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スマート ロードスター新車試乗記(第301回)

smart roadster

(0.7リッター・6速セミAT・255万円)

スマートロードスターの写真

2004年01月17日

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キャラクター&開発コンセプト

スマートと同手法ながら専用設計のボディ

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スマート ロードスターは2002年にデビューしたライトウエイトスポーツカー。日本では2003年9月24日に発売された。トリディオンセーフティセルと呼ばれるスチール製の骨格、樹脂製のボディパネル、直列3気筒698ccターボエンジンをリアに搭載する手法は従来のスマートと同じ。しかしボディやシャシーは専用設計で、エンジンも専用チューンが施されている。

ロングホイールベース、ワイドトレッド、低い全高を与えられたスマートロードスターは、本格スポーツカーの要件を備える。ロードスターとロードスタークーペの2種類があるが、いずれも低いシートに座り、6速ミッションと小排気量エンジンを操って純粋に走りを楽しむマシンだ。

価格帯&グレード展開

両方とも実はタルガトップ?

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ロードスター(255万円)とロードスタークーペ(278万円)がある。ロードスターは電動ソフトトップ(幌)を持つタイプだが、Bピラーやリアウインドウは固定だから、正確にはロードスター(簡単な幌を持つ2座オープンカー)ではなく、「タルガトップ」(屋根の上部だけが開くオープンカー)だ。

 
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スマート ロードスター クーペ

一方、ロードスタークーペは、ガラス製のリアゲートを持つクーペだが、この屋根は2分割の脱着可能な樹脂製ハードトップで、それを外すとこちらもタルガトップ状態になる。それゆえ「ロードスター」であり、クーペ」でもある、というわけだ。

パッケージング&スタイル

ロングホイルベース、ワイド&ロー

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ボディサイズは全長3430mm×全幅1615mm×全高1205mm。長さは軽自動車並み、幅は普通車並みで、全高はスーパースポーツ並みに低い。ここまではライトウエイトスポーツカーとして理想的なディメンションだが、ホイールベースは直進安定性を確保するためか、2360mmと異様に長い。なにしろマツダ・ロードスターは2265mm、現行ポルシェ911(996型)でも2350mmに過ぎないのだ。まあ、普通のスマートは1810mmしかないのだが。

 
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スタイリングは古典的スポーツカーを現代解釈したようなロングノーズ、ショートデッキ。一見、FRにもミッドシップにも見えるが、もちろんスマート同様にエンジンをリアに搭載し、後輪を駆動するRR(リアエンジン・リア駆動)だ。エンジン縦置きのポルシェは車軸後ろにエンジンを突き出すが、横置きのスマートは車軸のほぼ真上に駆動系が載る。車検証記載値から計算した重量配分は43:57だ。

シートは低いは、室内は意外に広い

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着座位置はロータス・エリーゼのように「床に座るがごとき」ではないが、それ以外の現行スポーツカーで一番低い部類だろう。シートの作りはスマートに準じたもので、非常にがっしりしている。背もたれのフレームは強化スチール製のモノコック構造で、衝突時に変形して衝撃を吸収するというものだ。

室内幅は1290mmと軽自動車並みだが、男二人で乗っても狭苦しさはない。長距離移動でも、あるいは渋滞に巻き込まれても、見た目から予想されるよりずっとストレスは少ないはず。むしろスポーツカー特有の居心地の良さがあるし、フロントガラス越しに見えるフェンダーの峰もなかなか魅力的だ。

スマート並みの質感だが、スポーツカーらしさあり

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電動パワーアシスト付きのステアリングはチルト(上下)もテレスコ(前後)もしないので、背が高いとメーター上部が隠れてしまう。また、ステアリング径(37センチ)がクルマの雰囲気や必要な操舵力に似合わず少し大きいのも気になる。パドルシフト一体型なので、社外品のステアリングを付けるのは難しそうだ。

 
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鍵はスマートと同じようにセンターコンソールに差す。また、エアコン吹き出し口などのパーツもスマートと共有するため高級感はなく、250万円オーバーのクルマとして考えると質感には辛いものがあるが、リアルスポーツカーに高級感は二の次だ(と納得したい)。

なお、試乗車はオプション(10万円)の本革シート(シートヒーター付き)を装備していた。さらにオプションでダッシュボードの上にブースト計と水温計(各2万4600円)が装着できる。

 
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なお、スマートロードスターで一番困るのは乗り降りだ。サイドシルの高さは問題ないが、ルーフ両脇(のバー)が極めて低く、乗る時も降りる時も頭を屈める必要がある。この手のスポーツカーに慣れているデイズのスタッフも少し油断したせいか、2度ほど頭をぶつけてしまった。

ルーフ開閉は電動で10秒。フルオープンも可能

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ソフトトップの開閉は、開けるのも閉じるのも10秒ジャスト。シャッターのように後ろに折り畳むちょっと珍しいタイプだ。途中で止めると後方が見えないが、シンプルでスマートな仕組みだ。「メリメリメリ」とメカニカルな音?を立てながらも、スムーズに作動する。見た目は普通っぽいが、乗っている方はこれだけで十分にオープン感覚が楽しめる。

