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スバル R2 R新車試乗記(第300回)

Subaru R2 R

(0.66リッター・CVT・112万円)




2004年01月10日

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キャラクター&開発コンセプト

第3の軽

2003年12月8日発売のR2は、スバルの新型軽乗用車。スバルには乗用のプレオ、商用のサンバーといった軽自動車があるため、R2はスバルにとって言わば「第3の軽」だ。

その特徴は、「広さの追求から解き放たれた」と訴えるスタイル優先のパッケージング。スバルは「市場の潜在的な要望に応える軽乗用車である」として、あえて売れ線であるトールワゴン系を狙わなかった点を説明する。

なお、R2と言えば、ちょっと古い人なら1969年発売の軽自動車「R-2」(こちらはハイフンがある)を思い出すはず。昔の名称が復活したのは、日本車には珍しい記号のような名前で、従来モデルとの違いを際立たせたかったからだそうだが、同社の伝統をアピールする上でも良いネーミングではないだろうか。

レガシィを越える販売目標

販売目標は月間8000台。レガシィ全体(B4含む)が6000台に過ぎないから、いかにR2がスバルにとって重要なモデルかが分かるというもの。同社にとって軽自動車は国内販売の基盤商品なのだ。なお、R2発売後もプレオはラインナップに残るようだが、R2の売れ行きが順調ならフェードアウトも視野に入ってくるだろう。

価格帯&グレード展開

3グレードで、86万円~140万円

エンジンはもちろん全車、スバルの軽で定番の直列4気筒だが、グレードごとに3種類を用意。自然吸気SOHC(46ps、5.9kgm)の「 i 」(86万円~、CVT:91万円~)、自然吸気DOHC(54ps、6.4kgm)の「R」(107万円~、CVT:112万円~ ※今週の試乗車)、DOHC・スーパーチャージャー(64ps、10.5kgm)の「S」(全車CVTで130万円~)となる。変速機は5MTもあるが(自然吸気エンジン車のみ)、主力は同社が得意とするCVT(無段変速機)だ。また、全モデルにビスカス式フルタイム4WDをプラス10万円で用意する。

主力は今回試乗した、中間の「R」。約20万円安い「 i 」 に比べて、約2割増しの馬力、好燃費、ABS、タコメーター、アルミホイールを備える。

パッケージング&スタイル

超個性的なエクステリア

全高1520mmはプレオ(1575mm)やスズキラパン(1500mm前後)と比べて、ことさら低くはない。それより絞り込んだ上屋、フロントからルーフまで滑らかにつながったシルエット、タイヤの存在感をうまく出したリアフェンダーあたりが見どころだ。

この大胆なデザインを「監修」したのは、BMWやフィアット、アルファロメオ等を経て、スバルのチーフデザイナーに納まったギリシャ生まれのアンドレアス・ザパティナス(Andreas Zapatinas) 、と言われるが、デザイナー個人がこれほど表に出る例は日本車では珍しい。なにしろ同氏の顔写真(あごに手を当てたポーズがお茶目)がパンフレットに載っているくらいだ。代表作はフィアット・バルケッタ、アルファ145など。各メーカーから一斉にパクられた!? 145のV字型リアウインドウは、同氏のアイディアと言われる。ただし、ザパティナスがR2のデザインを直接手がけたわけではないようだ。

とはいえ、富士重工らしく航空機の翼をイメージしたフロントグリルは、何となくアルファっぽくもある。ウインカーとドアハンドル、反射板を一直線につなぐサイドプロテクター(R2が初ではないが、昔のR-2のものをモチーフとしたもの)やドアミラーの形もユニークだし、リアゲートの取っ手は六連星のスバルバッジだ。これが指が滑りそうで使いにくいが、カッコいいから許せる。さすが、フィアット・バルケッタで飛び出すドアノブを採用したザパティナス!?

