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日産 セレナ ハイウェイスター新車試乗記(第619回)

Nissan Serena Highway STAR

(2.0リッター直4・CVT・249万9000円)

これぞジャパンスタンダード!
ニッポンの5ナンバーミニバンは
不滅です!
  

2011年01月08日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

大成功した先代ベースで「エコモデルチェンジ!」


4代目となる新型セレナ(C26系)
(photo:日産自動車)

2011年11月29日に発売された新型セレナは、1991年にデビューした初代バネットセレナ(C23系)から数えて4代目のモデル。初代はセミキャブオーバーのFRベースだったが、1999年に登場した2代目(C24系)以降はFFベースとなり、「モノより思い出」のCMキャッチコピーで有名に。2005年にデビューした3代目(C25系)では、ミドルクラス3列シートミニバンの本流に徹したことで、ファミリー層に支持され、ベストセラー車の仲間入りを果たした。

その大ヒット車の跡を継ぐ新型(C26系)は、プラットフォームこそキャリーオーバーだが、アッパーボディを全面変更し、時代の要請に合わせてパワートレインもしっかり“環境仕様”に換装。エンジンは全車2リッター直噴の「MR20DD」に、変速機は4WDを含めて全車エクストロニックCVTとしたほか、ライバル車に先駆けてアイドリングストップシステムを主力グレードに採用。クラストップレベルの10・15モード燃費15.4km/L(FF車)を達成している。広告キャッチコピーはそのものズバリ、「エコモデルチェンジ!」だ。

2007年から3年連続ミニバン一位を達成


先代(3代目)セレナ(C25系)
(photo:日産自動車)

目標販売台数は月間5400台で、これはほぼ先代(同6000台)と同水準。現在、リーフが話題の日産だが、新型セレナの受注も好調で、発売後約3週間で早くも1万0091台を受注したとのこと。

なお、先代の販売台数は実質的に同一モデルのトヨタ・ヴォクシーとノアを足した数字には及ばなかったが、名目上は2007年から2009年まで3年間連続で年間7万台以上を売り、ミニバンで一位となっている。

スズキは「ランディ」として販売


4代目セレナのOEM車となる2代目スズキ ランディ
(photo:スズキ)

先代と同じように、新型セレナもスズキにOEM供給され、2代目「ランディ」として12月21日に発売されている。「2.0S」と「2.0G」の2グレード構成で、フロントグリルのデザインも異なるが、その他はおおむね同じだ。

なお、先代セレナ/ランディの生産は、日産車体の湘南工場(神奈川県平塚市)で行われたが、新型の生産は福岡県苅田(かんだ)町の日産九州工場に移管されている。

※過去の新車試乗記
■新車試乗記>日産 セレナ 20G (2005年6月)
■新車試乗記>日産 セレナ J (1999年7月)

※外部リンク
■日産自動車>プレスリリース>新型「セレナ」の受注状況について (2010年12月21日)
■日産自動車>プレスリリース>新型セレナを発売 (2010年11月8日)
■スズキ>プレスリリース>新型ランディを発売 (2010年11月8日)

価格帯&グレード展開

216万3000円からスタート。ハイウェイスターは249万9000円


ボディカラーは全8色。試乗車はエルグランド共々ハイウェイスターのテーマカラーである「オーロラモーヴ」(特別塗装で4万2000円高)
車両協力:日産プリンス名古屋販売株式会社

全車2リッター直4とCVTで、グレードは計4種類。ベーシックな「20S」(216万3000円)、アイドリングストップやVDCが備わる「20X」(233万1000円)、さらにインテリジェントキーなど装備が充実して内装色が明るいフェザーグレーとなる「20G」(258万3000円)、そして同じくインテリジェントキーのほか、専用エクステリアや専用の足まわりを備えた「ハイウェイスター」(249万9000円)となる。売れ筋は先代でも販売台数の7割、新型でも初期受注の70%を占めたハイウェイスターだ。

4WDはハイウェイスターのみ26万2500円高で、他は27万3000円高。オーディオやナビは全車オプションだが、VDC(横滑り防止装置)は「20S」を除く全車に標準装備される。