さらに、ルーフ左右のバーも取り外せる。レバーでロックを解除してから、フロント荷室内に固定と、手順は簡単だが、バーに持つところがない上、けっこう重いので、うっかり落としそうで緊張する。また、一度外してしまうと、雨が降り出してもすぐに屋根を閉められない。「フルオープンに出来る」という可能性を楽しむ機能と言える。

反対に、ロードスタークーペが装備する2分割ハードトップをロードスターに装着して「クーペ」にすることも可能だ。3層構造のポリウレタンフォーム製で片側5kg、両方で10kgと軽量だが、オプション価格は19万8000円とちょっと高いのが難点。

前後にトランク

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フロントのトランクは、ポルシェのそれと同じくらい広いが、背もたれの後ろにも若干のスペースがあり、普段はそこを利用するのが便利だろう。

一方、リアの荷室は書類カバンかジャケットのような薄いものしか入らないが、この荷室は室内とつながっているので、上手く使えば便利かも。荷室には遮音・吸音・断熱材が敷かれており、その下にエンジンが納まるかたちだ。荷室容量は前後合わせれば145リッターと、マツダ・ロードスターのリアトランク並みの容量がある。

なお、ロードスタークーペの方は、リアに多少嵩張るものが積める。容量はやはり前後合わせて248リッターだ。いずれにしても積載性に関して期待は禁物。この手のスポーツカーはモノを積むための工夫も楽しみのうちと考えたい。

基本性能&ドライブフィール

街乗りで楽しい

試乗したのはロードスター。変速機はスマートと同じ6速セミATで(いわゆるクラッチレスMT)、クリープはない。つまりブレーキを離しても動き出さないが、発進はスムーズだ。パワーがあるせいか、最新のスマートよりもスムーズに感じる。ATモードだと変速時に多少ギクシャクするが、これならばMTモード(パドルもしくはシフトレバーを操作すると切り替わる)も含めて、AT限定の人でもすぐに慣れるだろう。

エンジンは最近598ccから698ccに排気量アップしたスマートのエンジンと基本的には同じものだが、ターボの過給圧がアップされ、最大出力は3割(21ps)増しの82ps、トルクは1割5分(1.5kgm)増しの11.2kgmへ向上。アクセルを踏み込むと息を呑むような加速、じゃなくて、息を呑むようなターボラグはあるが、そのあと一気呵成に6000回転のレッドまで吹け上がる。アクセルを戻すと頭の後ろから「ピュルピュルピュル…」と口笛のような音。WRCのラリーカーみたいだ。

心情的レーシングカー

そうやってブゥーン、ピュルピュルを繰り返しながら、街中を走るのは楽しい。今時珍しいターボラグにこそ最初はとまどうが、どっかんターボというほどのパワーはなく、これはこれでキャラクターとして楽しめてしまう。6速の各ギアがすぐに吹け切ってしまうため息の長い加速は味わえないが、ラリーカーやレーシングカーのようなクロスミッションの小気味よさが味わえる。性能ではなく、演出でその気にさせるタイプだ。

右がアップ、左がダウンのパドルシフトは、慣れると操作しやすい。マニュアルモードでもレッド手前で自動シフトアップするので、シフトダウンに専念するのが上手く扱うコツだ。ブレーキペダルが左寄りなので、左足ブレーキにはもってこいで、そういったところも今時のレーシングカーっぽい。

意外に快適

運転が楽しいからこそ、快適性も気になるところ。乗り心地は当然固めだが、意外にこれがいい。カッコがカッコだけに「意外に乗り心地いいじゃん」というのが一般的な感想だろう。280psクラスの最新スポーティカーにはもっと体を揺するものがある。ボディ全体のがっしり感は普通のスマートに譲るが、足まわりの剛性感やタイヤの接地感が高く、安心して走れる。

3気筒ターボエンジンの音は後ろからそれなりに入ってくるが、不快ではなく、スズキのターボ車(カプチーノあたり)と似ている。エンジンがリアにある点でホンダ・ビートと似ている、という意見もあるが、音量はスマートロードスターの方が圧倒的に小さく、音質もマイルド。刺激的ではないが、おかげで耳障りではなく、長距離ドライブでも疲労しにくいものとなっている。

山道で爽快

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ワインディングでも、ちょっとコーナーを攻めた程度なら、行きたい方向にグイグイ曲がって行くニュートラルステア。ミッドシップを含むリアエンジン車で鉄則のフロント荷重を意識しなくとも、素直にコーナーをクリアしてしまう。800kgそこそこの車重に超大径の185/55R15タイヤ(ロードスタークーペだと205/45R16!)ということもあり、限界はそうとう高い。振り回すのは難しいが、そこまでしなくても爽快なドライビングが楽しめる。電子デバイスのESPも標準装備するが、乾いた路面ではなかなか介入してこない。コーナーだけならマツダ・ロードスターといい勝負が出来そうだ。