意見が分かれるのは、やはり超個性的なフロントグリルだろう。ヘッドライトの形状も凝りまくり。2003年の東京モーターショーに出展された電気自動車コンセプト、R1eのような無難な顔もアリだったはずだが、あえて非凡な道を選んだということか。

11色のボディカラーにはすべて漢字名がある。「真珠」とか「漆黒」とか。試乗車のメタリックブルーは、インプレッサでおなじみの「WRブルーマイカ」、ではなく「瑠璃(るり)」(プリズムブルー・メタリック)。

欧州車のような室内デザイン

ダッシュボードのデザインも翼っぽい。同じモチーフが各パーツで反復されていて、欧州車のように統一感がある。細かいところも凝っていて、例えばバニティミラーの照明は眩しくないようにわざわざ天井に付く(RとS)。試乗車は販売店オプションの「アロマティック・ブレイク」なるものを装備。シガーライターの熱でアロマオイルの香りを車内に広げるというもの。言うなればメーカー純正芳香剤。女の子には受けそうだ。

 

ホンダライフに続いてインパネシフトを採用。出っ張ったセンターコンソールに膝が当たるが、それほど気にはならなかった。室内はアイボリーとブラックの2色を用意。シートはクッション中央に凹みをつけたオシャレなもの。形状は立体的でクッションの質も良さそうだが、サイズは小振りだ。

 

外観から想像できるように後席は広くない。初代ワゴンR以前はみんなこんな感じだったなあ、と懐かしささえ覚える。パッケージングは最新だから、窓が小さく開放感こそないものの、空間的には十分実用に足りる。シートバックにリクライニング機能が付く。

 

荷室の広さは期待できないが、前傾の激しいリアゲートを見れば、デザイナーが何を優先したかは一目瞭然だ。そのかいあってリアタイヤの張り出し(横方向だけでなく、後ろにも!)は、スマートに匹敵する。

基本性能&ドライブフィール

パワフルな新型ツインカム

試乗したのは中間グレード「R」のCVT(無段変速機)仕様。従来型をDOHC化した自然吸気エンジン(54ps、6.4kgm)を搭載し、軽の2ペダル車としてはクラストップの10・15モード燃費:24km/リッターを誇る。

プレオ同様、発進にトルクコンバーターを使うから、発進は普通のATのようにスムーズだ。驚いたのは低速からモリモリとパワーがあることで、「これって(プレオにある)マイルドチャージ?」と真剣に思ってしまったほど。トルクが薄くなりがちな660ccの4気筒としては出色の出来栄え。電子制御スロットルや可変バルブタイミングといった新機構を採用しただけのことはある。

気になったのは、エンジンを回すとノイズが高まること。おそらくCVTの金属ベルトの音と思うが、その意味では一度5MT車に乗ってみたいところ。CVT車の場合は、低燃費走行用の「ECO」モードにすると回転を少し低めに保つため、この方が騒がしくなく快適に走れた。

重厚感あり。曲がりは苦手

新設計のシャシーは伝統の4輪独立懸架を引き続き採用。軽ではなく小型車として見ても、たいへんコストが掛かった作りで、走りは重厚だ。ガシッと剛性感のある走りはスマートみたいで、最新のリッターカーに遜色ないどころか、一部を越えているとさえ思われる。それでいて軽快感もあり、乗り心地もいい。

一方で、電動パワステは山道を元気に走るにはまったく向いていない。街で乗る限りは気にならないが、ギア比がとにかくスローで、接地感も薄く、シャシーのレベルが高いだけに「男の子」としてはちょっと残念な部分。

ここがイイ

コンセプトとデザイン。「いいかげんハイトワゴンは飽きたでしょ」とついに宣言して(たぶん)、デザインを優先するコンセプトを推し進めたこと。思えばプレオもトールワゴンとは呼べず、結局スバルはトールワゴンを持たないまま過ぎていくことになる。

しかしこのデザイン、慣れるに従って、ますますカッコ良く見えてきた。窓が小さくて、フェンダーが張り出していて、個性的な顔つきで。ホンダライフも相当ヘンだったが、それ以上にヘン。個性は力だ。

