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スマート K新車試乗記(第205回)

smart K

2002年01月25日

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キャラクター&開発コンセプト

日本の“K”枠に適合させた“黄色いナンバーのガイシャ”

1990年に時計メーカーのスウォッチとメルセデスが共同で企画し、その後スウォッチの撤退によってメルセデスが独自で開発・生産したスマート。全長わずか2560mmという超コンパクトボディに乗車定員を2名に割り切ったシティコミューターだ。そのスマートに2001年10月より新しいラインナップとして加わったのがスマートKだ。

スマートKは日本の軽自動車の規格に適合するように開発されており、もちろん国産の軽と同じ税制面の優遇も受けられる。スマートはボディパネルが簡単に交換できる構造のため、これまでも販売店などで軽に適合したフェンダーキットが売られ、比較的容易に軽登録できたわけだが、今回の処置によって正真正銘の「ガイシャ初(?)の軽自動車」となったわけだ。パワートレーンは600ccエンジン+シーケンシャル式6速セミATで、駆動方式はRR。ハンドル位置はスマート初の右を採用する。

価格帯&グレード展開

価格は日本の軽自動車並

「スマートK」の価格は127万円。これは小型自動車として登録される「スマート・クーペ」よりも3万円安い。日本専用に開発された軽仕様だが、普通車仕様の「スマート・クーペ」より高いわけにもいかず、安く販売するためにいろいろと装備が簡略化されている。

例えばスマートKのフロントグリルにはフォグランプがなくなっており、屋根はクーペのガラス製に対して、Kはスチール製となっている。クーペに標準装備のカップホルダーや運転席側バニティミラー、ラゲッジカバーなどもオプションだ。また、ボディカラーもクーペとは異なり、「トリディオン・セーフティセル」と呼ばれるフレーム部分が黒く塗られるほか、パネルカラーは4色に限られ、インテリアも単調なグレーとなる。

率直な話、これで3万円しか安くないのは割高な感じだが、登録諸費用や年間の維持費(税金、任意保険代、車検代など)は劇的に安い。市街地での機動性は、明らかに日本の軽よりもあるわけだし、4人乗りということにこだわらなければ、十分魅力的な価格設定と言えるだろう。

パッケージング&スタイル

リアフェンダー交換で全幅は軽規格対応に

スマートKは、従来からあるスマート・クーペをベースに、樹脂製リアフェンダー、トレッド、タイヤサイズなどを変更。全幅は日本の軽自動車規格に適合した1470mmだ。クーペの全幅は1515mmだから、その差は45mm。ポルシェでいうところの“ナローボディとターボボディの違い”といったところか。全幅の違いを感じさせないフェンダーデザインによって、クーペと見分けることは慣れないと難しい(ナンバーを見れば一目瞭然だが)。Kの特徴は「トリディオン・セーフティセル」と呼ばれるフレーム部、グリル、ドアミラー、テールランプ周辺がシルバーからブラックとなったところ。リアコンビネーションランプの真ん中はクリアからアンバーに変更されている。見た目の雰囲気はこれまでのスマートと何ら変わりない。

簡素化されたインテリア

室内は基本的にクーペのままと思っていい。2人がピッタリ収まる空間と大型のスーツケース1個が収まるラゲッジスペースも同様のもの。助手席を倒せばゴルフバッグも積めるらしい。左右シートの取り付け位置をずらしたり、スチール製骨格のシートといった安全面の配慮も変わらない。

クーペと異なるのはシートやトリムの表皮がシンプルなものになったことと、ガラスルーフをもたない点。内装色がグレー単色になったことで、ポップなカラーリングのクーペと比べてフツーっぽくなった。ただし、エアコン、パワーウインドウはちゃんと標準装備だし、クーペに標準装備のカップホルダーや運転席側バニティミラー、ラゲッジカバーなどはオプションで用意されている。必要最小限のものは標準化し、あとはお好みで、という売り方はシティコミューターにとって適正だろう。

軽自動車の左ハンドルだと、こんなところで困る

何より嬉しいのはハンドル位置が右にあること。軽自動車で左ハンドルだと、意外な盲点があることをご存知だろうか。実は無人化された高速道路の入り口で、左ハンドル用の自動発券機からは普通車用のチケットしか発行されない。当然、出口では普通車料金を請求されることになる。「これは軽だ」と一悶着しなくてはならないのだ。

右ハンドル仕様で気になったのは、レイアウトに変更を受けたペダルだろう。吊り下げ式のアクセルペダルと踏み込み式のブレーキペダルの操作感、ストロークする方向の違いに微妙な感触の差があって少々慣れが必要だ。日本の軽自動車から乗りかえる人にとっては、“重い”とも感じるだろう。

