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ランドローバー レンジローバー スポーツ オートバイオグラフィ ダイナミック新車試乗記(第715回)

Land Rover Range Rover Sport Autobiography Dynamic

(5.0L V8スーパーチャージャー・8AT・1260万円)

名実ともに
レンジローバースポーツ!
砂漠の王者は
オンロードでも最強だったか?

2014年01月24日

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キャラクター&開発コンセプト

2代目は新型レンジと同時開発


新型レンジローバー スポーツ
(photo:ジャガー・ランドローバー・ジャパン)

2013年3月のニューヨークショーで発表、日本では2013年11月30日に発売された新型「レンジローバー スポーツ」は、現行の4代目レンジローバー(2013年3月に日本発売)をベースに、よりオンロード重視で仕立てたモデル。ジャガー・ランドローバー曰く、ランドローバー史上最速の一台だ。

レンジローバー スポーツとしては2代目だが、初代のベースがスチール製セミモノコックとシャシーフレーム構造のランドローバー ディスカバリーだったのに対し、新型は現行レンジローバー譲りのオールアルミ製モノコックボディを採用。これにより、車重は先代スポーツに比べて最大240kgも軽くなっている。

悪路走破性はそのままに、オンロード性能を向上

現行レンジローバーとメカニズム面での共通点は多いが、部品総点数の75%はスポーツ専用とのこと。ボディサイズはレンジローバーより短くて低く、デザイン的にはイヴォークの意匠を取り入れたものになっている。

パワートレインは現行レンジローバーとほぼ共通で、フルタイム4WDやエアサスペンションを装備する点も同じ。悪路走破性能も高度だが、オンロードでの走行性能を重視することで、レンジローバーとの差別化を図っている。

生産は現行レンジと同じで、ランドローバーの本拠地である英国ソリハル工場で行われる。

 

■過去の新車試乗記
ランドローバー レンジローバー 5.0 V8 スーパーチャージド ヴォーグ (2013年5月)
ランドローバー レンジローバー (2002年7月)

 

価格帯&グレード展開

レンジローバーより400万円もお得?


東京モーターショー2013に出展された時のレンジローバー スポーツ

海外にはV6ディーゼルターボのほか、そのハイブリッドもあるが、日本仕様はガソリン車のみ。3リッターV6直噴スーパーチャージド(340ps、45.9kgm)と5リッターV8直噴スーパーチャージド(510ps、63.8kgm)の2種類で、ミッションはZF製8速AT。駆動方式はフルタイム4WD。ここまでは、2014年モデルのレンジローバーと共通。

価格は以下の通り798万円~。つまりイヴォーク(460万円~)とレンジローバー(1230万円~)の中間に位置する。

 

■レンジローバー スポーツ
・SE(3.0 V6 SC)           798万円
・HSE(3.0 V6 SC)           903万円
・Autobiography Dynamic(5.0 V8 SC) 1260万円 ※今回の試乗車

■レンジローバー
・3.0 V6 Supercharged Vogue     1230万円
・5.0 V8 Supercharged Vogue     1490万円
・Autobiography(5.0 V8 SC)     1670万円

 

パッケージング&スタイル

レンジローバーをベースに、イヴォーク風に


ボディカラーは試乗車のコリス・グレイなど全19色

第一印象は、現行レンジローバーにそっくり、ではないだろうか。基本設計が現行レンジローバーと同じになったことで、スタイリングは先代スポーツに比べてグッと洗練された。

ただ、よく見れば各部のデザインは、レンジローバーとは全く異なるし、ボディ外板も全てレンジ スポーツ専用品。ヘッドライトも似てはいるが、別物だ。また、レンジローバーのリアゲートが伝統の上下2分割なのに対して、スポーツはイヴォークと同じハッチバックになっている。部品の75%がスポーツ専用というのも納得。

 

標準タイヤサイズはグレード毎に19、20、21インチ(試乗車)、オプションで22インチを設定

ボディサイズは、ホイールベースや全幅こそ現行レンジローバーと一緒だが、リアオーバーハングは15センチほど短く、全高は65mm低い(最低地上高の-10mmを含む)。要するに、レンジローバーより少し短く、少し低い。

