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レクサス RX450h “Fスポーツ”AWD新車試乗記(第774回)

Lexus RX450h “F SPORT”

(3.5L V6 ハイブリッド・4WD・742万5000円)

レクサスRXが4代目に進化。
そのハイブリッドモデルは
何が「進化」したか。

2015年11月28日

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キャラクター&開発コンセプト

6年ぶりのモデルチェンジでスピンドルグリル顔に


新型レクサスRX

「レクサス RX」は、日本国内では1997年に「トヨタ ハリアー」として登場したミドルクラスの高級SUV。海外ではレクサス RXとして1998年に発売され、日本でも2009年の3代目からレクサス RXとして販売されている。

乗用車用のFFプラットフォームをベースに、クロスオーバーSUVというジャンルをいち早く確立したモデルであり、レクサスブランドにとっては北米市場での拡販に大きく貢献したモデルでもある。その販売台数は現在もレクサス全体の約3割を占めるという重要なモデルだ。

 

6年ぶりにフルモデルチェンジし、2015年10月22日に日本で発売された新型は4代目。先代に続いて新型RXの開発を担当した勝田隆之チーフエンジニアは、開発コンセプトを「RXでありながら、RXを超えていく」として、基本的なコンセプトはそのままに、デザイン、操縦性、安全装備、燃費性能などの点で進化を図っている。

 

NXやIS、クラウンなどに続いて採用された2.0L 直噴ターボ「8AR-FTS」

具体的な改良ポイントは、新世代レクサスと足並みを揃えた大型スピンドルグリルの採用、先進安全装備の採用、2.0Lダウンサイジングターボ「8AR-FTS」の新採用など。プラットフォームは先代の改良版だが、ボディサイズが一回り小さいNXが2014年に発売されたこともあり、全長やホイールベースは拡大されている。

なお、国内でも大型SUV「LX570」が9月に発売されたことで、レクサスのSUVラインナップは大きい方から、LX、RX、NXと一気に充実することになった。

月販目標は500台


レクサス LX570。3列シート・8人乗りで、全長5065mm×全幅1980mm×全高1910mm、WB2850mm。5.7L V8(377ps、534Nm)と8ATを搭載し、価格は1100万円

国内向けの生産は、NXと同じトヨタ自動車九州(株)の宮田工場で、月販目標台数は500台。内訳はハイブリッド車が400台、ターボ車は100台と見込んでいたが、発売後一ヶ月の受注台数は約9000台で、内訳はそれぞれ約6000台、約3000台と今のところガソリン車が健闘している。なお、並行してカナダのオンタリオ工場でも北米向けなどの生産が行われる。

ちなみにNXの国内月販目標は700台で、内訳は実績ベースでターボとハイブリッドが半々。LX570の国内月販目標は50台だ。

・参考記事
トヨタ、レクサス RXをフルモデルチェンジ (2015年10月22日)

・外部リンク
トヨタ自動車>プレスリリース>レクサス「RX」をフルモデルチェンジ(2015年10月22日)
トヨタ自動車>プレスリリース>RX 受注状況について(2015年11月24日)

 

価格帯&グレード展開

RX200tが495万円~、RX450hが602万5000円~


レクサス RX200t

北米向けには先代同様、自然吸気3.5L V6+8速ATの「RX350」があるが、日本向けラインナップは新設定の2.0L 直4直噴ターボ+6速ATの「RX200t」、そして3.5L V6ハイブリッドの「RX450h」という2モデル構成。

どちらにもFFとAWD(4WD)があるが、450hのAWDは正確に言えば後輪をモーターのみで駆動する「E-FOUR」というもの。価格は、200tが495万円~621万円、450hが602万5000円~742万5000円。価格差は約100万~120万円だ。

 

レクサス RX450h

なお、欧州も日本同様に200tと450hの2本立てで、北米は350と450hの2本立て。つまり日米欧で共に人気があるのはハイブリッドだ。北米ではV6も人気だが、ガソリンが高騰すると北米でもハイブリッドの人気が高まるという。

 

パッケージング&スタイル

大型スピンドルグリル、クーペ風のスタイル

プラットフォームの基本設計こそ、先代をキャリーオーバーしているが、エクステリアデザインは「色気のある力強さ」をキーワードに、一新されている。他のレクサスモデルと歩調を合わせて、巨大なスピンドルグリルを採用したほか、クーペ風のルーフラインやブラックアウトしたクォーターピラー&クォーターウインドウといった、SUVとしては大胆でスポーティな意匠を採用。また、ホイールベースは50mm伸ばされているが、これは室内長のためというより、20インチの大径タイヤを履く(全車標準)のが目的だったという。

