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トヨタ カローラ ルミオン 1.8S新車試乗記(第488回)

Toyota Corolla Rumion 1.8 S

(1.8L・CVT・195万円)

2代目bB、ならぬ
「第3のカローラ」は
やっぱりポストbBだった!

2007年11月22日

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キャラクター&開発コンセプト

初代bBの事実上の後継

2007年10月9日に発売された「カローラ ルミオン」は、オーリスがベースの2ボックスカー。米国Scionブランドでは、「xB」(日本の初代bBがオリジナル)の2代目として販売されており、スタイリング的にも初代bBの特徴を受け継いでいる。ゆえに事前のスクープ記事では「デカbB」などとも呼ばれていた。なお初代bBのベースは初代ヴィッツ、現行の2代目bB(05年12月発売)は、トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーンがベースとなっている。

・scion.com http://www.scion.com/

「カローラ」の3ナンバー車

これにより現行カローラシリーズは、セダンの「アクシオ」、ワゴンの「フィールダー」、2ボックスの「ルミオン」と3種類になった。もちろん「カローラ」の販売台数はこの3車種の合計になる。この中でアクシオとフィールダーは先代カローラの発展版である熟成型プラットフォーム(5ナンバー幅)、ルミオンはオーリス系の新世代プラットフォーム(3ナンバー幅)を使う。つまりルミオンは国内向けカローラ初の3ナンバー車だ。

車名「ルミオン(Rumion)」は、ルーミー(Roomy)とユニーク(Unique)からの造語。広告コピーは「ゴツンとルミオン」。生産は関東自動車工業の岩手工場(岩手県胆沢郡金ケ崎町)が行なう。販売目標台数は月間3500台で、取扱いはもちろんトヨタカローラ店だ。

価格帯&グレード展開

1.5は168万円~、1.8は195万円~

サイオンxBは2.4リッター(158ps)+5MT/4ATだが、ルミオンのパワートレインはトヨタ定番の1.5リッター(136ps ※4WDは128ps)/1.8リッター(110ps)+CVT(無段変速機)。価格は1.5リッター車(FFのみ)が168万円~。1.8リッター・FFが195万円(今回の試乗車)、1.8リッターの4WDが216万円。それぞれに外観をスポーティに仕立てた「エアロツアラー」(13万~15万円高)を設定する。

パッケージング&スタイル

まさに「デカbB」

初代bBをそのまま大きくしたような箱型スタイルのルミオン。ボディサイズ(先代・後期型比)は全長4210(+265)×全幅1760(+70)×全高1630(-15)mm。ホイールベースは2600(+100)mm。背の高さは初代bBとほぼ同じだが、幅やホイールベースは4%ほど、全長はおよそ6%も拡大されている。全長の伸びは主にフロントオーバーハングの増加によるもので、デザイン的には少し残念なところ。

横一列のセンターメーターは○

外観同様ソツのないインテリアだが、横一列に並んだセンターメーターは間違いなくカッコいい。左から順に、水温計、燃料計、回転計、速度計(デジタル式)、各種情報モニター(燃費計など)と並ぶもので、視認性は良好。特に走行中の速度が大きなデジタル数字で一目で分かるのがイイ。最上級グレードの「1.8S エアロツアラー」には7速パドルシフトも備わる(試乗車は普通の「1.8S」)。

気になったのは純正ナビのモニターが中心より助手席側、しかも手前の下に寄っていて、視にくいこと。やっぱり左ハンドル優先なのか?というのはあらぬ疑いで、ちゃんと左ハンドル車でもモニターは助手席側に寄せられている。

シートは一昔前のアメ車風?にけっこうフカフカしたもので、カチッとした運転姿勢はまったく取れない。ホールドしようにも、腰のあたりをズブズブと底なしに沈んでしまう。長距離ドライブが多く、腰痛の気がある人は要注意だ。

後席は確かに広いが・・・

天井に青色LEDの照明が輝くリアシートは、文句なしに広い。実際、街乗り程度なら何ら不満はなく、サイド&カーテンシールドエアバッグも全車標準だ。リアシートの座面をチップアップした下には全面樹脂製のアンダーボックス(靴や傘が入る)もある。そのため、足が手前に引けないなど、細かい欠点はあるが、空間的には悪くないように思える。

しかし今回は長時間リアシートで高速試乗した結果、後席居住性に関しては評価が辛口にならざるを得ない。詳しくは後述。

荷室サイドにサブウーハー

ガランと真四角な荷室空間。5名乗車時の容量は310L。2名乗車時は奥行き1645mm(前席スライド位置は中間)×幅1495mm×高さ865mmとボディサイズ相応の広さ。床下の発泡スチロール製収納スペース(9L)や、両サイドに埋め込んだアンプ内蔵のサブウーハー(計9スピーカー)がセールスポイントだ。

