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メルセデス・ベンツ R500 4MATIC新車試乗記(第421回)

Mercedes-Benz R 500 4MATIC

(5.0リッターV8・7AT・966万円))

アラバマ生まれ、
SUVベースの
3列シートクロスオーバー、
新型「Rクラス」に乗る!

2006年07月01日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

Mクラスベースの新型クロスオーバー

メルセデス・ベンツの新車リストに新しく仲間入りした「Rクラス」は、Mクラスがベースの新型クロスオーバー。ダイムラー・クライスラー言うところの「まったく新しいカテゴリーのラグジュアリーモデル」だ。ハードウエア的にはSUVだが、ミニバン風でもあり、新感覚のラグジュアリーサルーン風でもあり、快適な3列シート(2×2×2)を持つ・・・・と言うと、実のところ北米ではポピュラーな「SUV」の姿。しかし1000万円前後の高価格帯で、何よりメルセデスというところに新しさがある。生産は2代目Mクラスと新型GLクラス(Mクラスの大型版)と同じ、米国アラバマ州のタスカルーサ工場で行われる。

参考 MBUSI(メルセデス・ベンツ US インターナショナル)(英語)

価格帯&グレード展開

V6が724万5000円、V8が966万円

日本仕様は3.5リッターV6の「R350 4MATIC」(724万5000円)と5リッターV8の「R500 4MATIC」(966万円)の2グレード。いずれもフルタイム4WD「4MATIC」で、変速機は7速ATの「7G-TRONIC」。2種類のエンジンも含めて、各コンポーネンツは他のモデルでおなじみのものだ。

パッケージング&スタイル

Mクラスより低く、長い。

試乗したR500(AMGスポーツパッケージ付)の外寸は全長4945mm×全幅1920mm×全高1660mm。ホイールベースは2980mm。元のMクラスより115~155mm低いのを除けば、全長は+130~155mm、ホイールベースは+65mmと明確にサイズアップしている。丸型異形ヘッドライトを使った個性的なフロントは好みが分かれるもの。日本仕様にはフェンダーの上に、例の補助ミラーが付く。

街中では迫力満点

最近のベンツに共通するイメージで、無難にまとまったリアとサイドビュー。丸いルーフラインと後ろ上がりのキャラクターラインによって、真横から見ると(周りに比較するものがなければ)ステーションワゴンみたいに見える。実際にはかなり大柄で、V8サウンドを響かせながら街中を走ると、従来のSUVとは別種のインパクトがある。

日本仕様はショートバージョン

日本に導入されたのは実はショートホイールベース版のみ。北米向けは235mmストレッチしたロングホイールベース版(3215mm)のみ、欧州には長短2モデルが用意される。ロング版ならより「ラグジュアリーサルーン」らしくなるわけだ。

今風にスタイリッシュ

R500 「AMGスポーツパッケージ」の専用内装。Mクラスとの共有パーツは多いが、青みがかった「アルパカグレー」のレザー/アルカンタラ(人工スエード)内装はコンセプトカーみたいに非日常的。今風にスタイリッシュで、脱ベンツ的にカジュアルだ。日本仕様のR500は左ハンドルのみ、R350は右ハンドルのみとなっている。

シフトレバー以外はオーソドクス

シフトレバーは新型Sクラスと似た電子制御の「DIRECT SELECT(ダイレクトセレクト)」。BMWの7シリーズと同様のもので、先端を押して「P(パーキング)」、軽く上げて「R」(バック)、下げて「D」(ドライブ)。しかし、パーキングブレーキは足踏み式で、エンジンスタートもキーを差して回すタイプと、オーソドクスな流儀が残っている。マニュアルシフトはステアリングの左右スポーク裏側のボタンで行う。

豪華ミニバン風の2列目

2列目キャプテンシートは見晴らしが良く、広さも十分。前後にスライドするので、写真の位置よりもっと後ろに下がる。足元には空調コントロールや収納式のドリンクホルダー。このショート版だと国産の豪華ミニバンのような広さはないが、リムジン的な雰囲気を追求した点は近い。オプションの「パノラミック・スライディング・ルーフ」は前側が電動アウタースライド、後ろ側は固定式というダブルサンルーフ。

乗り降りはしにくいが、居心地はいい3列目

2980mm の長大なホイールベースは3列シート(2×2×2)とするためで、その3列目は一度座ってしまいさえすれば意外に居心地がいい。見晴らしが良く、閉塞感もほとんどない。ダブルフォールディングを可能にするため、シートは全体に小ぶりで、座面が薄いといった不満はあるが、座り心地は悪くない。スライドはしないが、リクライニングは可能だ。欠点はセンターウォークスルーする際にセカンドシートのアームレストがじゃまなこと。