大きさはNXとLXの中間

ボディサイズ(先代RX比)は、全長4890mm(+120)×全幅1895mm(+10)×全高1710mm(+20mm)、ホイールベース2790mm(+50)。先代に比べて全長が一気に伸びた。昨年登場したNXと比べると、全長は260mm長く、50mm幅広く、45mm高く、ホイールベースは130mm長いなど、かなり大きい。また、巨大なLX570と比べると、全長は175mm短く、全幅は85mm狭く、背は200mm低く、ホイールベースは60mm短い。そして車重は2720kg!もあるLXに比べて、600~800kg軽い。

 
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
レクサス NX(2014~) 4630 1845 1645 2660 5.3~5.7
先代レクサス RX(2009~2015) 4770 1885 1690 2740 5.7
スバル レガシィ アウトバック(2014~) 4815 1840 1605 2745 5.5
新型レクサス RX (2015~) 4890 1895 1710 2790 5.9
トヨタ ランドクルーザー (2007~) 4950 1980 1870~1880 2850 5.9
レクサス LX570(2015~) 5065 1980 1910 2850 5.9
 

インテリア&ラゲッジスペース

圧巻の12.3インチディスプレイ。リモートタッチは継続

インパネのデザインも外観に呼応して、スポーティなものに変更。とはいえ一番目を引くのは、ダッシュセンターに配置された12.3インチの大型ワイドディスプレイだろう。2画面で使っても十分なサイズというか、2画面で使わないと無駄に大きいというもの。位置も高めで見やすい。加えて、運転席正面のフロントガラスには、フルカラーの大型ヘッドアップディスプレイを表示することもできる。

リモートタッチは継続採用


Fスポーツではメーター中央に大型タコメーターを配置

あれっと思ったのは、この大型ディスプレイを操作するためのインターフェイスに、欧州車では割と一般的で、最近レクサスでも採用し始めたタッチパッドではなく、先代RXと同じリモートタッチの改良版を採用していること。開発者によると、NXやRCはまったくの新型車だが、RXの場合は先代からの乗り替えも多いため、ユーザーが使い慣れているはずのリモートタッチを残すことにしたという。

「吹き出す」ではなく、「吸い込む」


試乗車はFスポーツ専用ダークローズ本革スポーツシート(ベンチレーション機能付)

試乗車はFスポーツで、専用スポーツシートを装着していた。いかにもトヨタ紡織製らしく、座り心地やホールド感はなかなかいい。

ちなみにRXの運転席・助手席シートは「コンフォータブルエアシート(速暖速冷機能付)」と言われるもの。いわゆるベンチレーション機能を持つものだが、一般的な「(冷気を)吹き出す」タイプではなく、「吸い込む」タイプになっている。吹き出した方が涼しいような気もするが、開発者によるとこういった「吸込式送風システム」を使った方が、高湿な空気が早く排出され、エアコンの効率が上がり、結果的により速く涼しくなるという。

 

センターコンソールのオーナメントパネルには新規開発のレーザーカット本杢を採用

東京モーターショー2015のトヨタ紡織ブースにもRXの「コンフォータブルエアシート」が出展されていた。同社はBMWのi3やi8のシートも供給している
 

後席の相変わらずゆったり


リアドアには標準グレードを除いて手動式サンシェイドが備わる

初代RX/ハリアーの頃から、後席の広さ、広々感には定評のあったが、新型ではホイールベースの延長も手伝って、室内長は旗艦セダンのLS並みになったとのこと。確かに座ってしまえば、足もとゆったり、天井は高く、室内幅もたっぷりと、まったく不満がない。ただし乗降性については、フロアが高く、その割にルーフが低いせいで、意外に良くない。