基本性能&ドライブフィール

パワートレーンは変更ないが、足回りはK専用チューン

リアエンジン、リア駆動というRR方式、エンジン、ミッションといった走りのメカニズムは基本的にクーペと共通だ。エンジンは598ccの3気筒ターボのみ。最高出力55ps/6250rpm、最大トルク8.2kgm/2000~4500rpm、オーバーブースト時は9.0kgm/2500-4000を発生する。最高出力のみに限っていえば日本の軽自動車と比べて大差ないが、最大トルクは高めで、より低回転で発生するのが特徴。街乗り重視の設定だ。

ミッションは「Softouch(ソフタッチ)」と呼ばれるシーケンシャル式6速セミAT。構造的にはマニュアルミッションと同じだが、アクチュエーターが人間の足に変わってクラッチ操作をする2ペダルMTだ。もちろんAT限定免許で運転できる。

全幅が狭くなったことで、前輪のタイヤサイズはクーペの145/65に対して135/70、後輪は175/55に対し145/65と、かなり細くなった。合わせてトレッドも変更され、フロントは+10mm、リアは-30mmとなっている。車重は950kgと、日本の軽と同じぐらいだ。なお、使用燃料はハイオクで、10・15モード燃費は19.0km/Lとなる。

快適性が大幅に増した乗り心地

スペックは以前乗ったスマートと全く同じだが、快適さはずいぶん増している。タイヤサイズの細さが功を奏したようで、乗り心地がマイルドになった。今までにあった落ち着きのないヒョコヒョコ感がほとんど払拭され、タイヤの接地感も高まっている。もちろんコーナリング時の余裕はクーペの方が上だが、クルマの性格上、そういうシチュエーションに持ち込むことはまずないはず。むしろステアリングからの応答性という点で、細いタイヤのKのほうが自然だ。急激な操舵などに対しては、クルマ側の反応を遅く鈍くすることで安定感を出している。

6速セミATは、制御が以前よりもかなり洗練されており、むやみにシフトアップしないのが好ましい。しかし、それでも国産車と同等の基準には達しておらず、オートモードで自動変速する動作が、日本製の良くできたトルクコン式ATのように滑らかでスムーズではないのがツライところ。特に発進加速時のシフトアップや追い越し加速時のキックダウンのレスポンスが気になる。以前では2テンポ遅れていたものが、今回はワンテンポになったという分だけマシだが、特有のクセに慣れる必要はある。クリープ走行ができないため、微妙なアクセルワークもしにくい。このあたりは今後のさらなる熟成を期待したい。

ここがイイ

さらなる熟成を期待するATではあるが、シフトショックはほぼなくなっており、オートモードでのシフトのつながりも許容できる範囲といえる。MR-Sやアルファ147など、この手のセミATは皆こんなものだ。その点ではスマートも同列にある。

高速走行は快適で、国産3速ATとは比較にならない。高速走行では6速のトップギアが有効で、140km/hからでもまだまだ伸びる感じだ。直進性も意外によく、騒音もずいぶん低くなっている。これならアウトバーンでも走れるだろう。

ここがダメ

右ハンドル化により、使い勝手の良さは飛躍的に向上しているが、ややペダルが左にオフセットしていて、身体と右側ドアとのクリアランスも少ない。またハンドブレーキを引くと、ベルト受けと指が干渉する(レバーが右に寄っている)。

他のクルマに比較してあまりに全長がないため、慣れるまでは車両感覚がつかみにくい。ものすごく狭い隙間にも駐車できるが、それを目測で計算できないのだ。慣れれば当然この全長はメリットなのだが。

総合評価

Kだけでなく小型車版もだが、430点に及ぶというパーツの変更によって、出来が劇的によくなっている。乗り心地は快適になり、突き上げもほとんどない(キャッツアイなどを踏むと強い衝撃はある)。Kの場合、タイヤ幅が狭くなっているにもかかわらず、踏ん張り感はそう悪くない。何よりRR的な挙動がかなり消えており、通常の速度域なら安心して走れる。サスはかなりいじってあるみたいだ。

リモコンキーが開・閉・トランクの3ボタンになって、使い勝手がよくなった。前のキーは押し続けるとリアハッチが開いてしまったが、これでもう間違ってリアハッチを開けることはない。また、Kはシート生地があたりまえのものになっているが、助手席シートバックがテーブルとなるのは従来通り。ここにノートPCを置くと、身体をひねれば机のように使えて、たいへん便利だ。一人乗りモバイルカーとしてマジで欲しくなった。

実際のところ、シティカーとしての軽の理想に最も近いのがこのスマートだったが、本当に軽になってしまったのだから、これはもう言うことはない。しかも仕上がりが大幅に向上している。これがそこそこ売れれば、日本のメーカーもこの手のものを出してくるはず。ぜひジャンジャンバリバリ売れて欲しいものだ。

公式サイトhttp://www.smart-j.com/

 
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