■20S    FF:216万3000円/4WD:243万6000円
■20X    FF:233万1000円/4WD:260万4000円
■20G    FF:258万3000円/4WD:285万6000円
■Highway STAR  FF:249万9000円/4WD:276万1500円   ★今回の試乗車

 

日産 セレナ ライダー
(photo:日産自動車)

なお、いつもと同じパターンで、株式会社オーテックジャパンによるカスタム車「ライダー」も発売されている。ベースは「20X」で、価格はFFが269万8500円、4WDが296万1000円。同時にオーテックジャパンは新型セレナの福祉車両(日産ではLV:ライフケアビークルと呼ぶ)も各種用意しており、こちらでもハイウェイスターベースが選べる。

パッケージング&スタイル

三角窓が巨大になった。それ以外はキープコンセプト


三角窓の周辺のほか、ヘッドライトやフロントバンパーのデザインもかなり異なる

見た目で先代C25系と新型26系で何が違うかと言えば、それはもう「Aピラーおよび三角窓の形状」に尽きる。先代にも三角窓はあったが、新型では三角窓を構成するサブピラーがルーフ付近から下がってくる形になり、一気にその面積が大きくなった。ただしこれは外観というより、後で触れる室内からの眺めを大きく変えている。

 

リヤコンビランプも微妙にデザイン変更されている

といったわけで、ことスタイリングに関しては、先代と大きく変わり映えしない。ちょっと釣り目だが、柔和な顔立ち。フロントドアの途中でキックアップするショルダーライン(日産は「シュプールライン」と呼ぶ)。スライドドアのレールを巧く取り込み、上下二層構造に見せるリアビューなど、先代の特徴をほぼそのまま受け継いでいる。見慣れないと、新旧を一瞬で見分けるのは難しい。

 

空気抵抗値は先代より約8%低い0.33を達成

ボディサイズもハイウェイスターで(カッコ内は先代比)、全長4770mm(+30)×全幅1735mm(+10)×全高1865mm(+15)、ホイールベース2860mm(同)と、先代とほぼ同じ。なお、ハイウェイスター以外のグレードは、全長4685m、全幅1695mmと相変わらず5ナンバー枠に収まっている。

インテリア&ラゲッジスペース

視界良ければ、すべて良し

ロックを解除して運転席に乗り込むと、未来的なフル液晶メーター「マルチグラフィックアッパーメーター」が鮮やかに光って、ドライバーの目を奪う。しかも日産車では珍しい、ステアリングの上から見るタイプだが、これは新型リーフも同じだ。

その次にオオッと感心してしまうのが、フロンウインドウと大きな三角窓、そして前述のシュプールラインによる見晴らしの良さだ。写真では分かりにくいが、サブAピラーの室内側トリムの形状も左右で微妙に変えているという。

 

メータークラスターはスキーゴーグルのような斬新なデザイン
(photo:日産自動車)

松葉のように細い2本のAピラーが天井から伸び、その間から左右の景色が見えるこの眺め、どこかで見たことがある・・・・・としばし記憶を探って出てきたのがシトロエンのC4 ピカソ。さすがにセレナのそれは、C4ピカソほどの圧倒的なパノラマビューではないが、言葉を換えれば常識の範囲内。優れた視界は、安全に直結するものなので高く評価できる。

チルト&テレスコは全車標準。質感も高い

ステアリングはしっかりチルト&テレスコ付。また質感も全体に高い。試乗したハイウェイスターは全体に黒基調だが(「20G」のみ明るいフェザーグレー)、ジャカード織とトリコットのコンビシートは起毛されているので手触りが良く、見た目もいい。また車両価格が200万~250万円というクラスにあってコストに制約がある中、樹脂のシボ加工や化粧パネルの選定にも、モチベーションの高さとセンスの良さが感じられる。

