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ルノー ルーテシア ルノースポール新車試乗記(第587回)

Renault Lutecia Renault Sport

(2.0リッター直4・6MT・299万円)

ついに登場した新型アールエス、
その走りは、ちょっぴり懐かしい味がした!

2010年02月06日

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キャラクター&開発コンセプト

3代目ルーテシアの高性能バージョン


2005年10月の東京モーターショーに出展された「ルノースポール コンセプト」

2009年10月16日に日本で発売された新型「ルーテシア ルノースポール」(以下RS)は、3代目ルーテシア(欧州名クリオ III)をベースに、排気量1リッターあたり100psオーバーの自然吸気2リッター直4エンジン(202ps、21.9kgm)を搭載した高性能モデル。さらに専用ワイドボディ、エアロパーツ、サスペンション、ブレンボ製ブレーキ等も採用されており、分かりやすく言えばルノー版「タイプR」だ。

なお、3代目ルーテシアのRSは欧州で2006年から販売されていたが、今回日本に導入されたのは2009年にフェイスリフトや出力アップ(197ps→200ps)等を施したマイナーチェンジモデルになる。

 

ベースとなったルノー・ルーテシア(2007年の東京モーターショー)

開発および生産を担当したのは、ルノーのモータースポーツ部門である「ルノースポール」。初級フォーミュラの「フォーミュラルノー」、ワンメイクレース、ラリー、耐久レース等で活動する他、市販スポーツモデルの開発も行っている。ちなみにその前身となった組織は名門アルピーヌで、本拠地もアルピーヌ時代と同じ北フランスの港町ディエップにある。

■参考リンク
過去の新車試乗記>ルノー ルーテシア 1.6 eLe(2006年4月)

価格帯&グレード展開

6MT・右ハンドルのみで、価格は299万円

日本仕様は右ハンドル・6MTで、価格は299万円。新型ゴルフGTI(211ps、28.6kgm)の366万円、ゴルフTSI ハイライン(160ps、24.5kgm)の312万円よりも安いが、GTIは6速DSG、TSIは7速DSGと最新2ペダル車なのに対して、RSはマニュアル車限定になる。

なお、本国にはサーキットでの走りを重視した足まわりの「シャシーカップ」仕様もあるが、日本向けはオンロード重視の「シャシースポール」仕様のみとなっている。

ボディカラーは計7色。試乗車はブラン グラシエ(白)で、他にブルーモナコメタリック、、ルージュ トロ(赤)、ノワール プロフォン メタリック(黒)、グリ マカハ メタリック(シルバー)。さらに注文生産色(15万円高)でジョン シリウス メタリック(イエロー)、ベール アリエン メタリック(緑)がある。

■ルーテシア ルノースポール  299万円 ★今週の試乗車
 2.0リッター直4 DOHC(202ps、21.9kgm)
 6MT・右ハンドル

パッケージング&スタイル

F1譲りのエアロパーツでさりげなく武装

まず目を引くのが、デザインが他のルノー車とまったく異なる大型フロントバンパーだ。写真だと分かりにくいが、インテーク部分の横桟がF1のフロントウイングのような形状になっている。まっ黒のノーズは何となくカモノハシのクチバシ?っぽくもあるが、それもまた個性派ルノーらしい。

 

ボディサイズ(標準ルーテシア比)は全長4020mm(+30)×全幅1770mm(+50)×全高1485mm(同)

サイドに回れば、張り出した樹脂製フロントフェンダーが目に入る。そこに穿たれたスリットは、ラジエイター冷却用に導入した空気を後ろに抜くことで冷却効果と空気抵抗の低減を狙ったもの。Cd値は0.35をうたう。さらに215/45R17タイヤ、ブレンボ製のフロントブレーキキャリパー&前後ディスクも、RSの本気度を物語る部分だ。

 

後ろに回れば大径の2本出しマフラー、そして130km/hで40kgのダウンフォースを発生するという大型リアディフューザーが「F1譲りの」テクノロジーを感じさせる。