後席の相変わらずゆったり


後席背もたれは流行りの3分割で、中央のみのトランクスルーが可能

荷室にはゴルフバッグを4個、横積みが可能。後席背もたれは、今やSUVでは定番の3分割タイプで、左右の背もたれに関しては電動で格納・展開できる。

床下にはハイブリッド車(450h)の場合、左側には駆動用ニッケル水素バッテリーやパンク修理キットなどが収まるが、右側には床下収納スペースが2ヶ所用意されている。

また、リアゲートのエンブレム部分に掌をかざすと、リアゲートが電動で開く新機能「タッチレスパワーバックドア」は、レクサス初採用。試してみると、誤作動を防ぐためだろう、掌のかざし方にちょっとしたコツが必要なようで、なかなか開かない時があった。欧州車のように足でセンサーを反応させるより、上品でしょ、とのことだが、手が空いてるなら手で開けたほうが早そうでもある。

 

後席パワーシート装着車なら、電動で後席を左右別々に格納・展開可能

床下には右側の前後に収納スペースがある
 

基本性能&ドライブフィール

新開発V6エンジンを採用。システム出力は313psに

新車発表会の時は、ターボの200tとハイブリッドの450hの両方に短時間ながら試乗できたが、今回は450h(Fスポーツ AWD)に試乗した。車両価格はオプション込みで約800万円(799万8480円)。

新しい450hも先代同様、自然吸気3.5LのV6エンジンと、FFもしくはE-Fourと呼ばれる電気式AWDの組み合わせ。ただしエンジンは新開発とのことで、排気量こそ全く同じ(3456cc)だが、エンジン形式は従来の「2GR-FXE」から「2GR-FXS」に変わっていた。

パワーアップも図られており、最高出力は先代の249psから262psにアップ。最大トルクも317Nm(32.3kgm)から335Nm(34.2kgm)にアップしている。モーター(AWDの場合は2基)の諸元は変わっていないが、システム出力は先代の299psから5%ほどアップして313psになった。なお、システム出力はFFでもAWDでも変わらない。

先代450hとの差は微妙。200tとは明らかに違う

その運転感覚は、大ざっぱに言えば、慣れ親しんだトヨタ製ハイブリッド車のそれ。発進時はもちろん、上手くすれば60km/hくらいまで電気モーターでしずしずと走る。そしてアクセルを踏み込めば、V6エンジンに火が入り、滑らかなV6サウンドと共に加速するところは、先代450hと大差ない。エンジンが新開発だと知れば、そう言えばエンジンの吹け上がりやサウンドが若干スポーティになったかなぁ、などと思ったりもする、正直なところ言われなければ気づかないレベル。

ちなみに450hの車重は、FFでも2030kg以上、試乗したAWDでは2100kg以上あるヘビー級だが、トルクがあるせいだろう、感覚的には「1.8トンくらいかな」という加速感がある。パワーウエイトレシオは6.5~6.8kg/psと、ちょっとしたスポーツモデル並みなので、踏めばかなり速い。

ちなみに2.0Lターボエンジンの200tの方は、238psと350Nmを発揮。車重は450hより150kgほど軽いので、こちらのパワーウエイトレシオも8.0~8.4kg/psと優秀だが、感覚的にはいかにも「ガソリン燃やして、エンジン回して走ってます」という感じが強く、これはこれで楽しい。トランスミッションは6速ATだが、各ギアのつながりはよく、ターボラグもない。人によっては450hより、200tの方に親近感を覚えるだろう。

ボディの前後一体感は希薄

プラットフォームは前述した通り、先代RXの改良&ホイールベース延長版だが、エンジンマウントの配置変更、フロントサスペンションの構造変更、レーザースクリューウェルディングや構造用接着剤の採用などで、各部の剛性をアップ。試乗したF-Sportに関しては、ロールを抑える「電動アクティブスタビライザー」が採用されている。

その足回りは、確かに若干引き締められたと思しきスポーティなもの。街中ではそれほど意識されないが、コーナーでは電動アクティブスタビライザーの威力だろう、高めの車高やしなやかな乗り心地の割に、ロール感が少なく、大げさに言えば水平を保ったまま曲がっていくように感じられる。車重が2140kg(試乗車)もあるとは思えない。もちろん、20インチタイヤ(235/55R20)のグリップ性能や横剛性も効いているはず。

とはいえ、本当にスポーティかどうかと言えば、例えば前輪と後輪の駆動力のズレ感、一体感の薄さのようなものは気になるところ。基本的にはFFベースのプラットフォームに、約300psのエンジン、E-Fourという駆動方式、2トンを越える重量ということで、ボディ剛性アップを含めた改良や電子制御でなんとか仕上げたという印象。このあたりも、純エンジン車の200t(AWDにはプロペラシャフトもある)に乗った時の方が「より自然なスポーティさ」を感じるかもしれない。

