キャラクター&開発コンセプト
初代RX/ハリアーから数えて3代目
2008年1月19日に発売された新型「レクサス RX」は、1997年発売の初代レクサスRX(日本名トヨタ・ハリアー)、2003年発売の2代目RX(同ハリアー)に続く3代目。前輪駆動ベースの都市型クロスオーバーSUVにして、高級感を追求したパイオニアであり、北米で大ヒットして多くの追随を生んだ。
今回、国内で初めてレクサスRXの名でデビューした新型は、まず3.5リッターV6の「RX350」が先行して発売され、遅れて4月から3.5リッターV6+モーターのハイブリッド「RX450h」が発売される。後者は2005年に発売されたレクサスRXハイブリッド/ハリアー・ハイブリッドの2代目だ。
国内レクサス初の「ハッチバック車」。販売目標は控えめ
「高級セダンの快適性」と「SUVの機能性」というコンセプトは従来通り。パワートレインやパッケージングの基本的な構成、プリクラッシュセーフティなどのハイテク安全装備、ハイブリッドの設定といったあたりも踏襲しており、まさに正常進化型のモデルチェンジと言える。
生産拠点は先代に続いて国内向けはトヨタ自動車九州(株)の宮田工場、北米向けはカナダ工場が供給する。販売はもちろん全国のレクサス店が行なうが、国内の販売目標はIS(1800台)の約3分の1にすぎない月間650台だ。これは先代ハリアーの目標である2500台からすれば約4分の1だが、実は従来型ハリアーもしばらくの間、継続販売される。なお、日本のレクサス店ではこのRX350が「初めてのハッチバック車」となる。
■トヨタ自動車>プレスリリース>レクサス、RX450h/RX350を発売(2009年1月19日) http://www.toyota.co.jp/jp/news/09/Jan/nt09_006.html
価格帯&グレード展開
「350」は460万~565万円。AWD代は25万円
純ガソリン車の「RX350」は4グレードだが、FFの設定がエアサス車以外の全グレードにあるので、価格的には7通りある。なおレクサスでは4WDのことを欧米風にAWDと表記するので、ここでも従っている。FFはAWDより25万円安い。
驚くのは先代ハリアーに比べて車両価格が大幅に上がったことだ。2.4リッター直4がなくなったこともあり、差額にして150万~200万円ほど、およそ1.5倍ほど高くなった。もちろん仕上げ、HDDナビや各種安全装備、エンジン排気量やパワーなどは向上している。
【RX350】
■ ベーシックグレード 460万円(FF) / 485万円(AWD)
■“version S” 470万円(FF) / 495万円(AWD)
■“version L” 515万円(FF) / 540万円(AWD)
■“version L・Air suspension” 565万円(AWD) ★今週の試乗車
「450h」は570万~650万円。ハイブリッド代は85万円
ハイブリッドの「RX450h」は350のAWDに対して85万円増し。こちらは4グレードで全車「E-Four」、すなわち前輪を3.5リッターV6「アトキンソンサイクル」エンジンとモーター、後輪をもう一つのモーターで駆動する、一種の電気AWDだ。こちらも先代ハリアーハイブリッドに比べて、やはり1.5倍ほど高くなった。
【RX450h】
■ ベーシックグレード 570万円(AWD)
■“version S” 610万円(AWD)
■“version L” 625万円(AWD)
■“version L・Air suspension” 650万円(AWD)
パッケージング&スタイル
よりセダン風に、上質に、カッコよく
スタイリングは先代のイメージを踏襲しながらも、メッキパーツを多用するなど高級感を大幅に向上。各パーツや塗装の質感も高く、スポーティでなかなかカッコいい。思えばこの路線は初代RX/ハリアーから変わっていない部分で、あらためて当時のトヨタには先見の明があったと思える。
走破アングルの余裕を感じさせるフロントとリアのデザインも継承。SUVらしさの演出でもあるが、実際にこの形状はドライバーにとって非常に安心感がある。クルマ止めから不整地まで、まずアゴを擦る心配がないからだ。
サイドブラインドモニターの標準装備により、例のフェンダーミラーを廃止。また特異なデザインだった先代のリアコンビランプを、レクサス共通のオーソドクスな切れ長タイプに変更している。リアワイパーも上支点でリアスポイラーに格納されており、通常は外から見えないものとなった。芸が細かい。
全幅はもう少しで1.9メートル