インテリア&ラゲッジスペース

随所にRSらしさ。iPodにも対応

インパネは現行ルーテシアで見覚えのあるものだが、レザーステアリングに刺繍された「センターポイントステッチ」が嬉しいところ。タコメーターの文字盤も刺繍と同じ黄色だ。さらにABCペダルが滑り止め付のアルミ製になるなど、運転操作に関係する部分はすべて専用品になる。

一方、フランス車でもついにiPodを意識し、インパネ下部に携帯音楽プレーヤー用のAUX端子を装備。オーディオはCDプレーヤー付きの6スピーカーで、ステアリングの裏側にはフランス車でおなじみのサテライトスイッチも備わる。

なお、他のルノー車同様、運転席側ドアに鍵穴はなく、基本的にはキーレスで施解錠するが、相変わらずキーヘッドのスイッチは電波法の関係で表向きは使えず、付属のキーホルダー式リモコンで行う。

新型は右ハンドルのみ。座り心地やサポートに優れるシート

先代RSは左ハンドルだったが、新型はついに右ハンドル化。心配されるペダルやステアリングのオフセットはなく、ドライビングポジションはごく自然だ。ステアリングがテレスコ(伸縮)しないのは残念だが、リム位置は割と近めなので、そう不満はないと思う。

 

誰が乗っても「三つ星」になりそうなのが、RS専用のスポーツシート。座り心地は抜群だし、ポジション調整もきめ細かく出来る。このクラスの日本車にはレカロとの共同開発品が多いが、それらと比べても「RSの方がいい」と感じる人は少なくないだろう。リクライニング機構付のシートとしては、ホールド性もベストに近い。

なお、エアバッグは前席フロント×2、前席サイド×2、カーテン×2、そしてアンチサブマリンエアバッグ×2の計8個を標準装備する。衝突安全性能は二昔ほど前のホットハッチに比べて段違いに進化した部分だ。

3ドアだが、快適なリアシート

RSは今どき潔く3ドアハッチのみ。とはいえドア開口部は大きく、フロントシートはワンタッチで前倒し&スライドするので、乗降性はそんなに悪くない。一見、素っ気なく見えるリアシート自体も、座り心地はなかなか快適。定員は普通のルーテシアより1名少ない4名だ。

スペアタイヤレスで、パンク修理材を搭載

リアゲートは室内のオープナーではなく、ちゃんとゲート下側の電磁スイッチで直接開けられる。荷室容量は普通のルーテシアと同じ288リッター。リアシートはヘッドレストを付けたまま、ダブルフォールディングで畳める。

 

床下にあるのはジャッキやレンチ類のみ。普通のルーテシアはフルサイズのスペアタイヤを車体底に吊り下げているが、そこにディフューザーがあるRSは簡易なパンク修理材(量産車では初めて見た)を助手席グラブボックスの中に搭載している。

基本性能&ドライブフィール

ああ懐かしき、直4・高回転型エンジンの味

RSに搭載される2リッターDOHCエンジン「F4R RS」は、ボア×ストロークこそ82.7×93.0mmのロングストローク型だが、自然吸気にして202ps/7100rpm、21.9kgm/5400rpmを絞り出す、今どき珍しい高回転型。圧縮比は11.5で、一般的なポート噴射式としてはかなり高めだ。

クラッチは軽くて、ミートも簡単。走り出すとマフラーからの音が絶妙な塩梅でフロアをビリビリと振動させ、高回転域では「クワァァァン」と車内に響き渡るなど、そのサウンドが何だか妙に懐かしい。不快な音が濾過されているのはメーカー純正チューンらしいが、4気筒でこんなにスポーティというか、アコースティックな音がする新型車は久々という感じだ。

車重は1240kgで、パワーウエイトレシオは6.14kg/ps。0-100km/h加速はメーカー発表値で6.9秒、0-1000m加速は27.3秒で、体感的にも実は、モノ凄く速いというわけではない。4000回転以下だと、むしろ大人しさや従順さの方が印象的なくらいだ。街中の試乗だけで刺激を期待すると肩すかしをくらうと思う。

 

