動(AWD)がある。価格は2WDが126万円、AWDが約11万円高い136万9200円。R2にはあるマニュアルミッションはなく、全車CVT(無段変速)のみだ。R2とプラットフォームを共有するとは言え、126万円は頑張った値段だろう。電動メタルトップのコペン(157万2900円)は当然として、バブル期のビートやカプチーノを同等の装備にすれば、160万円を軽く越えたはず。そして気になるスマートKは、オプション付きのR1と横並びの 139万6500円だ。ま、いずれのメーカーも儲けはあまりなさそうだが。

パッケージング&スタイル

ボディ外板はすべて別物

サイズは全長3285mm×全幅1475mm×全高1510mm。R2より110mm短い全長は、結局一つ前の軽規格(全長3300mm未満)に近い。スマートはさらに745mmも短いから、「クラス違い」とでも言うべきか。全高はR2より10mm低いだけで部品共有率は高そうだが、ボディ外板はフロントフェンダーを含めてすべて別物。ヘッドライト形状も新規で、位置も上がった。バンパーには航空機をイメージさせるスプレッド・ウィングス・グリルがつくが、狭い面積の中ではやや煩雑な印象。

卵のカラはやっぱり丈夫

ホイールベースはR2より165mmも短い2195mm。一番カッコいいアングルは真横か、斜め後ろ。試乗中や撮影中は、老若男女から熱い視線を浴びた。卵型が連想させるように衝突安全性は高いようで、クルマ対クルマの実験ではレガシィクラスとの全方位衝突を想定したという。

イタリアンなインテリア

インテリアも基本的にR2と同じだが、雰囲気はかなり違う。燃料計、速度計、回転計の独立3連メーターが付き、オプション(実質5万円ほど)のレザー&アルカンターラ(スエード調人工皮革)張りのシートが、スペシャルな雰囲気だ。

内装カラーもボディカラーに関係なく全車レッド&ブラックの1種類と、かなり思い切った仕様となっている。シートの基本骨格はR2と同じだが、表皮接着の成形シートから縫製タイプへの変更、ウレタンの硬度アップ、ヘッドレストの改良など細かく改良されて、座り心地は何となくR1の方がいい。ただしステアリングに調整機構がなかったり、シートをもっと下げたくなるなど、ポジションの自由度は低い。Aピラーが視界の妨げになるのは、このデザインだから仕方ないところか。

1280mmもある長いドアは7度前傾ヒンジで取り付けられ、ドア上部が大きく開く。助手席シートの背もたれが水平に倒れて、荷室を稼ぐ方法はスマートと同じ。小物の収納スペースやドリンクホルダーもよく考えられている。

大人も座れる後席

2人乗りのスマートに差を付けるのが、プラス2の後席だ。見た目は狭そうだが、ちゃんと足元スペースもあって、大人でもなんとか座っていられる。エンジン音と突き上げ感のあるポルシェの後席よりは、まあマシ。いざという時のために4人乗車が可能なのは大きい。開口部が大きいので、乗り降りも難しくないし、意外と使えるプラス2だ。

 

荷室の床はデザインコンシャスに半円を描く。深さ20cmの床下スペースを活用すれば、背の高いものも積める。さらに後席の背もたれを倒せば、写真のように横60cm×奥行き60cm×高さ40cmの段ボール箱(マックのG5が入っていた)がすっぽり入る。助手席背もたれを倒せば、車輪を取り外した自転車も積めそう。軽のスペシャリティとしては、もっとも実用性が高い部類では? 大きく傾斜した樹脂製リアゲートは開け閉めしやすい。軽い衝撃なら復元性があると言う。

基本性能&ドライブフィール

流れに乗って淡々と

立派なドアを開けて立派なシートに座り、イグニッションを回すと、レガシィのように赤い針がブゥンと振れてから、立派な自発光式メーターの目盛りが浮き上がる。

CVTだが、小型のトルコンを内蔵するので動き出しはスムーズ。しかし、車重は810kgとやや重めで、それを R2の「R」グレードと同じ4気筒NAエンジン(54ps、6.4kgm)で引っ張るわけだから、力不足はいかんともしがたい。CVTにはマニュアルモードどころか、スポーツモードもないので、いざという時はLモードで引っ張るしかないが、それでもウルサイばかりで期待するほど加速はしない。頭を切り換えて、流れに乗って淡々とクルージングする、というのがストレスのない走り方だ。

