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日産 セレナ 20G新車試乗記(第370回)

Nissan Serena 20G

(2.0リッター・CVT・238万3500円)

 

2005年06月18日

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キャラクター&開発コンセプト

言わば背の高いラフェスタ

セレナは3列シートのファミリー向け中型ミニバン。元々は1991年登場のセミキャブオーバー車のバネットセレナ(C23系)が始まりで、1999年にFF車ベースの「モノより思い出」セレナ(C24系)に変わった。

2005年5月に発売された今回の3代目セレナもスクエアな5ナンバーボディを継承。ルノー・メガーヌの「Cプラットフォーム」ベースのラフェスタと車台および駆動系を共有するが、ホイールベースは延長され、サブフレームやサスペンションは新規となっている。

ライバルはステップワゴンとノア/ヴォクシー

セールスポイントは室内の広さ、大きな窓による開放感、使い勝手の良さといったところ。販売目標は月間6000台。ライバル車は一足早く発売された3代目ホンダ・ステップワゴン(目標8000台)、そして2001年登場で今も月平均1万台以上を売るトヨタのノア/ヴォクシー(目標計1万1000台)だ。

価格帯&グレード展開

2WDで210万~238万3500円

全車2リッター「MR20DE」とCVT(無段変速)で統一。グレードは4つで、ベーシックな「S」(210万円)、かつてのR30スカイライン「鉄仮面」風の顔を持つ「20RS」(212万1000円)と「20RX」(224万7000円)、そして上質な内装の「20G」(238万3500円)。4WDは28万3500円高。200万円前後のラフェスタとそれほど価格差はない。

パッケージング&スタイル

大人しくも、技あり

ボディサイズは全長4650mm×全幅1695mm×全高1840mm。多少大きくなったが、5ナンバーを守って手堅くまとめる。最近の日産車としてはデザインの遊びが感じられない方だが、サイドウインドウ下縁の「シュプールライン」やスライドレールの延長線上でテールゲートを溝状に凹ませるなど、随所に「技あり」の処理が施されている。ただ、遠目で見ると印象が薄く、日産車であると一目では分かりにくいのも確か。セレナにおけるヴォクシー版である「RS」や「RX」系に個性的な路線は任せた、というところか。

ミニバンでもモダンリビング

試乗車は最上級の「20G」にカーウイングス&ツインモニターシステム(44万5200円)を追加したもので、室内はプレサージュ並みに豪華だ。20G専用のスエード調シート生地は、手触りが良く、見た目にも上質感がある。ミニバンでもモダンリビング、という感じだ。

シフトレバーはラフェスタと同じ「電制パワーアシストシフト」で、人によっては最初のうち若干の慣れが必要と思われる。

見晴らし抜群、芸も細かいセカンドシート

セカンドシートのアレンジ機能は左右で異なり、右側(運転席の後ろ)のセカンドシートは座面を跳ね上げて、前後にスライドするタイプ。左側(助手席の後ろ)のセカンドシートは背もたれが水平に寝て、前後にスライドするタイプだ。

またセカンドシートの中央席(兼アームレスト)を1列目に押し出せば(任意の位置で止められる)、左右スライドも可能になる。実際の使われ方に即したアレンジとなっており、なかなか芸が細かい。

ツインサンルーフとラフェスタより高い天井も手伝って、見晴らしは抜群にいい。2-3列のフルフラットを試していたら、あまりの寝心地の良さに寝そうになった。

Lクラスみたいなサードシート

サードシート(スライド機能付き)はLクラスミニバンみたいに立派。ヘッドレストは2つだけだが、一応3人掛けが可能だ。

興味津々だったのは一般車で初と思われるインカーホン。1列目と3列目が会話できる車内会話補助装置(セカンド/サードシート用テーブルとセットで3万6750円)だが、試乗車は装備せず。

ゴルフバックも飲み込む床下収納

荷室床下には、9インチゴルフバックが入るという床下収納スペースがある。ここを利用して縦積みすればゴルフバックが4セット、大型スーツケースが2セット積めるらしい。スペアタイヤは助手席下にある。

