Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > サターン

サターン新車試乗記(第109回)

Saturn

 

2000年02月04日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

世界一の自動車メーカーGMの子会社として1985年に新しいブランドとして設立されたのがサターンだ。日本のコンパクトカーを打倒すべく開発され、1990年にアメリカ国内で発売を開始。以来、8年間で200万台の販売を記録し、顧客満足調査では常に上位に名を連ねているという。

その初代から続いているSシリーズが、「礼をつくすクルマ」のキャッチフレーズで日本市場に送り込まれたのは97年のこと。右ハンドル化され、日本人の体型を考慮してペダル位置も変えるなど、きめ細かい調整によって日本市場に対応しようと試みた、手の込んだアメ車だ。しかし、宣伝は派手に打つも、この3年ほどで3000台強と実際の販売面ではメーカーの思惑どおりにはすすんでいない。

ボディタイプはセダン(SL2)、クーペ(SC2)、ワゴン(SW2)の3種類で、特にクーペは昨年、観音開きドアを備えたユニークな3ドアとなっている。よって今回は変更されていない。ちなみに駆動方式はFF。日本ではまだSシリーズのみの販売だが、本国ではワンクラス上のLシリーズも登場しており、いずれ日本にも導入されるらしい。

価格帯&グレード展開

価格は国産ファミリーカーと同じで、リーズナブルなのが魅力的

価格はSL2セダンが167.5万円、SW2ワゴンが177.0万円、SC22ドアクーペが179.5万円、SC2 3ドアクーペが185.5万円となる。これらにフォグランプ、アルミホイール、クルーズコントロールなどがセットになった約20万円高のGパッケージのほか、これに9万上乗せで本革内装を加えたGLパッケージも全車に用意される。そして礼をつくす会社の姿勢として、ワンプライス制をとっている。ステレオなど装備のおまけがつくセールは過去にあったが、通常はワンプライスを貫く姿勢は、売れていないだけに痛々しくもある。

ライバルはクライスラー・ネオン(2.0l車のみで215万円)、トヨタのコロナ/カリーナや日産のブルーバードあたりとなるが、実際のところ、このクルマを他車と比較して買う人は少ないだろう。

パッケージング&スタイル

デザイン、新素材ポリマーパネルはそのままに、内外装を一新

2000年モデルはシャシー以外の主要部分を手直しするビッグマイナーチェンジで登場した。その新しいSシリーズは、セダンとワゴンがまず上陸してきた。

全長4520mm×全幅1695mm×全高1385mm、ホイールベース2600mmの5ナンバーボディのサイズで、長さと幅はコロナプレミオと同じだ。フロントとサイドの外板は全て一新されており、ヘッドランプレンズはクリアとなり、テールランプも一昔前の三菱車のようではあるが一体型となっており、全体にシャープでワイド感のあるデザインになったようだ。それでも従来型とは一見何も変わっていないように見えるのは確かであり、アメリカではよほどこのカタチが支持されているのだろう。

なお、サターン自慢のひとつである、傷が付きにくく復元力のある新素材ポリマーパネルはもちろん継承されている。ぶつけても平気というこのパネルは確かに便利。

日本のマーケットから出た声をフィードバックさせて、さらに煮詰めたインテリア

右ハンドル化にともないウインカーレバーも右側にある内装も、デザインの一新が図られている。インパネ、ドアパネル、シートなど、その内容は多岐にわたる。またオーディオやエアコンの操作系も見直されている。なかなかの気の入りようだが、デザイン的にはクオリティを含めて、まだまだ、同クラスの日本車には及んでいないというか、根本的に考え方が違うようで、正直、十年前のファミリーカーに乗っているような印象を受ける。

甘い独自の新車臭がある室内の居住空間、トランクの広さはこのクラスとしては標準的なもの。フカッと柔らかめのシート、肌ざわりのいい天井やドアの内張り、右にあるウインカーレバー(ただしやや遠いのは前代と変わらず)。ぺらっと薄いリアシートはトランクスルーが可能。広さはなかなかだが、ヘッドレストがない。そんなあたりが室内の印象だ。