基本性能&ドライブフィール

街乗りでは、何の不便も不満もない

試乗したのは1.8リッター直4(136ps、17.8kgm)の「1.8S」。一見重そうに見えるルミオンだが、車重はオーリスの1.8と大差ない1310kg。リアサスもオーリス同様にトーションビーム式で、変速機はもちろんCVTとなる。それでも低めの着座位置や視点、直立したフロントウインドウのおかげで、運転した印象は「CVT化された、重厚感のあるbB」という感じ。ワイドボディで前輪の切れ角が増えたせいか、最小回転半径が5.2メートルと小さく(先代bBは5.5メートルもあった)、取り回しも悪くない。ひとことで言って、街乗りでは何の不便も不満もないクルマだ。

高速走行時のリアシート静粛性

今回は試乗期間の3日間のうち1日を使って、名古屋ー東京間(中央高速)の往復約800kmを、デイズスタッフ3名で一気試乗を行なった。100km/h巡航時のエンジン回転数は、1.5~2リッタークラスのトヨタCVT車に多い2000回転ちょうど。流れに乗って走る限り、ドライバーの不満は退屈なことぐらいだ。

問題は高速走行時にリアシートの静粛性が低いこと。ロードノイズや排気音が荷室付近から盛大に入ってくる。これは「少々うるさい」というレベルを越えて、かなり耳ざわりなもの。荷室だけ内装をストリップしてしまったような感じで、明らかに1.8リッタークラスの水準に達していない。この後席のノイジーさは前席の乗員にはほとんど理解されず、高速走行時に後席に座って初めて分かる。それくらい音源が荷室付近に集中している。ちょっとまいった、というのが実感だ。

150km/hまでなら安定している

もう一つ気になったのは、もっと特殊な話だが、150km/hを越えた途端にサスペンションの追従性が悪くなること。具体的にはダンピングが不足気味になり、フロントの接地感が薄まり、細かい上下動が増えて、結果としてアクセルをそれ以上踏めなくなる。ワイドトレッドによる横方向の安定感はあり、150km/hまでなら不満はないから、要するにそれ以上飛ばさなければいいのだが、少なくともアベンシスのような高速スタビリティは持ち合わせていない。

高速燃費は9km/L台。街乗りは7km/L弱

参考ながら車載燃費計の表示は、名古屋→富士・河口湖(主に中央高速)で走った区間(3名乗車)が9.4km/L。河口湖→東京都内(渋滞した一般道)→河口湖→名古屋(同じく主に中央高速)での区間(1名および3名乗車)が9.1km/Lだった。かなり飛ばしており、しかも山岳路の中央高速ではあったが、できればリッター10km台には乗って欲しかったところ。燃料タンク容量が50Lで、350kmも走ると燃料の残量警告灯が点灯してしまうのも心もとなかった。なお名古屋近郊での街乗りは6.8km/Lだった。10・15モード燃費(1.8S)は15.4km/Lとある。

ここがイイ

個性的なカッコがとてもいい。フェンダーくっきり、ワイドトレッドでどっしり感が抜群。走り、使い勝手が「ほどよく」良くて、たいへん乗りやすい。見やすくてカッコいいセンター4眼メーターやインパネ造形の独自さ、それでいて小物入れが多くて使いやすく、しかも広々。150km/hまでの安定感とパワー感も十分なレベルでしょう。

試乗車に装備されていた外部入力のあるオーディオや位置が定まったETC(ダッシュ右下)。無粋なフェンダーの補助ミラーをやめて、助手席側ミラー下に補助ミラーをつけたこと。
サイド&カーテンエアバッグが全車標準装備であること。

ここがダメ

高速走行時の荷室からのノイズ侵入の多さ。超高速域での安定感のなさ、細かいバイブレーション。そういう点では、日常利用には文句なし、といういかにもカローラ的な仕上がりになっていること。全般にいま一つ伸びない燃費。ややルーズなシートの掛け心地は人によって気になるかも。

紙パックの飲み物が置けるまで大きくなったセンターコンソールの収納スペースだが、サイドブレーキを足踏みペダル式にして、ハンドバッグくらいの手荷物が置ける容量まで広げて欲しかった。またヴィッツのように助手席に荷物を置いてもブレーキを掛けた時に滑り落ちない仕掛けや、コンビニ袋(あるいはエコバッグ)が引っかけられるフックが欲しい。ついでにプロボックスのようなテーブルまであると最高。

ルミオン(サイオンつながり?)というヤワな車名。プロボックスに対抗してアマボックスとか、いっそ「カローラ xB」でもよかったと思う。

総合評価

今回は確信的

発表会の時には、ちょっとノーズが長いのが気になった。このスタイリングでもうちょっと鼻が短いと、相当に格好良く決まるはず。しかしよく見てみると、これはこれで結構バランスがとれている。リアクォーターピラーにかなりの幅があって、デザイン的には重い。ノーズが短いとリアヘビーな感じがしてしまうのだ。窓が小さく、背が低いデザインゆえ前後のバランス上、これくらいの長さがちょうどいいということか。