2列目以降でフルフラットが可能

通常時(6名乗車時)の荷室容量は305リッターと、ゴルフクラス並み。さらに荷室からの遠隔操作でサードシートをフラットに畳めば869リッター(ただし元に戻す時は、後席側に一度戻る必要がある)。セカンドシートを倒してフルフラットにすれば1931リッター。この時の荷室長は2メートル近く、大人が横になれる。

荷室下には空気を入れて使うテンパースペア、それと7.1チャンネル・440Wのハーマンカードン(harman/kardon)サウンドシステムがフロアボードの裏側に吊下がっている。

基本性能&ドライブフィール

大柄だが、小回り性能が救い

試乗したのはベンツではおなじみの5リッターV8・SOHCエンジン(306ps、46.9kg-m)のR500 4MATIC。「4MATIC」とはフルタイム4WDのことで、変速機はベンツで定番の7速オートマチック「7G-TRONIC」だ。

それにしても東京都内で受け取ったRクラスは大きく見える。前後にAMGのエアロパーツをつけたこの仕様でも全長は5メートルを切り、全幅も1.9メートル少々に過ぎないが、都心の一方通行を入って行くには気が引けるもの。しかし、メルセデスらしく小回りは抜群で、ノーズ自体は切れ込むように内側に入ってくれる。最小回転半径は5.9メートルとボディサイズを考慮すればかなり小さく、Uターンはけっこう得意だ。

アメリカンブイハチなR500

シングルカムのV8は98年頃から様々なモデルでおなじみのユニットだが、R500のそれは心なしかアメリカン。アクセルを雑に踏むとアメ車風にスクワットするせいもあるが、とにかく馬力よりトルクで走るという感じ。車重は2290kg、つまり2.3トンもあり、先代Sクラス(W220型)より約0.5トンも重い。結果として低速では(ギアリングもあって)まあまあ鋭いが、スピードが乗ってくると切れ味が薄まるという印象になる。

乗り心地もアメ車的

R500の足回りは、積載量や路面状況、運転スタイルに合わせて設定を変化させるというAIRマティックサスペンション。電子制御のエアスプリングと油圧ダンパーを組み合わせたエアサスで、積載重量に関わらず一定の車高を保つほか、オフロード走行用に最大50mmリフト出来る。

もちろん「コンフォート」「オート」「スポーツ」とモード変更が可能だが、基本的には大きくゆったり動くアメ車っぽいもの。大まかに言ってしまえば、シボレー・トレイルブレーザーやキャデラックのSRXあたりと世界は近い。乗り心地はいかにもアメリカンで、うねりがあると低い振幅で上下する。特に、セカンドシートでは揺れが強く感じられ、乗り心地そのものは今一つと感じた。一方でサードシートは意外に快適。荷室からのノイズの侵入も少なく、片道100kmくらいならここに座ってもいいと思った。いずれもR500に限っての印象で、R350でどうなのかは確認できていない。

大排気量SUVらしいスポーティと言えばスポーティ

制御を刻々と変えるエアサスのおかげか、コーナリングではぴたりと姿勢が安定してけっこうスポーティに曲がってゆける。シャシーはモノコックで、足回りはフロントがダブルウイッシュボーン、リアは4リンク式(R350、R500いずれもエアサス)と、このあたりはかなりオンロード指向ゆえか。ただ、重量がこれだけあり、フルタイム4WDで、タイヤはこの試乗車で19インチ(255/50R19)という巨大な扁平タイヤと、国内市場ではスペック的に似たものが見当たらない。ハマーH2のラグジー仕様なんかが近いのかも。

ここがイイ

北米で売られるロングボディがデザイン的に完成したものだと思うが、ショートボディになってもうまくまとまっており、カジュアルな雰囲気を持ったエクステリアデザインは個性とプレミアムをうまくキープしていると思う。内装も試乗車はホワイト系(アルパカグレー)でブラック系よりやや重厚感には欠けるものの、豊富なウッドパネルや革シートのステッチなどでリッチなムードをうまく演出している。

ステアリングを持ったままシフト操作できるダイレクトセレクト(レバー型シフトスイッチ)は、少し慣れればとても使いやすい。ボタンセレクターといったあたりまでさらに進化していってもらいたいものだ。高級車でもこうした操作系の変更を行えるのは輸入車ならでは。保守的な購入者が多い日本の高級車では自殺行為になってしまう。

フルタイム4WDとAIRマティックサスペンションによる全天候・全地形型の走り。またパノラミックルーフははめ殺しではなく、前部がアウタースライドで大きく開く。これはなかなか気持ちがいい。

ここがダメ

多くの高級輸入車と比べ、特別大きいわけではないが、やはりもてあまし気味になるサイズ。特にR500は左ハンドル車しかないのも辛い。また10・15モードで6.2㎞/Lの燃費は、ガソリン代高騰のおり、かなり厳しいものがある。実用燃費4㎞/Lあたりだとすると、ハイオクが140円/Lなら1㎞走るのに35円もかかるわけだ。

