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新車試乗記 第763回 マツダ ロードスター S スペシャルパッケージ Mazda Roadster S Special Package

(1.5L 直4・6MT・270万円)

初代デビューから四半世紀。
新型NDは爽快幸福マシンに
進化していた! 

2015年07月03日

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キャラクター&開発コンセプト

先代比で100kg以上の軽量化


新型マツダ ロードスター
(photo:Mazda)

マツダ「ロードスター」(海外名MX-5、米国名MX-5 ミアータ)は、1989年にデビューした小型軽量の2シーター後輪駆動(FR)オープンスポーツ。当時、世界的に絶滅しかかっていた同ジャンルを蘇らせ、多くのフォロアーを産んだエポックメイキングなモデルだ。初代(NA型)、2代目(NB型)、3代目(NC型)を合わせた累計販売台数は、94万台(2014年末時点)に達している。

そして4代目(ND型)となる新型ロードスターが、2015年3月20日に日本で予約受付開始となり、5月21日に発売された。

マツダはこれまで新世代商品として「SKYACTIV(スカイアクティブ)」テクノロジーやデザインテーマ「魂動(こどう)」を採用したCX-5、アテンザ、アクセラ、デミオ、CX-3を市場に投入してきたが、新型ロードスターはその第6弾にあたる。

 

(photo:Mazda)

新型は従来モデル同様に、人とクルマが一体となる「人馬一体」を追求しながら、エンジンやプラットフォームを完全に一新。エンジンはアクセラなどで使われる直噴1.5Lガソリンエンジン「SKYACTIV-G 1.5」をベースに新開発し、フロントミッドシップに縦置で搭載。ボディについてはアルミ、高張力鋼板、超高張力鋼板の使用比率を先代の58%から71%に高めることなどで、先代モデル比で100kg以上軽量化している。商品コンセプトは「人生を楽しもう - “Joy of the Moment, Joy of life”」。

その他、手動式ながら乗車したまま簡単に開閉できる新開発のソフトトップ(幌)、完成度の高まったインフォテイメントシステム「マツダコネクト」、新開発の6MT(6ATは改良型)なども注目ポイント。

月販目標500台。国内で販売増なるか


初代(NA型)ユーノス ロードスター(1989年)
(photo:Mazda)

国内におけるロードスターの年間販売実績は、1990年の2万5226台が過去最高。以後はフルモデルチェンジ時に巻き返しながらも減少が止まらず、2012年以降は年間1000台を割っている。

一方、今回の新型で掲げられた月販目標は500台(年間に直すと6000台)。そして発売から一ヶ月後の6月21日時点では、累計受注台数がすでに5042台となり、目標通りの年間6000台を上回るのは確実になった。その場合、年間販売台数は、NB型デビュー時の1998年(1万0174台)以降で最高になる。

なお、世界販売は2014年(1~11月)が1万1552台で、そのうち欧州は5658台(49%)、北米は4871台(42%)。日本はわずか5%の568台だった。新型ロードスターによって、市場別の割合がどう変わっていくかも見どころ。

 

写真は2016年からスタートするワンメイクレース「グローバルMX-5カップ」車両。世界統一仕様の“カップカー”で、2Lエンジンを搭載。2015年1月の東京オートサロンにて
【過去の新車試乗記】 【外部リンク】
 

価格帯&グレード展開

ひとまず1.5L、ソフトトップのみで、249万4800円からスタート


ベースグレード「S」の内装。マツダコネクト(ディスプレイやコントローラー)がなく、ダッシュにAM/FMラジオが備わる。オプションでCDプレーヤーも装備可
(photo:Mazda)

北米向けなどは排気量が2Lになるが、今回発売された国内向けはひとまず1.5Lのみ。ミッションはMT(新開発)と6AT(アイシンAW製トルコンタイプの改良型)が用意された。いずれ電動リトラクタブルハードトップの「RHT」も登場すると思われるが、今回はひとまず手動式ソフトトップのみになる。

グレードは以下の3種類。

ベースグレードの「S」は、249万4800円(6MTのみ)。マツダコネクトなどの装備や、トルクセンシング式スーパーLSD、リアスタビライザーなどは持たないが、代わりに990kgという車重とコーナリング時にヒラヒラと姿勢を変化させる軽快なハンドリングを実現したモデル。

中間グレードの「S スペシャルパッケージ」は、270万円(6MT)/280万8000円(6AT)。マツダコネクト、フルオートエアコン、サイドエアバッグ、トルクセンシング式スーパーLSD、アドバンストキーを標準装備するほか、6MT車はトンネルブレースバーやリアスタビライザーを備える。

