キャラクター&開発コンセプト
新型コンパクトSUVとして「RVR」が復活
2010年2月17日に発売された新型「RVR」は、三菱の新型“コンパクトSUV”。RVRと言えば、1991年にデビューした初代を思い出す人が多いはず。7人乗り小型ミニバンの2代目シャリオをベースに、ショートボディの4/5人乗りとした異色RVだったが、当時の大RVブームにのって人気車に。1997年に2代目となったが、2002年に販売終了していた。
車名に関しては8年ぶりの復活となった新型だが、旧RVRとはコンセプトもメカ的な成り立ちも大きく異なる。初代と2代目はミニバンベースの提案型RVだったが、新型は中型SUVのアウトランダーがベースの小型SUV。ライバル車は日産デュアリス、ホンダ・クロスロードあたりだ。
新型RVRで売りとなるのが、その燃費性能。10・15モード燃費はFFで15.2km/L、4WDでも15.0km/Lとし、全車50%エコカー減税対象車としている。燃費対策としては、全車に1.8リッター直4エンジンと6速スポーツモード付CVTを搭載したほか、減速時のエネルギー回生でバッテリーに充電し、発電機の負担を減らして燃料消費を抑える「減速エネルギー回生システム(高効率発電制御)」を採用している。
国内での目標販売台数は月間1500台(発売後1年間)だ。
欧州では「ASX」。1.8直噴ディーゼルターボ+6MT+アイドルストップ付を用意
国内専用だった旧RVRに対して、新型は海外でも販売される。2010年3月のジュネーブショーでは、RVRの欧州仕様車「ASX」を発表。1.6リッターガソリン・5MT車もあるが、目玉は三菱“重工業”と共同開発したというアイドルストップ機能付き1.8リッター直噴DOHCディーゼルターボ「DiD MIVEC」(150ps、30.6kgm)+6MT仕様だ。
価格帯&グレード展開
178万5000円からスタート。主力グレードは200万円前後
3グレード構成で、廉価グレードの「E」、中間グレードでオプション設定の範囲が広い「M」、最上級グレードで「スーパーワイドHIDヘッドライト」、「キーレスオペレーションシステム」(いわゆるスマートキー)などを備えた「G」(今回の試乗車)となる。
また2WDに加えて、電子制御多板クラッチ式の4WDも、「E」では21万円高、「M」と「G」では26万2500円高で設定。排気量が2リッターとなる日産デュアリスに比べて、価格は30万円ほど安めだ。
ナビやオーディオは全車オプション。他にメーカーオプションは、「パノラマガラスルーフ(LEDイルミネーション付)+ルーフレール」(10万5000円)、横滑り防止装置のASC(FF車に8万4000円、4WD車は標準装備)などがある。
■【三菱 RVR】 1.8リッター直4(139ps、17.5kgm)・CVT
・「E」 2WD:178万5000円/4WD:199万5000円
・「M」 2WD:192万1500円/4WD:218万4000円
・「G」 2WD:218万7150円/4WD:244万9650円 ★今週の試乗車
パッケージング&スタイル
アウトランダーをベースに、オーバーハングをカット
プラットフォームは一回り大きいアウトランダー(全長4640mm)がベース。何と2670mmのホイールベースには手を付けず、前後オーバーハング(特にリア)だけをカットして、全長を345mmも短縮。結果、ボディサイズは全長4295mm×全幅1770mm×全高1615mmと、日産デュアリス(全長4315×全幅1780×全高1615mm、WB:2630mm)に極めて近くなった。室内側の事情で言えば、アウトランダーにあるサードシートがない分、短くなった感じだ。
そのデザインは、ギャランフォルティスやアウトランダーの新グレード「ローデスト」と同じジェットファイターグリルを採用したもの。ボディサイドには何となくメルセデス・ベンツBクラス風のキャラクターラインを刻む。三菱らしい「ガンダム」感はあるが、初代や2代目のイメージを引きずる世代としては、「RVR」という車名にうまくリンクしない感じはある。
「G」なら上級モデルに遜色ない質感と装備