ウォークスルー優先の7人乗りにも、8人乗りにもなる


2列目のサイドウインドウにはサンシェードを装備。

セカンドシートはシート形状など細かく改良されているが、平たく言えばほぼ先代ベース。具体的にはフラットで低いフロアに、前後スライド可能なセカンドシートを据えるのは当然として、中央席には先代のものを改良した「スマートマルチセンターシート」を採用。これは、セカンドシート中央席がアームレストや小物入れに変身するもので、1列目までザザァーと移動させて、センターウォークスルーにすることも出来る。

 

試乗車はパノラミックルーフ装着車で、天井にはブルーのイルミネーションも灯る。オプションの天井リアモニターは11インチの大画面

さらにセカンドシートの左側を横スライドさせて2人掛けのベンチシートにすれば、サードシートの乗り降りはよりスムーズになる。これはいわゆるマツダの「カラクリシート」と同じで、1台でキャプテンシート(2×2×3の7人乗り)とベンチシート(2×3×3の8人乗り)が兼用できるものだ。作る方のメーカーも、選ぶ方のユーザーも悩まなくていい一石二鳥のレイアウトであり、ミニバンにおける一つの「最適解」とも言えるだろう。

 

またスライドドア開口部も先代よりわずかに拡大されたほか、現行エルグランド(2010年10月発売)譲りの機能として、ボタンを押すだけで電動開閉できる「ワンタッチオートスライドドア」も採用している。取材中は知らなかったので一度も使わなかったが。

ラージクラスに迫るサードシート


前2列に比べても目立って座り心地の悪くないサードシート。リアウインドウが迫る感じもない

サードシートも先代とよく似た雰囲気だが、ヘッドレストが大型になり、クッションが厚くなるなど細かな改良を受けている。相変わらず中央席のシートベルトは2点式だが、二人掛けとして考えれば、背もたれや座面のサイズもたっぷり。頭上から足もとまで空間の余裕も十分で、居住性はラージクラスミニバンに大きく劣らないと思う。また前述の通り、センターウォークスルーにしろ、サイドからにしろ、乗り降りもしやすい。

サードシートを跳ね上げても斜め後方が見える


新型の売りは、この「スマートアップサードシート」。収納時のシート位置が先代より175mm下がり、リアクォーターウインドウ越しの視界を確保

このクラスではフル乗車の場合、荷室スペースが最小限となりがちだが、新型セレナではとりあえず奥行き40センチ程度の空間を確保。さらにサードシートを収納する場合は、このクラスのミニバンでは定番のサイド跳ね上げ式で行う。なお先代には前後スライド機能もあったが、新型では廃止されている。

 

セカンドシートを最前端まで寄せれば、マウンテンバイク4台が積めるとうたう(写真は完全に前まで寄せていない状態)

新型セレナではこの跳ね上げ機構も改良して、「スマートアップサードシート」に進化。5年前の先代では、スプリングの力で軽く操作可能にしたのがトピックだったが、今回はリンク機構をピボット式リンクとガスダンパーに変更して、跳ね上げるというより90度回転させるような仕組みとした。これによってサードシートを跳ね上げた状態でも、斜め後方の視界を確保している。

床下収納スペースも大容量。スペアタイヤは省略


ゴルフバッグも入る床下収納

床下には9インチのゴルフバッグやベビーカーが丸ごと入る大収納スペースを確保。ボードを立てれば(なぜか紐でつながっていて外せない)、背の高い物も置ける。

というわけで、ボディの隅々まで使い切ったパッケージングゆえ、スペアタイヤは省略。パンク修理キットは2列目右側シートの座面下に収納されている。

基本性能&ドライブフィール

街中では軽快。アイドリングストップからの再始動は素速い


吸気側に加えて、排気側にも可変バルブタイミング機構を備えて「ツインVTC」とした直噴ユニット「MR20DD」
(photo:日産自動車)

試乗したのはハイウェイスター(FF)。2リッター直噴の「MR20DD」(147ps、21.4kgm)とCVTというパワートレインは全車共通だ。

車重はオプションが追加された試乗車で1670kgとそこそこ重いが、予想以上に軽快に走り出す。先代に比べて最高出力は+10ps、最大トルクは1kgmも向上し、CVTの制御もいいせいか、街中では2000回転までで何ら不足なく走れる。エンジンは新世代の直噴だが、それを特に意識させるノイズや「パワー感の薄さ」みたいなものはない。この時点で、パワートレインはOKという感じだ。

