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スズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMV新車試乗記(第780回)

Suzuki Solio Bandit Hybrid MV

(1.2L 直4・マイルドハイブリッド・CVT・182万5200円)

スズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの写真売れてる理由は
乗れば分かる。
普通車最小ミニバンの
完成度を体感せよ!

2016年02月05日

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キャラクター&開発コンセプト

新世代プラットフォーム&パワートレインを採用

新型スズキソリオの商品画像
新型ソリオ

2015年8月26日に発売された新型「ソリオ」と「ソリオ バンディット」は、1.2Lエンジンを積む5人乗りミニバン。もともとは1997年に登場した「ワゴンR ワイド」が始まりで、その後、「ワゴンR +(プラス)」「ワゴンR ソリオ」、「ソリオ」と車名を変えながら進化してきた。

今回の新型ソリオは、新開発の軽量・高剛性プラットフォーム、新開発のK12C型「デュアルジェット」エンジン、小型モーターと小型リチウムイオン電池を使った「マイルドハイブリッド」を採用し、先代比100kgの軽量化やJC08モード燃費27.8km/L(FF車)の低燃費を実現したモデル。また、ステレオカメラで前方を監視し、自動ブレーキなどを作動させる先進安全装備「デュアルカメラブレーキサポート」も採用するなど、スズキの最新技術が惜しみなく投入されている。

 
BANDITの車体ロゴのクローズアップ写真

なお、新開発のプラットフォームやパワートレインは、今後スズキがグローバルで投入してゆく新世代モデルの土台となるもの。2016年2月18日から発売される新型車「イグニス」にも採用されている。

販売目標台数はソリオとソリオ バンディット合わせて月3500台。発売後の実績は2015年9月:4669台(普通車で18位)、10月:3921台(16位)、11月:4313台(13位)、12月:3749台(15位)、1月:3971台(14位)と好調。

ちなみに先代の広告キャラクターはジャニーズの「KAT-TUN(カトゥーン)」だったが、新型では同じくジャニーズで5人組の「TOKIO(トキオ)」を起用している。

ワゴンR ワイドから、徐々にヒット車へ

軽自動車のワゴンRをベースに、全長や全幅を拡大し、1Lエンジンを搭載したワゴンR ワイドが登場したのは1997年のこと。同モデルは1999年に第2世代のワゴンR プラスへフルモデルチェンジ。その後、ワゴンR ソリオ、ソリオと車名を変更しながら進化していった。

2011年に発売された第3世代のソリオは、両側スライドドアを持つ1.2Lクラスの5人乗りミニバンというポジションを確立。2012年に追加された「ソリオ バンディット」と共に、コンスタントに月平均3000台ほどを販売するヒット車になった。

■外部リンク
スズキ>新型「ソリオ」、「ソリオ バンディット」を発売(2015年8月26日)
スズキ>新型「イグニス」を発売(2016年1月21日)

■過去の新車試乗記
スズキ ワゴンR ワイド (1997年発売)
スズキ ワゴンR プラス (1999年発売)
スズキ ワゴンR ソリオ (2000年発売 ※マイナーチェンジ)
スズキ ワゴンR ソリオ 1.3 Well (2002年発売 ※マイナーチェンジ)
スズキ ソリオ (2011年発売)

 

価格帯&グレード展開

ソリオは145万4760円~、バンディットは182万5200円~

新型スズキソリオバンディットの画像
新型ソリオ バンディット

全車エンジンは1.2L 直4で、ミッションはおなじみジヤトコ製の副変速機付CVT。ベースグレードの「G」のみ純エンジン車で、それ以外はすべてマイルドハイブリッド車。

4WDは全車12万6360円高。左側の電動スライドドアは全車標準で、右側は上級グレードに標準装備もしくは4万6440円高でオプション装着できる。また、マイルドハイブリッド車には、デュアルカメラブレーキサポート(誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、エマージェンシーストップシグナル、クルーズコントロールシステムを含む)を5万9400円高で装着できる。

