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新車試乗記 第762回 ホンダ S660 α Honda S660 α

(660cc 直3ターボ・6MT・218万円)

ミッドシップ・アミューズメント再び?
ホンダ “S”の末裔は
一体どんなクルマだった?

2015年06月26日

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キャラクター&開発コンセプト

ミッドシップのオープン軽スポーツ


ホンダ S660
(photo:Honda)

2015年3月30日に発表、4月2日に発売された「S660(エスロクロクマル)」は、軽自動車の新型2シーター・オープンスポーツ。660ccの直3ターボエンジンを、専用オープンボディのミッドシップ(乗員より後ろの車体中央)に搭載したもので、ホンダによれば「見て楽しい、乗って楽しい、あらゆる場面でいつでもワクワクする、心が昂ぶる本格スポーツカー」だ。

 

ホンダ ビート (1991年)
(photo:Honda)

ホンダにとっては「S2000」(1999~2009年)以来の本格オープンスポーツだが、むしろ同じ軽自動車のミッドシップ・オープンスポーツだった「ビート」(1991~1996年)の後継車と言うべきだろう。

ちなみに「S」で始まる車名は、ホンダ初の4輪乗用車として登場したFRオープンスポーツのS500/600/800シリーズ、そしてS2000に続くもの。

八千代工業が半手作りで生産


ホンダ EV-Ster(2011年 東京モーターショー)
(photo:Honda)

開発はホンダの社内公募で1位になった企画からスタート。その企画案を出した、1988年生まれでモデラー出身の椋本陵(むくもと りょう)氏が開発責任者(LPL)に抜擢され、平均年齢38歳のチームで行われた。

生産はビートと同じ八千代工業に委託。同社は現在、四日市製作所(三重県)でアクティやバモスを生産しており(いずれも軽のミッドシップ車)、S660も同工場で生産される。ただしS660の生産は、日産40台の専用組立ラインで、「人の手と機械を融合させた」少量生産技術によって行われる。

販売計画台数は月800台


ホンダ S660 Concept(2013年 東京モーターショー)

販売計画台数は、生産能力に応じて月800台。つまり年間約1万台だが、すでに2015年内の納車分は完売で、6月下旬現在は来年1~3月納車分(約2400台)をオーダー受付中。なお、ホンダによればS660は国内専用車で、海外への輸出は考えていないという。

ちなみにビートの販売計画台数は月間3000台。累計販売台数は5年間で約3万4000台だった。

【参考記事】 【外部リンク】
 

価格帯&グレード展開

198万円からスタート。上級グレード「α」は218万円


S660 β。ボディカラーは全6色で、写真はプレミアムミスティックナイト・パール(ブラック)
(photo:Honda)

ベースグレード「β」(6MT、CVT)は198万円。このβでも素の状態で、VSA(ABS+TCS+横滑り抑制)、サイドエアバッグを含む4エアバッグ、オーディオ(iPod対応USBプレーヤー/AM・FMチューナー)、スマートキー、フルオートエアコン、前15/後16インチアルミホイール、LEDヘッドライト(ロービーム)が標準装備になる。

 

S660 α
(photo:Honda)

上級グレード「α」(6MT、CVT)は218万円。こちらには本革×ラックススエードのスポーツレザーシート、本革巻ステアリング、インテリア各部へのメッキ加飾、ステンレス製スポーツペダル、クルーズコントロール、クリアサイドターンランプ等が標準装備され、アルミホイールがシルバー/ブラックの2トーン塗装になる。

 

S660 CONCEPT EDITION
(photo:Honda)

そしてすでに完売したが、S660発売記念の660台限定車「S660 CONCEPT EDITION」が238万円。これはボディカラーを白(プレミアムスターホワイト・パール)とし、ボルドーレッドのロールトップ(幌)、センターディスプレイ、シティブレーキアクティブシステム等を標準装備したもの。

ちなみに1991年当時、ビートの新車価格は138万8000円で、今風に消費税8%込にすれば約150万円。マニュアルエアコンは標準標準だったが、リモコンキーや集中ドアロックはなく、ステアリングはノンパワー(重ステ)で、運転席エアバッグ、専用オーディオ、13/14インチアルミホイール、ABS(最終モデルで追加設定)はオプションだった。

低速自動ブレーキやセンターディスプレイはオプション


ホンダアクセスの純正アクセサリー装着車。アクティブスポイラー(約70km/hでリアスポイラーが上昇)も販売店オプションで用意する

メーカーオプションとしては、30km/h以下で自動ブレーキを作動させる「シティブレーキアクティブシステム」(低速域衝突軽減ブレーキ+誤発進抑制機能)が3万7800円で、Gメーターやブースト計などを表示できる6.1インチの「センターディスプレイ」(インターナビ ポケット連携対応)が4万8600円で用意される。

販売店オプションは多彩で、各種エアロパーツ、アルミホイール、ドリンクホルダー、チタン製シフトノブ、ハーフボディカバー等が用意される。また、約70km/hでポップアップし、約35km/hで格納される電動の「アクティブスポイラー」(16万2000円)もディーラーで“後付け”できる。

 

MUGEN S660
(photo:M-TEC)

さらに「無限」からは各種エアロパーツ、スポーツサイレンサー、クイックシフター等が用意されるほか、今夏にはハードトップ(23万5440円)が発売される予定。

 

パッケージング&スタイル

ミッドシップ、タルガトップの2シーターオープン

S660のスタイリングは、いかにもミッドシップといったウエッジシェイプ。低くて短いノーズ、低い全高、キャビン後方のエンジンフード、シャープな造形のライト類やドアミラー、エンジンルームへのエアインテークを兼ねたロールオーバーバー、センターマフラーなど全てがパーフェクトに、カッコよくデザインされている。