ノンパワステのスマートに対して、スマートロードスターは電動パワステを装備。クイックではないが、不自然さもない。エンジンを切った状態でも据え切りが軽くできるくらいなので、パワステ無しでも良かったかも、とちょっと思った。

電動トップで手軽にオープン

なお、試乗したのは雪がちらつくほど寒い日。しかし、電動でソフトトップを開けた状態なら、オープンであることを忘れるくらい風の巻き込みは少なかった。逆にルーフ両側のバーを取り去ると、今度はビュービュー風が吹き込む。こういうのがオープンらしい、という硬派や、暖かい季節には、フルオープン状態の方が楽しいかもしれないが、どちらかといえばオープンカーらしいスタイルを楽しむものだろう。

ここがイイ

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乗ってて妙に楽しいのは、ポルシェ同様のRRだからか。いや、それだけでなく、ポジションの低さ、体にフィットするボディの小ささ、軽い重量、一般道でもフルに回せるローパワー、つながりのいい6速ギア、オープンの爽快感、といったあたりが、見事にバランスしているからだろう。RRらしい、シート後方を軸にして軽いフロントが曲がっていく感覚のコーナリングは限界が高く、ESPもあるから安心感があり、しかも追い込んでいくとちゃんとRRらしい挙動が出てくる。乗るまではスマートのイメージやスタイルの特異性、価格の高さから「?」だったが、乗ったあとはなんか欲しいぞ、このクルマと「!」に変わった。

屋根のオープンが簡単なのは前述通りだが、シートヒーターがついているあたりにも、積極的なオープン走行推奨が見受けられる。実際、外気温2度ほどの夜間にオープンで試乗したが、寒くなかった(ただしサイドのバー付き)。「どこでもオープンカー」だ。

ここがダメ

やはり車両価格か。ドイツ現地価格は61psバージョンで1万4990ユーロ(約200万円)、82psバージョンは1万8610ユーロ(約245万円)から。日本では255万円だ。では200万円以下で日本で出したら売れるのか、といわれると、これまた難しいところ。やはり買う人は限られる。しかしコペンが150万円だから、競争力は出てくるはず。

総合評価

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スマートにはずっと注目してきたデイズだが、そのロードスターに乗ってみたら、これがたいへん素晴らしい。極端に長いホイールベースが乗り心地や繰安性を高め、エンジンもすっかり変わり、問題があったATですらがすっかり不満がないところまで改良されている。もともと小さなスポーツカーが好きなだけに、すっかり虜になってしまった。

高速もリミッターが効く150km/hあたりまでは、問題なくクルージングが可能だし、これならもうどこへでも行ける。軽スポーツで出来ないのがここ。こうなると、新エンジンのスマートもかなりいいのではないか。どんどん進化するスマートは、スマートからスマートの乗り替え需要を喚起できるだろう。買ってない人はそろそろ買い時だ

いつもの話になってしまうが、軽自動車の規格があるがゆえ、日本ではスマートロードスターが作れない。サイズに縛られると、コペンになってしまうのだ。エンジンも軽よりわずか40ccほど大きいだけなのに、パワーには比較にならない余裕がある。規格をほんのわずか超えたところに理想があるという歯がゆさを感じずにはいられない。

 
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バブル期にはビートやカプチーノなど秀逸な軽スポーツが登場したが、スマートロードスターはその時期のクルマと比べれば圧倒的に快適で、進化した存在だ。10数年の時を経てそうしたクルマが欧州で作られたことに、無念さを覚える。スズキのデザイナーがこのクルマを買ったという噂を聞いたが、ツインを持つスズキにカプチーノの現代版を生み出してもらいたいところだ。

「需要は?」。確かに有るとはいえないが、小さくて楽しい、そして安いスポーツカーは世界中のどこでも売れるだろう。そう考えれば可能性はある。コペンも欧州で人気があるらしいし。5年後なら中国でも売れるはずだ。いずれにしても、スマートロードスターはもうちょっと安いといい。200万円が一つのハードルだろう。

試乗車スペック
スマートロードスター(0.7リッター・6速セミAT・255万円)
●形式:GH-452434●全長3430mm×全幅1615mm×全高1205mm●ホイールベース:2360mm●車重(車検証記載値):830kg(F:360+R:470)●エンジン型式:15●698cc・SOHC・直列3気筒インタークーラー付きターボ・横置●82ps(60kW)/5250rpm、11.2kgm (110Nm)/2250-4500rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/35L●10・15モード燃費:18.4km/L●駆動方式:後輪駆動(RR)●タイヤ:185/55R15(Bridgestone B340)●価格:255万円(試乗車:265万円 ※オプション:本革シート(シートヒーター付) 10万円)●試乗距離:約200km

公式サイトhttp://www.smart-j.com/

 
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