なお、基本メカニズムを共有する新型イグニスは全車マイルドハイブリッド仕様で、価格は138万2400円~。

【ソリオ】
・G   145万4760円~
・ハイブリッド MX 169万5600円~
・ハイブリッド MZ 184万1400円~

【ソリオ バンディット】
・ハイブリッド MV 182万5200円~
 ※今回の試乗車

 

パッケージング&スタイル

【バンディット】ワイドかつ精悍

右前方から撮影したスズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの写真
ボディカラーはソリオが8色。バンディットは7色で、ブラック2トーンルーフ仕様(4万3200円高)を含めると9通り

試乗したのは、アグレッシブなデザインの「ソリオ バンディット」。ヴェルファイアのような2段構えのLEDヘッドランプ、専用フロントグリル、専用バンパーを装備し、全体的にワイド感を強調。クリアタイプのリアコンビランプも備える。写真のボディカラーは新色の「ファーベントレッド」に、バンディット専用のブラック2トーンルーフを組み合わせたもの。好みはさておき、狙い通り精悍にまとまっている。

軽以上、5ナンバー未満

右後方から撮影したスズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの写真

ボディサイズ(先代比)は全長3710mm(同)×全幅1625mm(+5)×全高1745mm(-20)、ホイールベース2480mm(+30)。2列シートの5人乗りとは言え、“ミニバン”としてはミニマムなサイズ。軽自動車より30cmほど長く、15cmほどワイドで、無理がないというか、“伸び伸びとした”パッケージングになっている。

また、ホイールベースが30mm長くなったにも関わらず、最小回転半径は先代より0.2m小さく、軽自動車と大差ない4.8mに収まっているのが素晴らしい。実際、軽とほぼ同じ感覚で小回りできる。

 
右前方から撮影したスズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの写真
右側面から撮影したスズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの写真
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転半径(m)
スズキ スペーシア (2013~) 3395 1475 1735~1740 2425 4.4~4.6
ホンダ N-BOX (2011~) 3395 1475 1780~1800 2520 4.5~4.7
ダイハツ ウェイク (2014~) 3395 1475 1835 2455 4.4~4.7
先代スズキ ソリオ (2011~2015) 3710 1620 1765 2450 5.0
新型スズキ ソリオ (2015~) 3710 1625 1745 2480 4.8
トヨタ シエンタ (2015~) 4235 1695 1675 2750 5.2~5.8
ホンダ フリード (2008~) 4215 1695 1715~1745 2740 5.2
 

インテリア&ラゲッジスペース

軽にない横方向の余裕

スズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVのインパネの写真
センターガーニッシュはソリオがシルバー、写真のバンディットはピアノブラック調

室内でまず感じるのは、軽自動車にはない室内幅の余裕。全幅は1625mmだから、5ナンバー枠にはまだ70mmほど余っているが、いやいやこれで十分と思える。

また前後方向についても、室内長が2515mm(+400)、前後乗員間距離が1080mm(+55)に拡大。室内高は1360mm(+15)で、小学3年生くらいが立てる寸法。

 
スズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの運転席収納スペースの写真

インパネに関しては、現行スズキ車で唯一のセンターメーターを採用し、広々感を演出。運転席前にはリッド付き小物入れ(試乗車ではETC車載器を設置)を設けている。逆にセンター部分には何も置かず、サイドウォークスルーやセンターウォークスルーがやりやすい。

収納スペースも充実。インパネには500ml紙パック対応のドリンクホルダー、運転席には携帯を入れておくのに最適なシートサイドポケット、助手席前にはテーブル、そしてスズキ車でおなじみの助手席シートアンダーボックスなどを装備。いかにも便利そうな工夫があちこちにある。

 
スズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの助手席シートアンダーボックスの写真
スズキの軽で定番の助手席シートアンダーボックス
スズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVのスライドドアを開いた写真
後席スライドドアの開口幅は60mm広がり(640mm)、ステップ高も5mm下がって乗降性を改善。左側は全車電動、右側電動も一部グレードに設定
 
スズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの後席を側面から撮影した写真
後席は左右別々に前後スライド&リクライニングが可能。ロールサンシェードもG以外に標準装備する
スズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの運転席を側面から撮影した写真
ステアリングにテレスコ調整機能はないが、ポジションは決めやすい
 
スズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの荷室の写真
後席肩部に操作レバーがあり、前後スライド&リクライニングは荷室側からも可能。荷室高は1055mm(先代比+40)
スズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの荷室の床下収納スペースの写真
床下収納スペースはFF車で100L(写真)、4WD車で26Lを確保
 

基本性能&ドライブフィール

何かにつけて普通車の余裕がある

スズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVが駐車場に停車している写真

今回は浜松のスズキ本社を起点に、新型ソリオ バンディットと新型エスクードに試乗した。

試乗したバンディットはFF車(182万5200円)で、デュアルカメラブレーキサポートやメモリーナビゲーションをオプション装着したもの。オプション込み価格は約210万円。

走っての第一印象は、やはり軽自動車ではなく、普通車ならではの余裕があるなぁということ。排気量は1.2Lと軽の約2倍だし、気筒数も軽より一つ多い4気筒。NA(自然吸気)なので、トルクが際立って太いわけではないが、スッと静かに発進し、加速力も必要十分。3気筒のようなノイズや振動もない。

また、荒れた路面での縦揺れ横揺れは軽のトールワゴンより断然少なく、曲がる時や車線変更などの時にグラッとすることもない。500mも走ればクルマ全体のバランスがとても良いことが分かる。

 

軽の成功パターンを踏襲

スズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVのエンジンルームの写真
従来K12B型エンジンを一新。新開発K12C型では、吸気ポート形状の改良、冷却性能アップ(ウォータージャケット形状の改良)、動弁系などのフリクション低減、シリンダーブロック形状変更による軽量化、エンジン傾斜角の変更(15度→5度)によるコンパクト化などが行われた

エンジンはデュアルジェット、すなわち1気筒あたり2つのインジェクターを装備した1.2L。ただし先代途中から採用された従来デュアルジェット(K12B型)ではなく、高圧縮比化や低フリクション化を行ったK12C型に進化している。例えば圧縮比は、従来1.2デュアルジェットの12.0に対して12.5。直噴ではない、ポート噴射のエンジンとしてはかなり高め。

最高出力91ps、最大トルク118Nm(12.0kgm)という数値は従来と同じだが、下からしっかりトルクが出て、しかも高回転まできれいに回り切る。街中から高速巡行までストレスなく走れて気持ちいい。

もちろん、動力性能には先代比100kg減の軽量化と(車重はハイブリッドのFF車で950kg)、低速側から高速側までしっかりカバーするジヤトコ製の副変速機付CVTも貢献している。つまりスズキがこれまで軽自動車でやってきた「トルクフルなNAエンジン、副変速機付CVT、軽量ボディ」の成功パターンが、1.2Lエンジンのソリオでも踏襲されている。

「マイルドハイブリッド」に感心

走行するスズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの写真

感心したのはソリオのような普通車で言うところの「マイルドハイブリッド」、軽で言うところの「S-エネチャージ」の出来の良さ。助手席下に小型のリチウムイオン電池を積んで回生を行い、アイドリングストップするのは「S」が付かない「エネチャージ」と一緒だが、マイルドハイブリッドおよびS-エネチャージは、ISG(Integrated Starter Generator=モーター機能付発電機)を使って、エンジン始動と発進を同時に行うほか、最長30秒間モーターアシストを行ってくれる。モーターの最高出力はわずか3.1psだが、最大トルクは50Nm(5.1kgm)ある。

マイルドハイブリッドは、もちろん燃費にも効くが、それ以上に嬉しいのがアイドリングストップからの再始動がだんぜんスムーズなこと。スターターがキュキュッと回ってからエンジン始動、そして発進、ではなく、電気モーターが回るのと同時に発進もするので、スターター音もないし、タイムラグもない。その完成度は、全てのアイドリングストップ機能はこうなるべきである! と宣言したくなるレベル。