燃費は良さそう

4気筒エンジンは2500回転あたりまでなら静かで滑らかに回り、R2より少し静かになった気がする。100km/h 巡航は3500回転でクルージング可能。インシュレーターや遮音材、制振材の増量、ドアシールの2重化といった対策が施された効果のようだ。特にアイドリング時の静かさは、完全に上級リッターカー並みと言えるレベル。振動の小さい4気筒エンジンに加えて、液封エンジンマウントまで使っただけのことはある。

しかし、アクセルを踏み込んで回転が上がれば、やはりCVTのベルトノイズはいかんともしがたく、次第にそれを避けて低回転で走るようになる。そんな走りならメーター内の「ECO」ランプも点灯し続けて、地球環境にもいい。実際、まるで燃料系の針が引っかかったかのようにガソリンは減らず、これなら確かに10・15モード:24km/Lは狙えそうに思えた。

抜群の剛性感。楽しめない操縦性

スバルがこだわる4輪ストラットの足まわりと卵形ボディの剛性感は、軽自動車にあるまじきレベル、というか、一般的な国産リッターカーを越えて、ドイツ製コンパクトカーのような重厚感がある。ボディ剛性感はスマートと引き分けというレベル(そうとう高い)、ただし安定感やどっしり感ではR1の勝ち、といったところか。リアの独立サスに加えて、ホイールベースが1.2倍以上長いせいもあるかもしれない。

残念なのは、とにかくコーナリングが不得意なこと。15インチのポテンザRE080を履くが、グリップ云々という話の前に、フロントの接地感がないというか、重心が高いというか、完全にスローダウンしてコーナーに入る以外に対処のしようがない。それなりに接地感があり、 RR(リアエンジン・リア駆動)の一癖あるハンドリングが楽しめるスマートと、この点は大きく異なる。

ここがイイ

スマート、スズキ・ツインに続く、実質二人乗りのショートな軽というコンセプト。都会を走るのはもちろん、狭い道の多い田舎でもクルマは小さいほどやはり便利。こういうクルマはもっと出てくるべき。しかも上質な作り、というはツインにはなかったコンセプト。ツインももうちょっと質感があれば買ってもいい、という人はまわりに多いが、R1ならどうだ! といえる。

これで採算とれるの?と心配してしまう凝ったディテール、ドアの閉め音まで重厚な高剛性ボディ、久々に人目を引く超個性的なスタイル(フロントグリル除く)。スマートなんかと同じだが、助手席背もたれを倒すとテーブルになるのも便利だ。

ここがダメ

スタイルのイメージとはちょっと乖離する運動性能。久々のアンダーステアにドキドキしてしまった。また普通に乗っていても、エンジントルクはもうちょっと厚い方が乗りやすいと思う。最近リッターカーですら3気筒を選ぶ理由は、この低速トルクを確保したいのが一因だが、軽自動車4気筒の先駆者スバルにこそ、このあたりをもうひとがんばりしてもらいたいところ。CVTにマニュアルモードがないのも残念。つまりはスーパーチャージャー&7速MTモード付きCVTを載せたモデルが欲しい。

標準装備のオーディオの音。CDプレーヤーとラジオ、2スピーカーをビルトインしたもので見た目はいいが、音質はAMラジオ並み。どうせならオーディオレスにして、ナビを選ぶことをおすすめする。こうしてオーディオを気にすると、室内の騒音が低くはないことがより鮮明になってくる。

総合評価

2003年の東京モーターショーで見たコンセプトカーR1eは、衝撃的なカッコ良さだった。R1はインパネから内装まで、このR1eのモチーフを見事に踏襲しているが、即買い! と言えるほどのカッコ良さは持っていない。そこでサイズを比較してみると、R1は長さで45 ㎜伸び、幅で75㎜縮み、全高で90㎜高くなっている。このサイズでこの数字は大きい。つまり、R1は上に伸びてしまったため、どっしり感がそうとうスポイルされているわけだ。

