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トヨタ ラクティス G新車試乗記(第618回)

Toyota Ractis G

(1.5リッター直4・CVT・168万円)

ラクティスが2代目に進化!
「これって、アリ?」の
答は見つかったか?

2010年12月17日

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キャラクター&開発コンセプト

コンセプトはほぼそのままで、2代目に進化


新型ラクティス。トヨタの名古屋本社があるミッドランドスクエアにて

ラクティス(2005年10月発売)が2010年11月22日、5年ぶりにフルモデルチェンジして2代目となった。大人4人が乗れる万能コンパクトカーというコンセプトは初代のままで、プラットフォームもキャリーオーバー。ボディサイズも全長4メートル未満、全幅1.7メートル未満の5ナンバー枠に収まっている。ただし背を低くして外観をよりスタイリッシュにしたり、後席の座り心地を良くしたりといった改良を実施。エンジンは1.5リッターこそ先代のまま(1NZ-FE)だが、1.3リッターはiQやパッソ等でおなじみの新世代(1NR-FE)に換装されている。

スバル版のOEM車「トレジア」も登場


2代目ラクティスのOEM車となる「スバル トレジア」
(photo:富士重工業)

新型ラクティス発売の1週間後には、スバルからそのOEM車の「トレジア(Trezia)」も発売された。基本はラクティスと同じだが、フロント部分のデザイン、グレード展開、一部仕様などがスバル独自となっている。

なお先代ラクティスは関東自動車工業(関自)が開発を行い、トヨタの高岡工場(愛知県豊田市)が生産していたが、新型はトレジア共々、関自の岩手工場が生産する。また新型の開発にはスバルからも100名単位のエンジニアが参加したという。

 

ボンネット裏に貼られている関東自動車のステッカー

販売目標はラクティスが月間4500台、トレジアが1000台の計5500台。販売チャンネルはラクティスがトヨペット店とトヨタカローラ店、トレジアがスバルディーラーとなる。

新垣結衣を起用したテレビCMコピーは「家族でコンパクトカー。これって、アリ?」、そして「イマドキ家族にコンパクト。」と続く。つまりは一家に一台のコンパクトカーとしてラクティスは最適、ということのようだ。

「ヴァーソS」として欧州にも投入

なお初代ラクティスは国内専用だったが、2代目は「ヴァーソS(Verso-S)」として欧州にも投入される。現地生産ではなく、岩手からの輸出となるようだ。「S」とは、オーリスベースの「ヴァーソ」よりも小さい(スモール)という意味だろう。こちらには1.4リッター直4ターボディーゼル車(90ps、20.9kgm)のほか、変速機には6MTや6速セミATが用意される。なお、ラクティスの前身であるファンカーゴ(現地名ヤリス ヴァーソ)も欧州で販売されていたので、今回の欧州投入は言わば再挑戦となる。

※外部リンク
■トヨタ自動車>プレスリリース>ラクティスをフルモデルチェンジ (2010年11月22日)
■トヨタ自動車>プレスリリース>2010年パリモーターショーに新型車「Verso-S」を出展 (2010年9月30日)

※過去の新車ニュース
■新車ニュース>スバル、新型コンパクトカー「トレジア」を発売 (2010年11月)

※過去の新車試乗記
■新車試乗記>トヨタ ラクティス G "S パッケージ" (2005年11月)

価格帯&グレード展開

144万5000円からスタート。女子には「レピス」、男子には「S」を用意


専用のフロントバンパー&グリル、内装カラーがアクセントの「L' epice」
(photo:トヨタ自動車)

1.3リッター(FFのみ)と1.5リッター(FFと4WD)があり、価格は1.3が144万5000円~、1.5のFFが154万5000円~、その4WDが165万円~。

グレードはベーシックな「X」、上級の「G」のほか、専用フロントバンパー&グリル、ライトグレーの専用インテリアカラーなどを採用し、“さりげなくお洒落なデザイン”とした「L'epice(レピス)」(フランス語で「スパイス」の意)がある。これはトヨタの女子スタッフによる活動「デコクレ」の流れを汲んだものだろうか。

一方、男子向けにはユーロサスペンション、4輪ディスクブレーキ、パドルシフトを装備した「S」(1.5リッター・FFのみ)を用意。こちらは言わば欧州向けヴァーソSの国内向けとなる。出来れば6MT仕様も欲しかった。