 

こちらは現行レンジローバー。外部パーツのほとんど全てが異なる

後ろ姿の方がスポーツとの差が大きい。リアオーバーハングが長く、上下2分割リアゲートを採用

先代スポーツより空力特性は8%向上。Cd値(空気抵抗係数)0.37
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転半径(m)
レンジローバー イヴォーク(2012~) 4355 1900 1605~1635 2660 5.5
ポルシェ マカン(2014~) 4681~4699 1923 1624 2807
先代レンジローバー スポーツ(2005~2013) 4795 1930 1810 2745 5.7
2代目ポルシェ カイエン (2010-) 4845 1940~1955 1700~1710 2895
新型レンジローバー スポーツ(2013-) 4855 1985 1800 2920 6.1
3代目BMW X5(F15型、2013~) 4910 1940~1985 1760 2935
現行(4代目)レンジローバー(2013~) 5005 1985 1865 2920 6.1
 

インテリア&ラゲッジスペース

高級感はレンジローバーに限りなく近い


オプションでデュアルビュー機能付の8インチ高解像度タッチスクリーンを用意。走行中でも助手席からは映像が見える

スイッチ類などレンジローバーとの共通パーツは多そうだが、センターコンソールは別物で、使われているマテリアル等も異なる。全体的な印象はエレガントなレンジローバーに対して、スポーティなレンジ スポーツといった感じで、例えば試乗車の場合は、ダークエンジンターンド・アルミニウムと呼ばれるアルミ製パネルがクール(実際に触ってもヒンヤリ冷たい)。もちろん、オプションでウッドパネルも選べるし、内装色をアイボリーやブラウン、2トーンにすることもできる。

シフトセレクターはレバータイプに


シフトセレクターはレバータイプ。P(パーキング)はボタンを押すだけ

レンジローバーと明確に違うのは、シフトセレクターがジャガーでもお馴染みの回転式シフトセレクター(ドライブセレクト・ロータリーシフト)ではなく、最近のBMWに似た電子制御式のレバータイプになっていること。「スポーツ」らしさを出すためだと思うが、デザインや操作性に関してはロータリーシフトも良かったので、ここは意見が分かれるところか。

着座位置は低め。オプションで「+2」のシートも用意


前席は電動18ウェイ。オプションでマッサージ機能も追加可

ランドローバーと言えば、上から見下ろすような「コマンドポジション」が有名だが、レンジ スポーツの場合は、基準となる着座位置および視点が低めで、加えてボディがそもそも大きいため、車両周辺の死角が大きく感じられる傾向はある。

あと、新型レンジ スポーツならではの売りが、オプションで3列シート仕様(7人乗り)を用意したこと。3列目シート(50:50の2分割)は、スペアタイヤの代わりに電動で床下収納する。現物を見ることはできなかったが(なぜかカタログにも写真がない)、スペース的にはあくまでエマージェンシーだろう。

 

後席は背もたれの角度を調整できる。上位グレードはソフト・ドア・クローズ機能を標準装備

オプションの電動パノラミックルーフは、前半分が開くほか、電動ブラインド(薄日を通すタイプ)も装備

メーターパネルはレンジローバーと同じ12.3インチのフルカラー液晶(下位グレードはオプション)
 

ラゲッジスペースレール等の各種アタッチメントはオプション。後席背もたれは2分割で畳める

床下にはオプションで20インチのテンパースペアタイヤ&アロイホイールを搭載

「オフロードパック」には、テレイン・レスポンス2 オートや副変速機が含まれる
 

基本性能&ドライブフィール

パワーウエイトレシオは4.8kg/ps

試乗したのは最上級グレードの「オートバイオグラフィ ダイナミック」(1260万円)。直前まで3リッターV6スーパーチャージド「HSE」(340ps)と迷ったが、最高出力510psと赤いブレンボ製キャリパーに目がくらみ、一年前のレンジローバーと同じV8スーパーチャージドを試乗することにした。

 