そう思って見直してみると、屋根を落としたチョップトップ的なデザインはもろアメリカンな感じだし、トヨタ車としてはかなり個性的だ。最近のトヨタ車にある妙な曲線もない(5ナンバー枠に縛られなかった恩恵だろう)。ライバルとなるクルマもあまりない。その意味ではこのコンセプトや、よしである。インパネの造形も他にはない強烈なもの。「トヨタ車は個性がないとは言わせない」的な主張があって大変よろしい。それでいて使い勝手はいいから、実用車としても大変優秀。横幅さえ気にしなければ、旧bBが期せずして開拓したオジさんユーザーの代替え需要をすくい取れそうだ。セダンと違って使い勝手のいいこの手のクルマは、街乗り(もちろん時々アウトドアを含む)の日常ユースに最適だ。そこで7年前の初代bBの総合評価をそのまま引用してみよう。

「若者向けのクルマ、で片づけられないものをこのクルマは持っている。スペースユーティリティ、走り、燃費など、小型車としてはある種、理想のクルマではないか。乗っていてあるクルマを思い出した。それは昭和40年代にあった名車ホンダステップバン。あのクルマは軽だったが、その理想的パッケージングが後に高く評価されたクルマだ。bBはよく見ればそっくり。4枚ドアもシートアレンジも、センターメーターも、テーブルみたいに使えるダッシュボードも(駐車時にここに小さなパソコンを置くとたいへん使いやすかった)。当時ステップバンが欲しかった青年(今はオジサン)ならこのクルマにピンとくるはず。若者のためのクルマではあるが、そうした需要が一巡したら、渋めのオジサン仕様も出して欲しいところだ。いや、買って自分で作ればいいか。 」

これは現行の2代目bBには当てはまらないのだが、ルミオンにはピタリとはまる(ダッシュボードにパソコンは置きにくいが)。しかも今回はなじみのある「カローラ」なのだから文句ないだろう。今回のルミオンの場合はトヨタもそれを最初から見込んでいるだけに、それを追認するだけなのはちょっと悔しいが。

もっと遊び心を

いずれにしても試乗した1.8に関しては、街乗り専用という感が強い。とばして楽しむクルマではない。また本来はもう少し上級のパワートレインとシャシー(リアダブルウイッシュボーンサスとか)のクルマではないだろうか。サイオンには2.4リッターが乗るようだが、長いノーズにはV6だって乗りそうだ。オーリスベースということは、そのあたりまで考えられていると思われる。


東京モーターショー2007の関東自動車工業ブースで展示されたコンセプトカー「ルミオンxO」。電動キャンバストップはリアウインドウ部まで収納する

アメ車的味付け(この1.8でもかなりそう感じるが)と雰囲気ねらいであれば、余裕のパワート上級イメージのあるV6も現実的だ。いい悪いは別にして、個性という点では相当に面白いクルマができあがってくる。開発に深く関わったという関東自動車工業が東京モーターショーにキャンバストップでオレンジ/黒ツートーンカラーのカスタム車を出展していたが、あそこまでアメリカンにカスタムしたクルマには、ぜひV6を積みたいところ。初代bBには「オープンデッキ」というモデルがあったが、このキャンバストップもV6を積んで市販して欲しい。世界一のトヨタには、そんな遊び心のあるクルマ(たぶん売れないけど)を出す「横綱の余裕」をみせてもらいたいところだ。それこそが、新たなトヨタファンを獲得するための先道だと思う。

試乗車スペック
トヨタ カローラ ルミオン 1.8S
(1.8L・CVT・195万円)

●初年度登録:2007年10月●形式:DBA-ZRE152N-FHXSK ●全長4210mm×全幅1760mm×全高1630mm ●ホイールベース:2600mm ●最小回転半径:5.2m ●車重(車検証記載値):1310kg( 820+490 ) ●乗車定員:5名 ●エンジン型式:2ZR-FE ● 1797cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・横置 ● 136ps(100kW)/6000rpm、17.8kgm (175Nm)/4400rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/50L ●10・15モード燃費:15.4km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前ストラット/後トーションビーム ●タイヤ:205/55R16( Dunlop SP Sport 01 )※メーカーオプション。 標準は195/65R15 ●試乗車価格:244万5600円( 含むオプション:205/55R16タイヤ&16インチアルミホイール 8万6100円、VSC&TRC 6万3000円、スマートエントリー&スタートシステム+イモビライザー 4万0950円、HDDナビゲーションシステム+バックガイドモニター+NAVI AI-Shift制御 29万0850円、ETCユニット 1万4700円 )●試乗距離:約900km ●試乗日:2007年11月 ●車両協力:トヨタ自動車株式会社

トヨタ>カローラ ルミオンhttp://toyota.jp/corollarumion/index.html

 
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