ボディサイズ(2代目ハリアー比)は全長4770mm(+35)×全幅1885mm(+40)×全高1690mm(+20)、ホイールベースは2740mm(+25)。最も成長したのは、1.9メートルまで、あともう少しとなった全幅で、これは見ても乗っても意識させられる部分だ。おかげで堂々としたルックスは得たが、狭い道、狭い駐車スペース、狭いガレージでは助手席側、特に死角となるその前方が心配になる。サイドブラインドモニターは必須で、確かに全車標準になっている。
左右非対称の「新感覚コックピット」へ
外観がキープコンセプトなら、インパネデザインは激変と言っていいだろう。先代の左右対称デザイン(当時のトヨタ車に好んで用いられた)を捨て去り、左右非対称の「新感覚コックピット」を採用。これまでのRXやレクサスにはなかった方向の意匠で、チャレンジングだ。
なお、試乗車はプリクラッシュセーフティシステムやレーダークルーズコントロール(セットで14万7000円)、それにフロントガラスに車速や次の交差点の車線案内などを表示するヘッドアップディスプレイ(8万4000円)を装備。しかし一番目立つのが次に触れる新操作系「リモートタッチ」だ。
クルマ用のトラックボール? 「リモートタッチ」の採用
デザインの大変更は、新開発された操作系に合わせたものとも言える。その主役となるのが巨大なマウスのようなコントローラー「リモートタッチ」だ。正確にはマウスではなく、ジョイスティック風に動くパッドを指先で動かして操作するもので、感覚的にはトラックボールに近い。親指で押す決定キーは左右に付いているから、運転席からでも助手席からでも使用できる。
操作性はなかなか良好で、これまであった類似のもの(BMWのiDriveなど)よりはるかにイイ。メニュー画面の見せ方、手の形をしたポインターなど、インターフェイスも分かりやすいし、ポインターがアイコンに引き込まれるような動きや独特のクリック感、タッチをモーターで作り出し指先に伝える「ハプティック技術」による操作感も楽しい。パソコンのマウスやトラックボールと違い、コントローラーの下にはかなり複雑なユニットがある。開発はデンソー、ハプティック技術は電子部品大手のアルプス電気が行ったようだ。リモートタッチに関しては、また後で触れる。
足もとフラット&広々。正常進化型のリアシート
従来から定評のあるリアシートまわりの作りは、もちろん新型にも受け継がれている。新型ではさらに広く、質感も高められているはずだが、印象としては良い意味で今まで通りだ。左右別々に前後スライドおよびリクライニングが可能。フラットで広々した足もと、良好な見晴らし、ウッドパネル(もちろん本杢)を配した高級感のあるアームレストなど、新世代セダンとしてRXを捉える人には魅力的に映る部分だろう。
一つ思ったのは、背もたれを畳んだ時のフラットさや乗降性を多少犠牲にしてでも、リアシート座面をもう少し高くし、クッションを厚くする手もあったのでは、という点。日産ムラーノが良い例で、ドイツ製SUVもその傾向にある。RXの場合は今まで通り、居住性、乗降性、積載性、それぞれの妥協点をとっている。
天井には試乗車にあった「パノラマルーフ」(10万5000円)の装着も可能。フランス車や日産車、ホンダ車などによく見られる固定式の大型ガラスルーフで、電動シェードが備わる。
エアバッグは計8個、“バージョンL”で10個を標準装備。内訳は前席用のフロントとサイドのほか、ニーエアバッグ(運転席と助手席)、カーテンシールドエアバッグ、後席用サイドエアバッグだ。
一家に一台のワゴンとして使用可
トランク容量は中・大型セダンと同等以上で、一家に一台のハッチバックもしくはステーションワゴンとして便利に使える。リアサスペンションを従来のストラットから、ごついトレーリングアームを持つ新開発のダブルウィッシュボーンに変更し、先代よりサスペンションの張り出しを大幅に抑えている。
左右のレバーを引けば、遠隔操作でリアシートの背もたれを60:40(手動なら40:20:40)分割で折り畳める。さすがにムラーノのような電動による復帰機能はないが、RXは背もたれに連動して座面が沈む込み、よりフラットな荷室フロアを作るタイプなので、互角というところ。
なおRXのエアサス仕様なら荷室のスイッチで車高を30mm下げることができる。重い物を載せる時はもちろん、ベンチ代わりに腰掛ける際にも便利だ。パワーバックドアは「バージョンL」に標準装備で、他グレードはオプションだ。
床下にはテンパータイプのスペアタイヤが収まり、その横にはジャッキ、そしてちょっとした収納スペースがある。