シートに座ると足とハンドルの関係がしっくりこないポジション、スポーク幅が広すぎて握りにくい部分がある小さめのステアリング、右にあるパーキングブレーキレバーがシートベルト装着に邪魔といったところが気になる。カップホルダーもチビ缶ではうまくあわない。特にリアシート用のセンターにあるものは、デカいボトルしか固定できない。アメリカ的なところ? だ。

基本性能&ドライブフィール

実用車らしい、カジュアルな走り

エンジンは全車、直列4気筒の1.9リッターで、最高出力は126PS/5600rpm、最大トルク1は6.8kgm/4800rpmを発生する。このエンジンにも改良が図られており、最高出力が2馬力ほど向上している。改良は足元にも及んでおり、ABSは全面変更され、4チャンネルの電子制御となっている。ブレーキはフロントがVディスク、リアはドラム式となる。ギアボックスは4ATのほか、オートマ天国のアメ車としては珍しく5速MTも用意している。

今回はセダン(SL2)を試乗してみた。スペックは平凡でも車重はATで1120kgしかなく、パワーウエイトレシオは10kg/PSを切っている。”十年前”の国産車なら十分スポーティセダンの領域に入っている数値だ。かったるさが感じられる直前というあたりのパワー感だが、そのボディの軽さを活かした走りはなかなか活発であり、やや硬めの乗り心地と重めのパワステが、10年前の国産車とは明確に異なるところ。もちろん、ソフトでブカブカしたアメ車のイメージは全くない。

コーナーやレーンチェンジでのロールは小さく抑えられており、フラットで姿勢変化の少ない収まりの良さも評価できるところだ。ただ、普通に粘る、パワーに見合ったコーナリングであり、オーバースピードでムリをすればすぐ姿勢を崩すことは覚えておくべき。角の取れた、ショックを伝えにくく、かつ柔らかくない乗り心地は秀逸といってもいい。

高回転域でのエンジン音とオールシーズンタイヤによるロードノイズはもう少し改善する余地はありそう。ATはシフトショックがなく、なかなかいいできだ。直進性も良く150km/h巡航は可能だが120km/hあたり(3000回転)が快適。それ以上では風切り音も高まる。速くもなく、質感の高い走りにもほど遠いが、そこは価格を考えて納得するしかないだろう。細かいことを気にせず、そしてウンチクを語ることをせず、クルマを実用品として考えるのなら、選択する価値は充分にある。実燃費は100km走って7.8km/L。

ここがイイ

日本車キラーとかいいながら、やっぱりアメリカ的大雑把さがあること。つまり日本車を研究しつくした「やっぱりアメ車」だ。そこが個性でもあるから、結構認めてしまいたくなる。乗ってて、だんだん自分になじんでくるのが心地よくさえ感じられた。気負わなくてもいい、性能そこそこ、価格が安い、それでいてアクの強い妙な個性、このクラスの国産車、例えばブルーバードやコロナあたりと真っ向からでなく、裏でこっそり勝負するクルマだ。

またワゴンもラインナップされていることは魅力。しかし、どうせ買うのなら、世界的に見ても稀少な観音開きの3ドアクーペが面白いだろう。

ここがダメ

とりたてていいところがない反面、どこも特に悪くない。それがダメと言い出したらすべてダメとなってしまうのがこのクルマ。またディーラー(ではなくリテイラーという)が少ないため手に入れにくいことが、売る方、買う方にデメリット。

総合評価

一昔前の日本車風で、アンダパワー感と乗り心地、走り心地が絶妙にバランスしておリさすがだてに10年作ってない。下駄グルマとしては完成の域に達している。日本ではこのクラスは靴くらいに出世しているから、下駄的な気軽さはない。つまりサターンはアメリカの軽自動車として考えるべき。日本ではコロナクラスの大きさだが、アメリカでは感覚的に日本でのリッターカーか軽自動車といったところで、修復のしやすいポリマーパネルを採用している点も含めれば、走りより使い勝手や、経済性、そしてセンスというあたりで勝負するわけだ。

高級感や、乗り味を求めてはダメで、サターンという便利な乗り物と考えれば、それなりに快適でなにも不満がない。軽に対して上質な乗り心地など求めないように、サターンはその潔いコンセプトこそ称えるべき。チャイルドシートも無料で貸してくれるし、クルマなんてこれで十分と思えるなら買ってもいいと思う。

 

 

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

その他輸入車 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧

関連コンテンツ一覧