ジャガーでもお馴染みの5リッターV8直噴スーパーチャージドエンジン。パワーだけでなく、環境性能も売り

エンジンはジャガーでもお馴染みの5リッターV8直噴スーパーチャージドで、最高出力は510ps/6500rpm、最大トルクは63.8kgm/2500rpm。ミッションは最新世代のZF製8速AT(8HP70型)で、ドイツ御三家の最新SUVを相手にしても引けをとらない内容。車重はオールアルミニウム製ボディながら、試乗車で2450kgもあるが(同型エンジンのレンジより90kg軽いらしい)、パワーウエイトレシオは4.8kg/psと高性能スポーツカー並み。

 

スーパーチャージャーゆえ、ターボラグは皆無。ギアが8速もあるから、パワーバンドを外すこともない

実際、その速さはとてつもないレベル。適当に流して走る時は、1200~1500回転くらいでドロロンと平和に喉を鳴らしているが、アクセルを踏み込むや否や、即座に2、3段シフトダウンし、シュヴァーン!とダッシュする。その鋭さは、カイエンターボに張れるというか、何が来ても負けないと思えるほど。

このエンジンがすごいのは、高回転をまったく苦にしないこと。自動シフトアップしないSモードで走ると、まるでジャガーのXJやXKみたいに、クァーーーン!と快音を立てながら軽々と7000回転前後まで回りきり、レブリミッターを作動させる。思わずレンジローバーに乗ってることを忘れる瞬間。ちなみに0-100km/h加速は、この5リッターV8で5.3秒という凄まじさ。車重は2.5トンもあるというのに……。

なお、スーパーチャージャーと言えば、一昔前はミャーーンと猫の鳴き声みたいな作動音が聞こえたり、レスポンスが重々しかったりしたものだが、この(というか最近の)スーパーチャージャーはまったくそんなことはない。だから、体感的には、本当に自然吸気の大排気量V8みたいに思える。

アイドリングストップ機能も装備


アイドリングストップ作動時にはメーターに表示灯がつく。もちろんオフにすることも可能

街中では、周囲を見下ろしつつも、上品に走りたくなるのがレンジローバーのいいところ。1200回転くらいで流している時もエンジン音は唸っていて、そこは静粛性を重視したレンジローバーと異なるところ。ちょっと獰猛な感じ。

そして、信号待ちでは積極的にアイドリングストップする。エンジントルクが大きいせいか、エンジン始動直後のクリープ発生時にクルマがポンと前に出てしまうのは少し気になったが、ちゃんとエコ対応しているのは評価できる点。

 

写真はダイナミックモード選択時。走りながらでもブラインド操作できる

乗り心地はノーマルモードなら問題なし。ダイナミックモードだと小刻みに揺すられる。ボディの剛性感はすごいの一言で、まったくビクともしない。これならガタガタのオフロードでも長時間快適に走れるだろう、と思う。

逆にけっこう困るのが、狭い道に入ってしまった時。全幅がほとんど2メートル(1985mm)もある上、周囲の視界が効かないので、狭い道でのすれ違いや、狭い場所での駐車には慣れが必要。特に左サイドが見えないのが困る。ボタンを押せば、ナビ画面にフロント左右の死角が映し出されるが、どこが映っているのかちょっと分かりにくいのが難点。

山道では「レンジローバーの形をしたイヴォーク」に変身


Sモードを選択し、マニュアルモードにした状態。盤面が赤くなり、使用ギアが大きく表示される

ワインディングでの走りも予想以上。マニュアルモードは、前述のように自動シフトアップしない超スポーティ制御だから、最初はうっかりレブリミッターに当てがち。シフトダウンは「フォォン!」とブリッピングして見事に決める。エンジンの反応はほんと、ジャガーのXKRあたりとおんなじだ。

テレインレスポンスをカチッと回して、ダイナミックモードを選べば、エアサスがグッと引き締まり、ボディ全体が岩のようにソリッドになる。その走りは、目線が異様に高いことを除けば、スポーツセダンやスポーツカーと同じ。ステアリング操作に応じて2.5トンのボディがダイレクトに反応し、走行ラインを自由自在に変更できる。