約1000rpmで100km/h巡航。「ITS Connect」も採用

高速巡航では、ミリ波レーダーと単眼カメラを使った全車速追従機能付レーダークルーズコントロールのほか、操舵アシストを行うレーンキーピングアシスト(LKA)などの助けを借りて、よりストレスなく安全に走行できる。

60km/hを超えるとエンジンは基本的に止まらないようだが、巡航する限り、Fスポーツに装備される大型タコメーターの針は1000rpm程度を指しており、ほとんどエンジンの存在感を感じさせない。

なお、試乗中に一度だけ、新しく採用された「ITS Connect(コネクト)」による情報を受けることがあった。ITSコネクトとは、新しく運用が始まったITS(高度道路交通システム)専用周波数(760Mhz)を使って、各地の交差点に埋め込まれたセンサーと路車間通信したり、ITSコネクト装着車同士で車車間通信を行ったりするもの。右折時に対向車の接近を検知して注意喚起を行ったり、レーダークルーズコントロール時の制御をよりスムーズにしたり、交差点のリアルタイム情報(信号の待ち時間など)を表示する機能がある。RXには、先にマイナーチェンジしたクラウンに続いての採用になる。まだまだ設置ポイントや搭載車は少ないが、今後は徐々に普及していくと思われる。これについては後述。

なお、RXには、後退中に後方から接近する車両を検知し、必要な時に自動ブレーキを作動させる「リアクロストラフィックアラート&オートブレーキ(RCTAB)」も、レクサスで初採用されている。

試乗燃費は10.1~14.4km/L。JC08モード(450h)は18.2~18.8km/L

今回はトータルで約200kmを試乗。参考ながら試乗燃費は、いつものように一般道と高速道路を走った区間(約80km)が10.1km/L。一般道を大人しく走った区間(約30km×2回)が13.6km/L、14.4km/Lだった。

他のトヨタ製ハイブリッド車同様に、高速道路より一般道で燃費がいい傾向は相変わらず。18km/L台というJC08モード燃費には届きそうになかったが、V6エンジンを積み、2トンを越える車重で、優に10km/L以上走るのは驚異的と言うしかない。

なお、指定燃料は200tも含めてプレミアムガソリンで、タンク容量は450hが65L、200tが72L。

 

ここがイイ

一般道での燃費。電動パーキングブレーキ&ホールドの採用

本文でも触れたように、トヨタ製ハイブリッドの燃費は本当にいい。国内ではほとんど絶滅危惧種とも言える3.5LのV6エンジンを積んで、適当に走っても10km/L前後、上手に走れば12km/L以上の実燃費で出る。RX450hはハイオク指定で、車両価格も700万円台だから、経済性云々はあまり関係ないかもしれないが、このクラスで600km以上無給油で走ってしまうのはやはり魅力だろう。

パーキングブレーキが電動になり、信号待ちの間にブレーキペダルを踏んでいなくてもブレーキを保持してくれる「ブレーキホールド」も備わったことで、停止中にいちいちパーキングブレーキを掛けなくてもテレビ画面を映せるようになったこと。ささいなことだが、トヨタ車では画期的なこと。

デザインについては、完全な新型車のNXほどの切れはないが、かなり頑張ったと言えるのでは。日本で載るにはやや大柄であり、NXを選ぶユーザーが少なくないだろうが、少なくとも米国では売れそうだ。12.3インチという巨大な横長ディスプレイの採用や、リモートタッチの継続採用(たぶん社内ではそうとう議論があったはず)など、内装にも使い勝手重視のこだわりが見える。

ここがダメ

リモートタッチの位置

リモートタッチが幸いにも残され、サイドのボタンが復活しているのは嬉しい限りだが、コントローラーの位置が手前過ぎて、今一つ使いにくかったのは、とても残念。先日マイナーチェンジしたGSのリモートタッチは、自然な位置にあって使いやすかったのだが。素晴らしいと絶賛できるものじゃないと、次期型では本当にリモートタッチが廃止されてしまいそうで、このインターフェイスを高く評価してきたデイズとしては無念だ。

450hの場合、本文でも触れた通り、ワインディング等で少し負荷をかけた時のボディの一体感、前後駆動力の一体感というものが今ひとつ。それは小型軽量のNXではあまり気にならなかったことだ。ただし本文でも触れたように、より軽量で構造的にメカニカルなRX200tなら、また印象が違ったと思う。