総じて、街中では小回りが効くし、見晴らしはいいし、パワーも十分、乗り心地もよく、静粛性も不満なし。おまけに乗り降りもしやすいと、文字通りストレスフリーに乗れる。

「デュアルカメラブレーキサポート」は絶対お買い得

デュアルカメラブレーキサポートの写真

新型ソリオでもう一ついいのは、ステレオカメラ方式の衝突被害軽減システム「デュアルカメラブレーキサポート(以下DCBS)」が主力グレードで、たった約6万円高で装着できること。

DCBSには、約5~100km/hでの前方衝突警報機能(車両や歩行者を検知)、そして自動ブレーキ機能、約60~100km/hでの車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、ペダル踏み間違い等によるコンビニなどへの飛び込みを防ぐ誤発進抑制機能、先行車発進お知らせ機能が備わる。

高速走行もなかなかいい。直進安定性は悪くないし、乗り心地や静粛性もまずまず。また、開口部だらけのボディながら、約51%(重量比)に高張力鋼板を採用したとのことで、剛性感もしっかりある。

 
運転席から見たデュアルカメラブレーキサポートの写真

100km/h巡行時のエンジン回転数は、負荷(乗車人数、勾配、風向きなど)が小さければ約1800rpm。副変速機付CVTとは言え、1.2Lエンジンでこの低回転を無理なく実現できるのは、低速トルクと軽量ボディがあればこそ。エンジンもよく回るので、追越加速時に引っ張っても苦しくない。

なお、DCBS装着車におまけ?で付いてくるクルーズコントロール(メーター上は115km/hまで設定可能)は、スバルのアイサイトとは異なり、車間距離制御機能がないタイプ。とはいえ、やはり無いよりあった方が断然便利だ。

試乗燃費は14.6km/L。JC08モードは27.8km/L

運転中の視界

今回はトータルで約100kmを試乗。参考ながら試乗燃費は一般道と高速道路を走った区間(約60km)が14.6km/Lだった。

JC08モード燃費は、マイルドハイブリッドのFF車が27.8km/L、同4WD車が23.8km/L。燃費はざっくり言って、今どきの軽並みと考えていいだろう。

燃料タンク容量は、FF車が32L、4WD車が30Lと、こちらもほぼ軽並み。

 

ここがイイ

乗りやすさ、サイズ、パッケージング、安全装備など、ほぼすべて

スズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの写真

とにかく運転しやすく、小回りが効いて、占有スペースも軽と大差ないから、駐車も楽。走りもいいし、操縦性や乗り心地もバランスよくまとまっている。燃費もいいし、マイルドハイブリッドも“理想的なアイドリングストップ機能”として文句なし。

ステレオカメラを使ったデュアルカメラブレーキサポートを、たった6万円で装着できること。そんなもの要らないというドライバーもいるだろうが、万一のリスクは間違いなく減るし(先日スバルからは、アイサイト装着車で追突事故が8割減ったという発表もあった)、おまけにクルーズコントロールも付いてくる。新型ソリオを新車で買うなら迷わず装着すべき。

パッケージング面でも本当によく出来ている。サイド&センターウォークスルーが可能なフロントシートや、後席の前後スライド&リクライニングが荷室側からもできるなど、「こうだったらいいのに」がことごとく実現されている。ふだん3人か4人しか乗らないならこれで十分、3列シートミニバンなんて要らないと思える室内の広さ、豊富な収納スペースなどなど、パッケージングやユーティリティに関しては言うことなし。しかもこのサイズ、このクラスで類似のクルマはない。

ここがダメ

特になし

あえて言えば、普通のクルーズコントロールでも十分に便利だが、DCBS装着車にはせっかくステレオカメラもあるのだから、アイサイトのように車間制御機能もあってもよかったと思う。