今回の試乗車は上級グレードの「G」(パノラマルーフ仕様)。ボディカラーは「サテンブルーマイカメタリック」

■FF・1.3リッター「1NR-FE」(95ps・12.3kgm)+CVT
144万5000円~158万円

■FF・1.5リッター「1NZ-FE」(109ps・14.1kgm)+CVT
154万5000円~178万5000円  ★今回の試乗車

■4WD・1.5リッター「1NZ-FE」(103ps・13.5kgm)+CVT
165万円~184万8000円

車いす仕様をはじめ、ウェルキャブ仕様も充実


車いす仕様車(タイプI)
(photo:トヨタ自動車)

新型ラクティスには、日本で初めて型式認定を取得した車いす仕様車も用意された。「タイプI」と呼ばれるこの仕様は、全高をベース車より120mmも高めてハイルーフ(全高1705mm)とし、リアゲートからスロープを通って車いすごと乗れるようにしたもの。リアサスペンションは車高調整機能付のエアサスとなる。この「タイプI」の売りは、持ち込み登録が不要なほか、車いすを乗せない場合には5人乗りとなること。というのも、他の車いす仕様車は後席の片側が取りはずされ、通常のシートでは最大3名乗車となるからだ。タイプIの価格は1.3リッターが177万7000円、1.5リッターが195万8000円となる。

パッケージング&スタイル

全長4メートル未満、5ナンバー幅をキープ。欧州対策で背は低くなった


ワイパーは最近では珍しい1本タイプ。リンクがうまく機能し、払拭面積は問題なし

ボディサイズ(FF車)は全長3995mm×全幅1695mm×全高1585mm。先代よりも全長は40mm長いが、全幅とホイールベースは同じだ。日本で使いやすい5ナンバー枠に収まっているのがラクティスのいいところ。

一方、全高は先代より55mmも低くなったが、立体駐車場に入るかどうかの目安となる1550mmには、あともう少しのところで収まらない。背を低くしたのは、操縦安定性や空力面での欧州対策で、Cd値(空気抵抗係数)はこの手のトールワゴンでは優秀な0.30と発表されている。もちろん、低めの全高はホンダ フィットを意識したものでもあるだろう。

 
 

インテリア&ラゲッジスペース

デザインは面白いが、質感や色気は今ひとつ

ダッシュボードの造形はiQを思い出させる有機的なものだが、その樹脂に施されたシボは無機的な幾何学パターンとなる。手法としては面白いが、表面はソフトパッドではなく、ハードのままで、質感や色気は今ひとつだ。

なお先代ラクティスのスマートキー仕様は、スタートボタンがステアリングの左側にあったが、新型では右側に移動。以前は同じトヨタ車でも、スタートボタンが左にあったり(レクサスなど主にグローバルモデル)、右にあったり(クラウンなど国内メインのモデル)と混乱していたが、最近はやはり右に統一される方向のようだ。

なぜか先代やトレジアにあるテレスコが省かれる


室内でスバル版と異なるのはバッジ、そしてステアリングのテレスコ調整がないこと

シートの調整幅は前後スライド(240mm)、リフター(60mm上下)共に十分あるが、ステアリングの調整機構は全車チルト(上下)のみ。だからと言って大きな不満はないが、基準ヒップポイントが高めのせいか、男性が乗るとやや窮屈な感じがあり、やはりステアリングをもう少し上に、そして手前にしたくなる。また左足の足もとも狭い。

一方、兄弟車のスバル・トレジアでは、上級グレードでステアリングのテレスコ調整(伸縮)が可能。もともと先代ラクティスの上級グレードがテレスコ付だったので可能だったようだ。ならば、なぜトヨタは新型にテレスコを付けなかったのだろうか。細かい話だが、気になるところ。

太ももをしっかりサポート。天井は高く、着座位置も高い


後席シートクッションは一見平板だが、ホールド性は悪くない。背もたれの角度は3ノッチほど調整が可能

先代ラクティスで不評だった後席は、大幅に改良されている。座面、背もたれ共に先代ラクティスより30mm拡大し、クッションも10mm厚くしたという。特に印象的なのが、ヒール段差(床から膝裏までの距離)が大きく、太ももが座面でしっかりサポートされること。まさに「椅子」という感じで座れる。結果的に視点は高く、見晴らしも良好だ。室内幅も先代より40mm拡大され、横方向や頭上の圧迫感もない。

なお、サイド&カーテンエアバッグは、全車オプション(4万2000円)。またリア中央席のヘッドレストや3点式シートベルトは日本仕様にはない。

パノラマルーフは「G」のみ

オプションの「パノラマルーフ」(上級グレードの「G」に10万5000円で用意)は、先代ラクティスにもあった装備だが、新型ではさらに大きくなり、ガラス面積は開口長1260mm、開口幅820mmと巨大(0.6畳ほど)。 これだけ大きいと外からの目線が気になるが、プライバシーガラスなので外から中はほとんど見えない。また電動シェード(ボードではなく布製)を閉めれば、完全に遮光も出来る。全体に実用を重視したラクティスだが、ここは遊びが感じられる部分だ。