総合評価

「ITS」という言葉がついた商品がついに……

そういえば今年はレクサスが日本で売られるようになって、ちょうど10年になる。もう10年なのか、まだ10年なのか。2005年に、あの巨大なレクサス店ができた頃、トヨタ万博とも呼ばれた愛知万博が開催され、その前年にはITS世界会議も名古屋で開かれ、デイズのある名古屋界隈はプチバブルなムードだったことを思い出す。リーマン・ショックも3.11も、ましてIS(レクサスのではない)もまだ体験していない世界は、いつか燃料電池バスが自動隊列走行し、ぶつからないクルマが走るITSの夢の中にいた。

それから10年経った今年の東京モーターショーでは、自動運転が大きな話題になった。10年前と比べて、運転支援技術や自動運転技術は大きく発展し、市販車でも前のクルマについていくだけなら、アクセル操作やブレーキ操作が自動で行われる、というところまで来ている。技術面ではステレオ、単眼を問わず、カメラによる画像解析能力が上がったことも、10年前との大きな違いだろう。そう言えば、MIRAIが売りだされたことで、10年前には夢だった「燃料電池車」も一応実用化している。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の未来にはならなかったが、一応、確実に進化はしているようだ。

また、この10年間にテレビがデジタル化したことで、電波の周波数帯が空いた。それを使って通信の世界がまた変わりつつあり、ITSでは路車間、車車間といった通信による制御の実用化が始まっている。自動運転の時代に向けて、レーダーセンサーや画像認識だけでなく、通信が加わる世界がやってきつつある。

 

その尖兵と言えるのが、ITS協議会により定められたITS専用周波数760MHz帯の電波を使うトヨタの協調型安全運転支援システム「ITSコネクト」だ。路車間、車車間の通信を実用化したITS コネクト(http://toyota.jp/technology/safety/itsconnect/)は、現行クラウンのマイナーチェンジで初めて採用され、次にこのRXにも用意された。その次は圧倒的に販売台数の多い新型プリウスに搭載されるという。ITSコネクトが10年後に成功しているかどうかは、この新型プリウス如何だろう。

とはいえ、ITSコネクトにはインフラ整備が欠かせない。多くの道路やクルマに装置が付いていなければ、何の意味もないわけで、プリウスだけでなく、路上の整備が普及のカギを握る。トヨタの地元、愛知県ではすでに設置が始まっているが、それでもまだ名古屋市内に12ヶ所、豊田市内に6ヶ所(2015年10月現在)にすぎない。たまたまデイズの近くにも一つあって、今回の試乗ではそれに反応したわけだが、右折警告に関しては交差点の西向きだけという条件がつく。東京はまだ5ヶ所にすぎず、他の都道府県には一つもない。

 

とは言え、日刊工業新聞によると、クラウンのITSコネクト装着率は愛知県と東京都ではほぼ100%とのこと。となれば、あとは国や自治体が交差点に設置する専用センサーなどのインフラ整備を今後どんどん進めればいいわけだが、さてこのあと10年でどこまで進むだろうか。インフラ普及以前に、スマホをキーとしたIoT(Internet of Things)の世界が来てしまうようにも思われる。なにせ10年前には影も形もなかったアンドロイドやiPhoneが、今やここまで普及しているのだ。

しかし「ITS」という言葉がついた商品というかサービスが、今回初めて実用化したことは、ITSに長年関わってきたデイズとしては、なかなか感慨深いものがある。名古屋モーターショーでも例年「ITSワールド」という催しがあり、デイズも関わっているのだが、ITSという言葉は今年になっても、やはり全くと言っていいほど一般には知られていない。自動運転の盛り上がりで、ITSという言葉がもうちょっと普及してほしいものだ。

フロントグリルによる代替需要

肝心なクルマの話に戻ると、RXはある意味、可もなく不可もないクルマだと思う。絶対的にいいクルマとは言いづらいが、何一つ不満はない。いや、燃費はいいし、カッコもいいから、買えば当然幸せになれるだろう。特に日本車の弱みだったホイール径が20インチと巨大で、タイヤの存在感があることは何より○だ。この普遍的なかっこよさは、世界のブランド品レクサスだからこそ打ち出せたのだろう。日本ではいまだ賛否両論ある巨大なグリルも、最初からそれを前提にしてデザインした新型なら違和感がない。