スタイリングはよくまとまっているし、ソリオもバンディットも今どきの売れ線デザインだと思うが、今のスズキなら、フロントグリルが主張しない、もっとシンプルで道具感のあるデザインもやれたはず。

総合評価

ワゴンRから、ワゴンRプラスへ

もう20年近く前に、ワゴンRワイド(ワゴンRプラス)は「シティコミューターとしての総合的な出来はヴィッツより上」と高く評価したものだ。いや、まずその前に、1993年登場のワゴンRという軽自動車を高く、高く評価した。ワゴンRは軽自動車を「タダの軽」から「日本らしい小さな乗り物」に変えた、まさに革命的な商品だったからだ。占有面積は同じながら容積を縦に伸ばすという手法で、軽自動車に新たな価値を与えたクルマだった。

ワゴンRはハードウエアとしても素晴らしかったが、重要だったのは軽自動車を安っぽい足クルマというイメージから脱却させたということだろう。47万円で大ヒットした初代アルトは、軽自動車の本質ではあったが、あくまで安物だった。しかしワゴンRには軽のいわゆる貧乏臭さはなく、クラスレスで、そして大人の男性でも乗りたいと思える「道具感」があった。そしてワゴンRの成功がなければ、今の軽自動車の活況はなかっただろう。とはいえ、そのルーツはスズキではなく、それよりさらに20年前の商用車、ホンダ・ステップバンにあったのだが。

そしてそのワゴンRを、軽という無理やりな日本規格に収めないで、小さな乗り物として理想的な形へ昇華させたのがワゴンRワイドだった。余裕のあるエンジンによって、当時の軽自動車にあった走行性能の不満を解消し、ワゴンRの秀逸なパッケージングに横幅の余裕を与えて、軽規格ではいかんともしがたい走りと室内空間を獲得することで、海外でも通用するジャパンオリジナルな小型車となった。実際、欧州ではGM傘下のオペルとボクスホールで「アギーラ」として2007年まで販売され、それなりに好評だったようだ(後継車はスプラッシュのOEM)。

しかしワゴンRワイドは、後にソリオと名乗るようになっても、国内では一定数以上には売れなかった。それは小型車と軽とで維持費があまりに違っていたからだろう。軽の方が圧倒的に安く乗れる以上、あえてちょっとだけ広い、ちょっとだけ走りのいいクルマに乗ろうという人が少ないのは仕方ないところ。ましてミニバンタイプに乗るなら、もっと大きくて多人数が乗れるクルマの方がいい。そんな市場の声は、このクルマを一定数以上売れさせなかった。と同時に、いつの時代も一定のニーズがあったがゆえに、今もこうして存在している。そして逆にその程度しか売れなかったことで、他社が追随することもなく、このクルマが生き延びたとも言えそうだ。

世界に通用する新しい小型車

後方から撮影したスズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの写真

スズキが軽だけでなく小型車重視へシフトしつつあるなかで、新型イグニスという世界戦略車を作り、そのプラットフォームを使うことで、新型ソリオはとてもいいクルマになった。このままでも欧州で十分通用するのではないか。ワゴンRプラスが結局スプラッシュになったのは、欧州のAセグメント車ではやはりトールワゴンよりハッチバックが一般的なためだろう。新しいソリオも先代同様、国内専用車とのことだが、ワゴンRプラスの頃より圧倒的に良くなったパッケージングを、もう一度世界市場で問えないものか。イグニスはSUVテイストゆえ世界で売りやすいのは分かるが、ソリオこそ世界に問える日本オリジナルな小型車だと思う。

昨今の社会状況を考えると、おそらくそう遠くない時期に、今の軽規格は変わるだろう。スズキは鈴木修会長が社長から退き、いよいよ体制が変わりつつあるが、その中でトヨタとの提携話が出てきているのが象徴的だ。修会長の目が黒いうちは軽の税制を変えることなど許されようがなかったが、今後は色々と変わっていくはず。トヨタと、その子会社となったダイハツと、トヨタと資本提携が噂されるスズキ、この3社の関係次第では近い将来、軽自動車という規格が変わるだけではなく、無くなることだってあるのではないか。軽を無くし、現在の小型車より小さいクラスを用意して、そこへ軽市場を移動させ、その小型車は世界で売れるものとする。そんなあたりが3社の思惑に思える(それは鈴木修会長としても、本音では否定するところでないように思える)。取れるところから税収を確保したい日本国の意向もそれに沿うだろうし。