 

最上級グレードはレッドペイントのブレンボロゴ入りキャリパーを装備。試乗車のタイヤは275/45R21のコンチネンタル クロスコンタクト

コーナーでの動きはレンジローバーとは別物で、レンジローバーとイヴォークの中間という感じ。特にダイナミックモードでは、アンダーステア感が皆無で、時にはビクッとするほど鋭く旋回する。このあたりは、カイエンやX5対策だろう。ちなみに、ベベルギア式トルセン・センターデフの、通常時の前後トルク配分はやや後輪寄りの42:58だ。

高速道路では1200~1500回転くらいでユルユル走るのが気持ちいい。100km/h巡航は8速トップで1450回転くらい(レンジローバーのV8スーパーチャージドと同じ)。持てるパワーの、ほんの少しだけを使う贅沢感が、クルマのキャラクターに合っている。

もちろん、510psを解放すれば、すさまじい走りが可能だが、速さに加えて圧倒的な安定感が印象的。これだけのヘビー級SUVが、まるでジャガーのXJやXKのように(目線の高さを除けば)走ってしまう。

最低地上高は最大278mm。渡河水深限界は850mm


オフロード走行モード選択時。センターデフとリアデフの作動状況などが一目で分かる

オフロード性能については、数値を中心に紹介。レンジローバーには少し譲るが、絶対的にはハイレベルで、先代スポーツと比べると渡河水深限界が150mm増すなど、確実に性能アップしている(数値はスタンダード/オフロードモード。カッコ内はレンジローバーの数値)。

■最低地上高:210mm~278mm (220~303mm)
■アプローチアングル:24.3/33.0度 (26.0/34.7度)
■ランプブレークオーバーアングル:19.4/27.2度(20.1/28.3度)
■ディパーチャーアングル:24.9/31.0度(24.6/29.6度)
■渡河水深限界:850mm(900mm)

なお、副変速機、つまりローレンジ付の2速トランスファーケースは、下位グレードだとオプションだが(テレインレスポンス2とセットで24万7000円)、最上級グレードは標準装備。装備車の場合は、オフロードモードを選択した時に、前後トルク配分が50:50となり、直結(100%ロック)も可能。自在に伸び縮みするエアサスペンションの威力もあり、驚異的な走破性を発揮するのはご存知の通り。

 

 

試乗燃費は6.0~7.4km/L。JC08モード燃費はV8で7.3km/L、V6で8.4km/L

今回はトータルで約180kmを試乗。試乗燃費(車載燃費計)は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)で6.0km/Lだった。これは奇しくも昨年乗ったレンジローバー(エンジンは同じV8スーパーチャージド)と全く一緒だった。

また、一般道を大人しく走った区間(約30km)では7.4km/Lで、昨年レンジローバーで大人しく走った時の6.5km/Lよりかなり良かったが、これは主に新しく採用されたアイドリングストップ機能(燃費を最大7%向上させるという)のせいだろう。なお、同機能はレンジローバーの2014年モデルにも装備されている。

なお、JC08モード燃費は、今回試乗したV8スーパーチャージドが7.3km/Lで、V6スーパーチャージドが8.4km/L(2014年レンジはそれぞれ7.4km/L、8.5km/L)。燃料タンクはレンジローバーの101リッターとほぼ同じ105リッターもある。

 

ここがイイ

高級スポーツセダンに遜色ない走りや快適性。レンジより手頃な価格。エコ対応

とにかく速い。パワフル。静粛性は思ったほどではないが、ノーマルモードでの乗り心地はいいし、総合的に言えば、この価格帯の高性能スポーツセダンより快適で、同乗者には喜ばれそう。

巨大なのに軽快なハンドリング。スポーツモードで走れば、並のスポーティカーには負けない。カービューの試乗記には「ニュルブルクリンクを8分35秒前後でラップすることができる」とあった。ちなみに先日、日産 GT-R NISMOが出した量販車最速が7分8秒。R32の時代は8分20秒位。SUVの進化はすごい。