エンジンが暖まると、停止時には早速アイドリングストップを行う。と同時に、走行中は車速に応じたアクセル開度を表示していたメーター内の「エコドライブナビゲーター」がアイドリングストップ時間を計測するタイマーに早変わりし、節約したガソリン消費量も積算してゆく。グラフィックはやや難解だが、これを見ていると赤信号で待たされている間も意外と退屈しない。

 

上はこの時のアイドリングストップ時間が30秒を越えて、針が「2周目」に入ったところ

そしてブレーキを離すや否や、ほぼ間髪を入れずエンジンを再始動。この時に感心するのが、明らかに現行マーチよりも再始動が素速いことだ。実はこれ、現行マーチのようなスターターモーター(いちおうセレナにも残されている)による始動ではなく、ブレーキ回生機能を備えたオルタネーター(日産は「ECOモーター」と呼ぶ)によって、ベルトを介しながらクランクに直結したプーリーを直接回すタイプ。おかげで再始動が早く、セルモーターの音もしないわけだ。結果、マーチでは坂道で一瞬後ずさりすることがあったが(これは後述するようにVDCおよびヒルホルダーの不備にも要因がある)、セレナでは一度もなかった。

抜群の乗り心地。操縦安定性も合格

走り出して誰もが感心するのは乗り心地だろう。ハイウェイスターは他グレードより1インチ大径の195/60R16タイヤと専用サスペンションを備えるが、フワッと柔らかくて雑味がなく、しかも無駄な上下動がない(つまりフラット)。ハイウェイスター専用の「ハイスピードダンピングコントロールショックアブソーバー」が効いていると思うが、もはやラージクラスミニバンが羨ましくならないレベル。4気筒ゆえにエンジン音は多少入ってくるが、ロードノイズを含めた全体の静粛性は高く、まったく不満がなかった。

 

ワインディングではさらに、この背の高さ、この乗り心地ながら、コーナーでジワッと踏ん張ることに感心した。例えば、わざとブレーキを踏みながらステアリングを切る、みたいな厳しいことをしても、前輪片側のサスペンションがグゥと沈み込みながら踏ん張る様子が、ドライバーにしっかり伝わってくる。もちろん、もっと背の低いミニバンのようにスポーティに走ってしまうというわけでは全然ないが、この手のミニバンとしては絶妙のセッティングという感じ。またこの点が、操縦性を多少犠牲にしていた先代との大きな違いだ。

そのほか、油圧かと思うほど自然な手応えの電動パワステもいいし、下位グレード(20S)を除いて、と言うか、アイドリングストップ装着車に標準装備されるVDCも貢献しているかも。このVDCがあからさまに介入してこないあたりにも基本性能の高さがうかがえる。

高速域の速さはそこそこ。試乗燃費は9.1~11.0km/L


街乗りでは写真のように1200~2000回転ほど回すだけでこと足りる

100km/h巡航時のエンジン回転数は、だいたい1750回転くらい。この回転域でも力感は十分で、静粛性も高い。ではと、アクセルを深く踏み込み、さらにスポーツモードのボタンを押すと(昔のODオフボタンみたいにシフトレバーの横にあって押しやすい)、エンジン回転数こそ一気に跳ね上がるが、正直ここからはパワーウェイトレシオ:11kg/ps台というスペック相応の印象となる。が、もちろん、快適性を損なわないまま、流れをリードするくらいのことは問題なく可能だ。

 

最後に、あくまで参考数値ながら、恒例の試乗燃費に触れると、いつもの一般道・高速道路の混じった区間(約90km)が9.1km/L。さらに郊外の一般道を無駄な加速を控えて走った区間(約60km)が11.0km/Lだった。

10・15モード燃費は15.4km/L(FF車)。JC08モード燃費は14.6km/L(FF車)だが、オプションによって車重が1660kg以上の場合(試乗車はこれに該当)は14.2km/Lとなる。もちろん燃料はレギュラー指定で、タンク容量はこのクラスでは平均的な60リッターだ。