「小さなクルマ、大きな未来」はスズキのスローガンだが、このスローガンは「軽自動車、大きな未来」ではない。日本でしか通用しない軽自動車ではなく、世界に通用する新しい小型車こそが、大きな未来であり、日本の自動車産業に必要なこと。試乗してみて「小さなミニバン」のソリオはすでにそんなクルマになっていると思えた。十分世界で通用するジャパンオリジナルなクルマではないか。小さくて広い、世界に誇れる日本のクルマはまさにこれだと思う。

と、ここまで褒めまくっておいてなんだが、この外観はどうにも日本向けすぎると思う。大型メッキグリルや流れるようなプレスラインのミニバンは当世日本の主流だが、世界の人は、あるいは日本でもけっこう多くの人は、こういう日本式ミニバンのデザインを求めているとは思えない。このクラスのクルマに道具感のある、そしてオリジナリティに富んだデザインのクルマ(例えばハスラーワイドのような)が出たら、今の税制のままでも俄然欲しくなる人が増えるはずだ。ハスラーは軽であることだけでなく、あのデザインだから売れていると思う。ソリオは試乗してみてハードウェアとしては言うことがないだけに、そのあたりが個人的には惜しい、と思った。

 
砂浜から海を望むスズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMVの写真

シャープが台湾の企業から支援を受ける話が進んでいる今、いよいよ日本のモノづくりはクルマしかないのではと思えてくる。豊田家も鈴木家も、浜名湖のあたり、遠江(とおとうみ)の出だ。日本のモノづくりを支える意味では両家が手を握るのも悪くないと思う。そういえばもう一つ、遠江出身の家、本田家はそうなった時にどうしていくのだろうか。ソリオのルーツとも言えるステップバンを生み出したのは本田家なのだが。

 

試乗車スペック
スズキ ソリオ バンディット ハイブリッド MV
(1.2L 直4・マイルドハイブリッド・CVT・182万5200円)
●初年度登録:2015年8月
●形式:DAA-MA36S
●全長3710mm×全幅1625mm×全高1745mm
●ホイールベース:2480mm
●最低地上高:140mm
●最小回転半径:4.8m
●車重(車検証記載値):950kg(570+380)
●乗車定員:5名

●エンジン型式:K12C
●排気量・エンジン種類:1242cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置
●ボア×ストローク:73.0×74.2mm
●圧縮比:12.5
●最高出力:67kW(91ps)/6000rpm
●最大トルク:118Nm (12.0kgm)/4400rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●使用燃料:レギュラーガソリン
●燃料タンク容量:32L

●モーター型式:WA05A
●モーター種類:直流同期電動機
●最高出力:2.3kW(3.1ps)/1000rpm
●最大トルク:50Nm (5.1kgm)/100rpm
●電池種類:リチウムイオン電池

●トランスミッション:副変速機付CVT(無段変速機)
●JC08モード燃費:27.8km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):トーションビーム+コイルスプリング
●タイヤ:165/65R15 (Yokohama BluEarth)

●試乗車価格(概算):210万1680円
※オプション:デュアルカメラブレーキサポート(誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、エマージェンシーストップシグナル、クルーズコントロールシステムを含む) 5万9400円、全方位モニター付メモリーナビゲーション 12万7440円、後席右側ワンアクションパワースライドドア 4万6440円、ブラック2トーンルーフ仕様 4万3200円
●ボディカラー:ファーベントレッド(ブラック2トーンルーフ)

●試乗距離:約100km
●試乗日:2016年1月
●車両協力:スズキ株式会社

 
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