インテリアは手堅くブラック基調で、ソフトパッドを多用するなど、質感はまずまず。試乗した最上級グレードの「G」なら、レザーステアリング、オートエアコン、クルーズコントロール、そして意外にも三菱では初というエンジン始動ボタン(ステアリングの左側にあり、少々操作しにくい)も標準装備になる。
またステアリングコラム固定型の、つまりステアリングと一緒に回らないパドルシフトも、「G」に標準装備、「M」でオプション設定される。アウトランダーなど上級モデルと同じマグネシウム合金製のようで、冷んやりした触感や快い剛性感がある。パドルシフトにも各社いろいろあるが、最も使いやすい形状・操作ロジックを持つタイプの一つだ。
全グレード共通のシートは一見地味だが、座り心地は良好。運転席の座面高はラチェット式レバーで調整可能なので、チルト&テレスコ(いずれの調整幅も40mm)が可能なステアリングと合わせて、ドライビングポジションも自由に選べる。またエアバッグは運転席と助手席の正面に加えて、運転席にはドライバーの下肢を保護するニーエアバッグも標準装備する。サイド&カーテンは8万4000円のオプション。
見やすい燃費情報。純正HDDナビ付なら「ETACS」も操作可
速度計と回転計の間にある液晶パネルには、各種情報のほか、平均燃費を大きめの数字でデジタルで表示する。面白いのは、その下に瞬間燃費を示すデジタル式のバーグラフがあり、瞬間燃費が平均燃費を上回ると、その部分のバーだけグリーンになること。こういう工夫があると、普段はあまり意味が感じられない瞬間燃費計も生きてくるというものだ。
また、メーカーオプションのHDDナビ「MMCS」装着車では、車両情報画面に過去3時間にわたる平均燃費と平均車速のグラフを表示できる。走行状況と燃費の関係が一目で分かる優れたグラフィックだが、HDDナビの価格が33万6000円~(グレードやBluetooth機能の追加等で異なる)と高いのが残念。もう少し安価だといいのだが。
なお、RVRは車両の電装システムをカスタマイズできる電装系制御システム「ETACS(Electronic Time and Alarm Control System)」を全車に標準装備するが、通常は販売店で端末につないで設定する必要がある。しかしこのMMCS装着車なら、ユーザー自身が自由に設定可能だ。ETACSの機能は主に、 ヘッドライト消灯機能やACC電源オートカット機能のカスタマイズ、電子制御ウインカーの3回点滅機能のオン/オフ、イモビライザーやセキュリティアラームの設定など。
Cセグ並みに広く、居心地のいい後席
乗降時にドア開口部の狭さ(特に足もと)、サイドシルの高さが少し気になる後席。座るとフロアトンネルに少し出っ張りがあるし、何となく前席やリアウインドウが近い感じもあるが、空間自体はアウトランダーベースだけに十分に広く、シートクッションも厚みがあって座り心地がいい。少なくともCセグメントカー(VWゴルフクラス)並みの居住性はある。これくらいの広さの方が前後で会話もしやすいので、4人家族のファミリカーにはちょうどいいかも。サイドウインドウは一番下まで下がる。
地味ながら面白い工夫は、リアシート背もたれのロック機構。背もたれの角度は、やや立った状態と、リラックスして座れる少し寝た角度の2段階から選べるが、素速く起こした時は少し寝た角度まで倒れる仕組みになっている。ロック時の音がガチャンと大きいのに最初はびっくりするが、仕組みを知れば納得できる。
スペアタイヤレス+床下収納ボックスが標準仕様
通常時のトランク容量は419リッター。SUVにしては小さめだが、Cセグメントのハッチバックよりは大きいから十分だろう。ちなみに7人乗り仕様があるアウトランダーの場合、5名乗車時の荷室容量は774リッターもある。
さらにアームレスト部のトランクスルーに加えて、前述の通り背もたれをシングルアクションで倒し、荷室を簡単に拡大出来る。この場合の奥行きは、カタログ値によると1510mmだ。
床下は標準仕様ではパンク修理キット+カーゴフロアボックス(床下収納)となるが、試乗車はオプションのスペアタイヤ装着仕様だった(1万500円高)。