荷室容量はフィットを上回る


2名乗車時の荷室容量は852リッター。荷室高は910mmで、荷室長は1535mm

先代ラクティスの荷室は、高い全高を活かした広さが売りだったが、新型は背を低くしたことに伴って、天地寸法も正直に減っている。とはいえトランク容量は429リッターを確保し、ライバルのフィット(最大422リッター)を何とか上回っている。フィットと違って燃料タンクが車体後部にあるラクティスでは、苦労が多かった部分だろう。

チルトダウン&遠隔可倒レバーで、簡単アレンジ

後席の畳み方は、背もたれをパタンと前に倒すだけのシングルフォールディング式。FF車の場合、座面がそれと連動して沈み込む「チルトダウン式」となる(フィットなどと同じ)。完全に水平にはならないが、操作は先代に比べて大幅に簡単になった。以前は背もたれを倒した後、座面ごと持ち上げて、前に落とし込む方法(ダイブイン式)だった。

 

遠隔可倒レバー

新型ではさらにもう一工夫。ステーションワゴンのように荷室側に「遠隔可倒レバー」を設けて、それを引いて背もたれを倒せるようにしている。チルトダウン式で遠隔可倒レバーが付いたタイプは、コンパクトクラスでは初とのことだ。

ただしレバーに関しては、便利と言えば便利だが、ワゴンと違って背もたれ肩口のレバーにも簡単に手が届くので、少々過剰サービスにも思える。ラクティスでもリクライニング調整に使う肩口のレバーで、同じように背もたれを倒すことができる。

なお4WD車の場合は、先代の4WD車と同じダブルフォールディングとなる。

センター「パンク修理キット」レイアウト

荷室のケナフ製フロアボードは二段階で高さを変えられ(アジャスタブルデッキボード)、下側に落として天地高を稼ぐことも出来る。この時の荷室高は1030mmだ。さらにボードを取り払えば、床下収納スペースがあり、ここまで寸法に含めれば1200mmとなる。

もちろんスペアタイヤレスであり、さてパンク修理キットは・・・・・・と思って探してみても、荷室にはどうも見あたらない。観念して取扱説明書をあたってみると・・・・・・、運転席の座面下にあった。センタータンクレイアウト、ならぬセンター「パンク修理キット」だ。

基本性能&ドライブフィール

イージー&スムーズ


試乗車は1.5リッターエンジン(1NZ-FE)仕様

試乗したのは上級グレードの「G」(FF)。ここ最近乗ったトヨタの新型コンパクトカーというと、iQやパッソの1.3リッター、パッソセッテの1.5リッターだが、アクセルの踏み具合に応じて緩急自在、トルクフルに走れるところは、さすが1.5リッター。またCVTはラクティスの1.5リッター車の場合、7速マニュアルモードやスポーツモード付の「Active CVTシステム」となり、回転を高めにキープして元気に走ることもできる。

ただし運転感覚はイージーそのもの。というか、あまりにイージーで、ついついアクセルをベタッと踏み込み、加速したい衝動にかられる。

 

乗り心地や操縦性も、そうしたパワートレインの印象に似てスムーズだが、ドッシリ感というものはあまりない。段差での突き上げもないし、気になる上下動もないなど、よくまとまっているなあ、と思うが、VWゴルフやポロのような重々しい感じとは対極にある。

ラクティスというクルマ、初代の操縦安定性も良かったという記憶があり、新型もそれをちゃんと受け継いでいる。一般的な1~1.3リッタークラスのコンパクトカーだとアンダーステアが強くなる領域でも、新型ラクティスはシレッと曲がり、平然とうねりをやり過ごす。175/60R16という大径タイヤのせいもあるが、車体は最後まで安定したまま。ただ、試乗車はパノラマルーフ仕様だったせいか、スピードが上がるにつれて、コーナーでは多少頭がグラッとくる感じがあった。

 

なお、S-VSC(電動ステアリング、ブレーキ、トラクションコントロールを協調制御)は、スポーティな「S」にのみオプションで用意される。それ無しでも操縦安定性か確保されているが、あればあったでアンダーステア制御も入るはずなので、また違った印象になったかも。