 

さらにサードシート、セカンドシートを畳めば、マウンテンバイク4台をホイール付きのまま積載できるという。サードシートの収納は、Lクラスミニバン(エルグランドやアルファード)のようにサイドに跳ね上げる。アシストスプリング付きなので、女性でも片手で操作できる。

基本性能&ドライブフィール

いたって乗りやすく快適

ラフェスタと同じ2リッター直4「MR20DE」(137ps、20.4kgm)で引っ張るボディは試乗車で1660kg。街中を流すだけなら、いたって乗りやすく快適だ。内装が上質なだけに、雰囲気は高級ミニバンに近いと言えるかもしれない。全開で加速すると「シャーン」というノイズが高まるが、アクセルの踏み加減でエンジン音の「ボリューム微調整」ができるのはCVTの良いところ。

見切りがいいのも特筆すべき点。ランドローバーもそうだったが、ウエストラインがステップを付けて低く、左前方から左後ろの視界がすごくいい。それに加えて左ドアミラーに内蔵するサイドブラインドモニター、そしてバックモニターが死角をほぼ完全にカバーする。

バランスのいい操縦性

一昔前の背高ミニバンだとコーナリング性能はあまり期待できなかったが、新型セレナは見た目に反してよく走る。アンダーステアも予想外に軽く、ステアリングを切り込めば、狙ったラインで曲がってくれて安心感がある。コーナリングスピード自体は全然低いが、限界時でもヒヤッとする挙動が出ないのがいい。動力性能、タイヤの性能、足回りの設定、重量配分など、それぞれがほどほどでバランスがいい。

短時間ながらセカンド、サードシートの乗り心地も試した。荒れた路面ではダダッとボディがシェイクするが、快適なシートや大きな窓とサンルーフ、明るい雰囲気のインテリアのせいか居心地はとてもいい。乗せられる家族にしてみれば、ほとんど文句のないクルマだろう。

100km/h巡航は快適

高速道路ではCVTということで、120㎞/hまで加速しても巡航に入ると2000回転を若干上回る程度。かなり静かで快適だ。それ以上では急激に風切り音が高くなり、加速時にはエンジン音もそれなりにうるさくなる。しかしそんな時でも直進安定性が高いところは、設計の新しさを感じさせる。

ここがイイ

5ナンバーサイズで背が高く、大きくみえること。これは重要なセールスポイントだと思う。パッケージングも文句なし。同時にミニバンにはちょうどいいあんばいの操縦性。動力性能も2リッターとしてはがんばっている。CVTの恩恵で高速巡航も快適。

シートアレンジの妙。素晴らしい。各部の動作が実に軽やかで、特に力を入れる必要がない。サードシート跳ね上げの簡単さには感動。電動コラムシフトもラフェスタのように指を挟むことなく、本来のねらいどおり軽く動いた。

視界に関しては、世界で最も優秀なミニバンではないか。リアもサイドもカメラが付き、ベルトラインの低いサイドウインドウのおかげで、ドア下方の視界もいい。

ここがダメ

二つの顔を持たせ、ノア/ヴォクシーのような棲み分けを図るという戦略は分かるが、名前が同じでは分かりづらい。ラルゴのネーミングを復活させても良かったのでは。ノア/ヴォクシーに対抗するセレナ/ラルゴ。あるいはもっと冒険してキタキツネとか(これはいずれ出せるかな)。

ロングホイールベースゆえ当然ながら、あまり小回りは効かない(カタログ上は最小回転半径5.5mだが)。大きなリアハッチは開けるときにその大きさが手に余る感がある。今後は二つ折れ式を考慮して欲しいところ。

シート生地の手触りがあまりにいいゆえ、ドアの肘掛け部分がつるりとした感触の樹脂で安っぽいことがより気になった。できれば同じ生地を使って欲しいところだ。試乗車には装着されてなかったため他のクルマで試したが、インカーホンの運転席スイッチが天井にあるのは、押すことについ気を取られがちでちょっと危険だと思う。ステアリングにスイッチを付ければすむと思うのだが。