 

6ATは先代のアイシンAW製6ATの改良型を採用。ブリッパー機能が追加された
(photo:Mazda)

最上級グレード「S レザーパッケージ」は、303万4800円(6MT)/314万2800円(6AT)。S スペシャルパッケージの内容に加えて、レザーシート、先進安全装備「i-ACTIVSENSE」(ブラインドスポットモニタリング、ハイビーム・コントロールシステム、車線逸脱警報システム、アダプティブ・フロントライティング・システム、リア・クロス・トラフィック・アラート)、スピーカーをヘッドレストに埋め込む「Bose サウンドシステム+9スピーカー」を標準装備する。

アイドリングストップ機能のi-stop(i-ELOOPとセット)は、6AT車に標準装備で、6MT車(ベースグレードを除く)にもオプション(8万6400円)で装備できる。「CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(フルセグ)」はS スペシャルパッケージにオプション(3万2400円)で、同レザーパッケージには標準装備される。

販売主力はS スペシャルパッケージのMT


ベースグレードを除き、4エアバッグが標準装備になった
(photo:Mazda)

マツダによると発売後1ヶ月までの受注構成比は、「S」が9%、「S スペシャルパッケージ」が52%、「S レザーパッケージ」が39%で、MTが全体の74%を占める。全7色あるボディカラーで一番人気はソウルレッドプレミアムメタリック(41%)で、2番目はCX-3でも選べるセラミックメタリック(21%)。顧客層は「40代を中心に、20代から60代以上まで」とのこと。

ちなみに初代ロードスターの新車価格はベース車で170万円だったが、パワステ、パワーウインドウ、オーディオ、アルミホイール等はオプションで、エアコン(マニュアル式)は販売店で装着するディーラーオプションだった。よって実際の販売車両はそれらを“フル装備”したものが多く、今風に8%消費税込みにすると230万~240万円はするクルマだった。この25年間で装備は著しく向上したが、価格は大きくは変わっていない。

 

パッケージング&スタイル

アスリート体型に変身


「アクティブボンネット」の採用で実現された低いボンネットが新型の特徴の一つ

歴代ロードスターの中でNAとNCは癒し系というか可愛い系というか、幼児体型とも言えるスタイリングだったが、新型NDは低いところは低く、張り出すところは張り出し、削ぎ落とすところは削ぎ落としたアスリート体型に変身。ヘッドライト形状も鋭くなり、精悍な印象になった。

おかげで、ぱっと見は先代より大きく立派に見えるが、実のところ全長は先代(後期型)の4010mmから105mmもカットされ、何と初代NAの3970mmを通り越し、3915mmにまで縮まった。昨今、衝突安全対策や歩行者安全対策などでパッケージングが難しくなっているFR車において、全長を短くしたというのがすごい。

そしてロングノーズ・ショートデッキに変身

そのパッケージングについても、ロードスターの“伝統”とは決別したところがある。それはNA、NB、NCに共通していたロングノーズ・ロングデッキとも言えるスタイルから、FRスポーツで典型的なロングノーズ・ショートデッキになったこと。つまりボンネットは長く、キャビンが少し後方に移動し、トランクが短くなった。特にNAは1960年代のロータス エラン風だったが、新型はZ4などの現代FRスポーツに共通するスタイルになった。

 

ホイールベースは2310mm。先代より20mm短くなった

これによりエンジンは15mm後方に移動し、従来モデル以上にフロントミッドシップ化された。また、インテリアの項でも触れるように、前輪とドライバー着座位置が離れたことで、先代の少なくとも右ハンドル車で難のあったペダルレイアウトが完璧に改善されている。

 

うねるようなラインが印象的なリア。初代NAがエラン風なら、新型はエリーゼ風

ソフトトップ前端にはアルミ製ベースが追加され、閉めた時に丸みのある形状になった
 

ボンネットの低さと歩行者保護性能を両立するため火薬式の「アクティブ・ボンネット」を採用
(photo:Mazda)

歴代ロードスターでおなじみのアルミ製フレーム「PPF(パワープラントフレーム)」も新設計された
(photo:Mazda)
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
ホンダ S660 (2015~) 3395 1475 1180 2285 4.8
ロータス エリーゼ シリーズ2(2001~) 3800 1720 1130 2300
4代目(ND型)マツダ ロードスター (2015~) 3915 1735 1235 2310 4.7
初代(NA型)ユーノス ロードスター (1989~1998) 3955~3970 1675 1235 2265 4.6
2代目(NB型)マツダ ロードスター(1998~2005) 3955 1680 1235 2265 4.6
3代目(NC型)マツダ ロードスター(2005~2015) 3995~4020 1720 1245~1255 2330 4.6
ホンダ S2000(1999~2009) 4135 1750 1285 2400 5.4
トヨタ 86(2012~)スバル BRZ(2012~) 4240 1775 1300 2570 5.4
 