100km/h巡航は約1900回転で可能。アクセルを踏み込まなければエンジン音は静かで、全体に静粛性は高い。ただこの時も、加速時にエンジン回転がウヮァンと跳ね上がってしまうのは煩わしいところ。

試乗燃費は11.3km/L。10・15モード燃費は20.0km/L

今回もいつものパターンとコースで試乗。試乗燃費は、例の通り一般道と高速の混じった区間(約90km)では11.3km/Lだった。また一般道で無駄な加速を控えて走った区間(約30km)では15.3km/L。さらにエコランした区間(約30km)では16.0km/Lとなった。ただ先に書いたように、低燃費で走るにはアクセルを軽く、しかも一定に踏むコツと忍耐が要求される。

10・15モード燃費はFF車の場合、排気量を問わず20.0km/L。先代の18.0~18.4km/Lから約1割アップだ。さらに4WD車(1.5のみ)の場合は、変速機が4ATからCVTに換装されたことが効いて、2割以上アップ(14.8km/L→18.4km/L)している。

指定燃料はもちろんレギュラーで、タンク容量は42リッター。

ここがイイ

万能性、便利なユーティリティ、十分な走行性能

一台でマルチに使える、という意味では、今の時代、日本で使うクルマとしては理想的な一台。ダウンサイジングへの対応は、このあたりが最終的な落とし所ということだろう。これより小さいと一台で全てとはいかないが、ラクティスなら若者もファミリーも、そしてシニア層も、都会の場合はこれ一台、田舎の場合はこれと軽自動車の二台体制で、こと足りる。試乗した1.5リッターであれば、快適性はおおむねかつての2リッター車の域。F1も2013年から1.6リッター直4ターボとなるらしいが、ガソリンエンジンはいよいよこのくらいの排気量でオシマイ、なのかも。

 

豊富なユーティリティスペース。フロントシートの間にあるトレイを仕切れるのは特に便利。またシート下のパンク修理キットというのは、これから主流になるかも。かつてファンカーゴではスペアタイヤが荷室を圧迫していたが、スペアタイヤが要らないとは、いい時代になったものだ。

意外にワインディングではしっかり走るし、高速安定性もある。その意味では、そこはかとなく欧州投入を意識したクルマっぽい。インパネシフトもマニュアル操作しやすく、軽く楽しみながら走れる。という点では、この手のクルマとしては十分及第点。

ここがダメ

テレスコの廃止。イージー過ぎる運転感覚。空間を使い切っていない感。立駐対応ではない全高。「スポーツ」スイッチの位置

先代の上級グレードにあったステアリングのテレスコ調整を、新型では全廃してしまったこと。シートを前に出し、座面を高めにセットして、背もたれを立てるという欧州車的なポジションなら、確かに必要ないかもしれないが、日本でそういうポジションを取る人は少ないのでは。その点、テレスコのあるトレジアは、より日本向きということになるかもしれない・・・・・・。

もう一つ気になったのは、運転席を前に出すと、左足がセンターコンソールに当たって、窮屈なこと。左ハンドルを右ハンドル化した欧州車ではよくある話だが、日本車のラクティスでこうなのはかなり残念。またイージーに乗れる分、運転操作も安直になりやすい。十分な操縦安定性はあるものの、欧州車的なリニアな反応は、CVTにも車体の動きにもなく、操作が雑になりがちな印象を受けた。

パッケージング面で、フィットほど突き詰めた感じがしないこと。それを特に感じるのは後席まわりで、座面の下を覗くと、燃料タンクの周囲にけっこうなデッドスペースがある。後席を畳めば、確かに座面は沈み込むが、空間を「使い切っていない」感あり。

そして全高が1585mmと若干高く、立体駐車場に入らない可能性があること。あと数センチなだけに、残念な気がしてしまう。

 

「スポーツ」モードのスイッチはここ。走行中は死角になる

スポーツモードに切り替えるスイッチがメータークラスターの左下(ステアリングコラムの左側)にあるが、走行中には完全に死角となり、ブラインド操作もしにくい。これはラクティスだけではなく、他メーカーのモデルでもたまに見られる問題だが、改善を求めたい部分。

それから、ラクティスだけの話ではないが、スマートキーによるドアの施錠は、トヨタ車でも以前はリクエストスイッチ(ドアノブにある黒いボタン)を押すタイプだったが、最近のトヨタ新型車はドアノブの一部に触れるタッチセンサー式に変わってきている。主にデザインや見た目が理由で変更されたと思うが、今ひとつ「鍵をかけた」という実感が得にくい。また夜間、ラクティスのようにドアノブ周辺に何の照明もないと、どこを触っていいか分からないことがあった。いずれも慣れの問題かもしれないが。