そしてパーソナルな感じ。こういう軽も(こういう軽こそ)必要でしょ。

ここがダメ

古い人なので(苦笑)、R-2といえばグリルレスでしょと思う。この個性的な顔つきも悪くないが、グリルレスにすると、よりカッコよくなると思う。聞けば開発終了間近にザパティナス氏が加わって、この顔になったらしい。最初の顔は何だったんだろう。R-2のネーミングが先にあったのなら、きっとグリルレスだったと思うのだ。

ついついフル加速してしまうのだが、(多分CVTの)ノイズが気になる。もう少し静かだと質感はもう一回り高まると思う。同様に1世代前のものと思われる電動パワステもちょっと辛いところ。

総合評価

初代R-2は筆者青春のクルマだ。当初、空冷リアエンジン・2サイクル・2気筒(足回りはポルシェみたいなトレーリングアームとトーションバースプリング)で、スバル360の生まれ変わりとして登場。フィアット500のようなルックスだったが、やがてダミーグリルが付き、ついにはパワー対策のため水冷(大型グリル付き)となって、結局4年にも満たないモデルサイクルを閉じた、ある意味悲劇のモデル。筆者が乗っていたのは初期の空冷モデルであるスポーティーデラックスというシングルキャブ30psのもの(2連メーター・バケット風シート付き)で、130㎞/h弱を出してエンジンをダメにした思い出がある。

かような次第で、R-2復活、の話に心躍らされたのだが、前述のようにグリルがちょっといただけないものの、全体的にはマル。試乗後の今も、スーパーチャージャーモデルが欲しいと思っているほどだ。

とにかく限られたサイズの中で、できるだけ広い空間を作ろうと努力してきたのがワゴンR以降の軽の歴史だ。特にダイハツのタントは、それをやりすぎた結果、ちょっと不可解な、過剰ともいえる空間を持つに至っている。たいてい2人までしか乗らない軽にあれほどの空間がいるのか、というのはタントに乗った人の素直な感想だろう。第一、そんなに空間が欲しいなら、軽にはワンボックスがある。特にスバルのサンバーは、リアエンジンのため鼻が短く、昔のワンボックス軽の雰囲気を色濃く残した秀作だ。スバルにしてみれば、空間が欲しいならこちらをどうぞ、ということだろう。

そこで空間よりパーソナル性を優先し、さらにデザインコンシャスとして、個性を強調する今回のR2登場となったわけだ。レガシィに代表される強い個性のクルマを作ることでGMグループの中でアイデンティティを発揮するスバルとしては、至極まっとうな話と言える。そのためにも、今後のスバル車のアイデンティティになるという、翼モチーフグリルをこのクルマで初めて象徴的に装着したのだろう。

軽の場合、これ以上良くしたら小型車との差別化ができないところまで完成度が上がっている。実際、「小型車以上の出来では」と思える軽もある。しかしR2は乗るとかなり軽らしい。軽なんだから性能を追いすぎることは本末転倒だ。軽らしい性能で個性があれば、それが本来の生きる道だろう。それを具現化している点で、R2は素晴らしいといえる。

いずれにしてもGMグループの中で軽ナンバーワンメーカーのスズキとどう軽を作り分けていくかが、スバルの課題(苦悩)のはずだ。R2はその答えを見事に出した。R2は「昔の名前で出ています」ではなく、初代R-2が名車スバル360の次世代を象徴するものであったように、新しいR2には「ワゴンRの次のもの」という意味が込められているように思う。

試乗車スペック
スバル R2 R
(0.66リッター・CVT・112万円)

●形式:UA-RC1●全長3395mm×全幅1475mm×全高1520mm●ホイールベース:2360mm●車重(車検証記載値):810kg(F:ー+R:ー)●エンジン型式:EN07●658cc・DOHC・4バルブ・直列4気筒・横置●54ps(40kW)/6400rpm、6.4kgm (63Nm)/4400rpm●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/30L●10・15モード燃費:24.0km/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ:155/65R14(Falken Sincera)●価格:112万円(試乗車:ー万円 ※オプション:アロマティックブレイク&ディフューザーセット 計2600円) ●車両協力:名古屋スバル自動車株式会社

公式サイトhttp://www.subaru.co.jp/r2/

 
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