ここがイイ

ファミリーミニバンに期待される全てを備える

ラージクラスミニバン要らずと本気で思える、広い室内空間や快適性。大きな三角窓によって確保された広々とした視界。サードシート跳ね上げ時にも悪くならない斜め後方の視界。おおむね先代譲りだが、理想型と言える多彩なシートアレンジ。そして十分な動力性能、質感、装備、操縦安定性。さらにまったく違和感のないアイドリングストップシステム、良好な燃費などなど、「こうあって欲しい」とミニバンに望む、ほとんど全てがソツなく実現されていること。2人目もしくは3人目の子供が出来たら、迷わず選んで損はない。以後10年間、ファミリカーとして存分に活躍してくれるはず。

ここがダメ

役不足のサンバイザー、強めのブレーキ踏力を要するアイドリングストップ

気になったのは、些細な点ばかり。まず、サンバイザーは通常サイズのものが二つ左右あるだけだけだが、フロントウインドウが巨大なおかげで太陽がそれらサンバイザーの間、ちょうどルームミラーの上あたりに来ると対処のしようがなく、朝日や西日が非常に眩しい。特に太陽の位置が低い冬場はそうだ。対策は簡単で、サンバイザーを大型にするか、アメリカ車によくある補助サンバイザーを追加すべきだと思う。またガラスに光線の透過量を抑えるプリントや着色を施すのも有効だろう。このあたり、C4ピカソはぬかりなく、凝りまくったバイザーシステムで対策している。

 

こちらはシトロエン C4 ピカソ。助手席側がルーフを引き出して延長した状態

これは昨年夏に乗ったi-stop付のプレマシー(2010年8月更新)でも書いたことだが、ブレーキペダルをしっかり踏まないと、アイドリングストップしないこと。多分多くの人がそうだと思うが、信号待ちしている間にブレーキを踏む力は、車両が停止する必要最小限のところだと思うが、その程度だとマツダのi-stop車(少なくとも昨年乗ったタイプ)や今回の新型セレナは、アイドリングストップしてくれない。ハイブリッド車でこのようなことがないのは、アクセルをオフにした時点でエンジンが止まり得るからで、それが出来ない純ガソリン車のアイドリングストップシステムは、もう少しブレーキ踏力が軽い状態でも、エンジンを止める設定で良いように思う。

ステアリングスイッチに照明がなく、夜間はどれを押していいか分かりにくかった。透過照明を付けるのはコスト的に難しいかもしれないが、オーディオのボリュームなど使用頻度の高いものは光って欲しいところ。

■過去の新車試乗記>シトロエン C4 ピカソ (2007年7月更新)

総合評価

新型セレナは全部入りガラケー

「全部入り」というのは、ちょっと前の携帯電話の機能を表す言葉だった。おサイフ機能からワンセグ、ネット閲覧など、いわゆるガラケー(ガラパゴス携帯)でいろいろなことができた。昨今はグローバルなスマートフォンが台頭してきて、日本独自の進化を遂げた全部入りガラケーは押され気味だが、正直なところ、日本で普通の人が使うならガラケーの方が便利だと思う。かつての出来の悪いパソコンのようなスマホは、普通の人には手に負えない機械だろう。その分、マニアには面白く、またカスタムなどの自由度は高いのだが。

 

新型セレナは全部入りガラケーのようだ。サイズも日本特有の、日本では手頃なもので、機能はすべて不満なく、まさに満載。面倒な設定なしで、快適な暮らしをサポートしてくれる。先代も日本のミニバンの中では出色の出来だったが、新型となって更に良くなった。

乗り心地も、シートアレンジもいい


(photo:日産自動車)

特に新型は乗り心地が素晴らしい。フランス車を思わせるゆったりと柔らかな乗り心地は、家族の幸せをさらに演出してくれるだろう。フランス車みたいといえば、運転席頭上近くまでフロントガラスが覆うパノラマビューは、シトロエンのC4ピカソを研究したと思える新鮮なもの。セレナに乗ると明るい気分になれる。