そしてこのフロントグリルは、販売にも大きな影響を与えると思う。小さいグリル→古いモデル→威張れない→新車に変えなきゃ、とこのグリルは、レクサスオーナーの心情に訴えかけるはず。誰が見たって、それはひと目で分かるのだから。かつてアウディがシングルフレームグリルで成功した手法だ。どうもトヨタはVWとアウディの関係を参考にしているように思える。10年目を迎えたレクサスの国内販売は今ひとつだが、その状況を打ち破るのが、フロントグリルによる代替需要だと思う。とくに旧RXユーザーは、お金が許せば一刻も早く代替したいのではないか。それは主力市場の北米でも同じだろう。

 

J-CASTの記事(http://www.j-cast.com/2015/09/06244335.html)によると、10年前の2006年におけるレクサスの国内販売台数は3万1000台。リーマン・ショックなどによって2008年には2万6000台に落ち込み、2011年には4万2000台と盛り返して、2013年は4万7000台と順調に伸びてきたが、2014年は4万4000台と前年割れし、好調なメルセデス・ベンツの6万839台はもちろん、BMWの4万5645台にも抜かれてしまった。ドイツの両ブランドは共に低価格モデルを増やし、ラインナップを拡張しているせいもあるが、「おもてなし」だけではクルマは売れないということにも思える。

新規で買うなら、サイズ的にもデザイン的にもいい感じのNXが人気だが、代替となれば同じクラスのRXでないと、と思う人は多いはず。繰り返すが、先代と比べてカッコもいいし、ハイブリッドなら燃費も抜群だ。先進安全装備も進化・充実している。そして国産も輸入車も、まさにSUVブームだ。東京、名古屋、そしてまもなく始まる大阪モーターショーでも、各ブースで目につくのはSUVばかり。そんな時、一番いいタイミングで出た新型RXは、レクサスの牽引車となっていくだろう。日本のカタログにはSUVらしい牽引ヒッチメンバーのオプションは無いのだが。

 

試乗車スペック
レクサス RX450h “Fスポーツ”AWD
(3.5L V6 ハイブリッド・4WD・742万5000円)

●初年度登録:2015年10月 ●形式:DAA-GYL25W-AWXGB
●全長4890mm×全幅1895mm×全高1710mm
●ホイールベース:2790mm
●最低地上高:200mm ●最小回転半径:5.9m
●車重(車検証記載値):2140kg(1220+920)
●乗車定員:5名

●エンジン型式:2GR-FXS
●排気量・エンジン種類:3456cc・V型6気筒DOHC・4バルブ・横置
●ボア×ストローク:94.0×83.0mm ●圧縮比:13.0
●最高出力:193kW(262ps)/6000rpm
●最大トルク:335Nm (34.2kgm)/4600rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/65L

●モーター形式(フロント):6JM
●モーター種類:交流同期電動機
●最高出力:123kW(167ps)/-rpm
●最大トルク:335Nm(34.2kgm)/-rpm

●モーター形式(リア):2FM
●モーター種類:交流同期電動機
●最高出力:50kW(68ps)/-rpm
●最大トルク:139Nm(14.2kgm)/-rpm

●駆動用バッテリー種類:ニッケル水素電池
●トランスミッション:電気式無段変速機

●システム最大出力:230kW(313ps)/-rpm
●システム最大トルク:-Nm(-kgm)/-rpm
●JC08モード燃費:18.2km/L

●駆動方式:E-Four(電気式4輪駆動)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):ダブルウィッシュボーン+コイルスプリング
●タイヤ:235/55R20(Dunlop SP Sport Maxx 050)

●試乗車価格(概算):799万8480円 ※オプション:ITS Connect 2万7000円、アダプティブハイビームシステム(AHS) 4万8600円、おくだけ充電 2万3760円、インテリジェントクリアランスソナー(リヤクロストラフィックアラート+リヤクロストラフィックオートブレーキ+ブラインドスポットモニター)+パノラミックビューモニター 17万2800円、後席シートヒーター+後席パワーシート 7万5600円、マークレビンソンプレミアムサラウンドシステム 22万5720円
●ボディカラー:グラファイトブラックガラスフレーク

●試乗距離:約200km ●試乗日:2015年11月
●車両協力:トヨタ自動車株式会社

 
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