ということで、いつものようにワインディングも走ったのだが、燃費はパワーや車重を考慮すれば、かなり良いと言える。普通に乗ればJC08モード燃費の7.3km/Lは現実的な数字。実燃費とのズレは少ない。

また、このクラスの高級車で、段差やクルマ止めなどに気を使わなくても済むのはSUVの特権。よほど横着しない限り、アゴをガリッとやることはないと思う。

見た目も名前も高級感も、「レンジローバー」なのに、値段はそれより400万円も安い。また、お金はあっても大排気量エンジンはもういいと思っている人にはV6のダウンサイジングエンジンもあるし、アイドリングストップも標準装備するといったエコ対応もちゃんとやっていること。

ここがダメ

狭いところは苦手

全幅1985mmのボディは、狭い道だとやはり気になるレベル。特に左フロントや、巨大なドアミラーが作り出す死角は気になるところ。左フロントの死角については、カメラの映像をもう少し見やすくすると改善できる気がするのだが。

また、ランドローバーと言えば、上から見下ろすようなコマンドポジションが伝統だが、新型レンジ スポーツやイヴォークでは、かつてほど見晴らしが良くない。そこでシート座面を上げようとすると、ペダルに足が届きにくくなるというディレンマが生じる。

アイドリングストップ機能は、発進・エンジン始動時に、おそらくエンジントルクが大きいせいだろう、強めのクリープが発生して、クルマを唐突に動かしてしまう。一人で乗っている時は問題ないレベルだが、同乗者がいる場合は気を使いそう。もちろん、そういう時はアイドリングストップをオフにしてしまえばいいのだが。

レバータイプのシフトセレクターが採用されているが、他のレンジローバーやジャガーと同じロータリー式もオプションで選べたら良かった。ひょっとするとロータリー式を選ぶ人の方が多いんじゃないだろうか。

総合評価

輸入車が売れてるのはアベノミクスのせいではない

昨年となる2013年も、日本国内の輸入車販売は好調に終わった。輸入車(外国メーカー車)販売総数は約28万台で、前年比16.1%アップし、国内販売におけるシェアは8.6%と過去最高。1000万円以上の高額車の販売台数も、順調に推移したともいう。庶民の実感としては景気がいいとも思えないのだが、一部、そうとう景気がいい人達がいるようで、それがこの数字に反映しているのだろう。格差はどんどん広がっているということか。

景気に関係なく、コンスタントに実績を上げている業界も確かにある。先日も、あるマンション大規模修繕会社の売上を見ていたら、ここ10年ほどで倍増していた。マンションは30年くらい前からどんどん建っており、どこも10年すれば大規模修繕が必要になる。しかしノウハウと結構な資本投下のいる修繕会社がどんどん新しく現れたりはしないようで、おのずと既存の会社が業績を伸ばしてくるわけだ。それから、いわゆる住宅リフォーム会社も好調なようだ。これらは、市場が勝手に成長しているため、景気がいいということだろう。

 

儲かっていれば、クルマでも買うか、となる。セダン、スポーツカー、SUV、ついでに便利なミニバンの4種類くらいは揃えたいところ。あとオープンモデルも1台欲しいか。むろん、それぞれこだわりの車種を選びたい。となると選択肢は自ずと輸入車に傾く。クラウンマジェスタ、GT-R、ランクル200、ヴェルファイアと国産車で揃える必要はなく、新型メルセデス Sクラス、フェラーリ カリフォルニア、ランドローバー、ヴェルファイアの方が魅力的に思える。こう並べても、ミニバンだけはヴェルファイアになってしまうのだが(日本車最後の牙城か?)。

そう考えるとポルシェは、ミニバンを除いて、ここに入るクルマを全て揃えている。パナメーラ、911、カイエン、あとはオープンのボクスター(911 カブリオレでもいいが)。ポルシェ好きオヤジにとっては、これらを揃えるのが究極の夢かもしれない。ポルシェ好調のワケは、こんなところにもあるだろう。輸入車が売れているのはアベノミクスのせいではなく、一部のクルマ好きにとっては買いたいクルマが輸入車しかないということが大きいし、クルマという高い買い物をどうせするなら、こだわったのもにしたいということだと思う。