総合評価

ノア/ヴォクシーが売れまくったのは、もちろんトヨタの販売力もあるが、大ヒット車の初代ステップワゴン同様、まさにボクシーでシャープなスタイル(5ナンバーサイズでも立派にみえる)、そしてセカンドシートタンブル(あるいは回転対座)&サードシート跳ね上げのシートアレンジに加え、ステップワゴンになかった左右スライドドアと荷室床下収納のせいだと思う。ノア/ヴォクシーはまさに初代ステップワゴンのコピー(とちょっとした改良)で、あれほど売れたのだ。

つまり、このクラスは大型ミニバンが欲しくても、サイズや価格で買えない人が妥協して買う、という側面もある商品だから、大きく立派にみえるという要素は重要なポイントと言える。今回セレナはその王道を歩み、さらにシートアレンジや左右ドア、床下収納など、全てにおいてノア/ヴォクシーと同じレベルをまず達成。その上で、上質感や巧みなシートアレンジをさらに追加した。特にセンターシートをスライドさせるマルチスライドシートは各座席のウォークスルーを可能にしている点でいいアイデアだ。あまり使われない回転対座機能を廃して、横方向のスライドを可能にしたのも見識だ。助手席背もたれを倒し、セカンドシートを真ん中に寄せて前に出したベビーフレンドリーモードや、セカンドシートの背もたれが倒せる長尺もの搭載モードなど、想像するだに使いやすそう。

小さな子供が2人いる家庭では、セカンドシートはチャイルドシートのためにある。大きい方の子のチャイルドシートを運転席後方に、小さな子の分はセンターに寄せたセカンドシートに付けっぱなしというのが普通になる。この場合ならサードシートへのアクセスが自由だし、誰も乗らない時には実に軽く跳ね上げ作業ができ、大きな荷室にしておける。子供が複数いる家庭には、パーフェクトなシートアレンジだ。

チャイルドシートなしで使うにしても大柄なセカンドシートの座り心地はいいし、何よりシート生地の触感が心地よいから特等席として満足できる。おおよそ不満がないシートアレンジに加え、オプションのパーソナルテーブルでも付ければ、安手の航空機を超え、新型新幹線並の快適な移動空間ができあがる。制限速度程度の高速巡航は静かだから、一台あれば家族生活の満足度は一気に跳ね上がるはず。新型セレナは初代ステップワゴン、ノア/ヴォクシーの正統な後継車だ。

ただ、ミニバンは家族の成長と共に必要がなくなる。子供が中高生になり、祖父母が亡くなったりすれば、少年野球の監督でもない限り、あまり使う必然性がない。特にクルマ好きならセレナのような「良くできたミニバンの走り」に、一人で乗って満足することはできないだろう。一人で乗っていても満足できるミニバン、それがいいのか悪いのかは、来週乗る予定の新型ステップワゴンが答えてくれるはずだ。セレナに関してはまさに家族持ちのためのクルマであり、これといって新たな提案はない。それが唯一不足して感じられる部分だ。

試乗車スペック
日産 セレナ 20G
(2.0リッター・CVT・238万3500円)

●形式:CBA-C25●全長4650mm×全幅1695mm×全高1840mm●ホイールベース:2860mm●車重(車検証記載値):1660kg (F:920+R:740)●乗車定員:8名 ●エンジン型式:MR20DE●1997cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置●137ps(101kW)/5200rpm、20.4kgm (200Nm)/4400rpm●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/60L●10・15モード燃費:13.0km/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ:195/65R15(Dunlop SP Sport D8H) ●価格:238万3500円(試乗車 -円 ※オプション:キセノンヘッドランプ 6万3000円、デュアルエアコン<プラズマクラスターイオン機能付> 3万6750円、カーウイングスナビ<ツインモニターシステム> 44万5200円、ツインサンルーフ 12万6000円、フロアカーペット 4万円)●試乗距離:約110km

公式サイトhttp://www2.nissan.co.jp/SERENA/C25/0505/CONCEPT/main1.html

 
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