新車試乗記 第 回 トヨタ ラウム Toyota Raum

 

日時: 1997年07月04日

     
     
     

    トヨタは時々5年以上早いクルマを発表してしまう。エスティマはその好例だが、ポストRVとしておそらく西暦2000年以後に高く評価されるのが、このラウムだ

    これからのクルマ社会のキーワードは環境だ。環境にやさしいクルマを考えるとやっぱり小さいにこしたことはない。しかしバブル高級車とRVによって広いクルマを知ってしまった消費者は今さら狭いクルマにはもどれないだろう。そこで小さくて広いクルマがこれから必要とされるはず。と、ここまでは誰もが考えつくはずだが、そこへいきなり実車として投入されたのがトヨタのラウムだ。

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    まずはサイズだが、ターセルセダンより短いためトヨタ最小のセダンと説明される全長は、カローラより29cmも短い。とはいえホイールベースは2520mmとこのクラスとしては異例に長く、幅もほぼ小型車枠一杯。また全高は立体駐車場に入るぎりぎりまで高めてある。つまり居住空間確保のためのパッケージングとなっているのだ。

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    運転席まわりでは、MTと違ってスイッチにすぎないATのシフトは当然コラムに。パーキングブレーキも足踏み式(二度踏みで解除されるタイプ)で足元は広々。タコメータなどという不必要なメーターはなく、照明で浮かび上がる見やすい大型スピードメーターのみとなる。半ドア警告灯も5枚のドアのどのドアが開いてるか、一目でわかるタイプだ。メーターの左横、センター最上部の最も見やすい位置にはカーナビモニタ。トヨタはこのダッシュまわりの開発を全て内製化しているが、これはやがて交通情報はもちろん、お買い物情報からレジャー情報、インターネットまで地図以外の情報がこの画面に映し出されるようになる、つまり、マルチメディア自動車の時代に備えてのことだと思われる。空調スイッチ類もかつての欧州車のような実にわかりやすいダイアル式。すべてがシンプルで誰でも間違いなく使えるはずだ。

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    人間工学から割り出されたという地上高600mmのシートはお尻をずらすだけで座れる楽な高さ。ドアも傾けてセットしたヒンジで大きく広がる。広さでは旧セルシオ並みといわれるリアシートでは確かに足が組める。フラットな床でウォークスルーができるのも新鮮。リアはスライドドアなので、前席から後席へ移動すれば人一人立つ空間さえあればどんなところでも降りられる。キーはリモコン式だからどこで降りても不便はないし、リアハッチも少し開けて物が取り出せる横開き式だ。後ろに壁がある幅の狭い駐車場へバックで入れた時など、リア左のスライドドアから出て、トランクの荷物を取り出すといったことが難なくできる。

    希望をいえば、運転席回転機構、リアシートスライド機構があると室内に広いリビングが出来、さらに使い勝手がよくなるはず。できればオプションで電動スライドドアも欲しいところだ。

    エンジンは軽快に吹き上がる。パワーは必要十分程度で、アクセルをしっかり踏めば十分よく走る。トルクフルではないが、アクセル開度にリニアに対応するといった走りで気分は悪くない。高速でも150Km/hは楽々だし、ワインディングでは軽快でスポーティな走りをみせる。このあたりはRVではなくまさにセダン系の走りだ。エンジン音もそう大きくはないし、1500ccという排気量とセダンというコンセプトを考えると、走りには全く文句はない。

    安全装備の充実も売り物だ。デュアルエアバッグ、ABS、急ブレーキを感知して踏力を補助するブレーキアシスト、プリテンショナー&フォースリミッター付シートベルト、ぶつかりやすいところに緩衝材を入れたソフトアッパーインテリア、そしてもちろんGOAと徹底している。特に標準装備されたブレーキアシストは、試してみると分かるが、ABSとセットであると確かに有効な装置。やがて全てのクルマに装備されるはずだ。

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    ラウムは一見RVの格好をしているが、RVではなくまさに新世代セダンだ。トヨタはRVといえば何でも売れる今のご時世に、あえてRVと呼ばず新しいコンセプトカーとしてラウムを提案してきた。ポストRVをどのメーカーも見極めかねている現在に、すでにトヨタはラウムで解答を出したといってもいい。ただ消費者がこの斬新なコンセプトを受け入れることができるかどうかには疑問が残る。というのもラウムはあまりに普通のカッコウだから。もう少しクルマのコンセプトがかっこよくボディデザインに表れていれば、大ヒットすると思うのだが。コンセプトが近いと思われるメルセデスAクラスが妙にかっこいいだけに惜しまれるところだ。

     

     

     
       
       
       
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