機能面ではシートアレンジがほぼ完璧。サードシートは跳ね上げ式が最もいいと10年も前から言っているが、今回さらに改良してあり、室内からでも軽く操作できる点も含めて100点満点だ。キャプテンシート風にもベンチシート風にも使えるセカンドシートは、フルフラット時にサードシートと合わせてベッド化もしやすく、エアマットなどを敷けば、車中泊にも都合がいいだろう。スペアタイヤを気にしなくて良くなった昨今ゆえ、アンダーフロアラゲッジスペースも便利だ。ただこれ、室内から開けられなかったのはちょっと残念だったが。

燃費もまずまず。オプション装備にも工夫がある

アイドリングストップがどれほど効果があるかに関しては(コストパフォーマンスとして)、いささか疑問を禁じ得ないが、その作動はまったく気にならず、価格にもそう影響しているように見えないから、文句をいう筋合いではない。このアイドリングストップのおかげなのか、このサイズでリッター10km近く走ったのだから、文句は言うまい。燃費としては10年前の同型車の7掛けというところだろう。

 

それから専用フロアカーペットは5万4500円だが、カタログによれば吸音性能(非装着時に比べて70%アップとのこと。従来品に対するアップ率の記述はない)や消臭機能の高さをうたうもので、こうしたアフターパーツの機能向上は、今後もっとアピールしていいと思う。先代ステップワゴンが打ち出したフローリング床は残念ながら消費者にはあまり好まれなかったようで、であれば、こうした高機能カーペットを投入するのは良いやり方だ。また純正ナビにはホンダでもやっているエコドライブ診断機能があって、E1グランプリへデータをアップ出来るという。ほとんどのことがPNDやスマホで出来るようになってきた昨今、車両一体型ナビはこういうメーカー製エンターテイメント機能をもっと強めていくしかないだろう。

実によく出来たミニバン

ということで、セレナはほぼ全部入り。かゆい所に手が届く、実によく出来たミニバンだ。ただしマニア的に面白いという部分は皆無で、ここまで来ると、これ以上カスタムする必要もない。もはや既製品で十分。値段も手頃だし、ミニバンを必要とする人たちには本当に良い時代になったものだ。そしてこのクルマで日本の未来を担う子供たちを立派に育て上げて欲しい。子供との時間はほんとうに貴重だ、と後になって思う。国からの補助金はこういうクルマを買おうとするファミリーにこそ出されるべきだろう。犬を飼い、環境にもうるさい、プリウスに乗るおシャレDINKSに、補助金など出す必要はなかった、なんて。菅政権には子育て支援カー補助金を創設してもらいたいものだが、こんな政権ではムリかな。


試乗車スペック
日産 セレナ ハイウェイスター
(2.0リッター直4・CVT・249万9000円)

●初年度登録:2010年12月●形式:DBA-FC26 ●全長4770mm×全幅1735mm×全高1865mm ●ホイールベース:2860mm ●最小回転半径:5.7m ●車重(車検証記載値):1670kg( 950+720) ※試乗車はオプション装着により40kg増 ●乗車定員:8名

●エンジン型式:MR20DD ● 1997cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・直噴・横置 ●ボア×ストローク:84.0×90.1mm ●圧縮比:11.2 ● 147ps(108kW)/5600rpm、21.4kgm (210Nm)/4400rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/60L ●10・15モード燃費:15.4km/L ●JC08モード燃費:14.6km/L ※試乗車はオプション装着による重量増で14.2km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット(+コイル)/後 マルチリンク(+コイル) ●タイヤ:195/60R16( Bridgestone B250 )●試乗車価格:334万4250円( 含むオプション:キセノンヘッドランプ 6万3000円、カーウイングスナビゲーションシステム+ETC車載器+バックビュモニター+後席エンターテイメントシステム 53万0250円、ワンタッチオートスライドドア 12万6000円、パノラミックルーフ 8万4000円、オプション塗装 4万2000円 )●ボディカラー:オーロラモーヴ ●試乗距離:200km ●試乗日:2010年12月 ●車両協力:日産プリンス名古屋販売株式会社

 
 
 
 
 
トライアンフ名古屋イースト

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