ただ、6速ミッションのギアリングはオートバイみたいにクロスしているので、ある程度スピードが出てしまえば、いつでも例の「クワァァァン」の回転域を維持できる。なにしろ7100回転でピークパワーを発揮するエンジンを活かすべく、6速トップでも100km/h:約3000回転というローギアリング。なのでシフトアップインジケーターが「ピー」と警告するレッドゾーン手前まで回すと、「(3速)クワァァァン、ピー、(4速)クワァァァン、ピー」という感じ。とにかく、高回転までバンバン回しなさいよ、というエンジンだ。

アンダー知らずのハンドリング。一級品のブレーキ

まったく硬さがないのにバッチリ抑えの効いたサスペンション、そして専用開発のコンチスポーツコンタクト3のおかげで、ワインディングではまさに限界知らず。正直、限界が高すぎるくらいで、ほとんどグリップ走行になってしまったが、これがけっこう面白い。

感覚的に言えばアンダーステアは皆無で、ステアリングを切れば切っただけ曲がる。これ以上切ったらアンダー出るだろう、と思っても、ジェットコースターのようにグングン曲がる。おかげで横Gもかなり来るが、例のシートがしっかり体を支えてくれるので大丈夫だ。

ステアリングの操舵感は普通のルーテシアやメガーヌとは別物で、すごくダイレクト。フロントサスペンションはメガーヌRS用の改良版となるDASS(ダブル・アクスル・ストラット・システム)という独自構造で、ゴツいアクスルやロアアームはアルミ製になっている。

そして何より心強いのが、メチャクチャよく効くブレーキだ。フロントはブレンボ製4ピストンキャリパーと312mmベンチレーティッドディスクの組み合わせ。リアはTRW製シングルピストンキャリパーとブレンボ製300mmディスクだが、そんなウンチクなど知らなくても、ブレーキがいいのは誰でも乗れば分かる。あまりによく効くので、本気で走るとコーナーの手前で減速し過ぎてしまうほど。ポルシェ911のような、と言うと大げさだが、ブレーキ性能は一級品だと思う。

ダウンフォースが効いてる?抜群の高速安定性

高速道路では、そのシャシー性能とブレーキ性能を心ゆくまで堪能できる。とにかくこのRS、乗ってるのが全長4メートルのBセグカーということを忘れてしまうくらい、やたらスタビリティが高い。

ストロークの短いシフトレバーをコクコク動かしながら、3速、4速、5速とシフトアップしてゆくと、すんなり170km/hに到達。すごいのはその速度域でも、100km/h巡航と同じ安心感があること。足を硬めたスポーツモデルにありがちな、車体の小刻みな上下動がなく、視点もまったくブレない。ブレーキも安心して踏み込める。リアの接地感も「フラットボトムとディフューザーの効果だろう」と思うしかないほど、しっかりしている。

ただ、225km/hの最高速をうたう割に、国産2リッターターボ4WD車や3.5リッターV6車のような「気付いたらリミッター作動」的な速さはない。ズバッと加速するより、シャシー性能にモノを言わせてハイスピードを維持するのが得意なタイプだ。

今回は一般道と高速道路を合わせて110kmを試乗。全体にエンジンを回しまくってしまったため、平均燃費計は11.3L/100km=約8.9km/Lだった。10・15モード燃費は未発表だが、実燃費に近いと言われる欧州複合モード燃費は12.2km/Lだ。

ここがイイ

バランスのとれた「喜ばしいガソリン車」

ある意味フランス車らしく、エンジンよりシャシーが速いこと。ワインディングも楽しいけど、小さいクルマなのに高速道路でのグランドツーリング性能が光る。また乗り心地も素晴らしくよく、街乗りも苦にならない。シートがいいのもフランス車らしい。

最低地上高もあるし、絶対的にはコンパクトだし、右ハンドルでもあるし、大人が4人ちゃんと乗れるなど、クルマ好きの足としては申し分ない。ペダル配置にも右ハンドル化の弊害が出ていない。

衝突安全対策、それに乗っている間はまったく意識されないが、電子制御デバイスによるアクティブセーフティ性能。走りを考慮すれば、燃費だって悪くはない。299万円という価格も、無茶なものではない。