総合評価

今や誰にとっても「これって、あり」

乗ればすぐに馴染む「いつものトヨタ車」の味。ゆえに何も考えずに足として使える。小難しいことを考えず、「これって、アリ?」「あり!」と答えて乗っていれば、ひとまず不幸になることはない。十分な動力性能、快適な乗り心地、ワインディングでも意外に踏ん張るサスペンション、使い勝手の良さ、広い室内、明るい天井。そして手頃な価格・・・・・・。ものすごくイイというわけではないが、どう使うにしろ、どんな年齢の人が使うにしろ、おそらく大きな不満は出ないだろう。ファミリーにもこれってあり、熟年層にもこれってあり、お金がなくてもこれってあり、お金があってもこれってあり。もはやクルマに過剰な期待をする人はいないのだから、便利で使いやすい道具であれば、これってありなのだ。スバル車にこだわって乗っていた人も、今やトレジアでもって、これってあり、だと思う。

最小不幸なクルマ

政府の「最小不幸社会」実現構想がどうなったか知らないが、何しろ今の世の中、その逆の最大幸福を求めようにも、閉塞感が凄まじい。年末ジャンボでも当てない限り、まともにやっていては金銭的、物質的に最大の幸福はまず不可能。そのため今は皆、幸福の定義を見直している。つまり金銭的、物質的幸福の追求はもうやめて、精神的な幸福を求めようということだ。ひとまずモノは何だってあるのだから、今ある以上のモノはもう求めない。大きくて豪華なモノなどもってのほか。それを求めてもまず手に入らないし、よく考えれば別にそう欲しくもないことに気がつくはず。物欲を刺激しないよう精神状態をキープすること。考えないようにすること、それが今を生き抜く最良の方法だ。

そういう時代性にはラクティス、まさにこれってありだろう。メーカーもディーラーも、クルマを売らなくてはならないし、クルマも消費財だから、ユーザーはいずれ買い換える。そこで最も効率的な消費財を買うのが、賢い消費者の生きる道だ。と考えれば、こと日本ではトヨタ品質は絶対的。トヨタ車を買って不幸になることはまずない。まあ、そのかわり、すごく幸せになることも多分ないが(クルマ好きと呼ばれる人々は特に)。ラクティスは売る側も喜んで売れるし、買う側も喜んで買える。ラクティスならエブリバディ・イズ・ハッピー。つまりは最小不幸クルマといえそうだ。

 

ただ、最小不幸なクルマは今や他にも多い。その中からラクティスを選ぶ理由は、トヨタブランドへの信頼しかない。現在北米でトヨタが苦戦しているのは、様々な陰謀説はあるものの、その信頼が揺らぎ始めているから、とされる。日本においてはそんな雰囲気は微塵も感じられないが、どこでどう転ぶかかは分からないのが今の世の中。大企業病も指摘される中、トヨタには一層の精進を期待したいもの。2010年はここまで新型車の投入が少なかったが、年末に来て矢継ぎ早に新型が発表されている。やがて来るだろうFT-86あたりには、物欲を刺激し、精神の平和を破壊するパワーを込めてもらいたいものだ。

試乗車スペック
トヨタ ラクティス G
(1.5リッター直4・CVT・168万円)

●初年度登録:2010年11月●形式:DBA-NCP120 ●全長3995mm×全幅1695mm×全高1585mm ●ホイールベース:2550mm ●最小回転半径:4.9m ●車重(車検証記載値):1120kg( 690+430 ) ※パノラマルーフの装備により+10kg ●乗車定員:5名

●エンジン型式:1NZ-FE ● 1496cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:75.0×84.7mm ●圧縮比:10.5 ● 109ps(80kW)/6000rpm、14.1kgm (138Nm)/4400rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/42L ●10・15モード燃費:20.0km/L ●JC08モード燃費:18.4km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット(+コイル)/後 トーションビーム(+コイル) ●タイヤ:175/60R16( Bridgestone Ecopia EP25 )●試乗車価格:213万5805円( 含むオプション:16インチアルミホイール 5万7750円、パノラマルーフ 10万5000円、マルチリフレクターヘッドランプ ディスチャージ 4万7250円、サイド&カーテンシールドエアバッグ 4万2000円、HDDシンプルナビゲーション&バックモニター 19万0050円、ETC車載器 1万3755円 )●ボディカラー:サテンブルーマイカメタリック ●試乗距離:210km ●試乗日:2010年12月 ●車両協力:トヨタ自動車株式会社

 
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