 

ボディ形状としては、いわゆるタルガトップのオープンボディで、この点ではフェラーリやランボルギーニといったスーパースポーツのオープンモデルをスケールダウンしたような感じ。ただしライトウェイトスポーツという点では、同じようなタルガトップのロータス エリーゼに近い。

ビートより少しロング&ワイド。ただし低さは同等


ホイールベースはビートより5mm長い2285mm

1998年の軽規格改訂に伴い、S660の全長は旧規格のビートより100mm長い3395mm、全幅は80mm大きい1475mmになり、プロポーションにはずいぶん余裕が生まれた。一方で、全高は1180mmとビート(1175mm)並み。現行の衝突安全基準や保安基準(燈火類の高さなど)を満たしながら、近年の量産車としては群を抜く低全高を実現している。

 

ホンダ S660
(photo:Honda)

ホンダ ビート
(photo:Honda)
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
ホンダ ビート (1991~1996) 3295 1395 1175 2280 4.6
ホンダ S800 (1966~1970) 3335 1400 1200 2000
ホンダ S660 (2015~) 3395 1475 1180 2285 4.8
ロータス エリーゼ シリーズ2(2001~) 3800 1720 1130 2300
4代目(ND型)マツダ ロードスター (2015~) 3915 1735 1235 2310 4.7
ホンダ S2000(1999~2009) 4135 1750 1285 2400 5.4
 

インテリア&ラゲッジスペース

フル2シーターと言える空間

着座位置や視点はエリーゼほど低くないが、ビート並みには低く、つまり今どきの量産車としては抜群に低い。この点はフロントにエンジンのないミッドシップ車ゆえ。衝突時や横転時に乗員を守る極太Aピラーのせいで右斜め前は死角になるが、前方視界は悪くない。回転計を中心据えたメーターなど、専用部品が多数奢られたインパネは、機能的かつ質感高くデザインされている。

ステアリングホイールはホンダ市販車で最小径のφ350mm。ステアリングの調整機構はチルト(上下)のみで、テレスコ(前後)はなく、シートリフターもないが、平均的な体格(身長160~175cmくらい)なら不満のないポジションがとれる。ただし身長が180cmを超える場合は、頭がロールバーに当たりやすいようだ。また、MTの場合は、ソールの薄いドライビングシューズの方がヒール&トウはやりやすい。

 

シートは厚めのクッションで座り心地がよく、バックレストのサポート性も良好

室内空間はミニマムだが、助手席側の幅が運転席より狭かったビートと比べると、2名乗車時の快適性は明らかに上。ビートは大げさに言えば1+1的だったが、S660はフル2シーターと言える。

とはいえ、室内スペースに余裕はなく、ドリンクホルダーはセンターコンソール後方に一つあるだけ(手が届きにくい)。1DINサイズのスペースを確保できなかったので、CDプレーヤーはなく、オーディオはAM/FMラジオとUSB・iPod対応端子のみ。またエアコンのブロアユニットやエバポレーターも常識破りの専用品になっている。

なお、ヘッドレストの後方には、小さな電動昇降式リアガラスがある。これは風の巻き込みやエンジン音の聞こえ具合を調整するためのもの。走行中にここを開けると、風がエンジン側から室内に向かって吹きこみ、エンジン音もダイレクトに聞こえるようになる。詳しくは試乗インプレッションにて。

 

停止中、シフトレバーは5速、6速には入らないようで、右手前に引けば確実にリバースに入る

ペダルレイアウトは良好だが、ヒール&トウには、ソールの薄いスニーカーやドライビングシューズがベター
 

幌は脱着式の「ロールトップ」を採用


「ロールトップ」の脱着は慣れれば簡単だが、面倒でもあり、そこそこ重さもある
(photo:Honda)

正式発表まで秘密だったルーフ構造は、ロータス エリーゼのように折り畳んでトランク内に収納する幌「ロールトップ」になった。

オープンにする際の手順は、以下の通り。慣れれば1~2分といったところか。

1、ボンネットを開け、さらにロールトップ収納ボックスのカバーを開けておく。
2、ロールトップの左右にあるレバーを反転して、ロックを解除する。中央のフックも外す。
2、左右から、巻き寿司のようにトップを巻いて畳む。
3、ロールトップ(約8kg)を外し、落とさないように気をつけながら、収納ボックスに収納して、ストラップで止める。
4、収納ボックスのフタをしめて、ボンネットを閉める。

脱着は簡単と言えば簡単だが、ロールトップがけっこう重いので(骨はアルミ製だが)、手を滑らせて落とすのは避けたいところ。

 

オープン時にはボンネットの下に脱着式の「ロールトップ」を収納。クローズド時は小物入れになる

なお、乗ったままロールトップを外してオープンにすることは可能だが(実際にやってみた)、その場合はロールトップを助手席に置くことになり、もちろんお勧めはしない。

また、このロールトップ、構造的に走行中の雨漏りや気密性、遮音性に疑問が残る。その点についても次ページ以降で触れる。

 

積載スペースは事実上ゼロ


ボンネットはビートの逆で、後ろヒンジ。贅沢にも2本のガスストラットで開く

二人乗り時の積載スペースは、幌を収納するためのボンネット下の収納スペースのみ。ここに幌が入っていない時(クローズド時)には「折り畳み傘やスケートボード」が入るとのことだが、積載スペースは事実上ゼロと言っていいだろう。うーむ。

 

エンジンルームはエンジンのみ。マフラーの上に何もないのが少々もったいない感じ

室内にも、シート背後にはブリーフケースといったごく薄いものしか入らないし、小物入れも最小限。要するに手荷物は、実質的に助手席シートの上か、その足下に置くしかない。2名乗車時の積載性は、きっぱり割り切られている。

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