インテリア&ラゲッジスペース

内装は新世代マツダ風に一新


試乗車はマツダコネクトを装備したS スペシャルパッケージ

内装のデザインや雰囲気は、思いのほか歴代ロードスターとは異なり、むしろマツダの新世代モデルとの共通性を感じさせるものになった。メーターもロードスター伝統の5眼タイプから、新世代マツダらしい3眼タイプに変更。そしてマツダコネクトのディスプレイとコントローラーも採用されている。

質感は、最近のマツダ車と足並みを揃えて、見違えるように高くなった。ダッシュボードは硬質樹脂だが、指で押せばやんわり凹みそうに見えるほど質感がある。ドアノブ、スイッチ類の見た目、触感、操作感も上々。「マツダコネクト」の操作性は、CX-3のものと同様に完成度が高く、ストレスなく扱える。

366mm径の細身ステアリングに胸キュン


ステアリングチルト(上下調整)と座面角度調整はできるが、テレスコやシートリフターはない

運転操作に関する部分では、最新スポーツカーにしては径が366mmと大きめで、リムが細身のステアリングがいい。握った瞬間、初代NAに純正採用されていたMOMOやナルディのレザーステアリングを思い出して胸がキュンとなる。そして従来の吊り下げ式からオルガン式になったアクセルペダルは、試乗インプレッションでも触れるが、感動的にヒール&トゥがしやすい。

なお、運転席フロアカーペットの形状を見ると分かるように、ドライバーの左足ふくらはぎの下あたりのフロアは、トランスミッションの張り出しで大きく盛り上がっている。ただ、それは足もとを見て初めて気付くことで、運転する限りはまったく気にならない。

 

オルガン式アクセルペダルを新採用。ミッション側が張り出しているが、ほとんど全く気にならない

ヒップポイント(フロアからの高さ)は先代より20mm低くなったようだが、ダッシュやウエストラインも低くなったせいか、相対的に視点とヒップポイントは何となく高く感じられる。これは歴代ロードスターの特徴でもあるが。

シートは金属製のS字バネを廃止し、ネット構造とウレタンパッドで体を支える「S-fit構造」を新採用したもの。ホールド性や座り心地に不満はなかったが、カチッとした剛性感や低めのヒップポイントが好きな人は、フルバケットシートに変えたくなるだろう。ただ、座面の角度をダイアルで調整できるのは良く、乗降性もスポーツカーでは最良の部類に入る。

 

助手席のグラブボックスは廃止。代わりにセンターコンソール後方やシート裏側に小物入れを用意している

コンソール後方には2個分の脱着式ドリンクホルダーも装着可能
 

史上最も簡単・最速の手動ソフトトップ


頭上のレバーをガコッと反転させて、幌をバサッと後ろに跳ね上げれば空が見える

掛け値なしに素晴らしいのは、手動でありながら乗車したまま簡単に開閉できる新開発のソフトトップ(幌)。開ける時は、フロントウインドウ上部のレバーでロックを解除し(自動的にサイドウインドウが少し下がる)、幌をガバっと後ろに跳ね上げ、最後はちょっと手を伸ばして、カチッと音がするまで幌を収納スペースに押し込むだけ。慣れれば10秒もかからない。

新型では特に閉じるのが簡単になった。ヘッドレスト横のレバーを引くと、幌がスプリングの力でポンっと少し浮き上がるようになったからだ。おかげで幌を手前に引き起こす操作が格段に軽くなった。閉じる時は、雨の降り始めなど急を要することが多いので、この工夫はありがたい。

先代の途中から採用された電動のRHT(リトラクタブルハードトップ)に魅力を感じる人も、新型の手動ソフトトップの簡単さを知ると「これでもいいか」と思えるはず。トップの前端部にアルミ製のプレートが入ったことで、クローズド時のルーフ形状に丸みがついたのもいい。クローズド時の後方視界も、ソフトトップ車としては悪くない。

 

幌はキャンバス地で質感が高い。リアウインドウは言うまでもなく熱戦入りガラス製

トランク容量は先代の150Lから130Lに縮小されたが、飛行機内に持ち込み可能なキャリーバッグを2つ積めるという。オープナーはナンバープレートの上に隠れている
 
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