これらが相まって、総合的にたいへんバランスのとれた「喜ばしいガソリン車」だ。

ここがダメ

たぶん、エンジンを回してばかりいると燃費は10年前のクルマと変わらないかも。それに象徴される対環境性能。

総合評価

ハイテクスーパーカーに対するアンチテーゼ

スポーティさがウリのクルマなのに、乗ってとても癒された。スタイリングのまっとうさ、NAであること、パワー感がほどほどで操っている実感があること、マニュアルトランスミッションがいまどき新鮮かつ懐かしいこと。それらによって、スポーティ車としてはアンダーパワーで古臭い、ケレン味なしのローテクカーだと断定できる。それゆえ、とても安心して、「昔のように」心地よく、走りそのものを楽しむことができ、クルマって本当にいいなあと、ほっこりできたのだ。

昨今、多くのスポーツカーがハイテクの塊となっている。電子的に曲げ、手にあまるパワーを電子的に適性制御し、電子的にギア比を制御し、絶対的に止まる。ものすごい速さ、快適な乗り心地と操安の両立、マニュアルより速い変速操作、燃費や環境性能の良さ、などなど、素晴らしいハイテクスーパーカーがカタログを飾っている。それなりの対価を支払えば、そんなクルマをいくらでも買えるわけだが、それらに対するアンチテーゼが、このルーテシアRSなのでは、と思えてきた。

 

スーパーカーの走れる道など日本にはない。先日も東名でディアブロの後ろを走ることがあったが、ディアブロのドライバーはおそらく、物凄いストレスと戦っていただろう。少し加速してはトラックに追いつき、やっと抜けるとまた次のトラック。第二名神に入れば、滋賀県で少しだけ快適な道となるが、むろん制限速度が解除されるわけではない。ここでは事故ではなく、免許が危険だ。狭い日本、そんなに急いでどこへ行く、と昔は言われたが、急ぎたくても急げないのが今の日本だ。スーパーカーの居場所はない。

キレのいいレイドバックサウンド

そんなスーパーカーを尻目に、楽しいクルマならローテクでも作れるよ、というのがこのクルマだと思う。むろん、今のクルマとして技術を惜しんではいないが、最先端を行くようなハイテク感はどこにもない。乗る方としても、クルマを楽しみたいというのであれば、これくらいがちょうどいい。このクルマなら通勤も楽しみとなるし、日曜に軽くとばせばストレスも解消出来そう。そんなクルマって、日本車ではもうほとんど見かけない。まもなく登場するハイブリッドスポーツカーのCR-Zなどは、まさに対極にあるクルマだが、果たしてこのクルマのような古典的な楽しさに対抗しうる、新たな楽しさを持っているだろうか。

音楽用語で「レイドバック」なんて言葉がある。「のんびり、リラックスした」音楽をさすが、けして「もたついた」音楽ではない。キレのいいレイドバックサウンドなんて言葉もあるくらいで、テクノサウンドではなく心地よいアナログな雰囲気のサウンドだ(とはいえ今やどんな音楽もデジタルなのだが)。ハイテクスーパーカーがテクノなら、ルーテシア RSはキレのいいレイドバックサウンドか。ハイテク日本ではやはり、こんなレイドバックしたクルマはもう二度と作れないのかもしれない。

試乗車スペック
ルノー ルーテシア ルノースポール
(2.0リッター直4・6MT・299万円)

●初年度登録:2009年10月●形式:ABA-RF4C ●全長4020mm×全幅1770mm×全高1485mm ●ホイールベース:2585mm ●最小回転半径:-m ●車重(車検証記載値):1240kg( -+- ) ●乗車定員:4名 ●エンジン型式:F4 ● 1998cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:82.7×93.0mm ●圧縮比:11.5 ● 202ps(148kW)/7100rpm、21.9kgm (215Nm)/5400rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/55L ●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 ダブルアクスルストラットシステム/後 トーションビーム ●タイヤ:215/45R17( Continental ContiSportContact 3 ) ●試乗車価格:-円 ( 含むオプション:- -円 )●試乗距離:110km ●試乗日:2010年2月 ●車両協力:ルノー岡崎、ルノー豊川(株式会社ガレージ新和)

 
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