座ってみるとシート高はかなり高いし、それでいて頭上にはけっこうなゆとりがある。R2と同じプラットフォームという点ではよく頑張っているが、R1をベースにR2を作って欲しかったと思わずにはいられない。そこが一品物のスマートやカッコ良さを捨てたツインとの大きな違い。細かく見れば他にもR1eとの差はいろいろあるが、とにかくもう少し低いとよかった。特徴的なグリルもあと幅が75㎜あると、ずいぶん細身に出来て、印象がずいぶん異なってくる。惜しい。

筆者は父親のスバル360から始まったクルマ人生だ。1速ノンシンクロのこのクルマで運転を覚え、R2スポーティDX (タコメーター付)をマイカーとしてカスタムし(赤のドアミラー仕様にしたらフィアットみたいだった)、水冷のレックスは2サイクルと4サイクルに乗った。サイズが大きくなったレックス5はカッコ悪くて結局乗らず、FFレックスコンビは嫁が足にしたし、そのころ父親はレックスコンビ4WDターボとRRのサンバートラック(4WD)に乗っていた。次に乗った2代目レックスコンビはスーパーチャージャーとCVTという組み合わせで、その先見性、素晴らしさを実感。ヴィヴィオはネオクラシックブームの生みの親であるビストロに乗った。20年以上スバルの軽を乗り継いできたが、残念ながらプレオ以降は乗っていない。しかし、スバルの軽には並々ならぬ思い入れがあるのだ。

思い出深い最初のマイカー、R2の名が復活するということで、期待に満ちて試乗したレポートは過去ログを参照いただきたいが、今回のR1もテントウムシ360の復活ということで、これまた期待して乗ったのだった。小さなボディに4人が楽々乗れるというテントウムシと二人+アルファのR1では全くコンセプトが異なり、あまり両者を並べて広告露出させて欲しくはないが、デザイン的なインパクトは近いものがあるとは思う。街中でも中高年からの視線をけっこう感じた。

とはいえ、もう少し、今ひとつ、吹っ切れた過激さが欲しかった。かつてスバルにはヴィヴィオ・Tトップというタルガトップのぶっ飛んだモデルがあった(デイズのスタッフの一人は今もこのクルマを持っている)が、それを作れるのがスバルのいいところ。R1もテントウムシを標榜するのでなく、打倒スマートを打ち出して欲しかったのだ。軽規格より小さな二人乗りの軽で、スマートを遙かに凌駕する国産車。R1eにマニュアルモード付きCVT+スーパーチャージャーが乗ったなら、それが出来ると思ったのだ。

スバルの軽を愛するがゆえ、今回は辛口になった。R1も素材は素晴らしくいいから、カスタマイズの仕方次第でさらにカッコ良くすることは出来るだろう(アフターパーツメーカーに期待)。それゆえ、スバルにはハイパワーモデルをぜひ早期に追加してもらいたいと熱望して、今回はしめたいと思う。

試乗車スペック
スバル R1 R
(0.66リッター・CVT・126万円)

●形式:CBA-RJ1●全長3285mm×全幅1475mm×全高1510mm●ホイールベース:2195mm●車重(車検証記載値):810kg (F:510+R:300)●乗車定員:4名●エンジン型式:EN07●658cc・直列4気筒・横置●54ps(40kW)/6400rpm、6.4kgm (63Nm)/4400rpm●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/30L●10・15モード燃費:24.0km/L●駆動方式:前輪駆動(FF) ●タイヤ:155/60R15(BRIDGESTONE POTENZA RE080)●価格:126万円(試乗車:137万5500円 ※オプション:2灯式<ハイ&ロービーム> HIDランプ、UVカット機能付き濃色ガラス、レザー&アルカンターラセレクション)●試乗距離:約140km ●車両協力:名古屋スバル自動車株式会社

公式サイトhttp://www.subaru.co.jp/r1/

 
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