まさにライバルはカイエン

SUVも、ちょっとばかり走りにこだわりたいと思うと、レンジローバー スポーツはいい選択になるだろう。上記のようなラインナップを所有している場合、普通のレンジローバーより軽快なこのクルマは、他の所有車から乗り換えても違和感がない。昨年試乗したレンジローバーもそれなりに速かったが、普段スポーツカーに乗ってるような人が乗ると、ややかったるさを感じるだろう。しかしこれならまったく気にならない。いつも通り、かっとばせる。まさにライバルはカイエンだが、ポルシェが嫌だとなると、ハイエンドSUVの選択肢はこのレンジローバーなど一部に限られる。なんにしろ、お金があるから高級車を買いたいなと思うと、どうしても輸入車になってしまうのは否めない。

日本自動車輸入組合(JAIA)の上野金太郎理事長(メルセデス・ベンツ日本社長)は、「本年はやはり、消費税率引き上げ前の駆け込み需要とその後の反動減、消費の冷え込みがどの位の期間、続くかについて、慎重に見極める必要があると考える」と述べているが、3%ばかりの消費税アップなんて、富裕層にはたいして関係ないはず。そろそろアベノミクスも怪しくなってきているので、実体経済としての高級車販売が今年も伸びること、そこに期待したい。景気が悪くなれば販売も鈍るという、いつものパターンを覆すべく、日本の富裕層は今年もどんどん高級車を買って、実態経済を持ち上げてもらいたいものだ。

 

さて、世界市場でもランドローバーは2013年に過去最高の34万8338台を売り、前年比15%のアップ。特に、今やジャガー・ランドローバーの世界最大市場である中国では、両ブランドで29.8%アップの9万5237台を売っているとのこと。おそらく中国のお金持ちでも、走りにこだわるクルマ好きなら、一番高い普通のレンジローバーよりスポーツの方を指名するだろう。かつての英国植民地インドのタタ・モーターズ傘下となったジャガー・ランドローバーが、英国にとってアヘン戦争の相手である中国で大きなビジネスを行い、車両を作ってイギリス国内の雇用確保を誇っているというあたり、世はやはり諸行無常であるなあ、とあらためて思う。

 

試乗車スペック
ランドローバー レンジローバー スポーツ オートバイオグラフィ ダイナミック
(5.0L V8スーパーチャージャー・8AT・1260万円)

●初年度登録:2013年12月●形式:ABA-LW5SA ●全長4855mm×全幅1985mm×全高1800mm ●ホイールベース:2920mm ●最小回転半径:6.1m ●車重(車検証記載値):2450kg(1280+1170)※スライディング・パノラミックルーフ装着車。標準車は2410kg ●乗車定員:5名

●エンジン型式:508PS ●排気量・エンジン種類:4999cc・V型8気筒DOHC・4バルブ・直噴・スーパーチャージャー・縦置 ●ボア×ストローク:92.5×93.0mm ●圧縮比:9.5 ●最高出力:375kW(510ps)/6500rpm ●最大トルク:625Nm (63.8kgm)/2500rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/105L ●JC08モード燃費:7.3km/L

●駆動方式:フルタイム4WD ●サスペンション形式:前 ダブルウイッシュボーン+エアスプリング/後 マルチリンク+エアスプリング ●タイヤ:275/45R21(Continental Cross Contact LX Sport)

●試乗車価格(概算):1355万6000円 ※オプション:4ゾーン・フルオート・エアコン 15万円、シートヒーター&クーラー(前後席) 12万5000円、ACC 23万円、ラゲッジスペースフレーム 4万8000円、8インチデュアルビュー・タッチスクリーン・ディスプレイ 11万6000円、フルサイズ・スペア・アロイホイール 3万7000円、スライディング・パノラミックルーフ 25万円 ●ボディカラー:コリス・グレイ(メタリック) ●試乗距離:約180km

●試乗日:2014年1月 ●車両協力:ジャガー・ランドローバー名古屋インター(株式会社ホワイトハウス)

 
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