Mクラス同様の大きなスリーポインテッドスターが陣取るフロントは、もう少しコンサバでも良かったのでは? 控えめな仕様が欲しい人は多いと思う。またフェンダーに陣取る補助ミラーに関しては、やはり大して役立っているとは思えず、日本の行政指導の建前主義を感じてしまう。その昔、運転席側にしかドアミラーが付いていないメルセデスでも、日本で販売された車両には、反対側のフェンダーに無骨にミラーがついていた。それを思い出してしまった。

コンソールセンターに位置する標準のDVDナビは、画面をタッチするタイプでなく、画面左右のパネルにあるボタンを押すメルセデス流。直感的に使いにくく、ボタン数が多くて作業は繁雑。

テールゲートが天高く跳ね上がりすぎて、小柄な人だと閉める時に手が届かないこと。オプションの電動式を選んでも、そのスイッチに手が届かない。運転席やリモコンキーのボタンでは閉められるが・・・・。

総合評価

まず日本の道路では絶対的に大きい。それにアイポイントが高いから、同じくらいのサイズのセダンより乗っていてさらに大きく感じられる。しかも左ハンドルだから、正直なところ都内の試乗では実用的にすごく不便なクルマに感じられた。小回りがきくから右ハンドルならまだましなはずだが、左でこのサイズだと、乗りこなすにはかなりの練習が必要だろう。つまりお金持ちの奥様、お嬢様が乗るクルマではない。といってこれがファーストカーという旦那さんもお金持ちにはいないと思う。日本ではお金持ちのセカンドカー(あるいはサードカー)としての存在がふさわしいモデルだ。

と考えると、確かに3列シートのステイタスミニバンは少ない。クルマが何台かあっても(いや、あればこそ)多人数が乗れるミニバンは一台あってもいいのだが、ベンツやポルシェが収まっているガレージに、いくら最高級ミニバンとはいえアルファードは似合わない。SUVなら3列シート車はあるが、ミニバン系の輸入車は他にない。ビアノでは何だし(苦笑)。そう考えると、意外にいいところをねらってきた(けっこう市場がある)と思う。確かに値段は高いが、高額所得者は日本には多く、その中にはもちろん30代子持ちの人もいるだろう。そういう人が家族で乗る所帯じみていないミニバンって、意外にない。その意味では、これはかなりヒットするメルセデスかもしれない。

ただ乗り味としてはかなり北米大陸風。まあ北米で作られる北米のためのメルセデスなのだから、それもしかりではあるが、それにしても内装のイメージはアメ車っぽいし、乗り心地もふんわり。セカンドシートの子供は車酔いするかも。その点では。「ダイムラー・クライスラーR500」か。他の米国車同様、米国で売るなら正解かもしれないが、デザインもハードウエアも日本で売るにはちょっと詰めが甘い。

Bクラスでも書いたとおり、最近の新型メルセデスはコンセプト的に日本車に近い。Rクラスも例えればストリームやウィッシュの巨大版のように思える。ウィッシュの全長全幅を広げ、V8を載せ、四駆にし、ベンツの高級感を加えればできあがり。日本だから大きいと感じられるだけで、大きなクルマの多い北米ならロングボディでも普通に使いやすいサイズだろう。つまり毎日使いやすい「セダンでもSUVでもミニバンでもない3列シート車」というのは、コンセプト的にウィッシュと同じだ。屋根の巨大なサンルーフもラフェスタを代表とする最近のクルマのトレンドだし。つまりメルセデスがいうほど新しいクルマではなく、日本でベストセラーとなるコンセプトの拡大サイズ版と言える。メルセデスだからプレミアムという部分は外せないが、同じようなクルマのクライスラーブランドなら大衆車だって作れそう。おそらくこの手のクルマは今後北米で、また世界中で増えていくだろう。

試乗車スペック
メルセデス・ベンツ R 500 4MATIC
(5.0リッターV8・7AT・966万円)

●形式:CBA-251075●全長4945mm×全幅1920mm×全高1660mm(※AMGスポーツパッケージ付)●ホイールベース:2980mm●車重(車検証記載値):2290kg(F:1200+1090)●乗車定員:6名●エンジン型式:113●4965cc・V型8気筒・SOHC・3バルブ・縦置●306ps(225kW)/5600rpm、46.9kg-m (460Nm)/2700-4250rpm●カム駆動:タイミングチェーン●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/80L●10・15モード燃費:6.2km/L●駆動方式:フルタイム4WD●タイヤ:255/55R19(BRIDGESTONE TURANZA ER30)●試乗車価格:1030万500円(含むオプション:AMGスポーツパッケージ 37万8000円、パノラミックスライディングルーフ 26万2500円)●試乗距離:-km ●試乗日:2006年6月

公式サイト http://www.mercedes-benz.co.jp/passenger/car_lineup/r-class/index.html

 
 
 
 
 

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